2017/06/07(水) - 10:24
集団スプリントが濃厚と見られたスプリンター向きの平坦ステージで6名の逃げ切り決まる。迫り来る大集団を振り切った6名によるスプリントで、23歳クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)が自身も驚くプロ初勝利を飾った。
マイヨヴェールのソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:CorVos
スタート地点に並ぶトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第3ステージ photo:CorVos
ルシャンボン=シュル=リニョンからチュランまでの184kmコースはカテゴリー山岳を4つ含むものの平坦基調。合計8ステージの中で貴重なスプリンター向きの3ステージの1つであり、距離は今大会最長ながら最も難易度は低い(獲得標高差1,900m)。
2km地点で形成されたのは、ロットNLユンボとデルコ・マルセイユKTMが2名ずつを送り込んだ6名の逃げ。マイヨジョーヌを着るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)に次いで山岳賞2位のクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)が赤地に白玉の奇抜なジャージを自分のものにすべく2日連続で逃げに乗った。
序盤に形成された6名の逃げ集団 photo:CorVos
タイム差が最大6分50秒まで広がったため一時的にクアンタン・パシェ(フランス、デルコ・マルセイユKTM)が暫定総合リーダーとなったが、当然スプリンターチームが状況をコントロールしたためタイム差は縮小。エフデジとコフィディスの2チームがまずは集団先頭に立ち、レース中盤にはカチューシャ・アルペシンとディメンションデータの2チームもここに合流する。圧倒的な人数で追い上げるメイン集団が逃げグループとのタイム差を射程圏内に抑え込んだ。
先頭ではボウマンがこの日4つのカテゴリー山岳をすべて先頭通過し、合計5ポイントを獲得したが山岳賞トップの座は奪えず。ボウマンはチームメイトのアレクセイ・ヴァーミューレン(アメリカ、ロットNLユンボ)とともにその後も積極的にローテーションを回し、山岳賞からステージ優勝に目標をスイッチして逃げ続けた。
タイム差は縮小を続けたものの、丘陵地帯のワインディングとアップダウン、雨によって所々濡れた路面、そして前半からコンスタントに吹く追い風が逃げに味方した。タイム差は残り30km地点で2分。早めの逃げ吸収を嫌ったスプリンターチームのペースダウンと、力を温存していた逃げグループのペースアップによってタイム差の縮小はストップする。先頭で快調にローテーションを回す逃げ6名は、1分40秒のリードで残り15kmに差し掛かった。
リーダーを擁するロット・ソウダルが集団をコントロールする photo:CorVos
チームメイトのアレクセイ・ヴァーミューレン(アメリカ、ロットNLユンボ)とともにクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)が逃げる photo:CorVos
笑顔を見せる新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:CorVos
カチューシャ・アルペシンやディメンションデータ、エフデジ、コフィディス、そしてボーラ・ハンスグローエがメイン集団のペースを猛烈に上げたにも関わらず、逃げグループとのタイム差が縮まらない。先頭6名は1分リードのまま残り5kmサインを通過。そのまま追いつかれることなくフラムルージュ(残り1kmアーチ)を駆け抜けた。
スプリンター向きの平坦ステージで6名の逃げ切りが決まった。スプリント力のあるエヴァルダス・シシュケヴィチュス(リトアニア、デルコ・マルセイユKTM)やフレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)、そしてスプリンターのリードアウトを務めることのあるブライアン・ノロー(フランス、ディレクトエネルジー)らが優勢と見られたが、6名の中で最軽量(体重60kg)のボウマンが残り200mで勇気を持って真っ先にスプリント。反応したシシュケヴィチュスを引き離すほどの加速力を見せたボウマンが先頭に立つと、そのまま他の選手に並ばせることなくフィニッシュラインまで踏み抜いた。
逃げ切りを果たしたクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos
後続集団の先頭はアルノー・デマール(フランス、エフデジ) photo:CorVos
「もうすでに200回ぐらい言っているけど、勝ったことが信じられない」。23歳のボウマンが事実を飲み込めない表情でインタビューに答えた。プロ2年目の23歳ボウマンは昨年のブエルタ・ア・エスパーニャを含めてすでに多くのビッグレースを経験しているが、これがプロ初勝利。「今日は山岳ポイント獲得のために逃げていた。でもいざ逃げが始まると強力なメンバーで、6名全員が最後まで力を尽くした。残り20kmの時点で逃げ切りを確信したよ」。
ロットNLユンボは総合エースもエーススプリンターも立てずにこのドーフィネに挑んでおり、チームの平均年齢は25歳と今大会最も若い。スプリンターチームの意表をつく逃げ切りで、初々しいステージ優勝者が生まれた。「若手が集まっているので、チームメンバー全員にチャンスがあるんだ。誰でも自由に逃げに乗っていい。今日はアレクセイ(ヴァーミューレン)も逃げに乗って前を引き続けてくれたし、ステージ優勝に向けてパーフェクトな展開だった」。
ステージ優勝を果たしたクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos
2日連続ステージ優勝の絶好のチャンスを逃したアルノー・デマール(フランス、エフデジ)は「今日は集団スプリントしか考えられないようなステージだったのに、逃げグループにチャンスを持って行かれた。エフデジは常に3名をローテーションに送り込んだけど、他のチームが出てくるのが遅すぎた。残り15kmの時点でゲームオーバーだと思った」と残念がる。それでもしっかりと集団先頭でフィニッシュし、マイヨヴェールをソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の手から奪うことに成功している。
マイヨジョーヌをキープしたデヘントは、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)といったビッグネームから1分以上のリードを持って23.5kmの個人タイムトライアルに挑むことに。デヘントは「ジャージを守るにしても失うにしても数秒差の戦いになるはず。とにかく全力を尽くすまでだ」とコメントしている。
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ルシャンボン=シュル=リニョンからチュランまでの184kmコースはカテゴリー山岳を4つ含むものの平坦基調。合計8ステージの中で貴重なスプリンター向きの3ステージの1つであり、距離は今大会最長ながら最も難易度は低い(獲得標高差1,900m)。
2km地点で形成されたのは、ロットNLユンボとデルコ・マルセイユKTMが2名ずつを送り込んだ6名の逃げ。マイヨジョーヌを着るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)に次いで山岳賞2位のクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)が赤地に白玉の奇抜なジャージを自分のものにすべく2日連続で逃げに乗った。
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タイム差が最大6分50秒まで広がったため一時的にクアンタン・パシェ(フランス、デルコ・マルセイユKTM)が暫定総合リーダーとなったが、当然スプリンターチームが状況をコントロールしたためタイム差は縮小。エフデジとコフィディスの2チームがまずは集団先頭に立ち、レース中盤にはカチューシャ・アルペシンとディメンションデータの2チームもここに合流する。圧倒的な人数で追い上げるメイン集団が逃げグループとのタイム差を射程圏内に抑え込んだ。
先頭ではボウマンがこの日4つのカテゴリー山岳をすべて先頭通過し、合計5ポイントを獲得したが山岳賞トップの座は奪えず。ボウマンはチームメイトのアレクセイ・ヴァーミューレン(アメリカ、ロットNLユンボ)とともにその後も積極的にローテーションを回し、山岳賞からステージ優勝に目標をスイッチして逃げ続けた。
タイム差は縮小を続けたものの、丘陵地帯のワインディングとアップダウン、雨によって所々濡れた路面、そして前半からコンスタントに吹く追い風が逃げに味方した。タイム差は残り30km地点で2分。早めの逃げ吸収を嫌ったスプリンターチームのペースダウンと、力を温存していた逃げグループのペースアップによってタイム差の縮小はストップする。先頭で快調にローテーションを回す逃げ6名は、1分40秒のリードで残り15kmに差し掛かった。
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カチューシャ・アルペシンやディメンションデータ、エフデジ、コフィディス、そしてボーラ・ハンスグローエがメイン集団のペースを猛烈に上げたにも関わらず、逃げグループとのタイム差が縮まらない。先頭6名は1分リードのまま残り5kmサインを通過。そのまま追いつかれることなくフラムルージュ(残り1kmアーチ)を駆け抜けた。
スプリンター向きの平坦ステージで6名の逃げ切りが決まった。スプリント力のあるエヴァルダス・シシュケヴィチュス(リトアニア、デルコ・マルセイユKTM)やフレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)、そしてスプリンターのリードアウトを務めることのあるブライアン・ノロー(フランス、ディレクトエネルジー)らが優勢と見られたが、6名の中で最軽量(体重60kg)のボウマンが残り200mで勇気を持って真っ先にスプリント。反応したシシュケヴィチュスを引き離すほどの加速力を見せたボウマンが先頭に立つと、そのまま他の選手に並ばせることなくフィニッシュラインまで踏み抜いた。
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「もうすでに200回ぐらい言っているけど、勝ったことが信じられない」。23歳のボウマンが事実を飲み込めない表情でインタビューに答えた。プロ2年目の23歳ボウマンは昨年のブエルタ・ア・エスパーニャを含めてすでに多くのビッグレースを経験しているが、これがプロ初勝利。「今日は山岳ポイント獲得のために逃げていた。でもいざ逃げが始まると強力なメンバーで、6名全員が最後まで力を尽くした。残り20kmの時点で逃げ切りを確信したよ」。
ロットNLユンボは総合エースもエーススプリンターも立てずにこのドーフィネに挑んでおり、チームの平均年齢は25歳と今大会最も若い。スプリンターチームの意表をつく逃げ切りで、初々しいステージ優勝者が生まれた。「若手が集まっているので、チームメンバー全員にチャンスがあるんだ。誰でも自由に逃げに乗っていい。今日はアレクセイ(ヴァーミューレン)も逃げに乗って前を引き続けてくれたし、ステージ優勝に向けてパーフェクトな展開だった」。
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2日連続ステージ優勝の絶好のチャンスを逃したアルノー・デマール(フランス、エフデジ)は「今日は集団スプリントしか考えられないようなステージだったのに、逃げグループにチャンスを持って行かれた。エフデジは常に3名をローテーションに送り込んだけど、他のチームが出てくるのが遅すぎた。残り15kmの時点でゲームオーバーだと思った」と残念がる。それでもしっかりと集団先頭でフィニッシュし、マイヨヴェールをソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)の手から奪うことに成功している。
マイヨジョーヌをキープしたデヘントは、クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)といったビッグネームから1分以上のリードを持って23.5kmの個人タイムトライアルに挑むことに。デヘントは「ジャージを守るにしても失うにしても数秒差の戦いになるはず。とにかく全力を尽くすまでだ」とコメントしている。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第3ステージ結果
ステージ順位
1位 | クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) | 4h06'06" |
2位 | エヴァルダス・シシュケヴィチュス(リトアニア、デルコ・マルセイユKTM) | |
3位 | フレデリック・バッカールト(ベルギー、ワンティ・グループグベルト) | |
4位 | ブライアン・ノロー(フランス、ディレクトエネルジー) | |
5位 | アレクセイ・ヴァーミューレン(アメリカ、ロットNLユンボ) | |
6位 | クアンタン・パシェ(フランス、デルコ・マルセイユKTM) | |
7位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | +11" |
8位 | ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー) | |
9位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
10位 | フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ) |
個人総合成績
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 12h37'04" |
2位 | アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) | +48" |
3位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | +1'03" |
4位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | +1'07" |
5位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
6位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | +1'09" |
7位 | ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
9位 | トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル) | |
10位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループグベルト) |
ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | 37pts |
2位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 32pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 25pts |
山岳賞
1位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 17pts |
2位 | クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) | 14pts |
3位 | ロメン・コンボー(フランス、デルコ・マルセイユKTM) | 6pts |
ヤングライダー賞
1位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 12h38'11" |
2位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループグベルト) | +02" |
チーム総合成績
1位 | ロット・ソウダル | 37h53'40" |
2位 | アージェードゥーゼール | +42" |
3位 | UAEチームエミレーツ | +57" |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos