2017/07/09(日) - 09:04
イタリアンサイクルブランド御三家の一角を担うコルナゴより、17年モデルで新たに登場したミドルグレードカーボンバイク「C-RS」。上位モデルの風格を継承したレーシングな性能と価格をバランスさせた1台をインプレッションした。
自転車大国イタリアの3大サイクルブランドの一つとして知られるコルナゴ。60年以上の歴史を持つ同社はこれまで140以上のチームや2500人以上の選手にフレームを供給しており、世界のサイクルシーンに欠かせないレーシングブランドとして地位を確立してきた。今シーズンもUCIワールドチームのUAEチームエミレーツとUCI女子チームのウィグル・ハイファイブが同社のバイクを駆り、世界のトップレースで活躍を見せている。
現代のレース現場の要求に沿ったハイエンドレーシングバイクC60にはラグを使用し、伝統の技法を継承する一方で、時には時代の流れに身を任せつつも自らのアイデンティティとセンスの良さを反映させたラグジュアリーエアロバイクCONCEPTを生み出すなど、自転車界の老舗でありながら進化することをやめないコルナゴ。
そんな同社のラインアップに、2017年から新たに加わったモデルが今回インプレッションを行った「C-RS」。シマノ105組でアンダー30万円というミドルグレード帯のプライスとしながらも、コルナゴが60年の歳月の中で培ってきたロードバイクの哲学を最新の技術やデザインで反映させることで、上位グレード譲りのハンドリングや走行フィーリングを目指したレーシングモデルだ。
フレームはカーボンモノコックにより製造され、前方からの空気を整流させるアワーグラス形状のヘッドチューブや、上部を角断面とすることで剛性を高めたダウンチューブ、空力性能向上のためのワイヤーフル内装など、細部にレーシング性能を追求した設計が盛り込まれる。それでいて、上位モデルの雰囲気をどこかに感じさせるデザインをミドルグレードにも落とし込んだのは、さすがコルナゴと言ったところ。
伝統的なフロント三角とは対照的にリア三角は最新のデザインとも言えるコンパクトな形状。コントロール性能と反応性を追求した結果であり、ハイエンドバイク譲りの運動性能を獲得している。なおかつワイドタイヤに対応したタイヤクリアランスを確保し、25mm幅のタイヤが標準装備となっている。
BBは圧入タイプのプレスフィット86を採用。このBB規格はボトムブラケットシェルを幅広に設計でき、それにより剛性を強化に貢献する。圧入式のBBの中でもシマノが提唱するスタンダードな規格のためメンテナンス性の心配もないだろう。
フロントフォークはコルナゴが40年前に初めて導入したというストレートフォーク。レースでアドバンテージになるシャープなハンドリングを実現するとともに、太めのブレードがどっしりと安定した走行感をもたらしている。
シートポストは細めの27.2mm径となっており、しなりを発生させることにより路面からの振動を吸収させる効果を持たせた。また前方投影面積を減らすことで空気抵抗を削減する効果や、バイクを横から見た時の美しさと言った点にも貢献している。シートクランプはフレーム内臓のインテグレーテッド仕様だ。
今回のテストバイクはコンポーネントにシマノ105を、ホイールに同WH-RS010アッセンブルした270,000円(税抜)の完成車を使用。ミドルグレードながらコルナゴの伝統ある風格を味わえるバイクに仕上がった「C-RS」。早速インプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「バイクのリズムに合わせてペダリングしてあげると、スムーズに加速していく」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
バイクの挙動が非常に安定しており、自分の思い通りに走ることが出来るバイクですね。力を入力するとソフトに受け止めてくれるため、非常に脚に優しい乗り味です。その上でペダリングに対して変な反発や、力を逃がすこと無くに素直に推進力に変えてくれます。
踏み味はバイクが受け止めてくれるリズムに合わせてペダリングしてあげると、スムーズに加速していき、そのまま高速域まで持っていくことが出来ます。平地や下りでのスピードを活かして登り坂に入れば、スイスイと登ってくれる軽快さも持ち合わせていますね。
ただ、このフレームのリズムから外れるようにハイパワーで踏み込んでいくと、ペダリングの感覚がずれてしまいもたつくような感覚を受けます。ですので大トルクで踏み込むような走り方ではなく、リズム良くペダリングすることが得意な方にマッチすると思います。
BB回りやダウンチューブなどはボリュームのある外見ですが、乗ってみるとソフトな印象を受けます。ですが小気味よくペダルを回していけば低速から高速まで気持ち良く加速しますし、そこでの高速巡航というのも難しくはありません。フレーム全体のバランスの良さを感じますね。
コンフォート系バイクということですので、直進安定性は高めです。それに伴いハンドリングもクイックさのあまりないナチュラルな感覚です。ですので誰でも扱いやすいコーナーリング性能にまとまっています。長時間バイクを操作するロングライドでは、こういったストレスフリーでスタンダードな性能が有難いですね。
ヘッドチューブは長めの設計となっているためアップライトなポジションが取りやすいようにできています。また一見どのチューブも太めの造形をしているように見えますが、振動吸収性に関してもフレームそのものの柔らかさから高い性能を発揮してくれます。
コルナゴというとレーシングブランドと思いがちですが、こういったコンフォートにゆっくり乗るためのバイクでも良いですね。もちろんスピードを上げて行っても速度が頭打ちせずしっかり楽しめるのはレーシングブランドたるコルナゴならではだと思います。
「疲労が溜まりにくく、ロングライドなどのサイクリングに最適」吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
癖のない乗り味とハンドリングですので、乗り始めた瞬間から安心感を覚えます。ヘッド周りの剛性が高いため、下りコーナーでも安定感ある走りが可能ですし、フレーム自体はマイルドな作りとなっているため脚への反発も少なく、路面からの振動も抑えてくれる印象があり、疲労が溜まりにくそうですね。ですので長距離を長時間走るようなロングライドでも快適にこなすことができると思います。
フレームに柔らかさがある分、登り坂でアタックするようなシーンではワンテンポ遅れて加速するような感覚があります。ですが、1人で淡々と巡航をするような走り方には非常に合っていますね。一定のパワーとケイデンスでペダルを回していくと気持ち良くスピードを維持することができ、距離を稼ぐことが出来ます。こういった踏み心地もロングライドに最適な味付けですね。
もともとフレームの快適性は高めのバイクですが、シートポストやハンドルをカーボン素材のアイテムに変更することで、より一層コンフォート感を強めることが出来るでしょう。またブレーキには廉価版の物がアッセンブルされていますので、可能なら早めにシマノ純正品等に交換できるとより安心感が出ることでしょう。
アッセンブルされているホイールは決して性能の低いホイールではないので、そのままでも十分良い走りを楽しめます。ですが、あえて交換するのであれば、一定のケイデンスで巡航していくような乗り方をイメージして、リムハイトが少し高めのエアロホイールを組み合わせると良いのではないかと思います。
コルナゴというブランドはレーシングブランドですから、下手に上位グレードに手を出してしまって扱いきれない方も多いと思います。そういった方にとっては、コンフォート性能が高くロングライドにも向いたこのバイクはとても良い選択肢になると思います。もちろん扱いやすい性格のフレームですので、初めての一台としても最適で、これを元にステップアップしていっても良いと思います。
コルナゴ C-RS
フレーム:COLNAGO C-RS CARBON
フォーク:COLNAGO C-RS
サイズ:420S、450S、480S、500S、520S、540S
カラー:CRIT、CRBB、CRRW
価 格:105完成車:270,000円(税抜)
アルテグラ完成車:330,000円(税抜)※2018年モデル価格
インプレッションライダーのプロフィール
杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
東京都台東区のBicicletta IL CUORE 下谷本店店長。ダミアーノ・クネゴがジュニアチャンピオンだったころからクネゴのファンだという、自他ともに認めるミーハー系自転車乗り。グエルチョッティやコルナゴ、ルックなどヨーロピアンブランドへの造詣が深い。ショップ店長としては、ユーザーがサイクルライフを楽しめる遊び方の提案を心がけている。
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Bicicletta IL CUORE ショップHP
吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
名古屋に店舗を構えるワタキ商工株式会社 ニコー製作所の4代目店長を務める。一般企業に勤めてから入社した経験を活かし常に"外側からの視点"に注意を払い、初心者さんが気軽に入店しやすい雰囲気づくりを心がけている。週末にはロードやシクロクロス、トライアスロンなど多岐にわたってイベントを開催し、お客さん同士が仲良くなれるような場を提供している。ショップでは「当たり前のことを当たり前にやる」ことをモットーに作業を行い、お客さんが乗りやすいバイクを提供している。
CWレコメンドショップページ
ワタキ商工株式会社 ニコー製作所 ショップHP
ウェア協力:シマノ
ヘルメット協力:ベル
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
自転車大国イタリアの3大サイクルブランドの一つとして知られるコルナゴ。60年以上の歴史を持つ同社はこれまで140以上のチームや2500人以上の選手にフレームを供給しており、世界のサイクルシーンに欠かせないレーシングブランドとして地位を確立してきた。今シーズンもUCIワールドチームのUAEチームエミレーツとUCI女子チームのウィグル・ハイファイブが同社のバイクを駆り、世界のトップレースで活躍を見せている。
現代のレース現場の要求に沿ったハイエンドレーシングバイクC60にはラグを使用し、伝統の技法を継承する一方で、時には時代の流れに身を任せつつも自らのアイデンティティとセンスの良さを反映させたラグジュアリーエアロバイクCONCEPTを生み出すなど、自転車界の老舗でありながら進化することをやめないコルナゴ。
そんな同社のラインアップに、2017年から新たに加わったモデルが今回インプレッションを行った「C-RS」。シマノ105組でアンダー30万円というミドルグレード帯のプライスとしながらも、コルナゴが60年の歳月の中で培ってきたロードバイクの哲学を最新の技術やデザインで反映させることで、上位グレード譲りのハンドリングや走行フィーリングを目指したレーシングモデルだ。
フレームはカーボンモノコックにより製造され、前方からの空気を整流させるアワーグラス形状のヘッドチューブや、上部を角断面とすることで剛性を高めたダウンチューブ、空力性能向上のためのワイヤーフル内装など、細部にレーシング性能を追求した設計が盛り込まれる。それでいて、上位モデルの雰囲気をどこかに感じさせるデザインをミドルグレードにも落とし込んだのは、さすがコルナゴと言ったところ。
伝統的なフロント三角とは対照的にリア三角は最新のデザインとも言えるコンパクトな形状。コントロール性能と反応性を追求した結果であり、ハイエンドバイク譲りの運動性能を獲得している。なおかつワイドタイヤに対応したタイヤクリアランスを確保し、25mm幅のタイヤが標準装備となっている。
BBは圧入タイプのプレスフィット86を採用。このBB規格はボトムブラケットシェルを幅広に設計でき、それにより剛性を強化に貢献する。圧入式のBBの中でもシマノが提唱するスタンダードな規格のためメンテナンス性の心配もないだろう。
フロントフォークはコルナゴが40年前に初めて導入したというストレートフォーク。レースでアドバンテージになるシャープなハンドリングを実現するとともに、太めのブレードがどっしりと安定した走行感をもたらしている。
シートポストは細めの27.2mm径となっており、しなりを発生させることにより路面からの振動を吸収させる効果を持たせた。また前方投影面積を減らすことで空気抵抗を削減する効果や、バイクを横から見た時の美しさと言った点にも貢献している。シートクランプはフレーム内臓のインテグレーテッド仕様だ。
今回のテストバイクはコンポーネントにシマノ105を、ホイールに同WH-RS010アッセンブルした270,000円(税抜)の完成車を使用。ミドルグレードながらコルナゴの伝統ある風格を味わえるバイクに仕上がった「C-RS」。早速インプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「バイクのリズムに合わせてペダリングしてあげると、スムーズに加速していく」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
バイクの挙動が非常に安定しており、自分の思い通りに走ることが出来るバイクですね。力を入力するとソフトに受け止めてくれるため、非常に脚に優しい乗り味です。その上でペダリングに対して変な反発や、力を逃がすこと無くに素直に推進力に変えてくれます。
踏み味はバイクが受け止めてくれるリズムに合わせてペダリングしてあげると、スムーズに加速していき、そのまま高速域まで持っていくことが出来ます。平地や下りでのスピードを活かして登り坂に入れば、スイスイと登ってくれる軽快さも持ち合わせていますね。
ただ、このフレームのリズムから外れるようにハイパワーで踏み込んでいくと、ペダリングの感覚がずれてしまいもたつくような感覚を受けます。ですので大トルクで踏み込むような走り方ではなく、リズム良くペダリングすることが得意な方にマッチすると思います。
BB回りやダウンチューブなどはボリュームのある外見ですが、乗ってみるとソフトな印象を受けます。ですが小気味よくペダルを回していけば低速から高速まで気持ち良く加速しますし、そこでの高速巡航というのも難しくはありません。フレーム全体のバランスの良さを感じますね。
コンフォート系バイクということですので、直進安定性は高めです。それに伴いハンドリングもクイックさのあまりないナチュラルな感覚です。ですので誰でも扱いやすいコーナーリング性能にまとまっています。長時間バイクを操作するロングライドでは、こういったストレスフリーでスタンダードな性能が有難いですね。
ヘッドチューブは長めの設計となっているためアップライトなポジションが取りやすいようにできています。また一見どのチューブも太めの造形をしているように見えますが、振動吸収性に関してもフレームそのものの柔らかさから高い性能を発揮してくれます。
コルナゴというとレーシングブランドと思いがちですが、こういったコンフォートにゆっくり乗るためのバイクでも良いですね。もちろんスピードを上げて行っても速度が頭打ちせずしっかり楽しめるのはレーシングブランドたるコルナゴならではだと思います。
「疲労が溜まりにくく、ロングライドなどのサイクリングに最適」吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
癖のない乗り味とハンドリングですので、乗り始めた瞬間から安心感を覚えます。ヘッド周りの剛性が高いため、下りコーナーでも安定感ある走りが可能ですし、フレーム自体はマイルドな作りとなっているため脚への反発も少なく、路面からの振動も抑えてくれる印象があり、疲労が溜まりにくそうですね。ですので長距離を長時間走るようなロングライドでも快適にこなすことができると思います。
フレームに柔らかさがある分、登り坂でアタックするようなシーンではワンテンポ遅れて加速するような感覚があります。ですが、1人で淡々と巡航をするような走り方には非常に合っていますね。一定のパワーとケイデンスでペダルを回していくと気持ち良くスピードを維持することができ、距離を稼ぐことが出来ます。こういった踏み心地もロングライドに最適な味付けですね。
もともとフレームの快適性は高めのバイクですが、シートポストやハンドルをカーボン素材のアイテムに変更することで、より一層コンフォート感を強めることが出来るでしょう。またブレーキには廉価版の物がアッセンブルされていますので、可能なら早めにシマノ純正品等に交換できるとより安心感が出ることでしょう。
アッセンブルされているホイールは決して性能の低いホイールではないので、そのままでも十分良い走りを楽しめます。ですが、あえて交換するのであれば、一定のケイデンスで巡航していくような乗り方をイメージして、リムハイトが少し高めのエアロホイールを組み合わせると良いのではないかと思います。
コルナゴというブランドはレーシングブランドですから、下手に上位グレードに手を出してしまって扱いきれない方も多いと思います。そういった方にとっては、コンフォート性能が高くロングライドにも向いたこのバイクはとても良い選択肢になると思います。もちろん扱いやすい性格のフレームですので、初めての一台としても最適で、これを元にステップアップしていっても良いと思います。
コルナゴ C-RS
フレーム:COLNAGO C-RS CARBON
フォーク:COLNAGO C-RS
サイズ:420S、450S、480S、500S、520S、540S
カラー:CRIT、CRBB、CRRW
価 格:105完成車:270,000円(税抜)
アルテグラ完成車:330,000円(税抜)※2018年モデル価格
インプレッションライダーのプロフィール
杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
東京都台東区のBicicletta IL CUORE 下谷本店店長。ダミアーノ・クネゴがジュニアチャンピオンだったころからクネゴのファンだという、自他ともに認めるミーハー系自転車乗り。グエルチョッティやコルナゴ、ルックなどヨーロピアンブランドへの造詣が深い。ショップ店長としては、ユーザーがサイクルライフを楽しめる遊び方の提案を心がけている。
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Bicicletta IL CUORE ショップHP
吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
名古屋に店舗を構えるワタキ商工株式会社 ニコー製作所の4代目店長を務める。一般企業に勤めてから入社した経験を活かし常に"外側からの視点"に注意を払い、初心者さんが気軽に入店しやすい雰囲気づくりを心がけている。週末にはロードやシクロクロス、トライアスロンなど多岐にわたってイベントを開催し、お客さん同士が仲良くなれるような場を提供している。ショップでは「当たり前のことを当たり前にやる」ことをモットーに作業を行い、お客さんが乗りやすいバイクを提供している。
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ワタキ商工株式会社 ニコー製作所 ショップHP
ウェア協力:シマノ
ヘルメット協力:ベル
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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