NIPPOヴィーニファンティーニが出場したダンケルク4日間レースで、シクロクロスのフランス王者クレメン・ヴェンチュリーニ(コフィディス)が総合優勝を飾った。ダイジェストでレポートします。



ダンケルク4日間レース2017コースマップダンケルク4日間レース2017コースマップ (c)www.4joursdedunkerque.orgジロ・デ・イタリア開幕と時を同じくして、フランス本土最北端、ベルギー国境から10kmに位置するフランス第3の港湾都市ダンケルク周辺で4Jours de Dunkerque(キャトル・ジュール・ド・ダンケルク=ダンケルク4日間レース)が開催された。

4日間レースという名称であるものの、ここ数年は5日間で開催されてきた当レース。今年は昨年限りで中止された同エリアでの伝統レース「ツール・ド・ピカデリー」が中止となったことから、本大会と合併。開催範囲、そして開催日数を6日間に拡大しての開催となった。UCIカテゴリーは2.HCだ。

当地方ならではの細かいアップダウンや石畳、強い海風が名物となっており、雰囲気はクラシックレースそのものだ。基本的に6ステージともにスプリンターや、スプリント力のあるパンチャー向けのステージが続き、アージェードゥーゼル、バーレーン・メリダ、エフデジ、ロット・ソウダルという4つのUCIワールドチームに加え、コフィディスやNIPPOヴィーニファンティーニ(日本人選手は小林海)ら10のプロコンチームが顔を揃えた。

集団スプリントに持ち込まれたのは、途中に4箇所のパヴェ区間が組み込まれた第1ステージと細かいアップダウンが続いた第2ステージ。それぞれイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)とアルノー・デマール(フランス、エフデジ)が勝利し、1位→2位と続けたデブシェールが総合首位をキープする。

第1ステージ フランドルクラシックさながらのパヴェセクターが登場第1ステージ フランドルクラシックさながらのパヴェセクターが登場 (c)www.4joursdedunkerque.org第1ステージ 集団スプリントを制したイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)第1ステージ 集団スプリントを制したイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル) (c)www.4joursdedunkerque.org

第2ステージ 2度目のスプリントはアルノー・デマール(フランス、エフデジ)が勝利第2ステージ 2度目のスプリントはアルノー・デマール(フランス、エフデジ)が勝利 (c)www.4joursdedunkerque.org第3ステージ 劇的な逃げ切りを飾ったベンジェミン・トマ(フランス、エキップシクリズム・アルメ・ド・テール)第3ステージ 劇的な逃げ切りを飾ったベンジェミン・トマ(フランス、エキップシクリズム・アルメ・ド・テール) (c)www.4joursdedunkerque.org


第3ステージはシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)、マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBヴェランクラシック・アクア・プロジェクト)、ベンジェミン・トマ(フランス、エキップシクリズム・アルメ・ド・テール)による逃げからトマだけが生き残り、迫り来るスプリンターたちを尻目に0秒差の劇的な逃げ切り勝利を挙げてみせる。

後半に高低差約100mの登坂を含む周回コースを3周する第4ステージでは予想通りアタック合戦が熾烈を極め、少人数に絞られた先頭集団から抜け出したシャヴァネルが、勝ち逃げを逃した前日のリベンジ達成。スプリンターが脱落したためシャヴァネルが総合首位、同2位にはクレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)と続く。

第4ステージ シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)が前日の借りを返す独走勝利第4ステージ シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)が前日の借りを返す独走勝利 (c)www.4joursdedunkerque.org第5ステージ 石畳登坂で抜け出したイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、エフデジ) 第5ステージ 石畳登坂で抜け出したイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、エフデジ)  (c)www.4joursdedunkerque.org

第6ステージ ダンケルクの海岸線を駆け抜けるプロトン第6ステージ ダンケルクの海岸線を駆け抜けるプロトン (c)www.4joursdedunkerque.org第6ステージ 独走でフィニッシュに飛び込むアドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)第6ステージ 独走でフィニッシュに飛び込むアドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー) (c)www.4joursdedunkerque.org


総合争いは中盤から厳しい登坂を2か所含む周回コース×8周する翌日のクイーンステージ(獲得標高3000mオーバー)で加速し、最終周回まで生き残った15名に委ねられることになる。人数を揃えたアージェードゥーゼルのペースアップでシャヴァネルは脱落。石畳の登坂で抜け出したイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、エフデジ)が勝利を飾り、3秒差で食らいついたヴェンチュリーニが総合首位に立った。

迎えた最終日ではアドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)、バーデン・デヴリース(オランダ、ルームポット・ネダランセロテリ)、ジュリアン・デュヴァル(フランス、アージェードゥーゼル)による逃げ切りが決まり、最終盤に抜け出したプティが独走勝利。アタック合戦を凌ぎ、37秒後ろの集団内でフィニッシュしたヴェンチュリーニが総合リードを守りきった。

総合優勝を飾ったクレメン・ヴェンチュリーニ(コフィディス)ら総合優勝を飾ったクレメン・ヴェンチュリーニ(コフィディス)ら (c)www.4joursdedunkerque.org
「ステージ優勝の無い総合優勝だが、勝ちは勝ち。自分でもどこか信じられないくらい嬉しい」と語るヴェンチュリーニは、ロードとシクロクロスを兼業する23歳。シクロクロスでは現フランスナショナルチャンピオンであり、UCIW杯でも積極的に攻める走りで頭角を現してきた。ロードレースの勝利は昨年のツアー・オブ・オーストリア第2ステージに続く2勝目。「最終日は危険な選手が逃げたものの、チームメイトが徹底的にタイム差をコントロールしてくれたので安心だった。良い滑り出しではなかったが、優勝を引き寄せたのもチームのおかげ」とコメントし6日間の戦いを締めくくった。



第1ステージ 5月9日 ダンケルク〜イヴイ(197.1km)
1位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)     4h34’40”
2位 マルク・サロー(フランス、エフデジ)
3位 クレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)
4位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
5位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)

第2ステージ 5月10日 サンクエンティン〜サンクエンティン(171.6km)
1位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ)           3h58’59”
2位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
3位 ルディ・バルビエ(フランス、アージェードゥーゼル)
4位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
5位 サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼル)

第3ステージ 5月11日 ボーヴェ〜アミアン(152.5km)
1位 ベンジェミン・トマ(フランス、エキップシクリズム・アルメ・ド・テール) 3h29’00”
2位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
3位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 
4位 ヤン・ロイ(ベルギー、WBヴェランクラシック・アクアプロジェクト)
5位 ジェレミー・レクロク(フランス、ルーベ・リールメトロポール)

第4ステージ 5月12日 マルク〜ル・ポルテル(167km)
1位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)       4h27’17”
2位 サミュエル・デュムラン(フランス、アージェードゥーゼル)           +15”
3位 クレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)
4位 マウロ・フィネット(イタリア、デルコ・マルセイユKTM)
5位 フランク・ボナムール(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)

第5ステージ 5月13日 ブシュプ〜カッセル(184.8km)
1位 イグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、エフデジ)          5h52’26”
2位 サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)                +03”
3位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル)
4位 クレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)
5位 マウロ・フィネット(イタリア、デルコ・マルセイユKTM)            +11”

第6ステージ 5月14日 クドケルク〜ダンケルク(159.8km)
1位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)          3h34’14”
2位 バーデン・デヴリース(オランダ、ルームポット・ネダランセロテリ)       +15”
3位 ジュリアン・デュヴァル(フランス、アージェードゥーゼル)           +18”
4位 ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)           +37”
5位 ケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)

個人総合成績
1位 クレメン・ヴェンチュリーニ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ) 24h57’13”
2位 サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)                 +02”
3位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼル)              +07”
4位 イグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、エフデジ)              +21”
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)           +31”

text:So.Isobe
photo:www.4joursdedunkerque.org