2017/05/19(金) - 09:36
フランスの老舗カーボンホイールブランド、コリマよりハブとスポークのグレードを下げることでバリュープライスを実現したS1シリーズの32mmハイト軽量モデル「32mm"S1"」をインプレッションした。
コリマ 32mm"S1" (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
フランス東部に拠点を構え、もともとはヘリコプターのローターなどを手掛けていたコリマは、その高い技術力を活かして自転車業界に参入。1988年には同社初となるディスクホイールをリリースし、1990年には4バトンホイールを発表。カーボンホイール創成期には有名メーカーのカーボンリムOEM製造を引き受けるなどカーボンホイール界のリーディングブランドとして君臨してきた。
2011年からは多数の強豪選手を抱えるUCIワールドチーム「アスタナ」に継続してホイールを供給。その優れたレーシング性能でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)やファビオ・アル(イタリア)のグランツール制覇を支えてきた。
そんなコリマから同社のラインアップ中、一番のバリュープライスを実現した32mm"S1"を今回はピックアップ。ホイールの根幹を成すリムは上位モデルと同じとしながらも、ハブやスポークのグレードを下げることで優れたコストパフォーマンスを獲得したチューブラーホイールだ。
3Kカーボンが美しいコリマホイールのリム面
リム幅は22.6mmと程よいワイド幅となっている
インナーニップル仕様が採用される
Jベンドスポークを外側から引っ掛ける
3Kカーボンで製造されるリムは上位モデルと同一のものを使用。最新の空力研究によって確立された”コンセプト2D”と呼ばれる形状によりリム周辺に流れる空気を整流し、なおかつ剛性も向上させた高性能リムだ。リムハイトはモデル名通り32mmの高さで空力と重量のバランスが取れたオールラウンドタイプ。またリム幅は22.6mmと、ワイドリムではないものの、昨今主流となった25cタイヤにも十分対応した幅となっている。
スポークは前後共に高品質で知られるサピム社のエアロスポーク「CX」を採用。空気抵抗を低減する楕円形状を持ち、1200N/mm2の引っ張り強度に耐えうる靭性を持つスポークをフロントには18本、リアには20本使用する。
前後輪とも独特なスポークパターンを持つことがコリマの特徴の一つだが、特にリアはドライブ側に12本のスポークを3クロス、反ドライブ側は8本のスポークをラジアルで組むという独自の理論により構成されている。これにより左右のスポークテンションを均一にすることができ、バランスの良い剛性感と、真円度を高めることが出来る。またスポークの寿命を延ばす効果もあるという。
ミドルグレードながら上位モデルと遜色のない性能を持つハブ
工具無しでフリーを脱着できる。フリーの爪は3本仕様だ
ハブには新たに設定されたエントリーグレードのS1ハブを使用。表面が綺麗に磨き上げられたアルミのブラックボディで、フリーボディはシマノ9/10/11s対応とカンパニョーロ9/10/11s対応の2種類をラインアップしている。付属品としてクイックレバー、ホイールカバー、バルブエクステンダー、ブレーキパッド、ニップル回しが付属する。
重量は前後で1300gとなっており、価格はフロントが69,000円、リアが83,000円と非常にコストパフォーマンスに優れた32mm"S1"。上位モデルと同じリムを使用したバリューモデルはインプレッションライダーの目にどのように映るのであろうか。それではインプレッションに移ろう。
ーインプレッション
「上位グレードに匹敵するほど高性能なオールラウンドホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
「上位グレードに匹敵するほど高性能なオールラウンドホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
登りや平地などどんなシチュエーションでも使えるオールラウンドな性能とリム剛性の高さに、正直驚きました。以前、コリマの完組クリンチャーホイールとカーボンスポークのMCCホイールを使用していたこともあり、それらとの比較になりますが、32mm"S1"ホイールはクリンチャーよりも剛性が高く、超高剛性のMCCホイールに近い踏み心地だと感じました。
コリマのクリンチャーホイールはリアのねじれ剛性が低いと感じていたため、最初はテストホイールの剛性の高さが信じられませんでしたね。なので、あえて重いギアをかけ、車体を横に振り、ねじれ剛性を試しましたが、一切不満を感じることはありませんでした。一般的にはチューブラーよりもクリンチャーの方が剛性が高いと思われていますが、コリマに関してはチューブラーの方が硬いようです。
また、今時の超ワイドリムほどではありませんが、ワイドなリムとなっているため、空力もリムハイトが高いものと遜色のないような気がします。このホイールは22Cなど細いタイヤではなく、25Cタイヤとの相性が良いでしょう。付属のブレーキシューとマッチしているのか、ブレーキの効きが非常に優れていることもポイントです。リムに関しては、ニーバリがツールで優勝した時に使用していたものと同じはずですから、クオリティが高いのもうなずけますね。
「上位グレードに匹敵するほど高性能なオールラウンドホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
ハブはミドルグレードを使用していますが、ブラインドテストで上位モデルと比較しても、違いを感じ取ることはできないと思わせるほど優れた回転性能を持っています。重量こそ増していますが、実際に走ってみるとその重さは全く感じないので、登りや平地などどんなシチュエーションでも活躍してくれるでしょう。
また、コリマのホイールの場合はハブのグリスを馴染ませるために試運転が必要ですが、このホイールに関しては新品の状態でも回転が軽く、購入後すぐに実戦投入できそうです。価格を考えると非常にコストパフォーマンスが高く、チューブラータイヤに抵抗がない人であれば、幅広い層にマッチするホイールだと感じました。
コリマ 32mm"S1"
ホイールサイズ:700C
リム形式:チューブラー
リムハイト:32mm
リム幅:22.6mm
スポーク:サピム CX 前18H(フロント) 後20H(リア)
ハ ブ:アルミ”S1”ブラックハブ
重 量:565g(フロント)、735g(リア)
対応カセット:シマノ9/10/11s、カンパニョーロ9/10/11s
付属品:クイックレバー、ホイールカバー、バルブエクステンダー、ブレーキパッド、ニップル回し
税抜価格:69,000円(フロント)、83,000円(リア)
インプレッションライダーのプロフィール
杉山友則(Bicicletta IL CUORE) 杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
東京都台東区のBicicletta IL CUORE 下谷本店店長。ダミアーノ・クネゴがジュニアチャンピオンだったころからクネゴのファンだという、自他ともに認めるミーハー系自転車乗り。グエルチョッティやコルナゴ、ルックなどヨーロピアンブランドへの造詣が深い。ショップ店長としては、ユーザーがサイクルライフを楽しめる遊び方の提案を心がけている。
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フランス東部に拠点を構え、もともとはヘリコプターのローターなどを手掛けていたコリマは、その高い技術力を活かして自転車業界に参入。1988年には同社初となるディスクホイールをリリースし、1990年には4バトンホイールを発表。カーボンホイール創成期には有名メーカーのカーボンリムOEM製造を引き受けるなどカーボンホイール界のリーディングブランドとして君臨してきた。
2011年からは多数の強豪選手を抱えるUCIワールドチーム「アスタナ」に継続してホイールを供給。その優れたレーシング性能でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)やファビオ・アル(イタリア)のグランツール制覇を支えてきた。
そんなコリマから同社のラインアップ中、一番のバリュープライスを実現した32mm"S1"を今回はピックアップ。ホイールの根幹を成すリムは上位モデルと同じとしながらも、ハブやスポークのグレードを下げることで優れたコストパフォーマンスを獲得したチューブラーホイールだ。
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3Kカーボンで製造されるリムは上位モデルと同一のものを使用。最新の空力研究によって確立された”コンセプト2D”と呼ばれる形状によりリム周辺に流れる空気を整流し、なおかつ剛性も向上させた高性能リムだ。リムハイトはモデル名通り32mmの高さで空力と重量のバランスが取れたオールラウンドタイプ。またリム幅は22.6mmと、ワイドリムではないものの、昨今主流となった25cタイヤにも十分対応した幅となっている。
スポークは前後共に高品質で知られるサピム社のエアロスポーク「CX」を採用。空気抵抗を低減する楕円形状を持ち、1200N/mm2の引っ張り強度に耐えうる靭性を持つスポークをフロントには18本、リアには20本使用する。
前後輪とも独特なスポークパターンを持つことがコリマの特徴の一つだが、特にリアはドライブ側に12本のスポークを3クロス、反ドライブ側は8本のスポークをラジアルで組むという独自の理論により構成されている。これにより左右のスポークテンションを均一にすることができ、バランスの良い剛性感と、真円度を高めることが出来る。またスポークの寿命を延ばす効果もあるという。
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ハブには新たに設定されたエントリーグレードのS1ハブを使用。表面が綺麗に磨き上げられたアルミのブラックボディで、フリーボディはシマノ9/10/11s対応とカンパニョーロ9/10/11s対応の2種類をラインアップしている。付属品としてクイックレバー、ホイールカバー、バルブエクステンダー、ブレーキパッド、ニップル回しが付属する。
重量は前後で1300gとなっており、価格はフロントが69,000円、リアが83,000円と非常にコストパフォーマンスに優れた32mm"S1"。上位モデルと同じリムを使用したバリューモデルはインプレッションライダーの目にどのように映るのであろうか。それではインプレッションに移ろう。
ーインプレッション
「上位グレードに匹敵するほど高性能なオールラウンドホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
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登りや平地などどんなシチュエーションでも使えるオールラウンドな性能とリム剛性の高さに、正直驚きました。以前、コリマの完組クリンチャーホイールとカーボンスポークのMCCホイールを使用していたこともあり、それらとの比較になりますが、32mm"S1"ホイールはクリンチャーよりも剛性が高く、超高剛性のMCCホイールに近い踏み心地だと感じました。
コリマのクリンチャーホイールはリアのねじれ剛性が低いと感じていたため、最初はテストホイールの剛性の高さが信じられませんでしたね。なので、あえて重いギアをかけ、車体を横に振り、ねじれ剛性を試しましたが、一切不満を感じることはありませんでした。一般的にはチューブラーよりもクリンチャーの方が剛性が高いと思われていますが、コリマに関してはチューブラーの方が硬いようです。
また、今時の超ワイドリムほどではありませんが、ワイドなリムとなっているため、空力もリムハイトが高いものと遜色のないような気がします。このホイールは22Cなど細いタイヤではなく、25Cタイヤとの相性が良いでしょう。付属のブレーキシューとマッチしているのか、ブレーキの効きが非常に優れていることもポイントです。リムに関しては、ニーバリがツールで優勝した時に使用していたものと同じはずですから、クオリティが高いのもうなずけますね。
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ハブはミドルグレードを使用していますが、ブラインドテストで上位モデルと比較しても、違いを感じ取ることはできないと思わせるほど優れた回転性能を持っています。重量こそ増していますが、実際に走ってみるとその重さは全く感じないので、登りや平地などどんなシチュエーションでも活躍してくれるでしょう。
また、コリマのホイールの場合はハブのグリスを馴染ませるために試運転が必要ですが、このホイールに関しては新品の状態でも回転が軽く、購入後すぐに実戦投入できそうです。価格を考えると非常にコストパフォーマンスが高く、チューブラータイヤに抵抗がない人であれば、幅広い層にマッチするホイールだと感じました。
コリマ 32mm"S1"
ホイールサイズ:700C
リム形式:チューブラー
リムハイト:32mm
リム幅:22.6mm
スポーク:サピム CX 前18H(フロント) 後20H(リア)
ハ ブ:アルミ”S1”ブラックハブ
重 量:565g(フロント)、735g(リア)
対応カセット:シマノ9/10/11s、カンパニョーロ9/10/11s
付属品:クイックレバー、ホイールカバー、バルブエクステンダー、ブレーキパッド、ニップル回し
税抜価格:69,000円(フロント)、83,000円(リア)
インプレッションライダーのプロフィール
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東京都台東区のBicicletta IL CUORE 下谷本店店長。ダミアーノ・クネゴがジュニアチャンピオンだったころからクネゴのファンだという、自他ともに認めるミーハー系自転車乗り。グエルチョッティやコルナゴ、ルックなどヨーロピアンブランドへの造詣が深い。ショップ店長としては、ユーザーがサイクルライフを楽しめる遊び方の提案を心がけている。
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