2017/04/19(水) - 17:43
パリ〜ルーべを走ったバイクを紹介する第3弾。今回はマシューヘイマン(オーストラリア、オリカ・スコット)のスペシャルバイクを筆頭に、スカイ、ロットNLユンボ、サンウェブ、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプトの5チーム。
オリカ・スコット【スコット Foil RC】
オリカ・スコットからはディフェンディングチャンピオンたるマシュー・ヘイマン(オーストラリア)のバイクをピックアップ。栄光を掴んだ昨年と同様に、彼が選んだのはスコットのエアロロード、Foil RC。前年度を制したヘイマンの偉業を称えるように、石畳で描かれたカンガルーのスペシャルペイントが施されている。
コンポーネント、そしてホイールはサポートを受けるシマノで固められている。旧型の電動DURA-ACEを使用するチームも多い中、ヘイマンのバイクは最新型の9150系DURA-ACE Di2をほぼフルセットでアセンブルし、スプリンタースイッチを使用していた。
クランクのみ、SRMのシマノモデルを使用することもあり、9000系のクランクを使用している。加えて、ホイールも旧モデルであるWH-9000-C50-TUを使用。タイヤはコンチネンタルのプロ供給用モデルである、COMPETITION PROLTD。しかも28mm幅のスペシャルな一本だ。
だが、そこまで石畳対策に特別なチューニングを施した様子は無い。フレームのチョイスももちろんだが、サブブレーキレバーや、バーテープの2重巻きといった、いわゆるパリ~ルーベらしいカスタムは見当たらず。ディフェンディングチャンピオンの自信を覗かせる一台となっていた。
チームSKY【ピナレロ DOGMA K8-S】
チームSKYからは昨年3位に入ったイアン・スタナード(イギリス)のバイクを紹介。今年もルーベを駆け抜けたのはピナレロが石畳のために用意したソフトテールバイク、DOGMA K8-Sだが、リアのショックユニットがリニューアルされている。従来とは異なる油圧機構を備えたリアショックを搭載し、サスペンションとしての機能を高めている。
さらに、電子的な制御機構が組み込まれていることも大きな特徴だ。HiRideと名付けられたこの機構は、6軸のセンサーを搭載することによって、オートマチックにサスペンションの動きを制御するというもの。ステムに備えられたコントローラーによって、オートとマニュアルの設定を切り替えることも出来、マニュアルモードの場合はコントローラーからロックアウトを操作することが出来るという。
つまり、パリ~ルーベに先立つシュヘルデプライスでも既にデビューしていたこの新型ユニットはターマックではロックアウトし、パヴェではサスを有効にすることで、疲労を最小に抑えつつスピードを落とさないという、理想的な走りをかなえてくれるという。
コンポーネントは9070系電動DURA-ACE。上ハンドル部分にスプリンタースイッチを装着し、パヴェ走行時でも変速できるように工夫されていることや、大きめのチェーンリングを使用する以外は、ノーマルなセッティング。タイヤは27mm幅のFMB Paris-Roubaixを使用。ボトルケージは定番のエリート、Ciussi GELだ。
フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト【ルック 675light】
フランスのプロコンチネンタルチーム、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプトは、同郷であるルックのエンデュランスモデル、675lightを使用した。ホイールもフレンチブランドであるコリマの32mmハイトのチューブラーモデル”S”を使用しているところにフランスチームらしさが現れている。
タイヤはチャレンジのParis-Roubaix。27mm幅と一昔前ならばかなりのワイドタイヤだが、25mmが通常のロードレースで使用される今では少し太いか、という程度だ。コンポーネントはスラムのワイヤレス電動コンポーネント、RED eTapをフルセットで使用している。
クランクやブレーキもREDとされており、プロコンチネンタルチームながらサードパーティーのミックスコンポーネントも少なく、堅実なパーツアセンブルに仕上がっている。ボトルケージも奇をてらうことは無く、エリートのCiussi GELを使用している。
ロット・NLユンボ【ビアンキ INFINITO CV】
優勝候補に挙げられながら、痛恨のリタイアを喫してしまったラース・ボームを擁するロット・NLユンボがパリ~ルーベのために選んだのはビアンキのエンデュランスバイク、INFINITO CVだ。カウンターヴェイルと呼ばれる、ビアンキ独自の振動吸収テクノロジーを採用することで、シルキーな乗り味を実現したバイクをほぼ全員がチョイスした。
コンポーネントはシマノの9070系の電動DURA-ACE。クリアランスの関係かブレーキキャリパーのみ2世代前のBR-7900を使用していた。チェーンリングは平地向けのビッグギアにアウターインナー共に換装されている。マルテン・ワイナンツ(ドイツ)のバイクには、サドル下にGO PROが取り付けられていた。
パイオニアがサポートするロットだが、エンデュランスバイク用には用意できなかったのか、サイクルコンピューターのみを使用する選手が多かったようだ。特徴的なおにぎり型のセンサーが装着されたクランクは見当たらず。ボトルケージはタックスのチェレステカラーに塗られたカーボンモデルで、特別な加工などは施していないようだった。
ホイールは50mmハイトのWH-R9000-C50-TUに、ヴィットリアロゴの入った28mm程度のチューブラーを装着。確証はないが、ケーシングに入ったスタンプとトレッドパターンから察するに、FMBで製作したケーシングにヴィットリア製のトレッドを組み合わせたスペシャルモデルだと思われる。
サンウェブ【ジャイアント DEFY ADVANCED SL】
今回のプロバイクの中で唯一のディスクブレーキ採用バイクが、こちらのサンウェブが使用したジャイアントのDEFY ADVANCED SLだ。2年前、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)のパリ~ルーベ勝利を支えたシリーズの最新作がこのバイクだ。
ディスクブレーキモデルのみのラインアップとなるDEFY ADVANCED SLということもあり、チーム全員がディスクブレーキ仕様のバイクを駆ることに。コンポーネントはR9170系のハイドロ―リックブレーキを採用した電動DURA-ACEをほぼフルコンポーネントで採用する。特徴的なフィンを持つブレーキローターまでしっかりとDURA-ACEを採用している。一方で、クランクのみはパイオニアのペダリングモニターを使用する関係か、FC-R9000を採用している。
ステムはジャイアントと緊密な関係を築く台湾のフォーリアーズ。DEFYを使用することによるヘッドチューブの長さを相殺するために、ジャイアント独自のOVERDRIVE2規格に対応する前下がりのステムが用意されていた。また、中には同社のDi2ジャンクションマウントを使用するバイクも見受けられた。
ホイールもシマノの最新モデルであるWH-R9100-C40-TUが組み合わせられている。タイヤはヴィットリアのパヴェ用特注タイヤを採用していたようだ。ボトルケージは定番のエリート Ciussi GELを採用する。
text:CW編集部
photo:Makoto.AYANO
オリカ・スコット【スコット Foil RC】
オリカ・スコットからはディフェンディングチャンピオンたるマシュー・ヘイマン(オーストラリア)のバイクをピックアップ。栄光を掴んだ昨年と同様に、彼が選んだのはスコットのエアロロード、Foil RC。前年度を制したヘイマンの偉業を称えるように、石畳で描かれたカンガルーのスペシャルペイントが施されている。
コンポーネント、そしてホイールはサポートを受けるシマノで固められている。旧型の電動DURA-ACEを使用するチームも多い中、ヘイマンのバイクは最新型の9150系DURA-ACE Di2をほぼフルセットでアセンブルし、スプリンタースイッチを使用していた。
クランクのみ、SRMのシマノモデルを使用することもあり、9000系のクランクを使用している。加えて、ホイールも旧モデルであるWH-9000-C50-TUを使用。タイヤはコンチネンタルのプロ供給用モデルである、COMPETITION PROLTD。しかも28mm幅のスペシャルな一本だ。
だが、そこまで石畳対策に特別なチューニングを施した様子は無い。フレームのチョイスももちろんだが、サブブレーキレバーや、バーテープの2重巻きといった、いわゆるパリ~ルーベらしいカスタムは見当たらず。ディフェンディングチャンピオンの自信を覗かせる一台となっていた。
チームSKY【ピナレロ DOGMA K8-S】
チームSKYからは昨年3位に入ったイアン・スタナード(イギリス)のバイクを紹介。今年もルーベを駆け抜けたのはピナレロが石畳のために用意したソフトテールバイク、DOGMA K8-Sだが、リアのショックユニットがリニューアルされている。従来とは異なる油圧機構を備えたリアショックを搭載し、サスペンションとしての機能を高めている。
さらに、電子的な制御機構が組み込まれていることも大きな特徴だ。HiRideと名付けられたこの機構は、6軸のセンサーを搭載することによって、オートマチックにサスペンションの動きを制御するというもの。ステムに備えられたコントローラーによって、オートとマニュアルの設定を切り替えることも出来、マニュアルモードの場合はコントローラーからロックアウトを操作することが出来るという。
つまり、パリ~ルーベに先立つシュヘルデプライスでも既にデビューしていたこの新型ユニットはターマックではロックアウトし、パヴェではサスを有効にすることで、疲労を最小に抑えつつスピードを落とさないという、理想的な走りをかなえてくれるという。
コンポーネントは9070系電動DURA-ACE。上ハンドル部分にスプリンタースイッチを装着し、パヴェ走行時でも変速できるように工夫されていることや、大きめのチェーンリングを使用する以外は、ノーマルなセッティング。タイヤは27mm幅のFMB Paris-Roubaixを使用。ボトルケージは定番のエリート、Ciussi GELだ。
フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト【ルック 675light】
フランスのプロコンチネンタルチーム、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプトは、同郷であるルックのエンデュランスモデル、675lightを使用した。ホイールもフレンチブランドであるコリマの32mmハイトのチューブラーモデル”S”を使用しているところにフランスチームらしさが現れている。
タイヤはチャレンジのParis-Roubaix。27mm幅と一昔前ならばかなりのワイドタイヤだが、25mmが通常のロードレースで使用される今では少し太いか、という程度だ。コンポーネントはスラムのワイヤレス電動コンポーネント、RED eTapをフルセットで使用している。
クランクやブレーキもREDとされており、プロコンチネンタルチームながらサードパーティーのミックスコンポーネントも少なく、堅実なパーツアセンブルに仕上がっている。ボトルケージも奇をてらうことは無く、エリートのCiussi GELを使用している。
ロット・NLユンボ【ビアンキ INFINITO CV】
優勝候補に挙げられながら、痛恨のリタイアを喫してしまったラース・ボームを擁するロット・NLユンボがパリ~ルーベのために選んだのはビアンキのエンデュランスバイク、INFINITO CVだ。カウンターヴェイルと呼ばれる、ビアンキ独自の振動吸収テクノロジーを採用することで、シルキーな乗り味を実現したバイクをほぼ全員がチョイスした。
コンポーネントはシマノの9070系の電動DURA-ACE。クリアランスの関係かブレーキキャリパーのみ2世代前のBR-7900を使用していた。チェーンリングは平地向けのビッグギアにアウターインナー共に換装されている。マルテン・ワイナンツ(ドイツ)のバイクには、サドル下にGO PROが取り付けられていた。
パイオニアがサポートするロットだが、エンデュランスバイク用には用意できなかったのか、サイクルコンピューターのみを使用する選手が多かったようだ。特徴的なおにぎり型のセンサーが装着されたクランクは見当たらず。ボトルケージはタックスのチェレステカラーに塗られたカーボンモデルで、特別な加工などは施していないようだった。
ホイールは50mmハイトのWH-R9000-C50-TUに、ヴィットリアロゴの入った28mm程度のチューブラーを装着。確証はないが、ケーシングに入ったスタンプとトレッドパターンから察するに、FMBで製作したケーシングにヴィットリア製のトレッドを組み合わせたスペシャルモデルだと思われる。
サンウェブ【ジャイアント DEFY ADVANCED SL】
今回のプロバイクの中で唯一のディスクブレーキ採用バイクが、こちらのサンウェブが使用したジャイアントのDEFY ADVANCED SLだ。2年前、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)のパリ~ルーベ勝利を支えたシリーズの最新作がこのバイクだ。
ディスクブレーキモデルのみのラインアップとなるDEFY ADVANCED SLということもあり、チーム全員がディスクブレーキ仕様のバイクを駆ることに。コンポーネントはR9170系のハイドロ―リックブレーキを採用した電動DURA-ACEをほぼフルコンポーネントで採用する。特徴的なフィンを持つブレーキローターまでしっかりとDURA-ACEを採用している。一方で、クランクのみはパイオニアのペダリングモニターを使用する関係か、FC-R9000を採用している。
ステムはジャイアントと緊密な関係を築く台湾のフォーリアーズ。DEFYを使用することによるヘッドチューブの長さを相殺するために、ジャイアント独自のOVERDRIVE2規格に対応する前下がりのステムが用意されていた。また、中には同社のDi2ジャンクションマウントを使用するバイクも見受けられた。
ホイールもシマノの最新モデルであるWH-R9100-C40-TUが組み合わせられている。タイヤはヴィットリアのパヴェ用特注タイヤを採用していたようだ。ボトルケージは定番のエリート Ciussi GELを採用する。
text:CW編集部
photo:Makoto.AYANO
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