2009/03/05(木) - 10:33
トラックワールドカップ第5戦コペンハーゲン大会スクラッチで優勝した盛一大(愛三工業レーシングチーム)。快挙を達成した本人が語る、レースの展開とは。3月末にポーランドで開催されるトラック世界選手権への抱負を含め、シクロワイアード編集長の綾野真が訊く。
聞き手:綾野真(シクロワイアード編集長)
語り手:盛一大(もり・かずひろ/愛三工業レーシングチーム)
綾野 真(以下、綾野):ワールドカップ優勝おめでとうございます。素晴らしい快挙ですね。まずどういうレース展開だったのか教えて下さい。
盛一大(以下、盛):前半は全然動きがなくて、中盤からアタックがかかって5人の逃げが決まったんです。その逃げに乗ってまず他の選手たちをラップしたんです。運よくその逃げには有力どころが乗っていなかったから、もしかするといい逃げになるだろうと思ったんです。勝負ができる、いいチャンスだと。
でもそこから有力選手たちが急に追い上げてきて、ラスト20周ぐらいで追いつかれたんです。一瞬でラップされて振り出しに戻りました。そのあと、8人ぐらいの逃げができて、そのなかでの勝負になりました。
その勢いで有力どころが動いたけれど、完全マークされていて動けなかった。結構力を使ってしまっていたこともあって、後ろで休んでいたんです。激しい攻防が続きましたが、ラスト7周で動きが止まって、そこからのカウンターアタックで僕が一気に行ったんです。
前にひとり、ラップしていないドイツの選手がいたんです。彼に追い付いて、後はふたりで協力し合って逃げました。結果的には着順は2位なんですが、一度ラップしていたことで優勝になりました。後ろの集団はぎりぎりのところに迫っていました。
綾野:展開で勝てた?
盛:そうですね。まさに展開で勝ったと思います。見事にはまった。スイスのフランコ・マルブリやブルーノ・リシのコンビ(マディソンや6日間レースで最強ペアと呼ばれる)もいたし、昨年世界チャンピオンになっているベラルーシの選手やベルギーの選手など、強い選手がゴロゴロいたんです。たぶんワールドカップ5戦のなかではいちばんレベルが高かったと思います。だから逆に僕がうまく動けたのかな、とも思います。
綾野:今回のメダルは自分のトラックレース歴の中では、どのぐらいの到達点といえますか?
盛:もちろんうれしいことですが、あくまで通過点にしか過ぎないですね。やはり目標は世界選手権で勝つことなので、うれしい反面ここで気を引き締めて、「これで終わりじゃないんだぞ」と自分に言い聞かせて頑張ろうと思います。しっかり上を目指して行きたいと思います。
綾野:これで今後はマークされる存在になるのではないですか?
盛:いやぁ、どうですかね。これぐらいじゃマークされるようにはならないと思います。むしろ動きやすくなるかもしれないですね。中・長距離のレースでは選手同士、お互いの協力が必要なんです。だから名前を売るということがいい面に働きます。そんな面でよかったと思います。
なぜなら、今までなら自分が行っても無視されるような面はあったんですが、「アイツとなら逃げられる」、と思ってくれるのなら、強い選手と一緒に逃げることが可能になってきますから。「コイツだったら踏めるだろう」と思ってくれることが重要なんです。あとはそこからは自分の力次第ですが。
綾野:3月末、ポーランドでのトラック世界選手権に臨む抱負を聞かせてください
盛:もちろん優勝を目指しますが、力だけでは正直勝てないと思うんです。だから自分に有利な展開になるように動きたいですね。
自分も「一発」を持っているので、それが活かせるタイミングで動きたいですね。その一発をどこで使うかをしっかり判断して走れれば、結果はそこそこ出るのではないかと思います。後は、やはり展開次第ですね。
綾野:盛選手にとって理想的な展開とは?
盛:去年のレースが残り15周で動いたけどダメだったんです。アタックが早すぎた。今回のレースは残り6周でアタックして逃げ切っているので、たぶんその中間あたりの「早すぎず、遅すぎず」のタイミングで抜け出せれば、うまくすれば逃げ切れる可能性が出てくると思うんです。それが僕の持ち味を出せる最高の展開だと思います。
集団ゴールでも優勝はできないので、だったら勝負に出て優勝を狙ったほうがいいですね。ダメならビリだとしても、そこはできるだけ勝負したいですね。
※メダルを獲得したレースは、3月14日放映のNHK BSトラック世界選手権コペンハーゲン大会の放送枠内で紹介される予定だ。
聞き手:綾野真(シクロワイアード編集長)
語り手:盛一大(もり・かずひろ/愛三工業レーシングチーム)
綾野 真(以下、綾野):ワールドカップ優勝おめでとうございます。素晴らしい快挙ですね。まずどういうレース展開だったのか教えて下さい。
盛一大(以下、盛):前半は全然動きがなくて、中盤からアタックがかかって5人の逃げが決まったんです。その逃げに乗ってまず他の選手たちをラップしたんです。運よくその逃げには有力どころが乗っていなかったから、もしかするといい逃げになるだろうと思ったんです。勝負ができる、いいチャンスだと。
でもそこから有力選手たちが急に追い上げてきて、ラスト20周ぐらいで追いつかれたんです。一瞬でラップされて振り出しに戻りました。そのあと、8人ぐらいの逃げができて、そのなかでの勝負になりました。
その勢いで有力どころが動いたけれど、完全マークされていて動けなかった。結構力を使ってしまっていたこともあって、後ろで休んでいたんです。激しい攻防が続きましたが、ラスト7周で動きが止まって、そこからのカウンターアタックで僕が一気に行ったんです。
前にひとり、ラップしていないドイツの選手がいたんです。彼に追い付いて、後はふたりで協力し合って逃げました。結果的には着順は2位なんですが、一度ラップしていたことで優勝になりました。後ろの集団はぎりぎりのところに迫っていました。
綾野:展開で勝てた?
盛:そうですね。まさに展開で勝ったと思います。見事にはまった。スイスのフランコ・マルブリやブルーノ・リシのコンビ(マディソンや6日間レースで最強ペアと呼ばれる)もいたし、昨年世界チャンピオンになっているベラルーシの選手やベルギーの選手など、強い選手がゴロゴロいたんです。たぶんワールドカップ5戦のなかではいちばんレベルが高かったと思います。だから逆に僕がうまく動けたのかな、とも思います。
綾野:今回のメダルは自分のトラックレース歴の中では、どのぐらいの到達点といえますか?
盛:もちろんうれしいことですが、あくまで通過点にしか過ぎないですね。やはり目標は世界選手権で勝つことなので、うれしい反面ここで気を引き締めて、「これで終わりじゃないんだぞ」と自分に言い聞かせて頑張ろうと思います。しっかり上を目指して行きたいと思います。
綾野:これで今後はマークされる存在になるのではないですか?
盛:いやぁ、どうですかね。これぐらいじゃマークされるようにはならないと思います。むしろ動きやすくなるかもしれないですね。中・長距離のレースでは選手同士、お互いの協力が必要なんです。だから名前を売るということがいい面に働きます。そんな面でよかったと思います。
なぜなら、今までなら自分が行っても無視されるような面はあったんですが、「アイツとなら逃げられる」、と思ってくれるのなら、強い選手と一緒に逃げることが可能になってきますから。「コイツだったら踏めるだろう」と思ってくれることが重要なんです。あとはそこからは自分の力次第ですが。
綾野:3月末、ポーランドでのトラック世界選手権に臨む抱負を聞かせてください
盛:もちろん優勝を目指しますが、力だけでは正直勝てないと思うんです。だから自分に有利な展開になるように動きたいですね。
自分も「一発」を持っているので、それが活かせるタイミングで動きたいですね。その一発をどこで使うかをしっかり判断して走れれば、結果はそこそこ出るのではないかと思います。後は、やはり展開次第ですね。
綾野:盛選手にとって理想的な展開とは?
盛:去年のレースが残り15周で動いたけどダメだったんです。アタックが早すぎた。今回のレースは残り6周でアタックして逃げ切っているので、たぶんその中間あたりの「早すぎず、遅すぎず」のタイミングで抜け出せれば、うまくすれば逃げ切れる可能性が出てくると思うんです。それが僕の持ち味を出せる最高の展開だと思います。
集団ゴールでも優勝はできないので、だったら勝負に出て優勝を狙ったほうがいいですね。ダメならビリだとしても、そこはできるだけ勝負したいですね。
※メダルを獲得したレースは、3月14日放映のNHK BSトラック世界選手権コペンハーゲン大会の放送枠内で紹介される予定だ。