2017/04/02(日) - 21:30
ツール・ド・とちぎ最終日が矢板市から宇都宮市の103.5kmで行われ、集団スプリントをエゴイツ・フェルナンデス(チーム右京)が制してステージ優勝。ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)が個人総合時間、山岳賞、ポイント賞の3賞を獲得し、ツール・ド・とちぎ初代王者に輝いた。
ツール・ド・とちぎ最終日は、栃木県北部の矢板市をスタート。S字を描くように南下して、自転車のメッカである宇都宮市にゴールする。途中、コース序盤にKOM(山岳ポイント)が1回、その後HS(スプリントポイント)が2回。山岳賞もポイント賞もこの日の獲得ポイント次第で確定する上、ポイント賞のボーナスタイムは総合順位争いにも影響してくる。
第2ステージ終了時点で総合首位に立ったベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)と、2位ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)との差は12秒だが、2位から4位までは数秒差にひしめいており、ボーナスタイム次第では順位の変動もありえる。
この日の天気は、最終日にしてようやく晴れ。4月らしい暖かな1日となり、多くの観客が沿道に集まった。
矢板市役所をスタートし、矢板市内をパレードしたのちリアルスタートが切られる。KOMへ向かう登りに入ったところでダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)と、岸崇仁(那須ブラーゼン)が飛び出す。これに樋口峻明(チーム右京)と冨尾大地(鹿屋体育大学)が合流するが、ほどなく吸収される。その後はブリヂストンアンカーとキナンサイクリングチームが攻撃に出るが、アタッキ・チームグストが追走に回ったたね逃げが決まらない。
KOMはリーダージャージのヒルが先頭通過、山岳賞ジャージのサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)が2位で通過する。これでヒルとグアルディオラが合計ポイントと通過順位の回数で並び、総合タイムが上位のベンジャミン・ヒルが山岳賞獲得を決める。
その後の下りで集団が分裂。総合上位勢を含む20名ほどが25秒先行する。この時、アタッキ・チームグストは先行集団に送り込んだのはリーダージャージのヒルだけ。後方集団に取り残されたメンバーがオリヴァ―ズ・リアルフードレーシングと共に集団を牽引して前を追った。
30km付近の最初のHSでは、総合順位争いのスプリント合戦が勃発し、総合3位の鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が先頭で通過。「自分と鈴木とのタイム差が6秒しかないので、ボーナスタイムで差を縮められないように鈴木をマークしていた」という総合2位のジャイ・クロフォードが続き、さらに総合4位のホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が3位通過。鈴木が3秒、クロフォードが2秒、トリビオが1秒のボーナスタイムを獲得。総合順位は変わらないものの、タイム差は微妙に動く。
レースは塩谷町から矢板市に戻り、栃木県中部のさくら市へ。分裂した集団は、その後40km付近までにひとつにまとまった。
大きな動きがあったのは、コース後半に入る直前の47km付近になってから。ブリヂストンアンカーが攻撃を繰り出す中から、石橋学(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)が単独で先行し、タイム差は最大で1分50秒まで開いた。メイン集団はアタッキ・チームグストとオリヴァ―ズ・リアルフードレーシングがコントロール。ステージ優勝を取りたいオリヴァ―ズも加勢して石橋を追走する。
「泳がされていることは分かっていたが、逃げる事で他のメンバーの脚を休める事が出来るので、迷わず行った」と言う石橋の逃げは、この日の距離の半分以上になる53kmに及んだ。
残り10kmを切るとマトリックスパワータグなども追走に加勢し、先行する石橋との差を一気に詰めてくる。石橋も抵抗を見せたものの、宇都宮市目前の残り4kmで吸収。集団内ではスプリント勝負に向けて各チームが体制を整えていった。
集団の先頭にオリヴァ―ズのメンバーが集まって集団を牽引し、残り500mへ。ここでレース関係車両などがコースから退避する部分で、先頭のオリヴァ―ズのメンバーを含む10数名が痛恨のミスコース。
「(今年のツール・ド・フィリピンで勝利を挙げている)ショーン・ホワイトフィールドで集団スプリントを狙うために一日中集団牽引を行い、絶好のポジションに構えたのに、誘導ミスという事態で全員が手前の交差点で曲がってしまった。とてもフラストレーションが溜まっているけれど、これもレースだと考えるしかない。これまで目立った活躍ができず、今日こそ集団ゴールだと決め込み万全の態勢で臨んだけれど、本当に残念だ」と、オリヴァ―ズの選手はレース後に語る。マトリックスパワータグや大久保陣(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)らも勝機を失ってしまったこの混乱では数名が落車したものの、幸い大事には繋がらなかったようだ。
コースを間違えなかったメンバーはそのまま最終コーナーへ向かい、残り250mの通過順は石原祐希(栃木選抜チーム)、ヒル、エゴイツ・フェルナンデス(チーム右京)、畑中勇介(チーム右京)、の順。残り200mでヒルが先頭に立ち、残り100mでヒルの背後からフェルナンデス、さらにその背後から畑中も出てくる。3人横一線のゴールスプリントは、ライン上のハンドルの投げ合い。直後にガッツポーズをしたのは畑中だった。
ところが、あまりに僅差だったスプリントは写真判定に。結果は、フェルナンデスが1位、畑中が2位、ヒルが3位となった。
フェルナンデスは「プロ1年目での初勝利なので嬉しいです。サルバ選手(サルバトール・グアルディオラ)の山岳賞を維持したかったけれど、それが出来なかったので、チームとしてステージを獲るために前に前に行きました。最後は自分の持てる力をふり絞ってゴールに飛び込みました」と、ステージ優勝の感想を語った。
一方、判定で2位になった畑中は「計測チップ上は僕の方が先着で、自分でもそう思いました。でも写真判定では小指1本無いくらいの差で2着でした。個人的には悔しいけれど、チームでワン・ツーを取れる事はなかなか出来ないし、これだけ観客が集まった日本のレースでチームの強さを見せられた事は良かったと思います」と、悔しさを滲ませつつも結果を前向きに捉える。
敢闘賞ものの逃げを見せた石橋は、「今日はチームとしてずっと攻撃を仕掛けていたのですが決まらず、そのうちにグストのコントロールが始まったので、このまま何も起こらないまま集団ゴールになってしまうことを嫌って攻撃を続けました。本当は他のチームも同調してくれて複数名で逃げることができればチャンスも見出せたと思うのですが」と、コメントした。
個人総合優勝、山岳賞、ポイント賞と、3賞を獲得したベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)
「昨日リーダージャージを獲得して、今日は守る日だった。強いチームメイトがいたので、ジャージを守る事は出来ると思っていた。そのチームメイトが今日は集団をコントロールしてくれたので、集中しながらもメンタル的には楽だった。今日は少人数の逃げを追い込んで最後に潰し、スプリントで集団全体を同タイムフィニッシュさせてリーダージャージを守る作戦だったけれど、逃げがたった1人だったのでチーム力を温存できた。ステージ優勝には届かなかったけれど、スプリントで3位に入ってなおかつ総合優勝も達成できたのでとても気分が良いよ。ポイント賞を取った事は総合優勝する事にもつながったけれど、山岳賞は目の前にチャンスがあったので、チャレンジした。小さな積み重ねがこのような嬉しい結果につながる事になったと思う」
-ジャパンカップで逃げに乗ったり、とちぎは総合優勝に輝きましたが、日本のレースとの相性が良い?
「それはすごく思うね。特に昨年のツアー・オブ・ジャパンでは日本のあちこちを見て回ることができたので、日本のことをかなり理解できていると思う。人々は親切だし、日本食も大好き。日本でのレースはいつだって楽しみにしているよ。次戦はヨーロッパに渡り、オランダでのワンデーレースとフランスでのツール・ド・ブルターニュが控えている。今回の勝利を弾みに臨みたいと思う。」
個人総合2位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
日本のUCIレースで2位という結果は上出来だと思う。このレースは平坦基調なので、チームにとっては不利だと思われていたし、ベンジャミン・ヒルと彼のチームはとても強かった。なので、2位を維持できた事はチームにとっても良かったと思う。出来れば、もっと距離の長いハードなレースにして欲しいけれど、それは今後に期待する事にしようと思う。
個人総合3位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
総合優勝を目指してスタートしたので、3位という結果は悔しい。でも地元チームとして最低限表彰台を確保して、UCIポイントを獲得できた事は良かったと思う。岡選手が新人賞を獲得出来たので、今後につながるレースになったと思う。
チーム総合優勝 キナンサイクリングチーム 石田監督
今日のレース展開によっては個人総合の逆転もあったかもしれないが、アタッキ・チームグストは強いチームなので、リスクを冒さず、個人総合2位とチーム総合首位を守るという方針で臨み、それを達成する事が出来ました。チームとしては第2ステージで勝負するという方針で、そこで躊躇せずに動けた事が今回の結果につながったと思います。チームとしての強さとチームワークを見せる事が出来た3日間でした。
初開催のツール・ド・とちぎは、ラインレースのステージレースが日本でも開催できる可能性を示した。来年も開催する事が決まっているそうだが、より一層内容の充実と熟成を期待したい。そして、ツアー・オブ・ジャパンやツール・ド・北海道、ツール・ド・熊野に続く日本のステージレースとして、今後も継続されていく事を切に願う。
ツール・ド・とちぎ2017第3ステージ結果
1位 エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チーム右京) 2h19’34”
2位 畑中勇介(チーム右京)
3位 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チームグスト)
4位 徳田匠(鹿屋体育大学)
5位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)
6位 モハマドシャルウ・マットアミン(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
7位 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
8位 マリオ・ヴォクト(スロベニア、アタッキ・チームグスト)
9位 土井雪広(マトリックスパワータグ)
10位 柴田雅之(那須ブラーゼン)
個人総合成績
1位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 6h59’02”
2位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) +14”
3位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +19”
4位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ) +22”
5位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京) +1’14”
6位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +1’20”
7位 畑中勇介(チーム右京) +1’22”
8位 マリオ・ヴォクト(アタッキ・チームグスト) +1’27”
9位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム) +1’28”
10位 土井雪広(マトリックスパワータグ)
ポイント賞
1位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 67pts
2位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) 36pts
3位 エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チーム右京) 35pts
山岳賞
1位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 13pts
2位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京) 13pts
3位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) 5pts
text:Satoru.Kato
photo:Satoru.Kato,Hideaki.Takagi
ツール・ド・とちぎ最終日は、栃木県北部の矢板市をスタート。S字を描くように南下して、自転車のメッカである宇都宮市にゴールする。途中、コース序盤にKOM(山岳ポイント)が1回、その後HS(スプリントポイント)が2回。山岳賞もポイント賞もこの日の獲得ポイント次第で確定する上、ポイント賞のボーナスタイムは総合順位争いにも影響してくる。
第2ステージ終了時点で総合首位に立ったベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)と、2位ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)との差は12秒だが、2位から4位までは数秒差にひしめいており、ボーナスタイム次第では順位の変動もありえる。
この日の天気は、最終日にしてようやく晴れ。4月らしい暖かな1日となり、多くの観客が沿道に集まった。
矢板市役所をスタートし、矢板市内をパレードしたのちリアルスタートが切られる。KOMへ向かう登りに入ったところでダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)と、岸崇仁(那須ブラーゼン)が飛び出す。これに樋口峻明(チーム右京)と冨尾大地(鹿屋体育大学)が合流するが、ほどなく吸収される。その後はブリヂストンアンカーとキナンサイクリングチームが攻撃に出るが、アタッキ・チームグストが追走に回ったたね逃げが決まらない。
KOMはリーダージャージのヒルが先頭通過、山岳賞ジャージのサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)が2位で通過する。これでヒルとグアルディオラが合計ポイントと通過順位の回数で並び、総合タイムが上位のベンジャミン・ヒルが山岳賞獲得を決める。
その後の下りで集団が分裂。総合上位勢を含む20名ほどが25秒先行する。この時、アタッキ・チームグストは先行集団に送り込んだのはリーダージャージのヒルだけ。後方集団に取り残されたメンバーがオリヴァ―ズ・リアルフードレーシングと共に集団を牽引して前を追った。
30km付近の最初のHSでは、総合順位争いのスプリント合戦が勃発し、総合3位の鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が先頭で通過。「自分と鈴木とのタイム差が6秒しかないので、ボーナスタイムで差を縮められないように鈴木をマークしていた」という総合2位のジャイ・クロフォードが続き、さらに総合4位のホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が3位通過。鈴木が3秒、クロフォードが2秒、トリビオが1秒のボーナスタイムを獲得。総合順位は変わらないものの、タイム差は微妙に動く。
レースは塩谷町から矢板市に戻り、栃木県中部のさくら市へ。分裂した集団は、その後40km付近までにひとつにまとまった。
大きな動きがあったのは、コース後半に入る直前の47km付近になってから。ブリヂストンアンカーが攻撃を繰り出す中から、石橋学(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)が単独で先行し、タイム差は最大で1分50秒まで開いた。メイン集団はアタッキ・チームグストとオリヴァ―ズ・リアルフードレーシングがコントロール。ステージ優勝を取りたいオリヴァ―ズも加勢して石橋を追走する。
「泳がされていることは分かっていたが、逃げる事で他のメンバーの脚を休める事が出来るので、迷わず行った」と言う石橋の逃げは、この日の距離の半分以上になる53kmに及んだ。
残り10kmを切るとマトリックスパワータグなども追走に加勢し、先行する石橋との差を一気に詰めてくる。石橋も抵抗を見せたものの、宇都宮市目前の残り4kmで吸収。集団内ではスプリント勝負に向けて各チームが体制を整えていった。
集団の先頭にオリヴァ―ズのメンバーが集まって集団を牽引し、残り500mへ。ここでレース関係車両などがコースから退避する部分で、先頭のオリヴァ―ズのメンバーを含む10数名が痛恨のミスコース。
「(今年のツール・ド・フィリピンで勝利を挙げている)ショーン・ホワイトフィールドで集団スプリントを狙うために一日中集団牽引を行い、絶好のポジションに構えたのに、誘導ミスという事態で全員が手前の交差点で曲がってしまった。とてもフラストレーションが溜まっているけれど、これもレースだと考えるしかない。これまで目立った活躍ができず、今日こそ集団ゴールだと決め込み万全の態勢で臨んだけれど、本当に残念だ」と、オリヴァ―ズの選手はレース後に語る。マトリックスパワータグや大久保陣(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)らも勝機を失ってしまったこの混乱では数名が落車したものの、幸い大事には繋がらなかったようだ。
コースを間違えなかったメンバーはそのまま最終コーナーへ向かい、残り250mの通過順は石原祐希(栃木選抜チーム)、ヒル、エゴイツ・フェルナンデス(チーム右京)、畑中勇介(チーム右京)、の順。残り200mでヒルが先頭に立ち、残り100mでヒルの背後からフェルナンデス、さらにその背後から畑中も出てくる。3人横一線のゴールスプリントは、ライン上のハンドルの投げ合い。直後にガッツポーズをしたのは畑中だった。
ところが、あまりに僅差だったスプリントは写真判定に。結果は、フェルナンデスが1位、畑中が2位、ヒルが3位となった。
フェルナンデスは「プロ1年目での初勝利なので嬉しいです。サルバ選手(サルバトール・グアルディオラ)の山岳賞を維持したかったけれど、それが出来なかったので、チームとしてステージを獲るために前に前に行きました。最後は自分の持てる力をふり絞ってゴールに飛び込みました」と、ステージ優勝の感想を語った。
一方、判定で2位になった畑中は「計測チップ上は僕の方が先着で、自分でもそう思いました。でも写真判定では小指1本無いくらいの差で2着でした。個人的には悔しいけれど、チームでワン・ツーを取れる事はなかなか出来ないし、これだけ観客が集まった日本のレースでチームの強さを見せられた事は良かったと思います」と、悔しさを滲ませつつも結果を前向きに捉える。
敢闘賞ものの逃げを見せた石橋は、「今日はチームとしてずっと攻撃を仕掛けていたのですが決まらず、そのうちにグストのコントロールが始まったので、このまま何も起こらないまま集団ゴールになってしまうことを嫌って攻撃を続けました。本当は他のチームも同調してくれて複数名で逃げることができればチャンスも見出せたと思うのですが」と、コメントした。
個人総合優勝、山岳賞、ポイント賞と、3賞を獲得したベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト)
「昨日リーダージャージを獲得して、今日は守る日だった。強いチームメイトがいたので、ジャージを守る事は出来ると思っていた。そのチームメイトが今日は集団をコントロールしてくれたので、集中しながらもメンタル的には楽だった。今日は少人数の逃げを追い込んで最後に潰し、スプリントで集団全体を同タイムフィニッシュさせてリーダージャージを守る作戦だったけれど、逃げがたった1人だったのでチーム力を温存できた。ステージ優勝には届かなかったけれど、スプリントで3位に入ってなおかつ総合優勝も達成できたのでとても気分が良いよ。ポイント賞を取った事は総合優勝する事にもつながったけれど、山岳賞は目の前にチャンスがあったので、チャレンジした。小さな積み重ねがこのような嬉しい結果につながる事になったと思う」
-ジャパンカップで逃げに乗ったり、とちぎは総合優勝に輝きましたが、日本のレースとの相性が良い?
「それはすごく思うね。特に昨年のツアー・オブ・ジャパンでは日本のあちこちを見て回ることができたので、日本のことをかなり理解できていると思う。人々は親切だし、日本食も大好き。日本でのレースはいつだって楽しみにしているよ。次戦はヨーロッパに渡り、オランダでのワンデーレースとフランスでのツール・ド・ブルターニュが控えている。今回の勝利を弾みに臨みたいと思う。」
個人総合2位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
日本のUCIレースで2位という結果は上出来だと思う。このレースは平坦基調なので、チームにとっては不利だと思われていたし、ベンジャミン・ヒルと彼のチームはとても強かった。なので、2位を維持できた事はチームにとっても良かったと思う。出来れば、もっと距離の長いハードなレースにして欲しいけれど、それは今後に期待する事にしようと思う。
個人総合3位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
総合優勝を目指してスタートしたので、3位という結果は悔しい。でも地元チームとして最低限表彰台を確保して、UCIポイントを獲得できた事は良かったと思う。岡選手が新人賞を獲得出来たので、今後につながるレースになったと思う。
チーム総合優勝 キナンサイクリングチーム 石田監督
今日のレース展開によっては個人総合の逆転もあったかもしれないが、アタッキ・チームグストは強いチームなので、リスクを冒さず、個人総合2位とチーム総合首位を守るという方針で臨み、それを達成する事が出来ました。チームとしては第2ステージで勝負するという方針で、そこで躊躇せずに動けた事が今回の結果につながったと思います。チームとしての強さとチームワークを見せる事が出来た3日間でした。
初開催のツール・ド・とちぎは、ラインレースのステージレースが日本でも開催できる可能性を示した。来年も開催する事が決まっているそうだが、より一層内容の充実と熟成を期待したい。そして、ツアー・オブ・ジャパンやツール・ド・北海道、ツール・ド・熊野に続く日本のステージレースとして、今後も継続されていく事を切に願う。
ツール・ド・とちぎ2017第3ステージ結果
1位 エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チーム右京) 2h19’34”
2位 畑中勇介(チーム右京)
3位 ベンジャミン・ヒル(オーストラリア、アタッキ・チームグスト)
4位 徳田匠(鹿屋体育大学)
5位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)
6位 モハマドシャルウ・マットアミン(マレーシア、トレンガヌサイクリングチーム)
7位 アイラン・フェルナンデス(スペイン、マトリックスパワータグ)
8位 マリオ・ヴォクト(スロベニア、アタッキ・チームグスト)
9位 土井雪広(マトリックスパワータグ)
10位 柴田雅之(那須ブラーゼン)
個人総合成績
1位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 6h59’02”
2位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) +14”
3位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン) +19”
4位 ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ) +22”
5位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京) +1’14”
6位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +1’20”
7位 畑中勇介(チーム右京) +1’22”
8位 マリオ・ヴォクト(アタッキ・チームグスト) +1’27”
9位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム) +1’28”
10位 土井雪広(マトリックスパワータグ)
ポイント賞
1位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 67pts
2位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) 36pts
3位 エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チーム右京) 35pts
山岳賞
1位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) 13pts
2位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京) 13pts
3位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) 5pts
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