2017/01/21(土) - 20:46
第2ステージのパラコームに続き、サントス・ツアー・ダウンアンダー第5ステージのKOMウィランガヒルでもリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)の登坂力は圧倒的だった。ステージ2勝目を飾ったポートが自身初の総合優勝に王手をかけた。
ダウンアンダー第5ステージはアデレードの南40kmに位置するマクラーレンヴェールが舞台。起伏のある丘陵には広大なワイン畑が広がっており、その間をまっすぐに幹線道路が貫いている。
真っ青なアルディンガビーチを含む大きな周回を3周し、その後ダウンアンダー最大の難所として知られるKOMウィランガヒル(平均勾配7%/登坂距離3.5km)を2回登ってフィニッシュ。アデレード市内から自走で駆けつけたサイクリスト(観客数は12万人)で溢れかえる登りで、総合争いはクライマックスを迎えた。
この日の逃げは、前日に逃げて敢闘賞ゼッケンをつけるジャック・バウアー(ニュージーランド、クイックステップフロアーズ)と、山岳賞ジャージを着るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、そしてウィリアム・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)とジェレミー・メゾン(フランス、エフデジ)の合計4名。
直線で構成された周回コースでバウアーらは3分までリードを広げることに成功する。メイン集団ではBMCレーシングのフランシスコ・ベントソ(スペイン)やマイルズ・スコットソン(オーストラリア)がほぼ先頭固定で牽引。タイム差が2分と3分を行ったり来たりする状況のまま、選手たちは平坦な大周回を走り終えた。
1回目のKOMウィランガヒルの登りに差し掛かった段階でタイム差は2分30秒。登りでクラークが脱落したため先頭は3名となり、リードを失いながらもデヘント先頭で山頂を通過する。100km/hに達する下り区間でタイム差は縮まり、さらにその後の平坦区間でオリカ・スコットとチームスカイがペースを上げたため、逃げは残り5km地点で吸収された。
例年よりも平坦区間を吹き抜ける風は弱く、集団が完全に割れるには至らない。比較的集団に人数が揃った状態で、2回目のKOMウィランガヒル登坂が始まった。
アタックの口火を切ったのはチームスカイで、セバスティアン・エナオ(コロンビア、チームスカイ)のペースアップによって集団は7名(ポート、チャベス、マッカーシー、エナオx2、ポッツォヴィーヴォ、バルス)に絞られる。「(2日前の落車の)怪我が痛み、1回目のウィランガヒルで今日も厳しい戦いになると思った」と語る総合2位ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター)は早々に姿を消した。
ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が接触によりあわや落車のシーンも見られたが、精鋭グループはハイスピード登坂を続行。すると、残り1.5km地点でリーダージャージが動いた。前日に「自分から仕掛けず、ライバルたちの動きを見る」と語っていたポートが、例年よりも早いタイミングで仕掛けた。
軽快なダンシングで加速したポートが、食らいつくセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)やエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)らを一気に突き放した。ダンシングを多用しながら、ポートが飛ぶようにウィランガヒルを駆け上がる。もはや敵なしのスピードで、4年連続ウィランガヒルの山頂に単独でやってきた。
「キング・オブ・ウィランガ」による独走勝利。大仕事を終えたポートは「攻撃は最大の防御。早めに仕掛けたので過去3年間よりも苦しんだ。信じられないようなチームワークを勝利で締めくくることができて良かったよ」と語る。
フィニッシュまで距離を残して独走に持ち込み、KOMウィランガヒルを制する姿は過去3年間(2014〜2016年)と同じだが、2017年はリーダージャージを着ての勝利。ポートが自身初の総合優勝に王手をかけた。「アデレードの周回コースは決して簡単ではないけど、総合リードが広がったので明日は少しリラックスできる。この登りで勝つことは本格シーズンに向けての自信になるよ。今年ももちろん7月のツール・ド・フランスが最大の目標。今年は総合争いにインパクトを与えたい」と勝者は半年後の戦いに向けて意気込んだ。
イサギレの失速により、ステージ3位のチャベスが総合2位、ステージ2位のネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)が総合3位に浮上。チャベスは「みんな自分の名前を叫んでくれて、まるでツール・ド・フランスの登りのようだった。今日は平坦区間でチームスカイと協力して集団分裂を図ったけど失敗。リッチーの最初のアタックには反応できたけど、2回目のアタックは強力すぎた。とても付いていけなかった。シーズン初戦で総合2位という成績は決して悪くないと思う」とコメントしている。
サントス・ツアー・ダウンアンダーはアデレードの市街地周回コースを走る1月22日の第6ステージで締めくくられる。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2017第5ステージ結果
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 3h40’13”
2位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) +20”
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)
4位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEアブダビ)
5位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ネイサン・アール(オーストラリア、UniSAオーストラリア) +23”
7位 ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル)
8位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)
9位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 トムイェルト・スラフトール(オランダ)
個人総合成績
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 18h00’21”
2位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) +48”
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) +51”
4位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) +54”
5位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEアブダビ) +59”
6位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +1’02”
7位 ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル)
8位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
9位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)
10位 ネイサン・アール(オーストラリア、UniSAオーストラリア) +1’06”
ポイント賞
1位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) 45pts
2位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) 39pts
3位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ) 39pts
山岳賞
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 32pts
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 32pts
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) 22pts
ヤングライダー賞
1位 ホナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)18h01’28”
2位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) +11”
3位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) +18”
チーム総合成績
1位 UniSAオーストラリア 54h05”23”
2位 モビスター +1’19”
3位 トレック・セガフレード +1’20”
敢闘賞
ジャック・バウアー(ニュージーランド、クイックステップフロアーズ)
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
ダウンアンダー第5ステージはアデレードの南40kmに位置するマクラーレンヴェールが舞台。起伏のある丘陵には広大なワイン畑が広がっており、その間をまっすぐに幹線道路が貫いている。
真っ青なアルディンガビーチを含む大きな周回を3周し、その後ダウンアンダー最大の難所として知られるKOMウィランガヒル(平均勾配7%/登坂距離3.5km)を2回登ってフィニッシュ。アデレード市内から自走で駆けつけたサイクリスト(観客数は12万人)で溢れかえる登りで、総合争いはクライマックスを迎えた。
この日の逃げは、前日に逃げて敢闘賞ゼッケンをつけるジャック・バウアー(ニュージーランド、クイックステップフロアーズ)と、山岳賞ジャージを着るトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)、そしてウィリアム・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)とジェレミー・メゾン(フランス、エフデジ)の合計4名。
直線で構成された周回コースでバウアーらは3分までリードを広げることに成功する。メイン集団ではBMCレーシングのフランシスコ・ベントソ(スペイン)やマイルズ・スコットソン(オーストラリア)がほぼ先頭固定で牽引。タイム差が2分と3分を行ったり来たりする状況のまま、選手たちは平坦な大周回を走り終えた。
1回目のKOMウィランガヒルの登りに差し掛かった段階でタイム差は2分30秒。登りでクラークが脱落したため先頭は3名となり、リードを失いながらもデヘント先頭で山頂を通過する。100km/hに達する下り区間でタイム差は縮まり、さらにその後の平坦区間でオリカ・スコットとチームスカイがペースを上げたため、逃げは残り5km地点で吸収された。
例年よりも平坦区間を吹き抜ける風は弱く、集団が完全に割れるには至らない。比較的集団に人数が揃った状態で、2回目のKOMウィランガヒル登坂が始まった。
アタックの口火を切ったのはチームスカイで、セバスティアン・エナオ(コロンビア、チームスカイ)のペースアップによって集団は7名(ポート、チャベス、マッカーシー、エナオx2、ポッツォヴィーヴォ、バルス)に絞られる。「(2日前の落車の)怪我が痛み、1回目のウィランガヒルで今日も厳しい戦いになると思った」と語る総合2位ゴルカ・イサギレ(スペイン、モビスター)は早々に姿を消した。
ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)が接触によりあわや落車のシーンも見られたが、精鋭グループはハイスピード登坂を続行。すると、残り1.5km地点でリーダージャージが動いた。前日に「自分から仕掛けず、ライバルたちの動きを見る」と語っていたポートが、例年よりも早いタイミングで仕掛けた。
軽快なダンシングで加速したポートが、食らいつくセルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)やエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)らを一気に突き放した。ダンシングを多用しながら、ポートが飛ぶようにウィランガヒルを駆け上がる。もはや敵なしのスピードで、4年連続ウィランガヒルの山頂に単独でやってきた。
「キング・オブ・ウィランガ」による独走勝利。大仕事を終えたポートは「攻撃は最大の防御。早めに仕掛けたので過去3年間よりも苦しんだ。信じられないようなチームワークを勝利で締めくくることができて良かったよ」と語る。
フィニッシュまで距離を残して独走に持ち込み、KOMウィランガヒルを制する姿は過去3年間(2014〜2016年)と同じだが、2017年はリーダージャージを着ての勝利。ポートが自身初の総合優勝に王手をかけた。「アデレードの周回コースは決して簡単ではないけど、総合リードが広がったので明日は少しリラックスできる。この登りで勝つことは本格シーズンに向けての自信になるよ。今年ももちろん7月のツール・ド・フランスが最大の目標。今年は総合争いにインパクトを与えたい」と勝者は半年後の戦いに向けて意気込んだ。
イサギレの失速により、ステージ3位のチャベスが総合2位、ステージ2位のネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)が総合3位に浮上。チャベスは「みんな自分の名前を叫んでくれて、まるでツール・ド・フランスの登りのようだった。今日は平坦区間でチームスカイと協力して集団分裂を図ったけど失敗。リッチーの最初のアタックには反応できたけど、2回目のアタックは強力すぎた。とても付いていけなかった。シーズン初戦で総合2位という成績は決して悪くないと思う」とコメントしている。
サントス・ツアー・ダウンアンダーはアデレードの市街地周回コースを走る1月22日の第6ステージで締めくくられる。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2017第5ステージ結果
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 3h40’13”
2位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) +20”
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)
4位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEアブダビ)
5位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ネイサン・アール(オーストラリア、UniSAオーストラリア) +23”
7位 ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル)
8位 セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)
9位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 トムイェルト・スラフトール(オランダ)
個人総合成績
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 18h00’21”
2位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) +48”
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) +51”
4位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) +54”
5位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEアブダビ) +59”
6位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) +1’02”
7位 ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル)
8位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
9位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)
10位 ネイサン・アール(オーストラリア、UniSAオーストラリア) +1’06”
ポイント賞
1位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット) 45pts
2位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) 39pts
3位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ) 39pts
山岳賞
1位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 32pts
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 32pts
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) 22pts
ヤングライダー賞
1位 ホナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)18h01’28”
2位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、UniSAオーストラリア) +11”
3位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) +18”
チーム総合成績
1位 UniSAオーストラリア 54h05”23”
2位 モビスター +1’19”
3位 トレック・セガフレード +1’20”
敢闘賞
ジャック・バウアー(ニュージーランド、クイックステップフロアーズ)
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
Amazon.co.jp
Fizik(フィジーク) ICS ブリンクライト 0196860003
Fizik(フィジーク)
Panaracer(パナレーサー) Buster X [700×35C] バスタークロス ブラック F735BLX-BSTX
パナレーサー(Panaracer)