2016/12/11(日) - 18:09
プレッシャーの中でつかんだ大会連覇。武田和佳(Liv)を引き離し、坂口聖香(パナソニックレディース)がタイトル防衛に成功したシクロクロス全日本選手権女子レースの詳報とコメントをお伝えします。
12時30分、午前中に行われた男子ジュニアと男子U23のほとぼりが冷め、試走時間が終わってコンディションが整えられた宇都宮ろまんちっく村の特設コースに、27名の女子ライダーたちが駆け出していった。
8名が横一線に並んだスタートグリッドから第1コーナーまで最も速く駆け抜けたのはディフェンディングチャンピオンの坂口聖香。タイトル防衛を目指す坂口にすかさず食らいついたのは武田和佳だった。
早速抜け出す形となった坂口と武田に今井美穂(CycleClub.jp)が加わって先頭は3名に。しばらく3名でのパック走行となるが、粘土質の泥がむき出しとなった極めてスリッピーなキャンバーで坂口が先行するシーンが目立ち始める。やがて先頭からは今井が遅れ、続いて武田も坂口のペースに対応できずに脱落。レース中盤に坂口が独走を開始した。
およそ20秒のリードを得て独走した坂口だったが、武田も負けじとペースを刻んだため劇的にタイム差は広がらない。「坂口さんとはどこで差が出るのか、逆に詰めることができるのかを試走段階から把握していました。序盤の先頭パックはとても走りやすく、リズムを整えることができました。単独になってからも自力で差を詰める瞬間もあったことは収穫です」と、2番手をキープした武田は語る。
今井に追いついた與那嶺恵理(FORZA YONEX)が3番手に浮上する中、先頭の坂口は「後ろからはすごく大きな圧迫感を感じていました。自分が自分じゃないようで、冷静ではなかった」と語りながらもリードをキープ。最終的に武田に38秒差をつけ、独走のままフィニッシュに飛び込んだ。
フィニッシュ後、安堵の気持ちから目に涙を浮かべた坂口。「結果的に優勝できてホッとしていますが、今までのレースの中で一番ダメな走りだった。点数をつけるとすれば、今日のレースは50点以下です」と厳しく自身の走りを受け止める。事実、レース中の表情は終始すぐれなかった。
「2連覇がかかった全日本選手権ということで、落ち着いて走れませんでした。一回チャンピオンを獲ったことで、もう一度チャンピオンジャージが欲しい、もう一度先頭でフィニッシュしたいという気持ちがものすごく強かった。昨日の試走段階でもプレッシャーが強くて、最後まで良いイメージを掴めなかった。プレッシャーなんて気にしなくて良いと言われていたけれど、心と体はバラバラでした」と、ナショナルチャンピオンジャージに再び袖を通した坂口は語る。
「慌てているうちにレースが終わってしまった感じです。パワーで押し切って結果につなげることができたものの、障害物が多くてミスも多くてまだまだです。力もテクニックもレベルアップしていかないといけません。世界選手権も視野に入れてイメージトレーニングし、そこで勝負できるようにしていきたい」と、次なる目標である世界選手権と、その先にあるヨーロッパでのレース活動に向けて意気込んだ。
アグレッシブな走りで2位でフィニッシュした武田は「良いレースになりました。自分の中で計画立てて全日本選手権に臨んだのですが、それがうまく噛み合った感じですね」と喜ぶ。
「林の下りやキャンバー区間で一つ一つミスをしないよう心がけて走ったことが、結果的に差を広げないことに繋がったと感じています。自信になりましたし、逆に悪いところも見えた。坂口さんにはパワー負けしていたので、これからその部分を改善し、また戦うことが楽しみです。肉体改造をしていけば、全日本チャンピオンジャージも少しづつ近づいてくると思います」と、1年後の全日本選手権に向けて手応えを得た様子だ。
「勝てないから、確実に表彰台に上れるように走りました。(3位争いをしていた)今井選手とは彼女がチェーンを落とした時に差がつきました。ミスせず、バイク壊さず、表彰台に登ることをずっと意識して安定感ある走りができたと思います」と語るのは、今井を振り切って3位に入った與那嶺。「シクロクロスはあくまでもオフシーズンのトレーニングとして、楽しみながら走っている」と割り切っているが、持ち前の走力で表彰台を射止めた。
女子結果
1位 坂口聖香(パナソニックレディース) 45’43”
2位 武田和佳(Liv) +38”
3位 與那嶺恵理(FORZA YONEX) +2’22”
4位 今井美穂(CycleClub.jp) +2’48”
5位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリング) +3’25”
6位 宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team) +3’59”
7位 福本千佳(東洋フレーム) +4’26”
8位 西山みゆき(東洋フレーム) +6’13”
9位 上田順子(ダム部) +7’06”
10位 高橋織江(PEDAL NATION) +7’43”
text:Kei Tsuji
12時30分、午前中に行われた男子ジュニアと男子U23のほとぼりが冷め、試走時間が終わってコンディションが整えられた宇都宮ろまんちっく村の特設コースに、27名の女子ライダーたちが駆け出していった。
8名が横一線に並んだスタートグリッドから第1コーナーまで最も速く駆け抜けたのはディフェンディングチャンピオンの坂口聖香。タイトル防衛を目指す坂口にすかさず食らいついたのは武田和佳だった。
早速抜け出す形となった坂口と武田に今井美穂(CycleClub.jp)が加わって先頭は3名に。しばらく3名でのパック走行となるが、粘土質の泥がむき出しとなった極めてスリッピーなキャンバーで坂口が先行するシーンが目立ち始める。やがて先頭からは今井が遅れ、続いて武田も坂口のペースに対応できずに脱落。レース中盤に坂口が独走を開始した。
およそ20秒のリードを得て独走した坂口だったが、武田も負けじとペースを刻んだため劇的にタイム差は広がらない。「坂口さんとはどこで差が出るのか、逆に詰めることができるのかを試走段階から把握していました。序盤の先頭パックはとても走りやすく、リズムを整えることができました。単独になってからも自力で差を詰める瞬間もあったことは収穫です」と、2番手をキープした武田は語る。
今井に追いついた與那嶺恵理(FORZA YONEX)が3番手に浮上する中、先頭の坂口は「後ろからはすごく大きな圧迫感を感じていました。自分が自分じゃないようで、冷静ではなかった」と語りながらもリードをキープ。最終的に武田に38秒差をつけ、独走のままフィニッシュに飛び込んだ。
フィニッシュ後、安堵の気持ちから目に涙を浮かべた坂口。「結果的に優勝できてホッとしていますが、今までのレースの中で一番ダメな走りだった。点数をつけるとすれば、今日のレースは50点以下です」と厳しく自身の走りを受け止める。事実、レース中の表情は終始すぐれなかった。
「2連覇がかかった全日本選手権ということで、落ち着いて走れませんでした。一回チャンピオンを獲ったことで、もう一度チャンピオンジャージが欲しい、もう一度先頭でフィニッシュしたいという気持ちがものすごく強かった。昨日の試走段階でもプレッシャーが強くて、最後まで良いイメージを掴めなかった。プレッシャーなんて気にしなくて良いと言われていたけれど、心と体はバラバラでした」と、ナショナルチャンピオンジャージに再び袖を通した坂口は語る。
「慌てているうちにレースが終わってしまった感じです。パワーで押し切って結果につなげることができたものの、障害物が多くてミスも多くてまだまだです。力もテクニックもレベルアップしていかないといけません。世界選手権も視野に入れてイメージトレーニングし、そこで勝負できるようにしていきたい」と、次なる目標である世界選手権と、その先にあるヨーロッパでのレース活動に向けて意気込んだ。
アグレッシブな走りで2位でフィニッシュした武田は「良いレースになりました。自分の中で計画立てて全日本選手権に臨んだのですが、それがうまく噛み合った感じですね」と喜ぶ。
「林の下りやキャンバー区間で一つ一つミスをしないよう心がけて走ったことが、結果的に差を広げないことに繋がったと感じています。自信になりましたし、逆に悪いところも見えた。坂口さんにはパワー負けしていたので、これからその部分を改善し、また戦うことが楽しみです。肉体改造をしていけば、全日本チャンピオンジャージも少しづつ近づいてくると思います」と、1年後の全日本選手権に向けて手応えを得た様子だ。
「勝てないから、確実に表彰台に上れるように走りました。(3位争いをしていた)今井選手とは彼女がチェーンを落とした時に差がつきました。ミスせず、バイク壊さず、表彰台に登ることをずっと意識して安定感ある走りができたと思います」と語るのは、今井を振り切って3位に入った與那嶺。「シクロクロスはあくまでもオフシーズンのトレーニングとして、楽しみながら走っている」と割り切っているが、持ち前の走力で表彰台を射止めた。
女子結果
1位 坂口聖香(パナソニックレディース) 45’43”
2位 武田和佳(Liv) +38”
3位 與那嶺恵理(FORZA YONEX) +2’22”
4位 今井美穂(CycleClub.jp) +2’48”
5位 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリング) +3’25”
6位 宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team) +3’59”
7位 福本千佳(東洋フレーム) +4’26”
8位 西山みゆき(東洋フレーム) +6’13”
9位 上田順子(ダム部) +7’06”
10位 高橋織江(PEDAL NATION) +7’43”
text:Kei Tsuji
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