2016/12/02(金) - 09:11
ウィリエールの新たなるハイエンドエアロロードバイク、「Cento10 AIR」をインプレッション。創業110周年を記念してデビュー、トップレースでも愛用される最新鋭機の真価やいかに。
北イタリアのロッサノ・ベネトに居を構えるウィリエール・トリエスティーナ社。そのルーツは1906年、日本の表記にすると明治39年にまで遡る老舗中の老舗であり、2016年は創業110周年にあたる節目の年だ。イタリア国内の自転車需要低下に伴い工場の閉鎖を余儀なくされるなど苦境に立たされていた時期もあったが、現在はグランツール常連ブランドとしての地位を築き、更にはMTBやシティバイク、Eバイクなどを手がける総合メーカーへと変貌を遂げつつある。
そんなウィリエールのロードバイクラインナップにおいて、燦然たる輝きを放つのがCento(チェント)シリーズ。創業100周年を迎えた2006年に登場した記念モデル「100(イタリア語でCento)」から脈々と受け継がれる、同社のフラッグシップに与えられる名称だ。Centoは翌年に軽量性と剛性を強化したCento1(チェントウノ)がデビューし、更に剛性を強化したCento1 SR、そして空力を考慮したCento1 Airと矢継ぎ早に新作を投入。そして今回、初代Centoデビューから10年の時を経て送り出されたのが、Cento10 AIR(チェントディエチ・エアー)である。
Cento1 Airの後継モデルとして、より空力性能を研ぎ澄ませたCento10 AIR。Cento1 SRから採用されたカムテールデザインにNACAプロファイルのアルゴリズムを導入して設計が行われ、そのルックスはCento 1 Airと比較してより直線的な形状に。各部の形状を徹底的に煮詰めている。
先代であるCento1 Airは前方投影面積を限りなく減らすことに主眼が置かれていたが、その後に登場したワイドリムホイールや、ダイレクトマウントブレーキといった最新トレンドを盛り込もうとすると、どうしても前方投影面積が増えてしまう。そこでCento10 AIRは前方投影面積を減らすのではなく、いかに“空気の抜け”を効率良く行うかに主眼を当てている。名こそ似れど、Cento10 AIRは全く異なる開発手法を用いた新世代マシンなのだ。
実際にはフロントフォークやシートステーなどホイールを挟み込む部分はクリアランスを大きく保持した「大股」仕様にされていることが特徴。カムテール断面を巧みに活用し、例えばフォークブレードは先端とショルダー部で断面形状を変えるといったように、空気の流れをきめ細かく最適化している。
他にも、フォーククラウンとヘッドチューブの滑らかなインテグレーテッド設計や、ダイレクトマウントブレーキ(105とアルテグラを使用する場合にはブレーキブースターの役目を担うステンレスプレートを用意するこだわりよう)、臼式シートクランプの採用など、そのこだわりは多岐に渡っている。
そして現在のエアロロードバイク界においてトレンドとなっている専用ハンドルも導入されている。ALABARDA(アラバルダ)と名付けられたステム一体型ハンドルであり、シフトケーブルをステムからヘッドチューブ内部へと通し、ダウンチューブ内を経由して前後のディレイラーに送り込む機構を取っている。
ワイヤー内蔵式専用一体式ハンドルというとメンテナンス性に不都合がある場合が多いが、上ハンドル裏側には溝が設けられており、そこにケーブル類やシマノDi2のジャンクションAを収め、最後に専用プレートで蓋をするという構造であるため、一般的な組み上げと大差は無い。ダウンチューブ上側には「ケーブルプレート」と名付けられた蓋が用意されており、機械式コンポーネントで組む場合は内部にフロントディレイラー調整用のアジャスターを取り付けるため、エアロロードと言ってもユーザーフレンドリーと言えるだろう。ALABARDAハンドルはステム長とハンドル幅の組み合わせが異なる5サイズが用意されるほか、汎用規格のハンドルバー及びステムも使用可能だ。
フレーム素材には、「Cento1」シリーズと同じく60Tクラスのカーボンを採用する。BB386からBB86へと変更となったボトムブラケットや、左右非対称設計のシートステーと合わせて、より高効率な走りを実現。そして、サイズごとに乗り味が変わらないよう、各サイズで細かくチューブ径を変えている点も、忘れてならないポイント。数値で見れば、Cento10 AIRはCento1 Airに対して前方投影面積が増しているにも関わらず、エアロダイナミクス性能が8%向上。さらにフレーム重量も990g(Mサイズ)と15%ダウンに成功している。
今回の試乗車は、シマノ6800系アルテグラを搭載し、ホイールに同WH-RS11を使った585,000円(税抜)の完成車。ウィリエール・サウスイーストのフィリッポ・ポッツァート(イタリア)が愛用する、実戦で鍛え上げられたCentoシリーズの最新作をインプレッションした。
ー インプレッション
「高い巡航性と快適性。優雅なクルージングをしているよう」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)
エアロフレームとあって硬い乗り味を想像しましたが、そんなことは全然ありません。非常に乗り心地が良いですね。リア三角の振動吸収性が、マイルドな乗り味と共に伸びやかな加速力を生んでいるように感じます。ルックスのスパルタンさは乗り味に無く、むしろその逆。乗っていてラクだなあと感じさせるバイクでした。
それでいてフロント部にカッチリとした安定感があり、下りでもダンシングでヨレることもありません。ハンドリングも自然で、真っ直ぐ進もうとするエアロフレーム独特の扱いにくさは全くなく、素直ですね。このフレーム形状からは意外な感覚でした。様々な場面で迷いなくニュートラルに操るとこができると思います。
全体的に優しい味付けであるため、平地の高速巡航でじわっと踏んでいくのが一番ベストでしょう。踏んだ時にすぐに反応すると言うよりは、じわじわ速度を上げて一定域を保ってくれる、そんな感覚ですね。アタックが頻発するレースよりも、40mmハイト以上のディープリムホイールを履かせて長距離のスピードレースに持ち込むのが良いかと思います。もちろん振動吸収性能が高いため、ロングライドだってこなせてしまうほどです。
気になったのはオプションで用意されているステム一体型ハンドル。いかにも空力は良さそうですが、どうしてもポジションを変更しづらいデメリットがありますね。ただし一体型だけあって剛性は十分に確保されていますし、一般的なハンドル&ステムが装着できるのはありがたいですね。
ゆったり走るけど、エンデュランスバイクより見た目がかっこいいエアロバイクが欲しい、という方にピッタリの1台ではないでしょうか。もちろん高速巡航を武器にサーキットレースでも大きな味方になってくれるはずですし、イタリアンバイクらしい見た目や乗り味が楽しめると思います。エアロロードの常識を覆す、乗りやすさが特徴の一台です。
「扱いやすいオールラウンドな性格のエアロロード」佐藤淳(カミハギサイクル)
エアロフレームながら平地だけでなく、なんでもこなせるオールラウンドバイクだと感じました。速度域に関係なく、パワーをかけた分だけ進む感じがあったので、レースシーンでも意外と使い道を選ばないと思います。合わせるホイールのタイプを変えれば、どんな乗り方にも合うのではないでしょうか。
驚いたのはダンシングの振りやすさ。エアロフレームは一般的にボリュームある形状のため、重心が安定せず振りにくさを感じることがありますが、このバイクにそんなことはありません。捻れ剛性が高く、ダンシングで踏み込んだときもヨレることなく、スッと前に進んでくれました。ですからダンシングを織り交ぜる走りでも対応してくれる上、スプリントもいけますね。普通のロードレーサー的な扱いやすさに、空力の良い伸びが加わった走りと言いましょうか。とても乗りやすいと感じました。
ただ、ハンドリングには多少クセがありますね。曲がろうとした時に、真っ直ぐ進もうとするチカラが多く働くため、うまく操ってあげる必要があるかと思います。スピードを出して体重移動でコーナリングを行う高速設計とでも言いましょうか。急なカーブでハンドルを一定以上切ると、内側に切り込む感じもあるので、そこさえ慣れてしまえばクリテリウムでも十分使えるバイクになると思います。
フォークのつくりのおかげなのか、フロント部分には安定感を感じますね。下りも不安なくこなせます。ドシッとした直進安定性がありますが、その反面漕ぎ出しはちょっと重いかなと。スピードに乗ってしまえば、真っ直ぐ進む気持ち良さを全身で感じることができると思います。ぜひリムハイト50mmくらいのディープホイールを履かせたいですね。
専用の一体型ハンドルは好みが別れるかもしれません。空力の良さやワイヤーを収納できる設計など評価できる点ではありますが、上ハンの握りにくさがありますし、直線的なデザインも各々どう感じるか疑問なところです。剛性はしっかりした良いものですが、内装になるためメンテナンス性は犠牲になってしまいますね。できるなら電動シフトのコンポで組むとラクかと思います。
全体的に性能は高く、イタリアンブランドらしい気品さも感じられる贅沢な1台に仕上がっていると思います。ヨーロッパ車好きなら所有欲と相まって、より満足できるバイクになるのではないでしょうか。もちろん、レース等でもガンガン使っていけるポテンシャルを持っていますし、価格も妥当なところだと思いました。
ウィリエール Cento10 AIR
フレーム:60tカーボン
フォーク:60tカーボン
ボトムブラケット:BB86
最大タイヤ幅:28mm
サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL(6種類)
カラー:ホワイト、マットブラック、レッド
税抜価格:
フレームセット 440,000円
ALABARDA単体 72,000円
フレーム+ALABARDAセット 500,000円
シマノ R9100系DURA-ACE+WH-R9100-C40-CL 910,000円
シマノ R9100系DURA-ACE+WH-RS11 710,000円
シマノ 6800系ULTEGRA+WH-RS11 585,000円
インプレッションライダーのプロフィール
山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)
滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。
ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP
佐藤淳(カミハギサイクル FIT&RIDE STORE)
愛知県豊山町にお店を構えるカミハギサイクルのスペシャライズド専門店「FIT&RIDE STORE」にて、メカニックから接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけは何の気なしに購入したMTB。購入後すぐに3日間のツーリングで550kmを走り切ったことでその道に進んだロングライド派。常にビギナー目線での接客を心掛け、対話の中からお客様の本当に求めているものを探り、提案していくことを心がけている。
CWレコメンドショップページ(緑店)
CWレコメンドショップページ(小牧本店)
ウェア協力:Rapha
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO
北イタリアのロッサノ・ベネトに居を構えるウィリエール・トリエスティーナ社。そのルーツは1906年、日本の表記にすると明治39年にまで遡る老舗中の老舗であり、2016年は創業110周年にあたる節目の年だ。イタリア国内の自転車需要低下に伴い工場の閉鎖を余儀なくされるなど苦境に立たされていた時期もあったが、現在はグランツール常連ブランドとしての地位を築き、更にはMTBやシティバイク、Eバイクなどを手がける総合メーカーへと変貌を遂げつつある。
そんなウィリエールのロードバイクラインナップにおいて、燦然たる輝きを放つのがCento(チェント)シリーズ。創業100周年を迎えた2006年に登場した記念モデル「100(イタリア語でCento)」から脈々と受け継がれる、同社のフラッグシップに与えられる名称だ。Centoは翌年に軽量性と剛性を強化したCento1(チェントウノ)がデビューし、更に剛性を強化したCento1 SR、そして空力を考慮したCento1 Airと矢継ぎ早に新作を投入。そして今回、初代Centoデビューから10年の時を経て送り出されたのが、Cento10 AIR(チェントディエチ・エアー)である。
Cento1 Airの後継モデルとして、より空力性能を研ぎ澄ませたCento10 AIR。Cento1 SRから採用されたカムテールデザインにNACAプロファイルのアルゴリズムを導入して設計が行われ、そのルックスはCento 1 Airと比較してより直線的な形状に。各部の形状を徹底的に煮詰めている。
先代であるCento1 Airは前方投影面積を限りなく減らすことに主眼が置かれていたが、その後に登場したワイドリムホイールや、ダイレクトマウントブレーキといった最新トレンドを盛り込もうとすると、どうしても前方投影面積が増えてしまう。そこでCento10 AIRは前方投影面積を減らすのではなく、いかに“空気の抜け”を効率良く行うかに主眼を当てている。名こそ似れど、Cento10 AIRは全く異なる開発手法を用いた新世代マシンなのだ。
実際にはフロントフォークやシートステーなどホイールを挟み込む部分はクリアランスを大きく保持した「大股」仕様にされていることが特徴。カムテール断面を巧みに活用し、例えばフォークブレードは先端とショルダー部で断面形状を変えるといったように、空気の流れをきめ細かく最適化している。
他にも、フォーククラウンとヘッドチューブの滑らかなインテグレーテッド設計や、ダイレクトマウントブレーキ(105とアルテグラを使用する場合にはブレーキブースターの役目を担うステンレスプレートを用意するこだわりよう)、臼式シートクランプの採用など、そのこだわりは多岐に渡っている。
そして現在のエアロロードバイク界においてトレンドとなっている専用ハンドルも導入されている。ALABARDA(アラバルダ)と名付けられたステム一体型ハンドルであり、シフトケーブルをステムからヘッドチューブ内部へと通し、ダウンチューブ内を経由して前後のディレイラーに送り込む機構を取っている。
ワイヤー内蔵式専用一体式ハンドルというとメンテナンス性に不都合がある場合が多いが、上ハンドル裏側には溝が設けられており、そこにケーブル類やシマノDi2のジャンクションAを収め、最後に専用プレートで蓋をするという構造であるため、一般的な組み上げと大差は無い。ダウンチューブ上側には「ケーブルプレート」と名付けられた蓋が用意されており、機械式コンポーネントで組む場合は内部にフロントディレイラー調整用のアジャスターを取り付けるため、エアロロードと言ってもユーザーフレンドリーと言えるだろう。ALABARDAハンドルはステム長とハンドル幅の組み合わせが異なる5サイズが用意されるほか、汎用規格のハンドルバー及びステムも使用可能だ。
フレーム素材には、「Cento1」シリーズと同じく60Tクラスのカーボンを採用する。BB386からBB86へと変更となったボトムブラケットや、左右非対称設計のシートステーと合わせて、より高効率な走りを実現。そして、サイズごとに乗り味が変わらないよう、各サイズで細かくチューブ径を変えている点も、忘れてならないポイント。数値で見れば、Cento10 AIRはCento1 Airに対して前方投影面積が増しているにも関わらず、エアロダイナミクス性能が8%向上。さらにフレーム重量も990g(Mサイズ)と15%ダウンに成功している。
今回の試乗車は、シマノ6800系アルテグラを搭載し、ホイールに同WH-RS11を使った585,000円(税抜)の完成車。ウィリエール・サウスイーストのフィリッポ・ポッツァート(イタリア)が愛用する、実戦で鍛え上げられたCentoシリーズの最新作をインプレッションした。
ー インプレッション
「高い巡航性と快適性。優雅なクルージングをしているよう」山本朋貴(ストラーダバイシクルズ)
エアロフレームとあって硬い乗り味を想像しましたが、そんなことは全然ありません。非常に乗り心地が良いですね。リア三角の振動吸収性が、マイルドな乗り味と共に伸びやかな加速力を生んでいるように感じます。ルックスのスパルタンさは乗り味に無く、むしろその逆。乗っていてラクだなあと感じさせるバイクでした。
それでいてフロント部にカッチリとした安定感があり、下りでもダンシングでヨレることもありません。ハンドリングも自然で、真っ直ぐ進もうとするエアロフレーム独特の扱いにくさは全くなく、素直ですね。このフレーム形状からは意外な感覚でした。様々な場面で迷いなくニュートラルに操るとこができると思います。
全体的に優しい味付けであるため、平地の高速巡航でじわっと踏んでいくのが一番ベストでしょう。踏んだ時にすぐに反応すると言うよりは、じわじわ速度を上げて一定域を保ってくれる、そんな感覚ですね。アタックが頻発するレースよりも、40mmハイト以上のディープリムホイールを履かせて長距離のスピードレースに持ち込むのが良いかと思います。もちろん振動吸収性能が高いため、ロングライドだってこなせてしまうほどです。
気になったのはオプションで用意されているステム一体型ハンドル。いかにも空力は良さそうですが、どうしてもポジションを変更しづらいデメリットがありますね。ただし一体型だけあって剛性は十分に確保されていますし、一般的なハンドル&ステムが装着できるのはありがたいですね。
ゆったり走るけど、エンデュランスバイクより見た目がかっこいいエアロバイクが欲しい、という方にピッタリの1台ではないでしょうか。もちろん高速巡航を武器にサーキットレースでも大きな味方になってくれるはずですし、イタリアンバイクらしい見た目や乗り味が楽しめると思います。エアロロードの常識を覆す、乗りやすさが特徴の一台です。
「扱いやすいオールラウンドな性格のエアロロード」佐藤淳(カミハギサイクル)
エアロフレームながら平地だけでなく、なんでもこなせるオールラウンドバイクだと感じました。速度域に関係なく、パワーをかけた分だけ進む感じがあったので、レースシーンでも意外と使い道を選ばないと思います。合わせるホイールのタイプを変えれば、どんな乗り方にも合うのではないでしょうか。
驚いたのはダンシングの振りやすさ。エアロフレームは一般的にボリュームある形状のため、重心が安定せず振りにくさを感じることがありますが、このバイクにそんなことはありません。捻れ剛性が高く、ダンシングで踏み込んだときもヨレることなく、スッと前に進んでくれました。ですからダンシングを織り交ぜる走りでも対応してくれる上、スプリントもいけますね。普通のロードレーサー的な扱いやすさに、空力の良い伸びが加わった走りと言いましょうか。とても乗りやすいと感じました。
ただ、ハンドリングには多少クセがありますね。曲がろうとした時に、真っ直ぐ進もうとするチカラが多く働くため、うまく操ってあげる必要があるかと思います。スピードを出して体重移動でコーナリングを行う高速設計とでも言いましょうか。急なカーブでハンドルを一定以上切ると、内側に切り込む感じもあるので、そこさえ慣れてしまえばクリテリウムでも十分使えるバイクになると思います。
フォークのつくりのおかげなのか、フロント部分には安定感を感じますね。下りも不安なくこなせます。ドシッとした直進安定性がありますが、その反面漕ぎ出しはちょっと重いかなと。スピードに乗ってしまえば、真っ直ぐ進む気持ち良さを全身で感じることができると思います。ぜひリムハイト50mmくらいのディープホイールを履かせたいですね。
専用の一体型ハンドルは好みが別れるかもしれません。空力の良さやワイヤーを収納できる設計など評価できる点ではありますが、上ハンの握りにくさがありますし、直線的なデザインも各々どう感じるか疑問なところです。剛性はしっかりした良いものですが、内装になるためメンテナンス性は犠牲になってしまいますね。できるなら電動シフトのコンポで組むとラクかと思います。
全体的に性能は高く、イタリアンブランドらしい気品さも感じられる贅沢な1台に仕上がっていると思います。ヨーロッパ車好きなら所有欲と相まって、より満足できるバイクになるのではないでしょうか。もちろん、レース等でもガンガン使っていけるポテンシャルを持っていますし、価格も妥当なところだと思いました。
ウィリエール Cento10 AIR
フレーム:60tカーボン
フォーク:60tカーボン
ボトムブラケット:BB86
最大タイヤ幅:28mm
サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL(6種類)
カラー:ホワイト、マットブラック、レッド
税抜価格:
フレームセット 440,000円
ALABARDA単体 72,000円
フレーム+ALABARDAセット 500,000円
シマノ R9100系DURA-ACE+WH-R9100-C40-CL 910,000円
シマノ R9100系DURA-ACE+WH-RS11 710,000円
シマノ 6800系ULTEGRA+WH-RS11 585,000円
インプレッションライダーのプロフィール
山本朋貴(ストラーダバイシクルズ滋賀本店)
滋賀県草津市にあるストラーダバイシクルズ滋賀本店の店長。2011、2012年の全日本マウンテンバイク選手権クロスカントリーマスタークラスチャンピオン。ストイックに自転車競技に取り組んできたが、ストラーダに入社後は、ビギナーライダーのライド初体験の笑顔に魅せられエントリーのお客様にバイクの楽しさを伝えることが楽しみ。最近はトライアスロンに挑戦中。
ストラーダバイシクルズ滋賀本店(CWレコメンドショップ)
ストラーダバイシクルズHP
佐藤淳(カミハギサイクル FIT&RIDE STORE)
愛知県豊山町にお店を構えるカミハギサイクルのスペシャライズド専門店「FIT&RIDE STORE」にて、メカニックから接客まで幅広く担当する。自転車にのめり込んだきっかけは何の気なしに購入したMTB。購入後すぐに3日間のツーリングで550kmを走り切ったことでその道に進んだロングライド派。常にビギナー目線での接客を心掛け、対話の中からお客様の本当に求めているものを探り、提案していくことを心がけている。
CWレコメンドショップページ(緑店)
CWレコメンドショップページ(小牧本店)
ウェア協力:Rapha
text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO