2016/09/04(日) - 18:21
ラスト5kmになっても総合逆転を狙う吉岡直哉(那須ブラーゼン)らの逃げとメイン集団の差は1分。ラクラン・モートン(ジェリーベリーP/Bマキシス)が34秒差で逃げ切りステージ優勝。吉岡の逆転はならず増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が個人総合優勝を達成した。
リーダーの増田と2位以下は27秒差で迎えた最終ステージ
ツール・ド・北海道最終ステージの第4ステージが9月3日(土)、倶知安町から札幌市までの213.2kmで行われた。最終ステージは各チームの思惑が交錯し激しい展開になることが多い。今年のツール・ド・北海道も個人総合順位をキープしたいチーム、ステージ優勝を狙うチーム、UCIポイントを獲得(ステージ3位と総合10位まで)したいチームなどの思惑が入り激しい展開に。
前ステージまでに個人総合リーダーの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は、2位ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) らに27秒のタイム差をつけている。しかし最終ステージは距離が長く序盤に山岳、終盤に小さいながらも侮れないKOMがある。リーダーの1チームだけでコントロールできるコースではない。他チームも狙うものがあり、どこからどの程度リーダーチームに協力するかも行方を左右する。
スタート後から激しいアタックが繰り返される。5km地点の上りでは全日本チャンピオンの初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)がアタック。これに鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、湊諒(シマノレーシング)が合流。さらにアタックがかかるが、ニセコアンヌプリKOMへ向けてラクラン・モートン(ジェリーベリーP/Bマキシス)が先頭を引き安定化。KOMはアレクサンダー・ブライコ(ジェリーベリーP/Bマキシス)が先頭通過するが増田も2位通過し山岳賞をほぼ確定させる。
序盤に決まった強力な5人の逃げ
下り区間で集団はばらけるがすぐに一つにまとまる。この瞬間に木村圭佑(シマノレーシング)がアタック。これにモートンらが反応し37km地点のピークを越えるときに吉岡、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)が合流し5人の逃げが完成する。登坂区間で力ずくでできたこの強力な5人の逃げはすぐに後続との差を広げていく。メイン集団もこの逃げを容認する。
先頭5人から一時はモートンが軽くアタックするがその後は安定したローテーションで逃げを拡大する。今シーズンにステージレース総合2勝のモートン、全日本TTチャンピオンの西薗、Jプロツアーリーダーのホセ・ビセンテ、今シーズン好調で全日本ロード3位の木村、前日までの2ステージでアタックを繰り返していた吉岡の強力逃げは侮れない。4人は総合約7分遅れだが吉岡は1分04秒差で、これはメイン集団の総合上位陣にとって大きな脅威だ。
タイム差は11分を超える
序盤はリーダーチームの大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が先頭を引きおよそ50km地点からは総合4位の中根英登を擁する愛三工業レーシングチームから小森亮平が先頭を引く。しばらくこの2人で、さらにキナンサイクリングチームも加わってメイン集団の先頭を引く。しかし逃げ続ける先頭5人はハイペースを維持し最大11分半にまで差を広げ、残り100kmで吸収できるか微妙になる。強力なモートンや総合1分差の吉岡らの逃げ切りは、メイン集団のチームにとっては避けなければいけない。
ここで宇都宮ブリッツェンから堀孝明がそして総合2位のNIPPOヴィーニファンティーニからダニエーレ・コッリが、さらにジョン・アベラストゥリでステージを狙うチーム右京から住吉宏太が先頭に出て120km地点付近から本格的な追走を開始する。残り100kmで11分のタイム差だ。メンバーを考えると逃げ切りも考えられる。そして吉岡の逆転での個人総合優勝の可能性も出てきた。
逃げる5人と猛追するメイン集団
各チームのアシストが引いた結果、先頭とのタイム差は8分、そして5分と縮まったがそこから先が止まってしまう。先頭5人もハイペースを維持している。支笏湖畔を抜けて最後のKOMへ先頭は差し掛かる。残り40kmでその差は5分。そして上り区間で先頭からモートンが一度仕掛けるが集団に戻り、モートン先頭でKOMをクリアし5人でフィニッシュの札幌市内へ時速60km以上のスピードを維持し下っていく。
ラクラン・モートン(ジェリーベリーP/Bマキシス)が逃げ切り勝利
メイン集団もハイペースで追い上げた結果、KOMを越えた時点で26人にまで減ってしまう。もちろんリーダーの増田は鈴木譲とともに残っている。そしてラスト5kmでタイム差は1分で逃げ切りがほぼ確実に。増田の個人総合はキープできそうだが吉岡がどこまで順位を上げるか。そしてフィニッシュ地点に先頭で現れたのはホセ・ビセンテ・これを直前でかわしたモートンが優勝。西薗、木村が続き吉岡は3秒のタイム差でフィニッシュ。
メイン集団はラスト3kmで佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がアタックしたがフィニッシュ直前でリカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がかわし6位に。総合成績の行方は秒差となりしばらくアナウンスが流れない。やがて増田の個人総合優勝が発表され、そして吉岡は前日までの13位から6位まで順位を上げた。最終ステージにふさわしい激しい戦いは、実力者モートンの逃げ切り優勝と、猛烈な追走の結果で増田の総合優勝という成績で幕を閉じた。
際立った増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の強さ
モートンは前日までメイン集団を引いたりこの日も序盤はチームメイトの山岳アシストとして動いていたが、最終日に前評判通りの強さを見せた。吉岡は最終的に届かなかったもののこの日はホットスポットで3秒獲得するなど挑戦を続け、手に汗握る展開を作った。そしてなんといっても増田の強さはプロトン内で随一のもの。他チームは策を講じたが、真っ向勝負では太刀打ちできない増田の強さを認めるしかなかった。
「宮澤選手、都貴選手に少しでも近づきたかった」増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
ー今日は逃げとの差が最大11分あって、終盤もなかなか縮まりませんでしたが?
あせる気持ちはありました。11分という時間は3人でどうこう出来るものではなかったので、利害関係の一致する他チームと協調する事を模索していました。幸いにもNIPPOと愛三とキナンが1人ずつ出してくれて協調体制が出来ました。運や展開にも恵まれて、リーダージャージを守れたと思います。
ーツール・ド・北海道に初めて出場したのが10年前という事ですが、ミヤタ時代?
そうです。ミヤタでプロデビューして、ツール・ド・北海道に初出場しました。ヨーロッパに通じるようなラインレースで、いつかこのレースで優勝したいと思っていましたが、念願がかなってとても嬉しいです。
ー清水監督は、増田選手はもっと高いレベルのレースを走る選手なんだと言っていました。
そう言ってくれるのは嬉しいです。僕自身世界のトップレベルで走った事があるので、どれだけ走れたら世界に通用するのかというイメージは持っています。キャノンデールでは(ペーター・)サガンや他のチームメイトの強さを知って、自分はこんなんじゃダメなんだというのを味わってきました。こっちに戻ってきてからも腐らずに一歩一歩前進してきた事が、北海道の総合優勝に結びついたのかなと思っています。
ー歴代優勝者には、かつてのチームメイトの名前がありますね?
(かつてチームメイトの)宮澤崇史選手や清水都貴選手を目標として少しでも近づきたいと思ってここまでやってきました。特に都貴さんはピークで一番強い時に引退してしまったので、僕の中の都貴さんの像を追いかけてきました。今こうして、あそこ(式典会場に貼られてあった歴代勝者のパネル)に、宮澤さんや都貴さんと並ぶ事が出来るのは感慨深いものがあります。宮澤さんからは早速メールで「おめでとう」とお祝いをもらいました。
「栗村さんにやっと恩返しができた」清水祐輔監督
「今日は最後まで怖くて、総合優勝に向けて今日は本当に厳しくて4人しかなく、1チームだけでコントロールするのは無理だとわかっていました。いつ、ほかのチームと協力してもらえるか考えていました。チームのみんなも最後まで我慢してくれて全力で頑張ってくれて両方がかみ合った結果です。今日は正直本当にわからなかった。最後まで限界で踏んでいたし最後まで分からなかったです」
「総合成績には吉岡しか絡んでいなかったので、100kmくらいでしたか、ほかのチームに協力をもらいました。僕らには1分余裕があってほかのチームには30秒しかなかったし。過去にNIPPOがそういうやりかたで総合優勝しているし今回はNIPPOをお手本にしたところもありますね。チームにとっても僕にとってもいい勉強になったし、結果を残せてよかったです。選手たちが実力を兼ね備えてくれたのでそういう戦い方ができました」
「ブリッツェンの監督をやらせてもらって3年目、日本人だけでやれるというところを見せたかったです。僕が昔梅丹で浅田さんの下でやっていたとき どうしてもやりたいなと、できるんだというのを証明したくて。それができたということが嬉しいです。栗村さんにやっと恩返しができました」
「木村はステージで僕は総合をという会話をした」吉岡直哉(那須ブラーゼン)
「悔しいですね。ホットスポットで3秒もらったこともあったので、差が1分あればといけると確信して最後の最後まで絶対勝つと信じて踏むことだけを考えていたのですが。最後に牽制が入ってしまって僕だけが引いたのですが。でもステップアップはしていると思います。(京都産業大学で同期だった)木村とは2日連続の逃げです。仲がいいみたいですね(笑)。木村とは、一緒に行って僕は総合優勝取れるし木村もステージ狙いたいという会話をしていました」
第4ステージ結果(213.2㎞)
1位 ラクラン・モートン(ジェリーベリーP/Bマキシス) 5時間33分44秒
2位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +00秒
3位 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
4位 木村圭佑(シマノレーシング)
5位 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +03秒
6位 リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +34秒
7位 ジョン・アベラストゥリ・イザガ(チーム右京)
8位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
9位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
10位 鈴木 龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
個人総合時間順位(最終結果)
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 12時間50分23秒
2位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +27秒
3位 リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)
4位 中根英登(愛三工業レーシングチーム) +29秒
5位 シリル・ティエリー(ヴェロクラブ・メンドリシオ) +30秒
6位 吉岡直哉(那須ブラーゼン)
7位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) +33秒
8位 ベンジャミン・プラデス(チーム右京) +35秒
9位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) +40秒
10位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +45秒
個人総合ポイント賞(最終結果)
1位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 39p
2位 リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 32p
3位 シリル・ティエリー(ヴェロクラブ・メンドリシオ) 28p
個人総合山岳賞(最終結果)
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 24p
2位 アレクサンダー・ブライコ(ジェリーベリーP/Bマキシス) 20p
3位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 17p
チーム総合順位(最終結果)
1位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム 38時間39分38秒
2位 ヴェロクラブ・メンドリシオ +05秒
3位 キナンサイクリングチーム +2分39秒
U26チーム総合順位(最終結果)
1位 ヴェロクラブ・メンドリシオ 38時間54分40秒
2位 シマノレーシング +4分49秒
3位 京都産業大学 +9分31秒
photo&text:Hideaki TAKAGI、Satoru KATO
リーダーの増田と2位以下は27秒差で迎えた最終ステージ
ツール・ド・北海道最終ステージの第4ステージが9月3日(土)、倶知安町から札幌市までの213.2kmで行われた。最終ステージは各チームの思惑が交錯し激しい展開になることが多い。今年のツール・ド・北海道も個人総合順位をキープしたいチーム、ステージ優勝を狙うチーム、UCIポイントを獲得(ステージ3位と総合10位まで)したいチームなどの思惑が入り激しい展開に。
前ステージまでに個人総合リーダーの増田成幸(宇都宮ブリッツェン)は、2位ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) らに27秒のタイム差をつけている。しかし最終ステージは距離が長く序盤に山岳、終盤に小さいながらも侮れないKOMがある。リーダーの1チームだけでコントロールできるコースではない。他チームも狙うものがあり、どこからどの程度リーダーチームに協力するかも行方を左右する。
スタート後から激しいアタックが繰り返される。5km地点の上りでは全日本チャンピオンの初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)がアタック。これに鈴木龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、湊諒(シマノレーシング)が合流。さらにアタックがかかるが、ニセコアンヌプリKOMへ向けてラクラン・モートン(ジェリーベリーP/Bマキシス)が先頭を引き安定化。KOMはアレクサンダー・ブライコ(ジェリーベリーP/Bマキシス)が先頭通過するが増田も2位通過し山岳賞をほぼ確定させる。
序盤に決まった強力な5人の逃げ
下り区間で集団はばらけるがすぐに一つにまとまる。この瞬間に木村圭佑(シマノレーシング)がアタック。これにモートンらが反応し37km地点のピークを越えるときに吉岡、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)が合流し5人の逃げが完成する。登坂区間で力ずくでできたこの強力な5人の逃げはすぐに後続との差を広げていく。メイン集団もこの逃げを容認する。
先頭5人から一時はモートンが軽くアタックするがその後は安定したローテーションで逃げを拡大する。今シーズンにステージレース総合2勝のモートン、全日本TTチャンピオンの西薗、Jプロツアーリーダーのホセ・ビセンテ、今シーズン好調で全日本ロード3位の木村、前日までの2ステージでアタックを繰り返していた吉岡の強力逃げは侮れない。4人は総合約7分遅れだが吉岡は1分04秒差で、これはメイン集団の総合上位陣にとって大きな脅威だ。
タイム差は11分を超える
序盤はリーダーチームの大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が先頭を引きおよそ50km地点からは総合4位の中根英登を擁する愛三工業レーシングチームから小森亮平が先頭を引く。しばらくこの2人で、さらにキナンサイクリングチームも加わってメイン集団の先頭を引く。しかし逃げ続ける先頭5人はハイペースを維持し最大11分半にまで差を広げ、残り100kmで吸収できるか微妙になる。強力なモートンや総合1分差の吉岡らの逃げ切りは、メイン集団のチームにとっては避けなければいけない。
ここで宇都宮ブリッツェンから堀孝明がそして総合2位のNIPPOヴィーニファンティーニからダニエーレ・コッリが、さらにジョン・アベラストゥリでステージを狙うチーム右京から住吉宏太が先頭に出て120km地点付近から本格的な追走を開始する。残り100kmで11分のタイム差だ。メンバーを考えると逃げ切りも考えられる。そして吉岡の逆転での個人総合優勝の可能性も出てきた。
逃げる5人と猛追するメイン集団
各チームのアシストが引いた結果、先頭とのタイム差は8分、そして5分と縮まったがそこから先が止まってしまう。先頭5人もハイペースを維持している。支笏湖畔を抜けて最後のKOMへ先頭は差し掛かる。残り40kmでその差は5分。そして上り区間で先頭からモートンが一度仕掛けるが集団に戻り、モートン先頭でKOMをクリアし5人でフィニッシュの札幌市内へ時速60km以上のスピードを維持し下っていく。
ラクラン・モートン(ジェリーベリーP/Bマキシス)が逃げ切り勝利
メイン集団もハイペースで追い上げた結果、KOMを越えた時点で26人にまで減ってしまう。もちろんリーダーの増田は鈴木譲とともに残っている。そしてラスト5kmでタイム差は1分で逃げ切りがほぼ確実に。増田の個人総合はキープできそうだが吉岡がどこまで順位を上げるか。そしてフィニッシュ地点に先頭で現れたのはホセ・ビセンテ・これを直前でかわしたモートンが優勝。西薗、木村が続き吉岡は3秒のタイム差でフィニッシュ。
メイン集団はラスト3kmで佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がアタックしたがフィニッシュ直前でリカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がかわし6位に。総合成績の行方は秒差となりしばらくアナウンスが流れない。やがて増田の個人総合優勝が発表され、そして吉岡は前日までの13位から6位まで順位を上げた。最終ステージにふさわしい激しい戦いは、実力者モートンの逃げ切り優勝と、猛烈な追走の結果で増田の総合優勝という成績で幕を閉じた。
際立った増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の強さ
モートンは前日までメイン集団を引いたりこの日も序盤はチームメイトの山岳アシストとして動いていたが、最終日に前評判通りの強さを見せた。吉岡は最終的に届かなかったもののこの日はホットスポットで3秒獲得するなど挑戦を続け、手に汗握る展開を作った。そしてなんといっても増田の強さはプロトン内で随一のもの。他チームは策を講じたが、真っ向勝負では太刀打ちできない増田の強さを認めるしかなかった。
「宮澤選手、都貴選手に少しでも近づきたかった」増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
ー今日は逃げとの差が最大11分あって、終盤もなかなか縮まりませんでしたが?
あせる気持ちはありました。11分という時間は3人でどうこう出来るものではなかったので、利害関係の一致する他チームと協調する事を模索していました。幸いにもNIPPOと愛三とキナンが1人ずつ出してくれて協調体制が出来ました。運や展開にも恵まれて、リーダージャージを守れたと思います。
ーツール・ド・北海道に初めて出場したのが10年前という事ですが、ミヤタ時代?
そうです。ミヤタでプロデビューして、ツール・ド・北海道に初出場しました。ヨーロッパに通じるようなラインレースで、いつかこのレースで優勝したいと思っていましたが、念願がかなってとても嬉しいです。
ー清水監督は、増田選手はもっと高いレベルのレースを走る選手なんだと言っていました。
そう言ってくれるのは嬉しいです。僕自身世界のトップレベルで走った事があるので、どれだけ走れたら世界に通用するのかというイメージは持っています。キャノンデールでは(ペーター・)サガンや他のチームメイトの強さを知って、自分はこんなんじゃダメなんだというのを味わってきました。こっちに戻ってきてからも腐らずに一歩一歩前進してきた事が、北海道の総合優勝に結びついたのかなと思っています。
ー歴代優勝者には、かつてのチームメイトの名前がありますね?
(かつてチームメイトの)宮澤崇史選手や清水都貴選手を目標として少しでも近づきたいと思ってここまでやってきました。特に都貴さんはピークで一番強い時に引退してしまったので、僕の中の都貴さんの像を追いかけてきました。今こうして、あそこ(式典会場に貼られてあった歴代勝者のパネル)に、宮澤さんや都貴さんと並ぶ事が出来るのは感慨深いものがあります。宮澤さんからは早速メールで「おめでとう」とお祝いをもらいました。
「栗村さんにやっと恩返しができた」清水祐輔監督
「今日は最後まで怖くて、総合優勝に向けて今日は本当に厳しくて4人しかなく、1チームだけでコントロールするのは無理だとわかっていました。いつ、ほかのチームと協力してもらえるか考えていました。チームのみんなも最後まで我慢してくれて全力で頑張ってくれて両方がかみ合った結果です。今日は正直本当にわからなかった。最後まで限界で踏んでいたし最後まで分からなかったです」
「総合成績には吉岡しか絡んでいなかったので、100kmくらいでしたか、ほかのチームに協力をもらいました。僕らには1分余裕があってほかのチームには30秒しかなかったし。過去にNIPPOがそういうやりかたで総合優勝しているし今回はNIPPOをお手本にしたところもありますね。チームにとっても僕にとってもいい勉強になったし、結果を残せてよかったです。選手たちが実力を兼ね備えてくれたのでそういう戦い方ができました」
「ブリッツェンの監督をやらせてもらって3年目、日本人だけでやれるというところを見せたかったです。僕が昔梅丹で浅田さんの下でやっていたとき どうしてもやりたいなと、できるんだというのを証明したくて。それができたということが嬉しいです。栗村さんにやっと恩返しができました」
「木村はステージで僕は総合をという会話をした」吉岡直哉(那須ブラーゼン)
「悔しいですね。ホットスポットで3秒もらったこともあったので、差が1分あればといけると確信して最後の最後まで絶対勝つと信じて踏むことだけを考えていたのですが。最後に牽制が入ってしまって僕だけが引いたのですが。でもステップアップはしていると思います。(京都産業大学で同期だった)木村とは2日連続の逃げです。仲がいいみたいですね(笑)。木村とは、一緒に行って僕は総合優勝取れるし木村もステージ狙いたいという会話をしていました」
第4ステージ結果(213.2㎞)
1位 ラクラン・モートン(ジェリーベリーP/Bマキシス) 5時間33分44秒
2位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +00秒
3位 西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
4位 木村圭佑(シマノレーシング)
5位 吉岡直哉(那須ブラーゼン) +03秒
6位 リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +34秒
7位 ジョン・アベラストゥリ・イザガ(チーム右京)
8位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)
9位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
10位 鈴木 龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
個人総合時間順位(最終結果)
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 12時間50分23秒
2位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +27秒
3位 リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)
4位 中根英登(愛三工業レーシングチーム) +29秒
5位 シリル・ティエリー(ヴェロクラブ・メンドリシオ) +30秒
6位 吉岡直哉(那須ブラーゼン)
7位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム) +33秒
8位 ベンジャミン・プラデス(チーム右京) +35秒
9位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) +40秒
10位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +45秒
個人総合ポイント賞(最終結果)
1位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 39p
2位 リカルド・スタキオッティ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 32p
3位 シリル・ティエリー(ヴェロクラブ・メンドリシオ) 28p
個人総合山岳賞(最終結果)
1位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) 24p
2位 アレクサンダー・ブライコ(ジェリーベリーP/Bマキシス) 20p
3位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 17p
チーム総合順位(最終結果)
1位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム 38時間39分38秒
2位 ヴェロクラブ・メンドリシオ +05秒
3位 キナンサイクリングチーム +2分39秒
U26チーム総合順位(最終結果)
1位 ヴェロクラブ・メンドリシオ 38時間54分40秒
2位 シマノレーシング +4分49秒
3位 京都産業大学 +9分31秒
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