2016/07/03(日) - 10:54
荒れ模様のツール・ド・フランス第1ステージが終了。ステージ優勝を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)や落車したアルベルト・コンタドール(スペイン)らのコメントを紹介します。
ステージ通算27勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
ディメンションデータにとってツール・ド・フランスでステージ優勝を飾ることは大きなゴールだった。そのゴールを達成するとともに、チームのスポンサーやキュベカ基金のためにイエロージャージを獲得することができてよかった。キュベカ基金は『子供たちに自転車を』というキャンペーンを行っていて、5000台の自転車をアフリカの子供たちに送ることになっている。
今日はフィニッシュまで追い風が吹くと思っていたけど、残り数キロは横風基調になった。だから周りを見渡して、スプリントを仕掛けるタイミングを待ち続けた。ちょうど良いタイミングでサガンが飛び出して、その差を詰めるようにしてスプリント。トップスピードに乗った状態でサガンをパスした。もうフィニッシュラインまで誰にも並ばせなかった。
ツール・ド・フランスはいつでもツール・ド・フランス。ステージ優勝はいつでも特別で、信じられない気持ちになる。ステージ優勝の一つ一つに人生を変えるほどの大きなインパクトがあり、とてもエモーショナルになった。これまでの27勝は同じものが一つとしてない。ステージ優勝した街や所属していたチーム、その細かな状況が記憶の中に刻まれている。
初めてマイヨジョーヌを着て走る明日のステージは特別なものになる。マイヨジョーヌはロードレースにおいて最も象徴的なジャージの一つ。我々が今享受している自由を得るために多くの犠牲が払われたこのユタビーチでマイヨジョーヌに袖を通したことを誇りに思う。このユタビーチで亡くなった戦没者への追悼セレモニーでは特別な気持ちになったよ。
ステージ2位に甘んじたマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
ラスト5kmは力と力のぶつかり合いだった。スプリンターだけではなく総合狙いの選手まで集団先頭に上がる混沌とした状況。そんな中でもチームメイトは素晴らしいリードアウトを見せ、おかげで良いポジションをキープできた。
左側のラインから早めにスプリントを仕掛けなければならない展開になってしまった一方で、マーク(カヴェンディッシュ)はタイミングを待ってからスプリント。そこで差がついてしまった。風が吹いている状況で後ろから勢い良く加速する選手には対応できない。目標とするステージ優勝を逃してしまったので残念だけど、マークの勝利を祝福したい。彼は世界最速スプリンターの一人であり、彼に負けることは恥じゃない。それに今日はチームの連携も確認できたし、脚の調子も良かった。この先のステージでまたチャンスはやってくる。
ステージ3位に入ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
今日は集団内がピリピリしていた。全く意味のない緊張感に包まれていた。個人的にはステージ3位には満足しているし、スプリントでは問題なく力を出し切ることができた。初日としては良い結果だと思う。
ステージ5位でマイヨブランを獲得したエドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
ステージ5位は自分にとって勝利に等しい。今日はファビアン(カンチェラーラ)とヤスパー(ストゥイフェン)に守られて残り15kmを走った。トップスプリンターに対抗してポジション取りするだけで体力を使ってしまい、最後の最後でそのツケが回ってしまったと思う。
残り400mでキッテルの後ろを走っている時、ステージ優勝のチャンスがあるんじゃないかと淡い期待をしてしまった。でもキッテルのスリップストリームから抜け出ることなんてできなかった。
ステージ7位のブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
残り5kmの落車でリードアウト役のアンジェロ(テュリク)が脱落してしまったけど、落ち着いて勝負に持ち込んだ。パニックにならなかったことは成長の証だと思う。ヨヨ(ジェーヌ)とシルヴァン(シャヴァネル)を見つけ、彼らにリードアウトされてポジションアップ。賢く走れば必ず勝てると自分に言い聞かせた。グライペルの番手をとったけど、そこからフェンス側に押しやられ、行く手を阻まれてしまった。変速の必要があるほど減速してしまったのでスプリントで出遅れた。カヴェンディッシュは今日の優勝候補だと思っていたよ。
落車して右半身に打撲を負ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
最高のスタートとは言えない。足首から上半身まで、身体の右側を地面に打ち付けてしまった。風が吹いていたので集団前方をキープしていたものの、コーナーに差し掛かった際にフロントホイールが中央分離帯と接触。地面に身体を打ち付けて、後続の選手が肩と接触した。
でもこれでツールが終わったわけじゃない。家には帰らずに走り続け、数日を乗り切って山岳までに回復したい。腕を一定の角度にすると肩が痛むけど、楽観的にリカバリーしたいと思う。
マイヨアポワを獲得したポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
とても良い気分だ。チームメイトのサム・ベネットが落車してしまったものの、チームにとっては良い1日になったと思う。サムが明日以降も走れることを望んでいるよ。現実的に、今日は逃げ切りの可能性が極めて低いと思っていた。でもレースを盛り上げたくて、そして山岳賞ジャージを狙いたくて序盤にアタックした。
2つめの4級山岳までの独走は苦しかったけど、結果として山岳賞トップに立てたので努力が報われた。数日はこのジャージを守れると思う。でも自分はピュアクライマーではないのでいずれ手放すことになるだろう。
敢闘賞を獲得したアントニー・ドゥラプラス(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
今日は一生忘れられない日になる。190kmにわたって自分の名前が沿道に響いていた。残り30kmの時点で脚はいっぱいいっぱいだったけど、痛みを忘れてしまうような応援が心に届いた。
逃げ切れなかったし、山岳賞ジャージにも届かなかったけど、素晴らしい時間を経験できたよ。地元を走るツールで逃げるなんて頻繁にあることじゃないし、地元で表彰台に上るなんて。チームはこれからも表彰台を目指して戦っていく。
text:Kei Tsuji
ステージ通算27勝目を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
ディメンションデータにとってツール・ド・フランスでステージ優勝を飾ることは大きなゴールだった。そのゴールを達成するとともに、チームのスポンサーやキュベカ基金のためにイエロージャージを獲得することができてよかった。キュベカ基金は『子供たちに自転車を』というキャンペーンを行っていて、5000台の自転車をアフリカの子供たちに送ることになっている。
今日はフィニッシュまで追い風が吹くと思っていたけど、残り数キロは横風基調になった。だから周りを見渡して、スプリントを仕掛けるタイミングを待ち続けた。ちょうど良いタイミングでサガンが飛び出して、その差を詰めるようにしてスプリント。トップスピードに乗った状態でサガンをパスした。もうフィニッシュラインまで誰にも並ばせなかった。
ツール・ド・フランスはいつでもツール・ド・フランス。ステージ優勝はいつでも特別で、信じられない気持ちになる。ステージ優勝の一つ一つに人生を変えるほどの大きなインパクトがあり、とてもエモーショナルになった。これまでの27勝は同じものが一つとしてない。ステージ優勝した街や所属していたチーム、その細かな状況が記憶の中に刻まれている。
初めてマイヨジョーヌを着て走る明日のステージは特別なものになる。マイヨジョーヌはロードレースにおいて最も象徴的なジャージの一つ。我々が今享受している自由を得るために多くの犠牲が払われたこのユタビーチでマイヨジョーヌに袖を通したことを誇りに思う。このユタビーチで亡くなった戦没者への追悼セレモニーでは特別な気持ちになったよ。
ステージ2位に甘んじたマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
ラスト5kmは力と力のぶつかり合いだった。スプリンターだけではなく総合狙いの選手まで集団先頭に上がる混沌とした状況。そんな中でもチームメイトは素晴らしいリードアウトを見せ、おかげで良いポジションをキープできた。
左側のラインから早めにスプリントを仕掛けなければならない展開になってしまった一方で、マーク(カヴェンディッシュ)はタイミングを待ってからスプリント。そこで差がついてしまった。風が吹いている状況で後ろから勢い良く加速する選手には対応できない。目標とするステージ優勝を逃してしまったので残念だけど、マークの勝利を祝福したい。彼は世界最速スプリンターの一人であり、彼に負けることは恥じゃない。それに今日はチームの連携も確認できたし、脚の調子も良かった。この先のステージでまたチャンスはやってくる。
ステージ3位に入ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
今日は集団内がピリピリしていた。全く意味のない緊張感に包まれていた。個人的にはステージ3位には満足しているし、スプリントでは問題なく力を出し切ることができた。初日としては良い結果だと思う。
ステージ5位でマイヨブランを獲得したエドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
ステージ5位は自分にとって勝利に等しい。今日はファビアン(カンチェラーラ)とヤスパー(ストゥイフェン)に守られて残り15kmを走った。トップスプリンターに対抗してポジション取りするだけで体力を使ってしまい、最後の最後でそのツケが回ってしまったと思う。
残り400mでキッテルの後ろを走っている時、ステージ優勝のチャンスがあるんじゃないかと淡い期待をしてしまった。でもキッテルのスリップストリームから抜け出ることなんてできなかった。
ステージ7位のブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
残り5kmの落車でリードアウト役のアンジェロ(テュリク)が脱落してしまったけど、落ち着いて勝負に持ち込んだ。パニックにならなかったことは成長の証だと思う。ヨヨ(ジェーヌ)とシルヴァン(シャヴァネル)を見つけ、彼らにリードアウトされてポジションアップ。賢く走れば必ず勝てると自分に言い聞かせた。グライペルの番手をとったけど、そこからフェンス側に押しやられ、行く手を阻まれてしまった。変速の必要があるほど減速してしまったのでスプリントで出遅れた。カヴェンディッシュは今日の優勝候補だと思っていたよ。
落車して右半身に打撲を負ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
最高のスタートとは言えない。足首から上半身まで、身体の右側を地面に打ち付けてしまった。風が吹いていたので集団前方をキープしていたものの、コーナーに差し掛かった際にフロントホイールが中央分離帯と接触。地面に身体を打ち付けて、後続の選手が肩と接触した。
でもこれでツールが終わったわけじゃない。家には帰らずに走り続け、数日を乗り切って山岳までに回復したい。腕を一定の角度にすると肩が痛むけど、楽観的にリカバリーしたいと思う。
マイヨアポワを獲得したポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
とても良い気分だ。チームメイトのサム・ベネットが落車してしまったものの、チームにとっては良い1日になったと思う。サムが明日以降も走れることを望んでいるよ。現実的に、今日は逃げ切りの可能性が極めて低いと思っていた。でもレースを盛り上げたくて、そして山岳賞ジャージを狙いたくて序盤にアタックした。
2つめの4級山岳までの独走は苦しかったけど、結果として山岳賞トップに立てたので努力が報われた。数日はこのジャージを守れると思う。でも自分はピュアクライマーではないのでいずれ手放すことになるだろう。
敢闘賞を獲得したアントニー・ドゥラプラス(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
今日は一生忘れられない日になる。190kmにわたって自分の名前が沿道に響いていた。残り30kmの時点で脚はいっぱいいっぱいだったけど、痛みを忘れてしまうような応援が心に届いた。
逃げ切れなかったし、山岳賞ジャージにも届かなかったけど、素晴らしい時間を経験できたよ。地元を走るツールで逃げるなんて頻繁にあることじゃないし、地元で表彰台に上るなんて。チームはこれからも表彰台を目指して戦っていく。
text:Kei Tsuji
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