2016/07/01(金) - 19:47
ノルマンディー上陸作戦よろしく軍用トラックの荷台に乗って選手たちが登場した。奇抜な演出によって紹介された198人の選手は、マンシュ県でのグランデパールへと走りだす準備ができた。
恒例のチームプレゼンテーションはサント・メール・エグリーズが会場となった。マンシュ県でのグランデパールのHQが置かれるサンローから約40km。海が近いこの街は、1944年にアメリカなど連合軍がフランスに乗り込んだ、まさにノルマンディ上陸作戦の舞台となった地だ。
プレゼン会場はその戦争祈念の場。当時の戦車などが展示される軍事博物館などが舞台に。ノルマンディー地方の天気はこの数日間ずっと曇り空だ。この日も霧雨が時折降る肌寒い天候のなか、18時半から式典は開始された。
交通の不便な地に詰めかけた観客たち。ツールが訪問するのも稀な土地だけに、盛り上がりは相当なものだ。昨年までは国外スタートが続いたが、3年ぶりのフランス国内開幕。僻地だけに海外からの観客は少なく、地元の人が大半を占めているように見えた。獅子の描かれたマンシュ県の赤い旗がはためく。
選手たちはかつての軍用トラックなどにチームごとに乗り込み、会場へと現れた。近年ボートでの登場が多くなったが、この光景の奇抜さは久々だ。
シェルブール出身のアマエル・モワナール(BMCレーシング)をはじめ、アントニー・ドゥラプラス(フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)などマンシュ県出身の選手たちへの応援が目立つ。
近くのヴァンデ県から来たフランスチームのディレクトエネルジーを皮切りに、3つのグループ分けでチームが登壇した。
キャノンデールはキャノンデール・ドラパックと名も変えて登場。グリーンアーガイルにDrapacの赤がアクセントになり、バイクも新カラーで登場。なかなかシャープな印象だ。この後もこのツールを機会にジャージが変わったチームが続々と登壇することに。アメリカンチームに移籍したピエール・ロラーンは、MCにそそのかされて「英語はすごい喋れるよ」とおどける。
トレック・セガフレードは髪を伸ばして一層セクシーになったファビアン・カンチェラーラがなんといっても一番人気。最後のツールのために用意された特別なSPARTACUSペイントが施されたバイクに乗る。結局は最後までファビアンへの声援がいちばん大きかった。日本人としては別府史之の不選出が寂しい。今年、ツール・ド・フランス出場メンバーが沿うレースプログラムで走ってきただけに2009年ぶりにフミ・ユキヤが揃うことを期待したが、叶わなかった。
IAMサイクリングのソンドレホルスト・エンゲル(ノルウェー)がMCにけしかけられ、突然壇上で踊り出した。これは4月のツール・ド・クロアチアで勝利した際に、ポディウムの上でダンスを踊った(しかもかなり長い時間!)ことが大ウケしたことからのリクエスト。名づけて「踊る北欧人」は、理由を知らない観客は呆気にとられるパフォーマンスだったはずだ。ちなみにツール・ド・クロアチアでのダンスシーンはこちらのYOUTUBE動画に。昨夜のプレゼンでのダンスを見逃した方はこちらの動画でお楽しみください。
ランプレ・メリダの登場。新城幸也はルイ・コスタに続いて2番手の登壇。アクションカムで動画を撮って遊ぶコスタのカメラに映り込むユキヤは終始ニコニコの笑顔。ツールに出場できた喜びがそのまま顔に現れている。後ろ髪を切ってさっぱりしているので余計にチャーミングだ。
ホアキン・ロドリゲスが率いてカチューシャが登壇。ようこそツールへ、と祝福されるのはクリテリウム・ドーフィネの山岳ステージで落車して負傷したイルヌール・ザッカリンだ。快気祝いにMCからマンシュのキャラクターである羊のぬいぐるみを受け取っってニッコリ。
ロット・ソウダルはドイツチャンピオンジャージを着たアンドレ・グライペルが率いて登壇。昨年もっとも強かったスプリンターは今年、再びスプリントステージで輝くことができるか。チーム全員の胸には「FIGHT FOR STIG」と書かれたワッペンがピン留めされていた。これはレース中に随行オートバイにはねられて負傷したスティグ・ブロークスへの想いを込めたものだ。ブロークスの容態は深刻で、依然として植物状態にあるという。チームメイトたちの表情は重い。
ジャイアント・アルペシンはこのツールのために白いジャージを用意した。マヨルカ島での冬季キャンプの際に、運転を誤ったクルマに6人のチームメイトがはねられるという大惨事に見舞われた。ジョン・デゲンコルブもその一人で、指を切断しかける重症を負った。指のサポーターは取れたが、指の問題は消えないという。日焼けが少ない白い肌。例年よりも勝利数の少ないチームはこのツールで勝負に絡めるか?
BMCレーシングは今季から移籍したリッチー・ポートが率いて登壇。イメージチェンジを感じさせる白いバイクに乗ってやってきた。すっかり気配を消して目立たないティージェイ・ヴァンガードレンだが、ダブルエース体制での闘いに興味津々だ。第1ステージのゴール地点となるシェルブール出身のアマエル・モワナールへの声援はひときわ大きい。
ティンコフはペーター・サガンにマイクが渡され、MCから「君がチームメイトを紹介してくれ」という一言。ここ最近の流れに則ってのセルフプレゼンの提案だ。サガンは茶目っ気たっぷりにまずコンタドールを紹介。代わってコンタドールがサガンを紹介。その様子はなんとも楽しそうだった。
ロマン・クロイツィゲルがチェコの、ラファル・マイカがポーランドのナショナルチャンピオンジャージを着る。サガンのレインボーとあわせて、「チームにはいっぱいナショナルチャンピオンがいるよ!」とサガンは紹介した。
最後のトリはチームスカイだ。もちろんフルームには抱負を聞くミニインタビュー。チームスカイには他のチームならリーダーになれる選手が何人も揃っている。
ツール前に慌ただしく発表された新スポンサーや新体制、新名称への変更。ボーラ・アルゴン18、オリカ・バイクエクスチェンジ、キャノンデール・ドラパック、ジャイアント・アルペシンなど。新ジャージと新チーム名称はまだ見慣れないが、マンシュ県を出る3日後には馴染むことだろう。
プレゼン終了は夜21時過ぎ。明日は残り半数近くのチームの記者会見や大会関係者やプレスの登録、ミーティングなどに追われる一日だ。
プレゼンの模様は大量掲載のフォトギャラリーでお楽しみください。
photo&text:Makoto.AYANO
photo:Kei. TSUJI in Saint-Lo, France
恒例のチームプレゼンテーションはサント・メール・エグリーズが会場となった。マンシュ県でのグランデパールのHQが置かれるサンローから約40km。海が近いこの街は、1944年にアメリカなど連合軍がフランスに乗り込んだ、まさにノルマンディ上陸作戦の舞台となった地だ。
プレゼン会場はその戦争祈念の場。当時の戦車などが展示される軍事博物館などが舞台に。ノルマンディー地方の天気はこの数日間ずっと曇り空だ。この日も霧雨が時折降る肌寒い天候のなか、18時半から式典は開始された。
交通の不便な地に詰めかけた観客たち。ツールが訪問するのも稀な土地だけに、盛り上がりは相当なものだ。昨年までは国外スタートが続いたが、3年ぶりのフランス国内開幕。僻地だけに海外からの観客は少なく、地元の人が大半を占めているように見えた。獅子の描かれたマンシュ県の赤い旗がはためく。
選手たちはかつての軍用トラックなどにチームごとに乗り込み、会場へと現れた。近年ボートでの登場が多くなったが、この光景の奇抜さは久々だ。
シェルブール出身のアマエル・モワナール(BMCレーシング)をはじめ、アントニー・ドゥラプラス(フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)などマンシュ県出身の選手たちへの応援が目立つ。
近くのヴァンデ県から来たフランスチームのディレクトエネルジーを皮切りに、3つのグループ分けでチームが登壇した。
キャノンデールはキャノンデール・ドラパックと名も変えて登場。グリーンアーガイルにDrapacの赤がアクセントになり、バイクも新カラーで登場。なかなかシャープな印象だ。この後もこのツールを機会にジャージが変わったチームが続々と登壇することに。アメリカンチームに移籍したピエール・ロラーンは、MCにそそのかされて「英語はすごい喋れるよ」とおどける。
トレック・セガフレードは髪を伸ばして一層セクシーになったファビアン・カンチェラーラがなんといっても一番人気。最後のツールのために用意された特別なSPARTACUSペイントが施されたバイクに乗る。結局は最後までファビアンへの声援がいちばん大きかった。日本人としては別府史之の不選出が寂しい。今年、ツール・ド・フランス出場メンバーが沿うレースプログラムで走ってきただけに2009年ぶりにフミ・ユキヤが揃うことを期待したが、叶わなかった。
IAMサイクリングのソンドレホルスト・エンゲル(ノルウェー)がMCにけしかけられ、突然壇上で踊り出した。これは4月のツール・ド・クロアチアで勝利した際に、ポディウムの上でダンスを踊った(しかもかなり長い時間!)ことが大ウケしたことからのリクエスト。名づけて「踊る北欧人」は、理由を知らない観客は呆気にとられるパフォーマンスだったはずだ。ちなみにツール・ド・クロアチアでのダンスシーンはこちらのYOUTUBE動画に。昨夜のプレゼンでのダンスを見逃した方はこちらの動画でお楽しみください。
ランプレ・メリダの登場。新城幸也はルイ・コスタに続いて2番手の登壇。アクションカムで動画を撮って遊ぶコスタのカメラに映り込むユキヤは終始ニコニコの笑顔。ツールに出場できた喜びがそのまま顔に現れている。後ろ髪を切ってさっぱりしているので余計にチャーミングだ。
ホアキン・ロドリゲスが率いてカチューシャが登壇。ようこそツールへ、と祝福されるのはクリテリウム・ドーフィネの山岳ステージで落車して負傷したイルヌール・ザッカリンだ。快気祝いにMCからマンシュのキャラクターである羊のぬいぐるみを受け取っってニッコリ。
ロット・ソウダルはドイツチャンピオンジャージを着たアンドレ・グライペルが率いて登壇。昨年もっとも強かったスプリンターは今年、再びスプリントステージで輝くことができるか。チーム全員の胸には「FIGHT FOR STIG」と書かれたワッペンがピン留めされていた。これはレース中に随行オートバイにはねられて負傷したスティグ・ブロークスへの想いを込めたものだ。ブロークスの容態は深刻で、依然として植物状態にあるという。チームメイトたちの表情は重い。
ジャイアント・アルペシンはこのツールのために白いジャージを用意した。マヨルカ島での冬季キャンプの際に、運転を誤ったクルマに6人のチームメイトがはねられるという大惨事に見舞われた。ジョン・デゲンコルブもその一人で、指を切断しかける重症を負った。指のサポーターは取れたが、指の問題は消えないという。日焼けが少ない白い肌。例年よりも勝利数の少ないチームはこのツールで勝負に絡めるか?
BMCレーシングは今季から移籍したリッチー・ポートが率いて登壇。イメージチェンジを感じさせる白いバイクに乗ってやってきた。すっかり気配を消して目立たないティージェイ・ヴァンガードレンだが、ダブルエース体制での闘いに興味津々だ。第1ステージのゴール地点となるシェルブール出身のアマエル・モワナールへの声援はひときわ大きい。
ティンコフはペーター・サガンにマイクが渡され、MCから「君がチームメイトを紹介してくれ」という一言。ここ最近の流れに則ってのセルフプレゼンの提案だ。サガンは茶目っ気たっぷりにまずコンタドールを紹介。代わってコンタドールがサガンを紹介。その様子はなんとも楽しそうだった。
ロマン・クロイツィゲルがチェコの、ラファル・マイカがポーランドのナショナルチャンピオンジャージを着る。サガンのレインボーとあわせて、「チームにはいっぱいナショナルチャンピオンがいるよ!」とサガンは紹介した。
最後のトリはチームスカイだ。もちろんフルームには抱負を聞くミニインタビュー。チームスカイには他のチームならリーダーになれる選手が何人も揃っている。
ツール前に慌ただしく発表された新スポンサーや新体制、新名称への変更。ボーラ・アルゴン18、オリカ・バイクエクスチェンジ、キャノンデール・ドラパック、ジャイアント・アルペシンなど。新ジャージと新チーム名称はまだ見慣れないが、マンシュ県を出る3日後には馴染むことだろう。
プレゼン終了は夜21時過ぎ。明日は残り半数近くのチームの記者会見や大会関係者やプレスの登録、ミーティングなどに追われる一日だ。
プレゼンの模様は大量掲載のフォトギャラリーでお楽しみください。
photo&text:Makoto.AYANO
photo:Kei. TSUJI in Saint-Lo, France
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