2016/06/30(木) - 14:20
ツール・ド・フランスのイメージカラーは黄色。つまりそれは総合リーダーの証であるマイヨジョーヌの色だ。フルームやキンタナ、コンタドールをはじめ、強力なメンバーが勢揃いする総合争いの注目選手をピックアップします。
ツール・ド・フランス総合リーダーの証 マイヨジョーヌ
イエロージャージを意味するマイヨジョーヌは総合リーダーの証。個人総合成績首位の選手だけが着用を許される栄光のジャージであり、総合優勝者は最終日パリの表彰台でマイヨジョーヌを受け取る。ジャージスポンサーはリヨンに拠点を置くLCL銀行。
2016年もボーナスタイムは継続。タイムトライアルを除いて、ステージ1位に10秒、ステージ2位6秒、ステージ3位4秒のボーナスタイムが与えられる。他のグランツールとは異なり、中間スプリントの上位通過者にボーナスタイムは与えられない。
フルーム、キンタナ、コンタドールの三強にポートやアルが挑む
2年連続3度目のツール制覇を狙うのがクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)だ。前哨戦クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは山岳ステージで優勝を飾るとともに総合優勝者。フルームは2013年と2015年にドーフィネとツール同年制覇を果たしており、今年も同様の良い流れに乗っている。
マイヨジョーヌ最有力候補であるフルームを支えるのは、他チームに移籍すればエースを張れる(実際に昨年までの相棒ポートは現在BMCのエース)ような選手たち。ゲラント・トーマス(イギリス)、ミケル・ランダ(スペイン)、セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア)、ワウト・ポエルス(オランダ)らが山岳ステージでフルーム専用トレインを形成する。平坦ステージでのアシスト体制も万全だ。
フルームの2度の総合優勝を最後まで脅かし、2度総合2位に入っているナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は「3度目の正直」でフルームを破ることができるだろうか。前哨戦ルード・ドゥ・スッドでは危なげなく総合優勝。個人タイムトライアルの走りに磨きをかけていることにも注目だ。山岳の比重が高いと言われる今年のコースはキンタナ向きだと言われ、ジロ総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)がバックアップする。
フルームとキンタナに加え、キャリア最後のツール出場となる可能性が高いアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)がマイヨジョーヌ候補のビッグスリー。2007年と2009年の総合優勝者(2010年の記録は抹消)コンタドールは昨年ジロ総合優勝&ツール総合5位。33歳の「エル・ピストレーロ」は15回目のグランツールで8回目の総合優勝を狙う。コンタドールを支えるのはロマン・クロイツィゲル(チェコ)やラファル・マイカ(ポーランド)らだ。
ビッグスリーに勝負を挑むのがリッチー・ポート(オーストラリア)とティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)という二枚看板を擁するBMCレーシング。アシスト役を卒業したポートは果たしてどこまで元エースのフルームに挑むことができるのか。2012年と2014年のツールで総合5位に入っているヴァンガーデレンとのタッグは強力だ。
ブエルタ・ア・エスパーニャを制したファビオ・アル(イタリア)と、ジロ・デ・イタリア覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)が揃うアスタナは3連続グランツール制覇を目指す。ツール初出場のアルがエースを担い、リオ五輪を見据えるニーバリがアシスト役。もちろん展開によってエースとアシストが入れ変わることも考えられる。
実に30年にわたって海外勢に総合優勝を奪われているフランスは、2014年総合3位のティボー・ピノ(FDJ)やロメン・バルデ(AG2Rラモンディアール)を中心に悲願のタイトル奪還を目指す。勢いのあるワレン・バーギル(ジャイアント・アルペシン)や、アメリカチームを率いるピエール・ロラン(キャノンデール)もマイヨジョーヌ争いに絡む能力を秘めている。いずれの選手も山岳ステージでの活躍が期待される。
ベテランクライマーのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)やジャパンカップの覇者バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ドーフィネを総合3位で終えたダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)らも総合上位候補。マイヨブラン対象選手でもあるジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)、ルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)といったヤングライダーたちにも注目だ。
ツール・ド・フランス2015総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 84h46’14”
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +1’12”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +5’25”
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +8’36”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +9’48”
6位 ロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +10’47”
7位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +15’14”
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) +15’39”
9位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +16’00”
10位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +17’30”
歴代のツール総合優勝者
2015年 クリス・フルーム(イギリス)
2014年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2013年 クリス・フルーム(イギリス)
2012年 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)
2011年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)※コンタドール失格による繰り上げ
2009年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2008年 カルロス・サストレ(スペイン)
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2006年 オスカル・ペレイロ(スペイン)※ランディス失格による繰り上げ
2005年ランス・アームストロング(アメリカ)
2004年ランス・アームストロング(アメリカ)
2003年ランス・アームストロング(アメリカ)
2002年ランス・アームストロング(アメリカ)
2001年ランス・アームストロング(アメリカ)
2000年ランス・アームストロング(アメリカ)
1999年ランス・アームストロング(アメリカ)
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)
1996年 ビャルヌ・リース(デンマーク)
1995年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1994年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1993年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1991年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1990年 グレッグ・レモン(アメリカ)
text:Kei Tsuji in Saint-Lô, France
ツール・ド・フランス総合リーダーの証 マイヨジョーヌ
イエロージャージを意味するマイヨジョーヌは総合リーダーの証。個人総合成績首位の選手だけが着用を許される栄光のジャージであり、総合優勝者は最終日パリの表彰台でマイヨジョーヌを受け取る。ジャージスポンサーはリヨンに拠点を置くLCL銀行。
2016年もボーナスタイムは継続。タイムトライアルを除いて、ステージ1位に10秒、ステージ2位6秒、ステージ3位4秒のボーナスタイムが与えられる。他のグランツールとは異なり、中間スプリントの上位通過者にボーナスタイムは与えられない。
フルーム、キンタナ、コンタドールの三強にポートやアルが挑む
2年連続3度目のツール制覇を狙うのがクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)だ。前哨戦クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは山岳ステージで優勝を飾るとともに総合優勝者。フルームは2013年と2015年にドーフィネとツール同年制覇を果たしており、今年も同様の良い流れに乗っている。
マイヨジョーヌ最有力候補であるフルームを支えるのは、他チームに移籍すればエースを張れる(実際に昨年までの相棒ポートは現在BMCのエース)ような選手たち。ゲラント・トーマス(イギリス)、ミケル・ランダ(スペイン)、セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア)、ワウト・ポエルス(オランダ)らが山岳ステージでフルーム専用トレインを形成する。平坦ステージでのアシスト体制も万全だ。
フルームの2度の総合優勝を最後まで脅かし、2度総合2位に入っているナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は「3度目の正直」でフルームを破ることができるだろうか。前哨戦ルード・ドゥ・スッドでは危なげなく総合優勝。個人タイムトライアルの走りに磨きをかけていることにも注目だ。山岳の比重が高いと言われる今年のコースはキンタナ向きだと言われ、ジロ総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)がバックアップする。
フルームとキンタナに加え、キャリア最後のツール出場となる可能性が高いアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)がマイヨジョーヌ候補のビッグスリー。2007年と2009年の総合優勝者(2010年の記録は抹消)コンタドールは昨年ジロ総合優勝&ツール総合5位。33歳の「エル・ピストレーロ」は15回目のグランツールで8回目の総合優勝を狙う。コンタドールを支えるのはロマン・クロイツィゲル(チェコ)やラファル・マイカ(ポーランド)らだ。
ビッグスリーに勝負を挑むのがリッチー・ポート(オーストラリア)とティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)という二枚看板を擁するBMCレーシング。アシスト役を卒業したポートは果たしてどこまで元エースのフルームに挑むことができるのか。2012年と2014年のツールで総合5位に入っているヴァンガーデレンとのタッグは強力だ。
ブエルタ・ア・エスパーニャを制したファビオ・アル(イタリア)と、ジロ・デ・イタリア覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)が揃うアスタナは3連続グランツール制覇を目指す。ツール初出場のアルがエースを担い、リオ五輪を見据えるニーバリがアシスト役。もちろん展開によってエースとアシストが入れ変わることも考えられる。
実に30年にわたって海外勢に総合優勝を奪われているフランスは、2014年総合3位のティボー・ピノ(FDJ)やロメン・バルデ(AG2Rラモンディアール)を中心に悲願のタイトル奪還を目指す。勢いのあるワレン・バーギル(ジャイアント・アルペシン)や、アメリカチームを率いるピエール・ロラン(キャノンデール)もマイヨジョーヌ争いに絡む能力を秘めている。いずれの選手も山岳ステージでの活躍が期待される。
ベテランクライマーのホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)やジャパンカップの覇者バウク・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、ドーフィネを総合3位で終えたダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)らも総合上位候補。マイヨブラン対象選手でもあるジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)、アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)、ルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)といったヤングライダーたちにも注目だ。
ツール・ド・フランス2015総合成績
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 84h46’14”
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +1’12”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +5’25”
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +8’36”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +9’48”
6位 ロベルト・へーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +10’47”
7位 バウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング) +15’14”
8位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) +15’39”
9位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +16’00”
10位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー) +17’30”
歴代のツール総合優勝者
2015年 クリス・フルーム(イギリス)
2014年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2013年 クリス・フルーム(イギリス)
2012年 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)
2011年 カデル・エヴァンス(オーストラリア)
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク)※コンタドール失格による繰り上げ
2009年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2008年 カルロス・サストレ(スペイン)
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2006年 オスカル・ペレイロ(スペイン)※ランディス失格による繰り上げ
2005年
2004年
2003年
2002年
2001年
2000年
1999年
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ)
1996年 ビャルヌ・リース(デンマーク)
1995年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1994年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1993年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1991年 ミゲル・インドゥライン(スペイン)
1990年 グレッグ・レモン(アメリカ)
text:Kei Tsuji in Saint-Lô, France
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