2016/06/07(火) - 10:21
ヘッドバットが連続する白熱したリードアウトバトルを経て繰り広げられたスプリント。ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が3日前に亡くなったモハメド・アリ氏に捧げる勝利を飾った。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第1ステージはフレンチアルプスの山あいの町クリューズをスタートし、スイス・ジュネーヴ近くを通ってレースは平野部を目指す。別府史之(トレック・セガフレード)の拠点に近いサン=ヴルバにフィニッシュする186kmコースには4つの4級山岳が設定されているものの、スプリンターにも問題のない難易度だ。
スプリンターにとって貴重な活躍の場であるこのドーフィネのロードステージ初日は、ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とフレデリック・バッカート(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)によるタンデム走行が4時間にわたって続くことになる。
総合で2分45秒遅れのバッカートに暫定的にマイヨジョーヌを奪われながらも、ティンコフは落ち着いて4分まで広がったタイム差を調整。レース後半に入るとティンコフに代わってカチューシャとコフィディスが集団先頭でコントロールを開始した。
バッカートが3つの4級山岳、ドッカーが1つの4級山岳を先頭通過したが、いずれも難易度の低さから獲得ポイントは3ポイントと1ポイント止まり。前日にステージ優勝を飾ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)の10ポイントには遠く及ばなかった。
スプリンターチームが積極的に牽引するメイン集団は残り20km地点でまずドッカーを、そして残り13km地点でバッカートを吸収。別府史之もエドワード・テウンス(ベルギー)の位置取りのために集団先頭に上がる。ロータリーやコーナーが連続するフィニッシュ手前で主導権を握ったのは、スプリンターチームではなく、総合エースの落車リスクを少しでも下げたいティンコフやチームスカイといった総合系チームだった。
隊列を組んでタイミングを探るスプリンターチームを従えながら、クリス・フルーム(イギリス)を導くチームスカイはそのままフラムルージュ(残り1kmアーチ)まで集団先頭で走行。するとそこからカチューシャとコフィディスの赤いリードアウトトレインが発進した。
競り合いながらハイスピードでフィニッシュに向かうカチューシャとコフィディスのリードアウトトレインと、エーススプリンターを担うアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)とナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)。発射台役とエーススプリンターがそれぞれヘッドバットで互いを攻撃するほどポジション争いは熾烈を極め、最終的にクリストフが良いポジションを得る。
しかしサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)の早めの仕掛けによってクリストフは後方に埋もれてしまい、瞬発力でベネットに食らいついたブアニが先頭に立つ。誰よりも低く、コンパクトなポジションでもがき続けたブアニが一人抜け出した状態となり、余裕を持って先頭でフィニッシュした。
レース後、コフィディスとカチューシャのバトルについて多くの選手から物言いがついた。ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)は「サイクリングはボクシングではない」というハッシュタグ付きでコフィディスの動きを批判している。なお、両チームにペナルティーは与えられていない。
フィニッシュでパンチを連打するパフォーマンスを見せたブアニは「自分にとって大きな存在で、真のレジェンドであるモハメド・アリに勝利を捧げたかった」とコメント。3日前に亡くなった偉大なボクサーを偲んだ。「最後はラポルト、グアルニエーリ、クリストフ、そして自分が接近戦を繰り広げた。先に仕掛けたサム・ベネットに反応し、残り100mで彼を抜いて先頭を維持したんだ。今シーズン8勝目で、UCIワールドツアーレース4勝目。明日ももちろんステージ優勝を狙うよ」。
総合上位陣は同タイムの集団内でフィニッシュし、コンタドールが変わらずリーダージャージをキープ。マイヨヴェールはブアニの手に渡っている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2016第1ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) 4h27’53”
2位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
5位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
6位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
7位 トニー・ユレル(フランス、ディレクトエネルジー)
8位 ソンドレホルスト・エンゲル(ノルウェー、IAMサイクリング)
9位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
10位 エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
146位 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +1’00”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) 4h39’29”
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +06”
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +13”
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +21”
5位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) +24”
6位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) +25”
7位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +29”
8位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +31”
9位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ) +37”
10位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター) +39”
ポイント賞
1位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
山岳賞
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
ヤングライダー賞
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
1位 チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第1ステージはフレンチアルプスの山あいの町クリューズをスタートし、スイス・ジュネーヴ近くを通ってレースは平野部を目指す。別府史之(トレック・セガフレード)の拠点に近いサン=ヴルバにフィニッシュする186kmコースには4つの4級山岳が設定されているものの、スプリンターにも問題のない難易度だ。
スプリンターにとって貴重な活躍の場であるこのドーフィネのロードステージ初日は、ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)とフレデリック・バッカート(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)によるタンデム走行が4時間にわたって続くことになる。
総合で2分45秒遅れのバッカートに暫定的にマイヨジョーヌを奪われながらも、ティンコフは落ち着いて4分まで広がったタイム差を調整。レース後半に入るとティンコフに代わってカチューシャとコフィディスが集団先頭でコントロールを開始した。
バッカートが3つの4級山岳、ドッカーが1つの4級山岳を先頭通過したが、いずれも難易度の低さから獲得ポイントは3ポイントと1ポイント止まり。前日にステージ優勝を飾ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)の10ポイントには遠く及ばなかった。
スプリンターチームが積極的に牽引するメイン集団は残り20km地点でまずドッカーを、そして残り13km地点でバッカートを吸収。別府史之もエドワード・テウンス(ベルギー)の位置取りのために集団先頭に上がる。ロータリーやコーナーが連続するフィニッシュ手前で主導権を握ったのは、スプリンターチームではなく、総合エースの落車リスクを少しでも下げたいティンコフやチームスカイといった総合系チームだった。
隊列を組んでタイミングを探るスプリンターチームを従えながら、クリス・フルーム(イギリス)を導くチームスカイはそのままフラムルージュ(残り1kmアーチ)まで集団先頭で走行。するとそこからカチューシャとコフィディスの赤いリードアウトトレインが発進した。
競り合いながらハイスピードでフィニッシュに向かうカチューシャとコフィディスのリードアウトトレインと、エーススプリンターを担うアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)とナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)。発射台役とエーススプリンターがそれぞれヘッドバットで互いを攻撃するほどポジション争いは熾烈を極め、最終的にクリストフが良いポジションを得る。
しかしサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)の早めの仕掛けによってクリストフは後方に埋もれてしまい、瞬発力でベネットに食らいついたブアニが先頭に立つ。誰よりも低く、コンパクトなポジションでもがき続けたブアニが一人抜け出した状態となり、余裕を持って先頭でフィニッシュした。
レース後、コフィディスとカチューシャのバトルについて多くの選手から物言いがついた。ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)は「サイクリングはボクシングではない」というハッシュタグ付きでコフィディスの動きを批判している。なお、両チームにペナルティーは与えられていない。
フィニッシュでパンチを連打するパフォーマンスを見せたブアニは「自分にとって大きな存在で、真のレジェンドであるモハメド・アリに勝利を捧げたかった」とコメント。3日前に亡くなった偉大なボクサーを偲んだ。「最後はラポルト、グアルニエーリ、クリストフ、そして自分が接近戦を繰り広げた。先に仕掛けたサム・ベネットに反応し、残り100mで彼を抜いて先頭を維持したんだ。今シーズン8勝目で、UCIワールドツアーレース4勝目。明日ももちろんステージ優勝を狙うよ」。
総合上位陣は同タイムの集団内でフィニッシュし、コンタドールが変わらずリーダージャージをキープ。マイヨヴェールはブアニの手に渡っている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2016第1ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) 4h27’53”
2位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・アルゴン18)
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
5位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
6位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
7位 トニー・ユレル(フランス、ディレクトエネルジー)
8位 ソンドレホルスト・エンゲル(ノルウェー、IAMサイクリング)
9位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
10位 エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
146位 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +1’00”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) 4h39’29”
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +06”
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +13”
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +21”
5位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) +24”
6位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) +25”
7位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +29”
8位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +31”
9位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ) +37”
10位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター) +39”
ポイント賞
1位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
山岳賞
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
ヤングライダー賞
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
1位 チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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