2016/05/27(金) - 09:17
カブトより、2眼式の新型フラグシップアイウェア「Primato-α」が登場。3つの調整機構を設けることで、フィット感を追求したメイド・イン・ジャパンの意欲作をインプレッションした。
頭の形は千差万別。ヘルメットのように、アイウェアにも複数のサイズ展開やフィッティング機構があって良いはずだ。しかし、サイズはあっても2種類で、フィット感の調整もノーズパッドを入れ替えるぐらい。
そんな従来のアイウェア市場に新たな風を吹き込むのがカブトの新型モデル「Primato-α(プリマト・アルファ)」だ。その特徴は、24通りの中から最適なフィット感のセッティングを選ぶことのできる「KABUTO CUSTOM LOGIC」で、左右のテンプル間の幅、テンプルの剛性、レンズの上下前後位置という3点を好みに組み合わせて最適なフィットを得られるというものだ。
左右のテンプル間の幅については、ヒンジの根元に取り付けられたアジャスタブルスペーサーのサイズを変更することで調整可能だ。アジャスタブルスペーサーは、ヒンジの軸となるボルトを緩め、フロント部からテンプルを外すことで付け替えでき、S・M・Lという3サイズが標準で付属する。
テンプルの剛性は、付属するチタン製のパワープレートを装着するか否かで調整する。装着場所はアジャスタブルスペーサー後方の、テンプルが二股に別れた部分。脱着はヒンジの軸となるボルトを緩め、フロント部からテンプルを外してから行う。レンズの上下前後位置は、付属する大小2種類のノーズパッドのサイズ変更と、左右の付け替えにて調整できる。
これらの「KABUTO CUSTOM LOGIC」により、計24種類の中から自分に最適なカスタムを行うことができるのだ。例えば、ロードバイクの時はパワープレート無しで、MTBの時はホールド力を高めるためにパワープレート有りで、と言ったようにセッティングを変更することも。これまで、シチュエーションに応じて複数のアイウェアを使い分けていたという方でも、「Primato-α」であれば1本で事足りるだろう。
高い精度が必要となるこれらの機構を実現するために、Primato-αの製造は国内メガネ製造のメッカである福井県鯖江市で行われる。繰り返しの分解に耐えられるよう、チタン製のナットをインサートしているなど、細部まで抜かりない仕上がりだ。
そして、アイウェアとして重要なレンズについてもこだわっている。ロジカルレンズバリエーションとして、カブトアイウェアの開発アドバイザーを務めてきた新城幸也(ランプレ・メリダ)のフィードバックに基づく実戦的なレンズラインアップが用意され、あらゆるシチュエーションに対応する。フレーム素材は、軽さと強度を兼ね備えるスイス・EMS社のGRILAMID TR90だ。
ラインアップは、調光レンズと撥水スモークフラッシュレンズの2枚が付属する「Primato-α 700」と、オレンジミラー・ピンクミラー・クリアという3枚のレンズが付属する「Primato-α 350」の2種類。フレームカラーは、ホワイト、マットブラック、クリアブラック、メタルシルバー、インディゴブルー、クールグレー、ARASHIRO(レッド)の7種類。
オプションとして、「撥水コーテッドブルーミラー」「撥水トレイルレッド」「撥水トレイルオレンジ」という3種類のレンズが用意されるほか、フロントパネル、テンプル、アジャスタブルスペーサーは単体でも販売され、カラーコディネートを楽しむことができる。
これまでのアイウェアでは重視されて来なかったフィッティングという点を追求したカブトの意欲作「Primato-α」。今回は愛知県名古屋市にあるニコー製作所の吉田幸司店長にインプレッションを聞いた。
ー インプレッション
「アイウェアのフィット感に納得していない人は試してみるべき」
吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
まずはアジャスタブルスペーサーについてですが、テンプル間の幅を大きく変えることができるとあって、Primato-αの大きなメリットになっていると感じました。私の場合、アジャスタブルスペーサーはMサイズ。恐らく、女性であればSサイズ、男性であればLサイズがフィッティングの基準となるでしょう。
フィット感は、日本人にあわせた設計というだけあってレンズが頬にあたることもなく良好です。風を巻き込んだり、レンズが曇ったり、またテンプルがヘルメットと干渉したりといったトラブルもなく、1日を通してストレスなく使うことができました。
また、詳細なフィッティングマニュアルが付属しますので、購入する方は、使用する前に1度目を通して、フィッティングして頂きたい。フィッティングの際に使用するネジはとても小さいので、作業の際無くさないようにして下さい。
今回のインプレッションでは、パワープレート有りで1日使用しました。テンプルの剛性感が高く「ホールドしている」という感触がやや強めですね。ただ、全体的にホールドしてくれるため、局所的に当って痛みがでるような事態もありません。ズレることがなく、走行中に位置を再調整する必要が無かったのは好印象でした。個人的にはパワープレート無しの方が、装着感が自然で好みですね。
装着感の強弱はライダーによって好みが別れるところですから、この独自の調整機構はとても良いアイデアと言えるでしょう。普段はパワープレートを外して、レースなど集中して走る時にはパワープレートを装着する、といった使い方もできるかもしれません。
視野はとてもワイドで、ハンドルのドロップ部を握って前傾を深くした際にも、フレームが視界に入ることはありませんでした。気になる歪みもありませんし、良い意味でアイウェアの存在を忘れさせてくれます。調光レンズの変色量はインプレッション当日は快晴だった割には小さいように感じました。調光レンズ仕様の購入を検討される方は店頭でチェックしてみて下さい。
これまでのカブトのアイウェアと比較すれば値は張りますが、特にフィット感を大切にする方ならば、それだけの価値があるでしょう。カブト製ヘルメットと相性が良いのはもちろんですが、他メーカーのヘルメットを使用している方でも、アイウェアのフィット感に納得していない方は、一度試してみてもらいたいですね。
カブト Primato-α 700/350
フレ―ム素材:GRILAMID TR90
レンズ素材:ポリカーボネイト
フレームカラー:フレームカラーは、ホワイト、マットブラック、クリアブラック、メタルシルバー、インディゴブルー、クールグレー、ARASHIRO(レッド)
レンズ:
Primato-α 700 調光、撥水スモークフラッシュ
Primato-α 350 オレンジミラー、ピンクミラー、クリア
付属品:ハードケース、ソフトケース、ノーズパッド、アジャスタブルスペーサー、パワープレート
税別価格:32,000円(Primato-α 700)、27,500円(Primato-α 350)
インプレッションライダーのプロフィール
吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
名古屋に店舗を構えるワタキ商工株式会社 ニコー製作所の4代目店長を務める。一般企業に勤めてから入社した経験を活かし常に"外側からの視点"に注意を払い、初心者さんが気軽に入店しやすい雰囲気づくりを心がけている。週末にはロードやシクロクロス、トライアスロンなど多岐にわたってイベントを開催し、お客さん同士が仲良くなれるような場を提供している。ショップでは「当たり前のことを当たり前にやる」ことをモットーに作業を行い、お客さんが乗りやすいバイクを提供している。
CWレコメンドショップページ
ワタキ商工株式会社 ニコー製作所
photo:Makoto.AYANO
text&photo:Yuya.Yamamoto
頭の形は千差万別。ヘルメットのように、アイウェアにも複数のサイズ展開やフィッティング機構があって良いはずだ。しかし、サイズはあっても2種類で、フィット感の調整もノーズパッドを入れ替えるぐらい。
そんな従来のアイウェア市場に新たな風を吹き込むのがカブトの新型モデル「Primato-α(プリマト・アルファ)」だ。その特徴は、24通りの中から最適なフィット感のセッティングを選ぶことのできる「KABUTO CUSTOM LOGIC」で、左右のテンプル間の幅、テンプルの剛性、レンズの上下前後位置という3点を好みに組み合わせて最適なフィットを得られるというものだ。
左右のテンプル間の幅については、ヒンジの根元に取り付けられたアジャスタブルスペーサーのサイズを変更することで調整可能だ。アジャスタブルスペーサーは、ヒンジの軸となるボルトを緩め、フロント部からテンプルを外すことで付け替えでき、S・M・Lという3サイズが標準で付属する。
テンプルの剛性は、付属するチタン製のパワープレートを装着するか否かで調整する。装着場所はアジャスタブルスペーサー後方の、テンプルが二股に別れた部分。脱着はヒンジの軸となるボルトを緩め、フロント部からテンプルを外してから行う。レンズの上下前後位置は、付属する大小2種類のノーズパッドのサイズ変更と、左右の付け替えにて調整できる。
これらの「KABUTO CUSTOM LOGIC」により、計24種類の中から自分に最適なカスタムを行うことができるのだ。例えば、ロードバイクの時はパワープレート無しで、MTBの時はホールド力を高めるためにパワープレート有りで、と言ったようにセッティングを変更することも。これまで、シチュエーションに応じて複数のアイウェアを使い分けていたという方でも、「Primato-α」であれば1本で事足りるだろう。
高い精度が必要となるこれらの機構を実現するために、Primato-αの製造は国内メガネ製造のメッカである福井県鯖江市で行われる。繰り返しの分解に耐えられるよう、チタン製のナットをインサートしているなど、細部まで抜かりない仕上がりだ。
そして、アイウェアとして重要なレンズについてもこだわっている。ロジカルレンズバリエーションとして、カブトアイウェアの開発アドバイザーを務めてきた新城幸也(ランプレ・メリダ)のフィードバックに基づく実戦的なレンズラインアップが用意され、あらゆるシチュエーションに対応する。フレーム素材は、軽さと強度を兼ね備えるスイス・EMS社のGRILAMID TR90だ。
ラインアップは、調光レンズと撥水スモークフラッシュレンズの2枚が付属する「Primato-α 700」と、オレンジミラー・ピンクミラー・クリアという3枚のレンズが付属する「Primato-α 350」の2種類。フレームカラーは、ホワイト、マットブラック、クリアブラック、メタルシルバー、インディゴブルー、クールグレー、ARASHIRO(レッド)の7種類。
オプションとして、「撥水コーテッドブルーミラー」「撥水トレイルレッド」「撥水トレイルオレンジ」という3種類のレンズが用意されるほか、フロントパネル、テンプル、アジャスタブルスペーサーは単体でも販売され、カラーコディネートを楽しむことができる。
これまでのアイウェアでは重視されて来なかったフィッティングという点を追求したカブトの意欲作「Primato-α」。今回は愛知県名古屋市にあるニコー製作所の吉田幸司店長にインプレッションを聞いた。
ー インプレッション
「アイウェアのフィット感に納得していない人は試してみるべき」
吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
まずはアジャスタブルスペーサーについてですが、テンプル間の幅を大きく変えることができるとあって、Primato-αの大きなメリットになっていると感じました。私の場合、アジャスタブルスペーサーはMサイズ。恐らく、女性であればSサイズ、男性であればLサイズがフィッティングの基準となるでしょう。
フィット感は、日本人にあわせた設計というだけあってレンズが頬にあたることもなく良好です。風を巻き込んだり、レンズが曇ったり、またテンプルがヘルメットと干渉したりといったトラブルもなく、1日を通してストレスなく使うことができました。
また、詳細なフィッティングマニュアルが付属しますので、購入する方は、使用する前に1度目を通して、フィッティングして頂きたい。フィッティングの際に使用するネジはとても小さいので、作業の際無くさないようにして下さい。
今回のインプレッションでは、パワープレート有りで1日使用しました。テンプルの剛性感が高く「ホールドしている」という感触がやや強めですね。ただ、全体的にホールドしてくれるため、局所的に当って痛みがでるような事態もありません。ズレることがなく、走行中に位置を再調整する必要が無かったのは好印象でした。個人的にはパワープレート無しの方が、装着感が自然で好みですね。
装着感の強弱はライダーによって好みが別れるところですから、この独自の調整機構はとても良いアイデアと言えるでしょう。普段はパワープレートを外して、レースなど集中して走る時にはパワープレートを装着する、といった使い方もできるかもしれません。
視野はとてもワイドで、ハンドルのドロップ部を握って前傾を深くした際にも、フレームが視界に入ることはありませんでした。気になる歪みもありませんし、良い意味でアイウェアの存在を忘れさせてくれます。調光レンズの変色量はインプレッション当日は快晴だった割には小さいように感じました。調光レンズ仕様の購入を検討される方は店頭でチェックしてみて下さい。
これまでのカブトのアイウェアと比較すれば値は張りますが、特にフィット感を大切にする方ならば、それだけの価値があるでしょう。カブト製ヘルメットと相性が良いのはもちろんですが、他メーカーのヘルメットを使用している方でも、アイウェアのフィット感に納得していない方は、一度試してみてもらいたいですね。
カブト Primato-α 700/350
フレ―ム素材:GRILAMID TR90
レンズ素材:ポリカーボネイト
フレームカラー:フレームカラーは、ホワイト、マットブラック、クリアブラック、メタルシルバー、インディゴブルー、クールグレー、ARASHIRO(レッド)
レンズ:
Primato-α 700 調光、撥水スモークフラッシュ
Primato-α 350 オレンジミラー、ピンクミラー、クリア
付属品:ハードケース、ソフトケース、ノーズパッド、アジャスタブルスペーサー、パワープレート
税別価格:32,000円(Primato-α 700)、27,500円(Primato-α 350)
インプレッションライダーのプロフィール
吉田幸司(ワタキ商工株式会社 ニコー製作所)
名古屋に店舗を構えるワタキ商工株式会社 ニコー製作所の4代目店長を務める。一般企業に勤めてから入社した経験を活かし常に"外側からの視点"に注意を払い、初心者さんが気軽に入店しやすい雰囲気づくりを心がけている。週末にはロードやシクロクロス、トライアスロンなど多岐にわたってイベントを開催し、お客さん同士が仲良くなれるような場を提供している。ショップでは「当たり前のことを当たり前にやる」ことをモットーに作業を行い、お客さんが乗りやすいバイクを提供している。
CWレコメンドショップページ
ワタキ商工株式会社 ニコー製作所
photo:Makoto.AYANO
text&photo:Yuya.Yamamoto
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