2016/05/16(月) - 06:32
雨によって総合上位陣がタイムを伸ばせない中、初日の個人TTで僅差の2位に入ったプリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ)がトップタイム。ライバルたちを上回る走りを見せたジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)がマリアローザを守った。
キアンティクラッシコの300周年を記念し、世界的なワインの産地であるキアンティの丘陵地帯を舞台に40.5kmの個人タイムトライアルが行われた。
アップダウンとワインディングを繰り返すコースはテクニカルそのもの。しかも天候は概ね下り坂で、前半スタートの選手たちが有利な展開となる。まだ雨が降り始める前にスタートしたログリッチが51分45秒のトップタイムをマーク。マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)といったTTスペシャリストの力をもってしてもログリッチのタイムは破れなかった。
およそ半分の選手がスタートする頃には雨は本降りに。局所的に雷を伴う激しい雨が降り、路面は完全にウェットな状態となる。雨は終盤にかけても降り続いたためどの選手もタイムを伸ばせず、ログリッチがブランドルを10秒、ヴェガルスターケ・ラーンゲン(ノルウェー、IAMサイクリング)を17秒、そしてファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)を28秒上回るタイムで優勝を決めた。
「納得の走りだった。今まで走った個人タイムトライアルの中で一番長かったのは10km。現実とは思えないような勝利であり、飛び跳ねて喜びたい気分だ。第1ステージでは0.01秒差でドゥムランに敗れたけど今回は僕が勝った」と、スキージャンプから2012年にロードレースに転向したログリッチは語る。
グランツール初出場でグランツール初勝利。キャリア最大の勝利を手にした底知れない26歳は「今日は天候の崩れが味方してくれた。スキージャンプからロードレースに転向後、ビッグネームの仲間入りを果たしたいと思い続けていたけど、まさかこんなにも早く大きな勝利を手にするとは夢にも思わなかった。これからは全力でステフェン・クルイスウィクをサポートしたい」とレース後の記者会見で語った。
雨の中での走行を強いられた総合上位陣のうち最も煌めきを見せたのはマリアビアンカを着るボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)で、悪条件ながらログリッチから45秒遅れのステージ6位。マリアビアンカのリードを広げるとともに総合7位にジャンプアップしている。
ライバルからリードを奪うと予想されたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)は雨のコースを安全に走りきり、ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)から7秒、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から8秒リードでフィニッシュ。スペイン勢を引き離せずにレースを終えた。
苦しい走りを強いられたのはコロンビア勢で、エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)が3分48秒遅れ、落車したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)が4分12秒遅れる結果に。それぞれニーバリから1分35秒と1分59秒ものタイムを失っている。
2度の落車で遅れたのはイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)。マリアローザ獲得のチャンスを手にしながらザッカリンは結果的に総合2位から総合11位まで大きくダウンした。
前日にマリアローザを失ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)はライバルからリードを奪うことに成功したものの、ログリッチから1分58秒遅れのステージ15位に入るのがやっと。総合7位まで順位を戻したが、照準を合わせていたステージ優勝は果たせなかった。
マリアローザのブランビッラはドゥムランからわずか7秒遅れでフィニッシュ。その他の総合ライバルたちからリードを奪う走りを披露し、マリアローザを堅守した。
「難易度が高く、テクニカルなコースに雨が加わったことで本当に難しいレースだった。マリアビアンカを着て走ったボブ・ユンヘルスとともに力強い走りを見せてやろうと思っていたんだ。ロードレースでは自分のようなアシスト選手がマリアローザを着ることもある。早くマリアローザを着て集団で走りたい。きっと素晴らしい気分なんだと思う」と、マリアローザを着て休息日を迎えるブランビッラは語っている。
ジロ・デ・イタリア2016第9ステージ結果
1位 プリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ) 51’45”
2位 マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング) +10”
3位 ヴェガルスターケ・ラーンゲン(ノルウェー、IAMサイクリング) +17”
4位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) +28”
5位 アントン・ヴォロブネフ(ロシア、カチューシャ) +30”
6位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +45”
7位 ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング) +58”
8位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) +1’08”
9位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ロットNLユンボ) +1’16”
10位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +1’19”
15位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +1’58”
17位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)+2’05”
19位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +2’13”
20位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) +2’20”
21位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +2’23”
22位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +2’24”
31位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +2’56”
48位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +3’39”
51位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +3’48”
54位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +3’51”
64位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +4’12”
132位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +6’16”
マリアローザ 個人総合成績
1位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)34h33’04”
2位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +01”
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +32”
4位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +51”
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +53”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +55”
7位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +58”
8位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) +1’18”
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’45”
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +1’51”
11位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +2’09”
12位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +2’28”
13位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2’31”
15位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +2’56”
マリアロッサ ポイント賞
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 119pts
2位 アルノー・デマール(フランス、FDJ) 91pts
3位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ロットNLユンボ) 82pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) 21pts
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 20pts
3位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ 16pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 34h33’05”
2位 カルロス・ベローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ) +4’47”
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +5’21”
チーム総合成績
1位 エティックス・クイックステップ 103h41’02”
2位 モビスター +2’49”
3位 アスタナ +4’13”
text&photo:Kei Tsuji in Greve in Chianti, Italy
キアンティクラッシコの300周年を記念し、世界的なワインの産地であるキアンティの丘陵地帯を舞台に40.5kmの個人タイムトライアルが行われた。
アップダウンとワインディングを繰り返すコースはテクニカルそのもの。しかも天候は概ね下り坂で、前半スタートの選手たちが有利な展開となる。まだ雨が降り始める前にスタートしたログリッチが51分45秒のトップタイムをマーク。マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)といったTTスペシャリストの力をもってしてもログリッチのタイムは破れなかった。
およそ半分の選手がスタートする頃には雨は本降りに。局所的に雷を伴う激しい雨が降り、路面は完全にウェットな状態となる。雨は終盤にかけても降り続いたためどの選手もタイムを伸ばせず、ログリッチがブランドルを10秒、ヴェガルスターケ・ラーンゲン(ノルウェー、IAMサイクリング)を17秒、そしてファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)を28秒上回るタイムで優勝を決めた。
「納得の走りだった。今まで走った個人タイムトライアルの中で一番長かったのは10km。現実とは思えないような勝利であり、飛び跳ねて喜びたい気分だ。第1ステージでは0.01秒差でドゥムランに敗れたけど今回は僕が勝った」と、スキージャンプから2012年にロードレースに転向したログリッチは語る。
グランツール初出場でグランツール初勝利。キャリア最大の勝利を手にした底知れない26歳は「今日は天候の崩れが味方してくれた。スキージャンプからロードレースに転向後、ビッグネームの仲間入りを果たしたいと思い続けていたけど、まさかこんなにも早く大きな勝利を手にするとは夢にも思わなかった。これからは全力でステフェン・クルイスウィクをサポートしたい」とレース後の記者会見で語った。
雨の中での走行を強いられた総合上位陣のうち最も煌めきを見せたのはマリアビアンカを着るボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)で、悪条件ながらログリッチから45秒遅れのステージ6位。マリアビアンカのリードを広げるとともに総合7位にジャンプアップしている。
ライバルからリードを奪うと予想されたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)は雨のコースを安全に走りきり、ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)から7秒、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から8秒リードでフィニッシュ。スペイン勢を引き離せずにレースを終えた。
苦しい走りを強いられたのはコロンビア勢で、エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)が3分48秒遅れ、落車したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)が4分12秒遅れる結果に。それぞれニーバリから1分35秒と1分59秒ものタイムを失っている。
2度の落車で遅れたのはイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)。マリアローザ獲得のチャンスを手にしながらザッカリンは結果的に総合2位から総合11位まで大きくダウンした。
前日にマリアローザを失ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)はライバルからリードを奪うことに成功したものの、ログリッチから1分58秒遅れのステージ15位に入るのがやっと。総合7位まで順位を戻したが、照準を合わせていたステージ優勝は果たせなかった。
マリアローザのブランビッラはドゥムランからわずか7秒遅れでフィニッシュ。その他の総合ライバルたちからリードを奪う走りを披露し、マリアローザを堅守した。
「難易度が高く、テクニカルなコースに雨が加わったことで本当に難しいレースだった。マリアビアンカを着て走ったボブ・ユンヘルスとともに力強い走りを見せてやろうと思っていたんだ。ロードレースでは自分のようなアシスト選手がマリアローザを着ることもある。早くマリアローザを着て集団で走りたい。きっと素晴らしい気分なんだと思う」と、マリアローザを着て休息日を迎えるブランビッラは語っている。
ジロ・デ・イタリア2016第9ステージ結果
1位 プリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ) 51’45”
2位 マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング) +10”
3位 ヴェガルスターケ・ラーンゲン(ノルウェー、IAMサイクリング) +17”
4位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) +28”
5位 アントン・ヴォロブネフ(ロシア、カチューシャ) +30”
6位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +45”
7位 ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング) +58”
8位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) +1’08”
9位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ロットNLユンボ) +1’16”
10位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +1’19”
15位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +1’58”
17位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)+2’05”
19位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +2’13”
20位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) +2’20”
21位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +2’23”
22位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +2’24”
31位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +2’56”
48位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +3’39”
51位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +3’48”
54位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +3’51”
64位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +4’12”
132位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +6’16”
マリアローザ 個人総合成績
1位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)34h33’04”
2位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +01”
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +32”
4位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) +51”
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +53”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +55”
7位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +58”
8位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) +1’18”
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’45”
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) +1’51”
11位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +2’09”
12位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +2’28”
13位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +2’31”
15位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +2’56”
マリアロッサ ポイント賞
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 119pts
2位 アルノー・デマール(フランス、FDJ) 91pts
3位 マーティン・チャリンギ(オランダ、ロットNLユンボ) 82pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) 21pts
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 20pts
3位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ 16pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) 34h33’05”
2位 カルロス・ベローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ) +4’47”
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール) +5’21”
チーム総合成績
1位 エティックス・クイックステップ 103h41’02”
2位 モビスター +2’49”
3位 アスタナ +4’13”
text&photo:Kei Tsuji in Greve in Chianti, Italy
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