2016/04/13(水) - 10:06
クラシックの王様ことロンド・ファン・フラーンデレンを走ったプロバイクを全3編に渡って紹介。Vol.1では、カンチェラーラのトレックDOMANE SLRを筆頭に、ワンティ、ディメンションデータ、アスタナ、ロット・ソウダル、ロットNL、トップスポートの7チームのバイクをピックアップ。
トレック・セガフレード【トレック DOMANE SLR】
キャリア最後のロンド・ファン・フラーンデレンを2位で終えたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)が駆ったのは、トレックの新型エンデュランスロード「DOMANE SLR」。メインバイクはカンチェラーラのために特別なペイントが施されており、トップチューブにはカンチェラーラのロンドでの戦績が記されていた。
「DOMANE SLR」はその名の通り、カンチェラーラの過去3度のロンド制覇に貢献した「DOMANE」の進化版である。その大きな特徴は2つ。1つは、トップチューブ及びシートステーからシートチューブを独立させた従来のIsoSpeedに柔軟性を調節するためのスライダーを追加したこと。もう1つは、フロントにフォークコラムのしなりを利用したIsoSpeed機構を搭載したこと。その他にも多くのアップデートを施し、快適性を向上させた意欲作だ。
パーツ選択に関しても、カンチェラーラのこだわりが随所に見て取ることができる。コンポーネントは機械式のシマノDURA-ACEをチョイス。フレームに合わせて、ブレーキは前後ともダイレクトマウントとされている。ホイール及びタイヤは、50mmハイトのボントレガーAeolus5 D3に、25mm幅のFMB・PARIS ROUBAIXを組み合わせた。
ハンドル、ステム、シートポストなどは全てボントレガーで統一。ハンドルはドロップ量の大きなアナトミックベンドのアルミ製で、ステムはフレームと同カラーのグレーにペイントされている。サドルはクラシカルな座面形状を持つteam issue(廃盤品)。ボトルケージは名品との呼び声高いトレックBATCAGEで、固定力を高めるためにゴム製のバンドのようなものが追加されている。
ワンティ・グループグベルト【キューブ Litening C:68】
地元ベルギーのプロコンチネンタルチームであるワンティ・グループグベルト。バイクサプライヤーは、ドイツを拠点とするキューブで、ロンドでは全ライダーが軽量オールラウンドモデル「Litening C:68」を使用した。ロンド前週のヘント~ヘント〜ウェヴェルヘムで事故死したアントワーヌ・デモアティエを悼み、「#rideforantoine」と記されたステッカーを全ライダーがヘッドチューブに貼ってレースに臨んだ。
コンポーネントは機械式のシマノDURA-ACE。一部のバイクにはSRMが取り付けられていたものの、大半のライダーがパワーメーターを使用しておらず、メーターも極めてオーソドックスなものを使用。ホイールはフルクラムのRACING SPEEDシリーズで、オランダのブレデスタインのタイヤを組み合わせる。
ハンドル、ステム、シートポストはリッチーで統一。バーテープを含め、ハンドル周りのカラーはレッドで固められいて、レース中もかなり目立っていた。その他サドルはサンマルコ、ペダルはルックKEO、ボトル及びケージはタックス。
ロットNLユンボ【ビアンキ ORTLE XR2、INFINITO CV】
このロンドでセプ・ファンマルクを3位表彰台に送り込んだロットNLユンボ。バイクサプライヤーはビアンキで、普段のレースでも使用率の高いオールラウンドモデル「OLTRE XR2」と、エンデュランスモデル「INFINITO CV」をライダーの好みに合わせて使い分けた。シマノのサポートを受けるだけあって、コンポーネントはDURA-ACE Di2で統一しており、クランクにはパイオニアのパワーメーター・ペダリングモニターを取り付けている。
ホイールはシマノWH-9000で、全ライダーとも50mmハイトで揃えた。タイヤは、ヴィットリアのサポートチームながら、新型CORSAではなく、廃盤となったCORSA SCを使っていた。ハンドル、ステム、シートポストはチェレステカラーの差し色が入ったFSAで統一。サドルはサンマルコで、各モデルをライダーの好みに応じて使い分けた。
ディメンションデータ【サーヴェロ S5、R5】
今季よりUCIワールドチームへと昇格を果たしたディメンションデータ。バイクサプライヤーはサーヴェロで、ロンドではメインバイクのエアロロード「S5」に加え、数名が衝撃吸収性を考慮してオールラウンドモデルの「R5」をチョイスした。パーツアッセンブルはほぼ普段通りのよう。
コンポーネントはシマノDURA-ACEがメインで、クランク及びチェーンリングはローターだ。なお、多くのライダーが、シャフト内部にセンサーを組み込んだ「INPOWER」の左右計測可能バージョンであるクランク式パワーメーター「2INPOWER」を使用。このロンドではローターの油圧コンポーネント「UNO」は見当たらなかった。
ホイールはエンヴィSESシリーズで、DTスイス240Sハブ仕様をチョイスしている。タイヤはコンチネンタルCOMPETITONで、プロ供給用のPROLTD以外に、市販モデルも一部使用されていた。エンヴィのサポートを受ける同チームだが、ハンドル及びステムには3Tやデダ・エレメンティのアルミ製品を使用するライダーも散見された。サドルはフィジークで、各モデルをライダーの好みに応じて使い分けている。ペダルはスピードプレイZEROだ。
アスタナ【スペシャライズド S-WORKS TARMAC】
ラース・ボーム(オランダ)をエースにロンドを戦ったアスタナは、スペシャライズドのオールラウンドモデル「S-WORKS TARMAC」を使用。今季よりカンパニョーロSUPERRECORD EPSで全車統一しており、クランクはスペシャライズド純正のS-Works FACT carbonから、カンパニョーロ(もしくはSRM)に変更されている。
ホイールは引き続きコリマ。タイヤは、ブランドロゴが塗りつぶされたFMBと、FMBのコットンケーシングにスペシャライズドのコンパウンドを組み合わせた特別モデルが混在していた。ハンドル、ステム、シートポストはFSAで揃えられており、サドルはスペシャライズドとしている。その他、ボトルケージはタックス、ペダルはルックKEOだ。
ロット・ソウダル【リドレー FENIX SL、NOAH SL】
ロット・ソウダルのバイクは、チームと同じくフランドル地方を拠点とするリドレー。ロンドでは、アンドレ・グライペル(ドイツ)を始めとした多くのライダーがエンデュランス系モデル「FENIX SL」をチョイスし、一部のライダーがエアロロード「NOAH SL」を駆った。タイヤとバーテープ以外は、普段通りのパーツアッセンブルとなっている。
コンポーネントはカンパニョーロSUPERRECORD EPSで、ワイヤーはジャグワイヤーのアルミリンク式ケーブル「Elite Link」に換装。ホイールはカンパニョーロBORA ULTRAが基本。組み合わせるタイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルCOMPETITION PROLTDだが、タイヤサイドのカラーは新型?と思わせるオレンジ色。タイヤ幅は25Cだった。
ハンドル、ステム、シートポストはデダ・エレメンティで統一。サドルとボトル及びゲージは今季よりサプライヤーが変更となっており、サドルはセライタリア、ボトル及びケージはエリートとなっている。バーテープはリザードスキンズで、振動吸収性を高めるために2重巻きとなっていた。
トップスポートフラーンデレン【エディメルクス EMX-525】
地元ベルギーを拠点とするプロコンチネンタルのトップスポートフラーンデレン。バイクはエディエルクスよりサポートを受け、高い剛性が特徴のハイエンドモデル「EMX-525」を昨年に引き続きチョイス。多くのチームと同じく、他レースと変わらない機材選択となっている。なお、プレベン・ファンヘッケはベルギー王者仕様のスペシャルカラーのマシンを使用する。
コンポーネントはシマノDURA-ACEの機械式。昨年まではサードパーティであったクランクも、今年からはDURA-ACEとされている。パワーメーターはパイオニアのペダリングモニターだ。ホイールはFFWDで、45mmハイトの「F4R」がメイン。タイヤはヴィットリアで、多くの新型ライダーが新型CORSAを使用した一方で、何故かファンヘッケのバイクには廃盤となったCORSA SCが取り付けられていた。ハンドル及びステムはデダ・エレメンティ、サドルはプロロゴ、ボトル及びケージはタックスだ。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
トレック・セガフレード【トレック DOMANE SLR】
キャリア最後のロンド・ファン・フラーンデレンを2位で終えたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)が駆ったのは、トレックの新型エンデュランスロード「DOMANE SLR」。メインバイクはカンチェラーラのために特別なペイントが施されており、トップチューブにはカンチェラーラのロンドでの戦績が記されていた。
「DOMANE SLR」はその名の通り、カンチェラーラの過去3度のロンド制覇に貢献した「DOMANE」の進化版である。その大きな特徴は2つ。1つは、トップチューブ及びシートステーからシートチューブを独立させた従来のIsoSpeedに柔軟性を調節するためのスライダーを追加したこと。もう1つは、フロントにフォークコラムのしなりを利用したIsoSpeed機構を搭載したこと。その他にも多くのアップデートを施し、快適性を向上させた意欲作だ。
パーツ選択に関しても、カンチェラーラのこだわりが随所に見て取ることができる。コンポーネントは機械式のシマノDURA-ACEをチョイス。フレームに合わせて、ブレーキは前後ともダイレクトマウントとされている。ホイール及びタイヤは、50mmハイトのボントレガーAeolus5 D3に、25mm幅のFMB・PARIS ROUBAIXを組み合わせた。
ハンドル、ステム、シートポストなどは全てボントレガーで統一。ハンドルはドロップ量の大きなアナトミックベンドのアルミ製で、ステムはフレームと同カラーのグレーにペイントされている。サドルはクラシカルな座面形状を持つteam issue(廃盤品)。ボトルケージは名品との呼び声高いトレックBATCAGEで、固定力を高めるためにゴム製のバンドのようなものが追加されている。
ワンティ・グループグベルト【キューブ Litening C:68】
地元ベルギーのプロコンチネンタルチームであるワンティ・グループグベルト。バイクサプライヤーは、ドイツを拠点とするキューブで、ロンドでは全ライダーが軽量オールラウンドモデル「Litening C:68」を使用した。ロンド前週のヘント~ヘント〜ウェヴェルヘムで事故死したアントワーヌ・デモアティエを悼み、「#rideforantoine」と記されたステッカーを全ライダーがヘッドチューブに貼ってレースに臨んだ。
コンポーネントは機械式のシマノDURA-ACE。一部のバイクにはSRMが取り付けられていたものの、大半のライダーがパワーメーターを使用しておらず、メーターも極めてオーソドックスなものを使用。ホイールはフルクラムのRACING SPEEDシリーズで、オランダのブレデスタインのタイヤを組み合わせる。
ハンドル、ステム、シートポストはリッチーで統一。バーテープを含め、ハンドル周りのカラーはレッドで固められいて、レース中もかなり目立っていた。その他サドルはサンマルコ、ペダルはルックKEO、ボトル及びケージはタックス。
ロットNLユンボ【ビアンキ ORTLE XR2、INFINITO CV】
このロンドでセプ・ファンマルクを3位表彰台に送り込んだロットNLユンボ。バイクサプライヤーはビアンキで、普段のレースでも使用率の高いオールラウンドモデル「OLTRE XR2」と、エンデュランスモデル「INFINITO CV」をライダーの好みに合わせて使い分けた。シマノのサポートを受けるだけあって、コンポーネントはDURA-ACE Di2で統一しており、クランクにはパイオニアのパワーメーター・ペダリングモニターを取り付けている。
ホイールはシマノWH-9000で、全ライダーとも50mmハイトで揃えた。タイヤは、ヴィットリアのサポートチームながら、新型CORSAではなく、廃盤となったCORSA SCを使っていた。ハンドル、ステム、シートポストはチェレステカラーの差し色が入ったFSAで統一。サドルはサンマルコで、各モデルをライダーの好みに応じて使い分けた。
ディメンションデータ【サーヴェロ S5、R5】
今季よりUCIワールドチームへと昇格を果たしたディメンションデータ。バイクサプライヤーはサーヴェロで、ロンドではメインバイクのエアロロード「S5」に加え、数名が衝撃吸収性を考慮してオールラウンドモデルの「R5」をチョイスした。パーツアッセンブルはほぼ普段通りのよう。
コンポーネントはシマノDURA-ACEがメインで、クランク及びチェーンリングはローターだ。なお、多くのライダーが、シャフト内部にセンサーを組み込んだ「INPOWER」の左右計測可能バージョンであるクランク式パワーメーター「2INPOWER」を使用。このロンドではローターの油圧コンポーネント「UNO」は見当たらなかった。
ホイールはエンヴィSESシリーズで、DTスイス240Sハブ仕様をチョイスしている。タイヤはコンチネンタルCOMPETITONで、プロ供給用のPROLTD以外に、市販モデルも一部使用されていた。エンヴィのサポートを受ける同チームだが、ハンドル及びステムには3Tやデダ・エレメンティのアルミ製品を使用するライダーも散見された。サドルはフィジークで、各モデルをライダーの好みに応じて使い分けている。ペダルはスピードプレイZEROだ。
アスタナ【スペシャライズド S-WORKS TARMAC】
ラース・ボーム(オランダ)をエースにロンドを戦ったアスタナは、スペシャライズドのオールラウンドモデル「S-WORKS TARMAC」を使用。今季よりカンパニョーロSUPERRECORD EPSで全車統一しており、クランクはスペシャライズド純正のS-Works FACT carbonから、カンパニョーロ(もしくはSRM)に変更されている。
ホイールは引き続きコリマ。タイヤは、ブランドロゴが塗りつぶされたFMBと、FMBのコットンケーシングにスペシャライズドのコンパウンドを組み合わせた特別モデルが混在していた。ハンドル、ステム、シートポストはFSAで揃えられており、サドルはスペシャライズドとしている。その他、ボトルケージはタックス、ペダルはルックKEOだ。
ロット・ソウダル【リドレー FENIX SL、NOAH SL】
ロット・ソウダルのバイクは、チームと同じくフランドル地方を拠点とするリドレー。ロンドでは、アンドレ・グライペル(ドイツ)を始めとした多くのライダーがエンデュランス系モデル「FENIX SL」をチョイスし、一部のライダーがエアロロード「NOAH SL」を駆った。タイヤとバーテープ以外は、普段通りのパーツアッセンブルとなっている。
コンポーネントはカンパニョーロSUPERRECORD EPSで、ワイヤーはジャグワイヤーのアルミリンク式ケーブル「Elite Link」に換装。ホイールはカンパニョーロBORA ULTRAが基本。組み合わせるタイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルCOMPETITION PROLTDだが、タイヤサイドのカラーは新型?と思わせるオレンジ色。タイヤ幅は25Cだった。
ハンドル、ステム、シートポストはデダ・エレメンティで統一。サドルとボトル及びゲージは今季よりサプライヤーが変更となっており、サドルはセライタリア、ボトル及びケージはエリートとなっている。バーテープはリザードスキンズで、振動吸収性を高めるために2重巻きとなっていた。
トップスポートフラーンデレン【エディメルクス EMX-525】
地元ベルギーを拠点とするプロコンチネンタルのトップスポートフラーンデレン。バイクはエディエルクスよりサポートを受け、高い剛性が特徴のハイエンドモデル「EMX-525」を昨年に引き続きチョイス。多くのチームと同じく、他レースと変わらない機材選択となっている。なお、プレベン・ファンヘッケはベルギー王者仕様のスペシャルカラーのマシンを使用する。
コンポーネントはシマノDURA-ACEの機械式。昨年まではサードパーティであったクランクも、今年からはDURA-ACEとされている。パワーメーターはパイオニアのペダリングモニターだ。ホイールはFFWDで、45mmハイトの「F4R」がメイン。タイヤはヴィットリアで、多くの新型ライダーが新型CORSAを使用した一方で、何故かファンヘッケのバイクには廃盤となったCORSA SCが取り付けられていた。ハンドル及びステムはデダ・エレメンティ、サドルはプロロゴ、ボトル及びケージはタックスだ。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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