イタリアを拠点として様々なトレーニング機器やアクセサリーをラインアップするエリート。ドライブトレイン直結型ホームトレーナー「Turbo Muin(ターボムイン)」の兄弟モデル「VOLANO(ヴォラーノ)」が登場した。ホビーライダーにピッタリな負荷特性や、手に取りやすくなった価格などが特徴だ。



エリート VOLANOエリート VOLANO
2014年にエリートがリリースしたTurbo Muinが先鞭をつけたダイレクト・トランスミッション型のホームトレーナー。ダイレクト・トランスミッションとは、リアホイールの替わりにローラー台を装着する形式のことだ。従来のホームトレーナーで発生していた、ホイールの振動による騒音やタイヤの摩耗といった問題を気にすることなく使用することができるメリットを持つ。

今回紹介する「VOLANO」は、Turbo Muinの開発で得た知識を用いながら、アマチュアサイクリストが扱いやすいトレーナーへと進化させたダイレクト・トランスミッション型のホームトレーナー。フィットネスからホビーレーサーのトレーニングまで幅広い用途に対応できるよう、最大負荷は約800Wに設定されている。

Turbo Muinの最大負荷1400Wからは引き下げられる一方で、負荷のかかり方が緩やかになるよう調整されたことで、アマチュアでも自然な加速感を味わえるはずだ。搭載される負荷装置はTurbo Muinと同じくフルード式を採用する。速度の上昇にあわせて負荷が自然に上がる、エリート得意の方式だ。

スタイリッシュなVOLANOロゴがあしらわれるスタイリッシュなVOLANOロゴがあしらわれる キャリーハンドルが設けられており持ち運びも行いやすいキャリーハンドルが設けられており持ち運びも行いやすい

ドラム内に収められたフルード式の負荷ユニットによって高い静音性を実現している。空冷用のファンは回転時の風切音が小さくなるように設計されているドラム内に収められたフルード式の負荷ユニットによって高い静音性を実現している。空冷用のファンは回転時の風切音が小さくなるように設計されている ドラム下にMISURO B+を装着する部分が設けられているドラム下にMISURO B+を装着する部分が設けられている


加えて、VOLANOはTurbo Muinと比較しコンパクトになっている。特に、フライホイールは5.9kgから3kgへと変更され、軽量化と省スペース化に貢献。新たに追加されたキャリーハンドルとあわせて持ち運びやすくなっている。全体重量は約11kgだ。また、レッグ部も5mmアーレンキーを使用すれば折りたたむことができるため収納も行いやすい。折りたたんだ際の大きさは幅64cm×奥行39cmとなる。

VOLANOが対応するバイクはロードバイクと29インチMTB、27.5インチMTBの3種類だ。レッグに装着する三角形のフットパーツを回すだけで、3つのホイールサイズそれぞれで水平をだすことができ、前輪用のブロックを使用しなくて良いこともVOLANOの特徴だ。

対応するスプロケットはシマノ10/11スピードだ。カンパニョーロ用のフリーボディも別売で用意されている。シャフトはロード用の5mm径クイックリリースの130/135mmエンドと、142×12mm径スルーアクスルに対応。なお、130/135mmエンドのバイクでVOLANOを使用する場合には、充分な固定力を確保するために、エリート純正品をはじめとした鉄製ハウジングのQRレバーを用いる必要がある(エリートの純正品はこちらから)。

加えて、MISURO B+というオプションのセンサーに対応していることもポイントだ。これを取り付けることで、スマホアプリやPCと連携することが可能となり、トレーニングの幅を広げてくれる。価格は56,000円(税抜)だ。



― 編集部インプレッション

エリート VOLANOエリート VOLANO
宅配便で届けられた箱を手にした時から、Turbo Muinよりも軽量になっていることが気がつくVOLANO。箱を開封した時になぜ軽いのか理解できた。ボディがTurbo Muinよりもコンパクトであり、ローラー台を支えるポールが1本に省略されていたからだ全体重量は約11kgと決して軽量な部類ではないが、Turbo Muinからの進化を伺わせるのには十分なスペックであった。

さらにはキャリーハンドルが設けられており、ボディを持ちやすくなっていることも嬉しい。Turbo Muinは両手で抱える必要があったが、VOLANOでは片腕で事足りてしまう。組み立ててもスペースをとりすぎることはなく、折りたたむこともできるので収納も行いやすい。これだけでも格段に扱いやすくなっていると感じる。

左右のフットと本体のみで支持するが、非常に優れた安定感を備えている左右のフットと本体のみで支持するが、非常に優れた安定感を備えている フットの3辺それぞれの長さが異なっており、ロードと29インチMTB、27.5インチMTBに対応するフットの3辺それぞれの長さが異なっており、ロードと29インチMTB、27.5インチMTBに対応する My E-Trainingではツールやジロの舞台となった峠をバーチャルで走ることも可能だMy E-Trainingではツールやジロの舞台となった峠をバーチャルで走ることも可能だ リアホイールを交換するようにバイクをローラー台にセットしたらそのまま漕ぎだすことができる。まず最初に、Turbo Muinでは漕ぎ出しから重い負荷がかかっていたのに対し、VOLANOはTurbo Muinより負荷が軽く2~3枚軽いギアを踏んでいるような印象を受けた。

負荷のかかり方も変化しており、Turbo Muinはフルードのオイルをグググっとかき回しつつフライホイールが回転するイメージを持っていたが、VOLANOはスッとフライホイールが回転してくれるようなイメージだ。また、速度を上げていくとともに上昇していく負荷も意識しないとわからないほど自然な変化の仕方となっていた。パワーが弱いアマチュアライダーでもパワーを維持しやすいはずだ。

ハイパワーでシャカリキにもがいてもローラー台は優れた安定感を発揮しており、ローラー台前方の左右の脚と、ローラー台後端部の3点のみで支えているとは感じさせなかった。スタビリティに優れていることで、トレーニングに集中できそうだ。

ローラー台から発せられる騒音については、エリートが得意とするフルード式を使用しているだけあり、静かと言ってもいいレベルに抑えられている。ギアチェンジの際にチェーンとスプロケットが噛みあう瞬間の「カコン」という音のほうが大きい。ペダリングを止めた後、フライホイールもすぐに止まるため、フリーボディが空転する音にも悩まされない。

今回ローラー台と合わせてエリート純正のトレーニングアプリ「My E-Training」と、オンラインサイクリングシュミレーター「Zwift」を用意した。VOLANO自体には外部機器にデータを送信する機能は備えられていないが、MISURO B+という別売のセンサーを装着することで、iPadやPCと連携することが可能となる。

My E-TrainingはTurbo Muinやアプリ自体のインプレッションに詳しいが、やはり出力しているパワーや目標の数値を計測・表示されるだけで、トレーニングのモチベーションがぐっと湧いてくる。高価なパワーメーターを所有していなくてもパワートレーニングを行えるのは嬉しい。

バーチャルサイクリングゲーム「Zwift」は今回のテストで初めて試してみた。ゲームながらも臨場感のあるグラフィックの中で、出力しているパワーに合わせてゲーム内の自分が漕ぎだしてくれるのは新鮮だ。世界中のユーザーと仮想現実でランデブーすることはこんなにも楽しいものなのかと驚かされた。単調なホームトレーニングを充実させてくれるだろう。

MISURO B+やMy E-Training、Zwiftはオプションとなるが、これらを揃えることでより一層濃密なトレーニングを行えるようになる。VOLANOの本体価格が56,000円(税抜)と比較的安価に抑えられており、現在「MY-E-Training」アプリ1ヶ月無料クーポンが付属している。

(インプレッション by CW編集部・藤原)




エリート VOLANO
負荷装置:内装フルード式ダイレクト・トランスミッション
最大負荷:約800W
対応車種:ロードバイク、29インチMTB、27.5MTB
対応リアエンド:130/135mm(5mm径QRレバー使用)、142×12mm(スルーアクスル)
フリーボディ:シマノ10/11s(別売のカンパニョーロに交換可能)
全体重量:約11kg
価格:56,000円(税抜)