2016/04/07(木) - 11:41
スプリンターのためのクラシックとして知られる第104回シュヘルデプライス(UCI1.HC)がベルギー・フランドル地方で開催。雨が降る危険なスプリントでマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)が4度目の勝利を果たした。
シュヘルデプライスは毎年ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに挟まれた水曜日に開催されるセミクラシック。1907年に初開催され、今年で開催104回目を迎える伝統のクラシックレースだ。UCIのレースカテゴリーはUCIワールドツアーの一つ下のHC(超級)だが、ロンド(1913年初開催)よりも歴史が古く、フランドル地方の中で最古のロードレースとされる。
レースを主催するのはオンループ・ヘット・ニュースブラッドやドワーズ・ドール・フラーンデレン、ヘント〜ウェヴェルヘム、ロンド・ファン・フラーンデレン、ブラバンツペイルと同じ「フランドルクラシックス」だ。
ベルギーの中でも開催地域はロンドよりも北。オランダ国境に近い平野部で、同地域を流れるシュヘルデ川がレース名の由来だ。アントウェルペンからシュコーテンに至る200kmには石畳区間が設定されているものの、ほぼ平坦のため例年スプリンターたちが勝負を繰り広げる。歴代の優勝者リストにはスプリンターの名前がずらりと並ぶ。
後半にかけて天候の悪化が予想され、フランドルらしい曇り空に覆われたスタート地点。レースはリエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)ら6名が最大5分差で逃げる展開に。他のクラシックレースとは異なり、スプリンターチームが前半から徹底的にレースを支配下に置く。風によって集団が割れるシーンも見られたが、レース後半にかけて淡々と逃げとのタイム差を詰めた。
やがて逃げが捉えられるとカウンターアタックが掛かり、地元ベルギーやオランダ勢が積極的にエスケープを続行。しかしいずれの動きもスプリンターチームには歯が立たず、ディメンションデータやロット・ソウダル、エティックス・クイックステップを先頭にスコーテンの最終周回コースに入った。
雨に濡れた周回コースを慎重に駆け抜ける大集団。天候が悪化した影響でロンド覇者ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)はリスク回避のため勝負に加わらず。その他にもイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)が週末のパリ〜ルーベを見据えてリタイアしている。
メイン集団が70名ほどに絞られる中、主導権を握ったのはエティックス・クイックステップだった。ボーネンは集団から脱落していたものの、トレンティン、リケーゼ、サバティーニがキッテルのために強力なリードアウト体制を敷く。その後ろに2010年大会の優勝者タイラー・ファラー(アメリカ、ディメンションデータ)にサポートされたカヴェンディッシュが位置して残り1km。
エティックストレインが先頭を譲らないまま最終ストレートに入り、サバティーニが残り200mでキッテルを発射。加速力に秀でたカヴェンディッシュがすぐさまキッテルに並ぶも、キッテルがトップスピードを維持したまま緩いコーナーの最短ラインを突き進む。カヴェンディッシュの位置を確認しながらフィニッシュラインでハンドルを投げたキッテルが勝利した。
キッテルは2012年からシュヘルデプライスで大会3連覇を飾りながらも、2015年は体調不良に悩まされたため欠場。今シーズン復調し、相性の良いレースで史上最多となる4勝目をマークした。
「新しいフィニッシュのレイアウトはよく考えられており、落車の危険性が減った。でも今年は風が強くて、集団が長く伸びるタフな展開になった。トリッキーな勝負が予想されたので、残り2kmから集団先頭に立つことをあらかじめ決めていたんだ。チームメイトたちはその作戦通りにレースを進めてくれた」と、今シーズン7勝目を飾ったキッテル。
「残り200mでスプリントを開始して、カヴェンディッシュに並ばれたけど、なんとか先頭を守り抜いた。今日はトップスプリンターが勢揃いしていたので、今シーズン最高の勝利だと言える。彼らを打ち破ったことは次なるレースへの自信になるよ」。
惜しくも敗れた3度の優勝経験者カヴェンディッシュは「最後はタイラー・ファラーのサポートを受けてスプリント。スピードをつけてキッテルに並んで、追い抜きかけたところで彼がもう一段スピードを上げた。自分も昔はそういう再加速ができたけど、今はもうできない。今日はマルセル・キッテルの日だった」とコメントしている。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
シュヘルデプライス2016結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 4h54’05”
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
4位 エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
5位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)
6位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
7位 ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
8位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、キャノンデール)
9位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 ダニエル・マックレー(イギリス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano
シュヘルデプライスは毎年ロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに挟まれた水曜日に開催されるセミクラシック。1907年に初開催され、今年で開催104回目を迎える伝統のクラシックレースだ。UCIのレースカテゴリーはUCIワールドツアーの一つ下のHC(超級)だが、ロンド(1913年初開催)よりも歴史が古く、フランドル地方の中で最古のロードレースとされる。
レースを主催するのはオンループ・ヘット・ニュースブラッドやドワーズ・ドール・フラーンデレン、ヘント〜ウェヴェルヘム、ロンド・ファン・フラーンデレン、ブラバンツペイルと同じ「フランドルクラシックス」だ。
ベルギーの中でも開催地域はロンドよりも北。オランダ国境に近い平野部で、同地域を流れるシュヘルデ川がレース名の由来だ。アントウェルペンからシュコーテンに至る200kmには石畳区間が設定されているものの、ほぼ平坦のため例年スプリンターたちが勝負を繰り広げる。歴代の優勝者リストにはスプリンターの名前がずらりと並ぶ。
後半にかけて天候の悪化が予想され、フランドルらしい曇り空に覆われたスタート地点。レースはリエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)ら6名が最大5分差で逃げる展開に。他のクラシックレースとは異なり、スプリンターチームが前半から徹底的にレースを支配下に置く。風によって集団が割れるシーンも見られたが、レース後半にかけて淡々と逃げとのタイム差を詰めた。
やがて逃げが捉えられるとカウンターアタックが掛かり、地元ベルギーやオランダ勢が積極的にエスケープを続行。しかしいずれの動きもスプリンターチームには歯が立たず、ディメンションデータやロット・ソウダル、エティックス・クイックステップを先頭にスコーテンの最終周回コースに入った。
雨に濡れた周回コースを慎重に駆け抜ける大集団。天候が悪化した影響でロンド覇者ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)はリスク回避のため勝負に加わらず。その他にもイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)が週末のパリ〜ルーベを見据えてリタイアしている。
メイン集団が70名ほどに絞られる中、主導権を握ったのはエティックス・クイックステップだった。ボーネンは集団から脱落していたものの、トレンティン、リケーゼ、サバティーニがキッテルのために強力なリードアウト体制を敷く。その後ろに2010年大会の優勝者タイラー・ファラー(アメリカ、ディメンションデータ)にサポートされたカヴェンディッシュが位置して残り1km。
エティックストレインが先頭を譲らないまま最終ストレートに入り、サバティーニが残り200mでキッテルを発射。加速力に秀でたカヴェンディッシュがすぐさまキッテルに並ぶも、キッテルがトップスピードを維持したまま緩いコーナーの最短ラインを突き進む。カヴェンディッシュの位置を確認しながらフィニッシュラインでハンドルを投げたキッテルが勝利した。
キッテルは2012年からシュヘルデプライスで大会3連覇を飾りながらも、2015年は体調不良に悩まされたため欠場。今シーズン復調し、相性の良いレースで史上最多となる4勝目をマークした。
「新しいフィニッシュのレイアウトはよく考えられており、落車の危険性が減った。でも今年は風が強くて、集団が長く伸びるタフな展開になった。トリッキーな勝負が予想されたので、残り2kmから集団先頭に立つことをあらかじめ決めていたんだ。チームメイトたちはその作戦通りにレースを進めてくれた」と、今シーズン7勝目を飾ったキッテル。
「残り200mでスプリントを開始して、カヴェンディッシュに並ばれたけど、なんとか先頭を守り抜いた。今日はトップスプリンターが勢揃いしていたので、今シーズン最高の勝利だと言える。彼らを打ち破ったことは次なるレースへの自信になるよ」。
惜しくも敗れた3度の優勝経験者カヴェンディッシュは「最後はタイラー・ファラーのサポートを受けてスプリント。スピードをつけてキッテルに並んで、追い抜きかけたところで彼がもう一段スピードを上げた。自分も昔はそういう再加速ができたけど、今はもうできない。今日はマルセル・キッテルの日だった」とコメントしている。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
シュヘルデプライス2016結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 4h54’05”
2位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
4位 エドワード・テウンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
5位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)
6位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
7位 ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
8位 ワウテル・ウィッパート(オランダ、キャノンデール)
9位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 ダニエル・マックレー(イギリス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano
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