ファビアン・カンチェラーラがクラシックレースで使用し、話題をさらっているトレックの新型Domane(ドマーネ)が発表された。ベルギーで開催中の新車発表プレゼンテーションの画像と共に紹介する。



ロンド・ファン・フラーンデレンの翌日に開催された新型ドマーネ発表会。ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)がバイクを掲げたロンド・ファン・フラーンデレンの翌日に開催された新型ドマーネ発表会。ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)がバイクを掲げた photo:Makoto.Ayano
ロンド・ファン・フラーンデレンの翌日にトレック・セガフレードが北のクラシックの拠点とするベルギーのコルトレイクにおいて発表された新型ドマーネ。今季すでにストラーダビアンケでの勝利やロンド・ファン・フラーンデレンでの2位などカンチェラーラによって実績を上げており、その性能はお墨付きだ。

「チームレオパードの頃よりバイクの開発に関っているため、ドマーネはいわば”My Baby”のようなバイク。この新型ドマーネはまさにスーパーバイクだ。荒れた道をものともせず、滑るように走る」と、メディアの前に立ったカンチェラーラは言う。

チームカーに搭載された、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)の新型ドマーネSLRチームカーに搭載された、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)の新型ドマーネSLR photo:Makoto.Ayano
汚れが付着したままのレースバイク汚れが付着したままのレースバイク photo:Makoto.Ayanoヘッドチューブに搭載されたIsoSpeedヘッドチューブに搭載されたIsoSpeed photo:Makoto.Ayano


新型ドマーネの大きな特徴は3つ。フレームからシートチューブを独立させた新構造のIsoSpeedは、スライダー機構を備えてしなりを調節可能としたこと。そしてフロント部にもIsospeedを搭載する。さらに新型のIsoCoreハンドルバーを投入したことだ。これによってライダーの好みで柔軟性を調整し、さらに課題であったフロントの突き上げを大幅にカットすることに成功しているという。バイクの詳報やプレゼンテーションの模様はスペシャルコンテンツとしてレポートする予定だ。以下はトレックのプレスリリースより。




調節式IsoSpeed

2012年に発表されたIsoSpeedは、パワーの伝達を確実に行いつつ、従来のロードバイクより2倍の快適性を手に入れ、ロードバイク界に改革をもたらした。しかし、トレックの開発チームは、決してそれに満足することなくさらなる改善を進めた。ライダーの身体はそれぞれ違った形状や大きさである、という理論のもと、どの条件において最も望ましい走り方にするため、Domaneをあらゆる環境や路面でテストを繰り返した。その結果、導き出された答えがシートチューブのしなりを調節できるスライダーである。驚くべきは、スライダーの調節位置を一番下にすると振動吸収率は第一世代と比べ、14%も高まっている。

トレック・セガフレード仕様のドマーネSLRトレック・セガフレード仕様のドマーネSLR photo:Makoto.Ayano
剛性の要となるダウンチューブ。微妙な曲線を持ったデザインだ剛性の要となるダウンチューブ。微妙な曲線を持ったデザインだ photo:Makoto.Ayano「安定さと効率性、ハンドリング性能を損なわずに振動を軽減する」フロントIsoSpeed「安定さと効率性、ハンドリング性能を損なわずに振動を軽減する」フロントIsoSpeed photo:Makoto.Ayano


フロントIsoSpeed

Domaneの潜在能力をさらに引き出すべく、第二世代ではIsoSpeedの次なる章となるフロントへの改革が行われた。初代のIsoSpeedはライダーの重心の後部のみで威力を発揮していたが、身体にとって重要なもう一つの部位である前部には、さらなる改善の余地があった。前部の改善に向けた課題は、2010年の初代Domaneで直面したシートチューブのIsoSpeedのときとは打って変わっていた。フロント部への開発に対する課題は「安定さと効率性、ハンドリング性能を損なわずに振動を軽減すること」とリアのそれとは大きく異なっていた。しかし、トレックはフロントにもIsoSpeedを導入することで、この課題を見事に乗り越えた。フロントIsoSpeedはステアチューブがヘッドチューブから独立して回転する技術であり、バイク前面の縦方向の振動吸収性を従来のロードバイクから10%も向上させる。

IsoCoreハンドルバー

自社で世界トップクラスの製品開発ができる大きな利点の一つは、必要に応じた専門知識を活用し、バイク全体を一貫して扱えられることである。チームはフロントIsoSpeedが効果を発揮することを理解していたが、振動吸収性に優れた新しいハンドルバーがあればその効果をより高めることができると考えていた。そこでボントレガーの開発チームは、全く新しいIsoCoreハンドルバーを開発し、この課題に応えたのだ。IsoCoreハンドルバーは、OCLVカーボンに特殊なエラストマーを重ねて構成され、細かな振動の吸収を大きく改善した。結果、従来のカーボン製のハンドルバーと比べ、20%の振動の軽減に成功している。

リアのIsoSpeedもフォルムを変えている。スライダーの調節位置を一番下にすると振動吸収率は第一世代と比べ、14%も高まったリアのIsoSpeedもフォルムを変えている。スライダーの調節位置を一番下にすると振動吸収率は第一世代と比べ、14%も高まった photo:Makoto.Ayanoシートチューブに設けられたスライダーを動かすことで振動吸収性をセットするシートチューブに設けられたスライダーを動かすことで振動吸収性をセットする photo:Makoto.Ayano

ボトルケージの真下にはDi2バッテリーを収めるDomane Control Centerが備わるボトルケージの真下にはDi2バッテリーを収めるDomane Control Centerが備わる photo:Makoto.Ayanoブレーキはダイレクトマウント仕様であるブレーキはダイレクトマウント仕様である photo:Makoto.Ayano


ディスクブレーキのオプションとさらに広くなったタイヤクリアランス

Domane SLRはキャリパーブレーキまたはディスクブレーキのモデルを選択でき、両方とも以前よりも広いタイヤクリアランスとなっている。キャリパーブレーキ仕様のDomane SLRでは28Cのタイヤ、Domane SLR Disc では32Cのタイヤが標準装備される。Domane SLRにはダイレクトマウントの軽量ブレーキが備えられ、ディスクブレーキモデルには12mmのスルーアクスルを搭載。両モデルは、目立ちにくいフェンダーマウントも備えている。

その他の特徴

トレックでは、走りの性能をつかさどるテクノロジーの開発だけでなく、見た目や機能美に対するアプローチでもライダーのニーズに応えている。例えば、Domane SLRのダウンチューブのボトルケージの真下にはDi2バッテリーを収めるDomane Control Centerが備われ、これは空気抵抗に非常に定評のあるMadoneから取り入れている。また、それぞれのユーザーの希望通りのスペックやカラーに応えるためにDomaneSLRでは、トレックのカスタムバイクプログラムであるProject Oneからも入手できる。※Project Oneで選択できるのは、キャリパーブレーキモデルのみ。

プレゼンテーション会場に並べられた新型ドマーネ。鮮やかなプロジェクトワン仕様だプレゼンテーション会場に並べられた新型ドマーネ。鮮やかなプロジェクトワン仕様だ photo:Makoto.Ayano


最新Domane SLRの日本国内でのラインナップ(完成車)
DOMANE SLR 6    
フレーム:OCLV 600 Series
メインコンポ:Shimano Ultegra 6800
ホイール:Paradigm Comp Tubeless Ready
価格:590,000円(税込)

DOMANE SLR 6 DISC 
フレーム:OCLV 600 Series
メインコンポ:Shimano Ultegra 6800
ホイール:Paradigm Comp Tubeless Ready Disc
価格:640,000円(税込)

DOMANE SLR 7    
フレーム:OCLV 600 Series
メインコンポ:Shimano Ultegra Di2
ホイール:Paradigm Comp Tubeless Ready
価格:680,000円(税込)