2016/03/28(月) - 07:05
3月27日に開催されたヘント〜ウェヴェルヘム(UCIワールドツアー)で世界チャンピオンが勝利。カンチェラーラやファンマルクとのスプリント勝負でペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が6ヶ月ぶりの勝利を手にした。
フランドル地方の緩やかな丘陵地帯を走る photo:Tim de Waele
ヘント〜ウェヴェルヘム2016 image:Gent-Wevelgemロンド・ファン・フラーンデレンを1週間後、パリ〜ルーベを2週間後に控えた3月27日に開催されたヘント〜ウェヴェルヘム。上記2戦と比べると歴史は浅いが、浅いと言っても初開催が1934年であることから伝統の一戦であることに変わりはない。
ヘント〜ウェヴェルヘム2016 image:Gent-Wevelgemレース名の通りコースは概ねヘントからウェヴェルヘムまで。ヘントの南西15kmに位置するデインセをスタートし、一路北海沿いのデパンヌに向かって西進。そこから内陸部へと進路を変え、ウェヴェルヘムでフィニッシュを迎える。
レース前半に逃げるリエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)ら5名 photo:Tim de Waele243kmコースの大半はフラットだが、かと言ってすんなりと大集団スプリントに持ち込まれるわけではない。後半にかけて急坂が10ヶ所登場。中でも合計2回登場する「バネベルグ」と「ケンメルベルグ」の組み合わせがスプリンターたちの脚を苦しめる。最大勾配が23%に達する「ケンメルベルグ」からフィニッシュまでは35kmだ。
優勝候補の一角であるアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)とイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)は体調不良によってスタートせず。強い西風が吹く中、3km地点で5名のアタックが決まる。リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)やパヴェル・ブラット(ロシア、ティンコフ・サクソ)ら5名は最大11分リードで広大な平野を逃げた。
この日の重要な動きは前半の平坦区間で生まれる。横風が吹く幹線道路でペースが上がったメイン集団はエシュロンを形成しながら分裂。有力選手を含む34名の第1集団が形成された一方で、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)を含む第2集団は1分の遅れを被った。
一旦隣国フランスに入国し、後半の急坂連続区間に向かった第1集団はレース中盤に先頭5名をキャッチ(130km地点)。その後ようやく第2集団が先頭に追いつき、フィニッシュまで90kmを残して先頭は50名に膨れ上がった。ドワーズ・ドール・フラーンデレン優勝者のイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)は落車によってリタイアを喫している。
レース前半の横風区間でメイン集団はエシュロンを形成して分裂 photo:Tim de Waele
第1集団を率いるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:Tim de Waele
レース後半に逃げたティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)ら5名 photo:Tim de Waele
人数を揃えて集団先頭を固めるトレック・セガフレード photo:Tim de Waele1回目の「ケンメルベルグ」で大きな動きは生まれず、続く「モンテベルグ」でマッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)がアタックするとダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)、ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)、ティエシー・ベノート(ベルギー、ロット・ソウダル)、そして前半から逃げていたブラットが合流する。
最後のケンメルベルグに差し掛かるメイン集団 photo:Tim de Waeleこうしてイタリア人率の高い先頭グループが新たに形成されたものの、ディメンションデータやロットNLユンボの追撃によって残り53km地点で吸収。すると続いてヴィチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ)が単独で抜け出し、1分リードで最後の「バネベルグ」と「ケンメルベルグ」に差し掛かった。
先頭でケンメルベルグを駆け上がるヴィチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ) photo:Tim de Waele「バネベルグ」でアタックしたセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)が一時的に先行したものの、しばらくして集団に引き戻される。すると最後の「ケンメルベルグ」でレースに火がついた。シッティングで加速したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)にサガンやファンマルク、ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)、グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)が続き、ほぼ6名が連なって頂上をクリアする。
ケンメルベルグで動くファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)とペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:Tim de Waele僅かなギャップを埋めることができなかったスティバル、ファンアフェルマート、ロウが脱落した一方で、カンチェラーラ、サガン、ファンマルクの3名が先頭クズネツォフを吸収して先を急ぐ。フィニッシュまでは35kmの平坦路。追い風に乗った先頭4名のリードは30秒を超えた。
ガビリアでのスプリントを狙うエティックス・クイックステップが束になって約20名の集団を率いたものの、先頭4名とのタイム差は詰まらない。逃げ切りを決めたカンチェラーラ、サガン、ファンマルク、クズネツォフが牽制しながらウェヴェルヘムの街に差し掛かった。
カンチェラーラを先頭にスプリントのタイミングを計る先頭4名。最終ストレートに入り、残り200mでラインを変えてダッシュしたクズネツォフにサガンが反応し、ファンマルクとカンチェラーラが続く。クズネツォフのスリップストリームから残り50mで再度加速したアルカンシェルが先頭へ。サガンが4名でのスプリントを制した。
ケンメルベルグで飛び出すペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)とファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele
先頭グループを形成するペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele
先頭グループを率いて後続を引き離すセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waele
イーペルの街を通過するペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)ら photo:Tim de Waele「風が強く吹いていたし、ずっと全開走行だった。石畳のケンメルベルグでファビアン(カンチェラーラ)とアタックして先行。先頭が4人になってすぐにローテーションが回り始め、協調体制を築くことができた。とてもハードなフィナーレだった」。2013年に続く2度目のヘント〜ウェヴェルヘム制覇を果たしたサガンは振り返る。
4名でのスプリントで競り合うペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)ら photo:Tim de Waele「フィニッシュ手前で引きすぎた(E3ハーレルベーケの)失敗を繰り返さないように心がけたよ。後続グループが追いついてくることはなかったし、3番手でスプリントに向けて待機。クズネツォフがスプリントを開始した時、彼に反応してリードアウトされれば良いスプリントに持ち込めると判断した。逃げ時間が長かったのでスプリント勝負のスピード自体は速くなかった」。
4名でのスプリント勝負を制したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:Tim de Waele今シーズン2位を6回経験したサガンがようやく掴んだアルカンシェルでの初勝利。2015年9月27日のロード世界選手権以来、ちょうど半年ぶりの勝利となる。「調子の良さを勝利に繋げることができて良かった。この好調さのままフランドルとルーベに挑みたい」と、まだ優勝経験のないロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに向けて世界チャンピオンは弾みをつけた。
後続集団のスプリントで先着したアルノー・デマール(フランス、FDJ) photo:Tim de Waele積極的な走りでロシア人初の表彰台に上った26歳のクズネツォフは「大きなサプライズ。人生最良の日だ。ビッグネームを相手にしたスプリントでチャンスを掴むためには真っ先に仕掛ける必要があった。ペーター・サガンには先行されてしまったけど、トップスリーに入れるとは夢にも思わなかったよ」とコメントしている。
「4人の勝負で4位という結果は面白くないけど、それ以上の結果は残せなかった。重要な局面で常に先頭にいたし、チームの働きは素晴らしかったけど、最後は脚に力が残っておらず、いつも通りのパワーが出なかった」と語るのは、自らケンメルベルグで仕掛けながら表彰台を逃したカンチェラーラだ。
「終盤にかけて追い風が吹いていることを把握していたので、ケンメルベルグでの先行はあらかじめ考えていた。今回の唯一の失敗は(先頭グループの)他の選手よりも数秒長く先頭を引いてしまったこと。とにかくE3とのハードな2日間で来週に向けての脚が仕上がったよ。ヘント〜ウェヴェルヘムはフランドルではなく、フランドルに向けたテストレースだ。ミラノ〜サンレモの強度が例年よりも低かったので、今日のような強度の高いレースが必要だった。今から自宅に帰って、シーズンの中で最も重要なレースに向けて最終調整する」とカンチェラーラは語っている。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ヘント〜ウェヴェルヘム2016表彰台 2位ファンマルク、1位サガン、3位クズネツォフ photo:Tim de Waele
ヘント〜ウェヴェルヘム2016結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 5h55’12”
2位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)
3位 ヴィチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ)
4位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)
5位 アルノー・デマール(フランス、FDJ) +11”
6位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
7位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)
8位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)
9位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
10位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、カチューシャ)
DNF 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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優勝候補の一角であるアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)とイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)は体調不良によってスタートせず。強い西風が吹く中、3km地点で5名のアタックが決まる。リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)やパヴェル・ブラット(ロシア、ティンコフ・サクソ)ら5名は最大11分リードで広大な平野を逃げた。
この日の重要な動きは前半の平坦区間で生まれる。横風が吹く幹線道路でペースが上がったメイン集団はエシュロンを形成しながら分裂。有力選手を含む34名の第1集団が形成された一方で、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)を含む第2集団は1分の遅れを被った。
一旦隣国フランスに入国し、後半の急坂連続区間に向かった第1集団はレース中盤に先頭5名をキャッチ(130km地点)。その後ようやく第2集団が先頭に追いつき、フィニッシュまで90kmを残して先頭は50名に膨れ上がった。ドワーズ・ドール・フラーンデレン優勝者のイェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)は落車によってリタイアを喫している。
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ガビリアでのスプリントを狙うエティックス・クイックステップが束になって約20名の集団を率いたものの、先頭4名とのタイム差は詰まらない。逃げ切りを決めたカンチェラーラ、サガン、ファンマルク、クズネツォフが牽制しながらウェヴェルヘムの街に差し掛かった。
カンチェラーラを先頭にスプリントのタイミングを計る先頭4名。最終ストレートに入り、残り200mでラインを変えてダッシュしたクズネツォフにサガンが反応し、ファンマルクとカンチェラーラが続く。クズネツォフのスリップストリームから残り50mで再度加速したアルカンシェルが先頭へ。サガンが4名でのスプリントを制した。
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「4人の勝負で4位という結果は面白くないけど、それ以上の結果は残せなかった。重要な局面で常に先頭にいたし、チームの働きは素晴らしかったけど、最後は脚に力が残っておらず、いつも通りのパワーが出なかった」と語るのは、自らケンメルベルグで仕掛けながら表彰台を逃したカンチェラーラだ。
「終盤にかけて追い風が吹いていることを把握していたので、ケンメルベルグでの先行はあらかじめ考えていた。今回の唯一の失敗は(先頭グループの)他の選手よりも数秒長く先頭を引いてしまったこと。とにかくE3とのハードな2日間で来週に向けての脚が仕上がったよ。ヘント〜ウェヴェルヘムはフランドルではなく、フランドルに向けたテストレースだ。ミラノ〜サンレモの強度が例年よりも低かったので、今日のような強度の高いレースが必要だった。今から自宅に帰って、シーズンの中で最も重要なレースに向けて最終調整する」とカンチェラーラは語っている。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
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ヘント〜ウェヴェルヘム2016結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 5h55’12”
2位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)
3位 ヴィチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ)
4位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)
5位 アルノー・デマール(フランス、FDJ) +11”
6位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
7位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)
8位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)
9位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
10位 ミカエル・モルコフ(デンマーク、カチューシャ)
DNF 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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