2016/03/26(土) - 18:03
スタートから2時間半におよぶ高速アタック合戦が繰り広げられたボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第5ステージ。総合上位陣がボーナスタイムを競り合う中、ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)が独走逃げ切りを果たした。
レース前半は平均50km/h近いハイスピードな展開 photo:Tim de Waele
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2016第5ステージ image:Volta Ciclista a Catalunyaボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ第5ステージは、ピレネー山脈を背にし、地中海に向かって平野を駆ける。山岳ステージとは呼べない難易度だが、残り10.6km地点に登場する標高580mの2級山岳リーリャ峠(4.1km/4.8%)がスプリンターたちにとって厄介な存在。そして同時にアタッカーたちの発射台である。
集団内でレースを進めるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele開幕2連勝を飾ったナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)はピレネー山脈を越えることができずにリタイア済み。ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)はロンド・ファン・フラーンデレンに照準を合わすためスタートしなかった。
リーダージャージを着て走るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Tim de Waeleレースはスタートとともに高速化する。アタックに次ぐアタックはことごとく捕まえられ、187km/4時間レースの半分以上がアタックの応酬に。その要因は68km地点にスプリントポイントが設定されているためで、総合上位の選手たちがボーナスタイム獲得を狙ってスプリントした。
独走でフィニッシュするワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) photo:Tim de Waeleチームメイトのリードアウトを受けてスプリントポイントを先頭通過した総合4位ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)がボーナスタイム3秒を獲得。また、総合2位アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)が3番手通過で1秒獲得する。その結果、総合首位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)とコンタドールの総合タイム差は7秒に縮小。
サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が集団スプリントで先着 photo:Tim de Waeleレース中盤の2級山岳を越えてもなおアタック合戦は続き、48km/hを上回る平均スピードを刻んだメイン集団から127km地点/残り60km地点でようやく7名が先行を開始する。ハードな展開から抜け出したのはダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)、カルロス・ベローナ(イタリア、エティックス・クイックステップ)、カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ)、ポエルスら、UCIワールドチームのサブエース級選手たちだった。
カチューシャとオリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団を振り切って最後の2級山岳リーリャ峠に達した先頭7名の中から、一発でアタックを決めたポエルスが独走。カタルドやベローナ、シウトソウ、ガエタン・ビール(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)が懸命に追走するも、先頭ポエルスは20秒リードで頂上をクリアする。
一方、90秒後方のメイン集団ではIAMサイクリングとオリカ・グリーンエッジ、カチューシャがペースを上げ、緩斜面を高速で駆け上がる。ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)やロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)らが動きを見せたが抜け出せない。およそ60名に縮小した状態で2級山岳リーリャ峠の登坂を終え、高速ダウンヒルに差し掛かった。
独走態勢を築いたポエルスが先頭で下りを終え、フィニッシュ地点バルスの街に差し掛かる。残り1kmで振り返るとそこには追走4名(カタルド、ベローナ、シウトソウ、ビール)の姿、そしてその後方にメイン集団。しかし最後までその差は詰まらない。リードを守り抜いたポエルスが、5年前に不慮の事故で亡くなったバルス出身シャビエル・トンド(スペイン、当時モビスター)の名前を冠したスポーツセンター前のフィニッシュラインに飛び込んだ。
「まるで10kmの個人タイムトライアルだった。今日はスウィフトのスプリントのために走る予定だったものの、アタックするオプションも持ち合わせていた。残り2kmで後続が追いつきかけたのでナーバスになったけど、一か八かの勝負で終わってみれば逃げ切り。クールな勝利だ」と、開幕前から注目を集めながらも結果を残せていなかったチームスカイに勝利をもたらしたポエルスは語る。2月のボルタ・ア・バレンシアナでステージ2勝&総合優勝を飾っている28歳のオールラウンダーが好機をものにした。
総合上位陣は33秒遅れの集団内でフィニッシュしたため、変動はスプリントポイントでのボーナスタイムのみ。リーダージャージを守ったキンタナは「モンジュイックにフィニッシュする最終ステージよりも危険なステージだったと思う。ずっとペースが速かったし、コンタドールの動きも危険だった。ボーナスタイムが設定されているので総合成績はまだ分からない。自分にとってもライバルたちにとってもこのカタルーニャ一周の攻略は難しいものになるだろう」とコメントしている。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ステージ優勝を飾ったワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) photo:Tim de Waele
ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2016第5ステージ結果
1位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) 3h59’03”
2位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) +11”
3位 ガエタン・ビール(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ)
5位 カルロス・ベローナ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +13”
6位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +33”
7位 アレクセイ・ツァテヴィッチ(ロシア、カチューシャ)
8位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
9位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 23h01’19”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +07”
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +17”
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +21”
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +27”
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +32”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +42”
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +46”
9位 ヒュー・カーシー(イギリス、カハルーラル) +1’01”
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +1’16”
山岳賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
スプリント賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
ヤングライダー賞
1位 ヒュー・カーシー(イギリス、カハルーラル)
チーム総合成績
1位 BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele






カチューシャとオリカ・グリーンエッジが牽引するメイン集団を振り切って最後の2級山岳リーリャ峠に達した先頭7名の中から、一発でアタックを決めたポエルスが独走。カタルドやベローナ、シウトソウ、ガエタン・ビール(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)が懸命に追走するも、先頭ポエルスは20秒リードで頂上をクリアする。
一方、90秒後方のメイン集団ではIAMサイクリングとオリカ・グリーンエッジ、カチューシャがペースを上げ、緩斜面を高速で駆け上がる。ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)やロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)らが動きを見せたが抜け出せない。およそ60名に縮小した状態で2級山岳リーリャ峠の登坂を終え、高速ダウンヒルに差し掛かった。
独走態勢を築いたポエルスが先頭で下りを終え、フィニッシュ地点バルスの街に差し掛かる。残り1kmで振り返るとそこには追走4名(カタルド、ベローナ、シウトソウ、ビール)の姿、そしてその後方にメイン集団。しかし最後までその差は詰まらない。リードを守り抜いたポエルスが、5年前に不慮の事故で亡くなったバルス出身シャビエル・トンド(スペイン、当時モビスター)の名前を冠したスポーツセンター前のフィニッシュラインに飛び込んだ。
「まるで10kmの個人タイムトライアルだった。今日はスウィフトのスプリントのために走る予定だったものの、アタックするオプションも持ち合わせていた。残り2kmで後続が追いつきかけたのでナーバスになったけど、一か八かの勝負で終わってみれば逃げ切り。クールな勝利だ」と、開幕前から注目を集めながらも結果を残せていなかったチームスカイに勝利をもたらしたポエルスは語る。2月のボルタ・ア・バレンシアナでステージ2勝&総合優勝を飾っている28歳のオールラウンダーが好機をものにした。
総合上位陣は33秒遅れの集団内でフィニッシュしたため、変動はスプリントポイントでのボーナスタイムのみ。リーダージャージを守ったキンタナは「モンジュイックにフィニッシュする最終ステージよりも危険なステージだったと思う。ずっとペースが速かったし、コンタドールの動きも危険だった。ボーナスタイムが設定されているので総合成績はまだ分からない。自分にとってもライバルたちにとってもこのカタルーニャ一周の攻略は難しいものになるだろう」とコメントしている。
選手コメントは各チーム公式サイトより。

ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2016第5ステージ結果
1位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) 3h59’03”
2位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) +11”
3位 ガエタン・ビール(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、ディメンションデータ)
5位 カルロス・ベローナ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +13”
6位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +33”
7位 アレクセイ・ツァテヴィッチ(ロシア、カチューシャ)
8位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
9位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 23h01’19”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) +07”
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +17”
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +21”
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +27”
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +32”
7位 イルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ) +42”
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +46”
9位 ヒュー・カーシー(イギリス、カハルーラル) +1’01”
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール) +1’16”
山岳賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
スプリント賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
ヤングライダー賞
1位 ヒュー・カーシー(イギリス、カハルーラル)
チーム総合成績
1位 BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
Amazon.co.jp