2016/01/24(日) - 07:18
残り25km、メイン集団で大落車が発生したツール・ド・サンルイス。足止めを背に3名のアルゼンチン勢が逃げ切り、ニコラス・ティヴァニがステージ優勝を飾った。
南米アルゼンチンで開催中のツール・ド・サンルイス(UCI2.1)。第5ステージの舞台はレンカからサンルイスの隣町、ファナ・コスライへと至る168.7km。コース中には一つの山岳ポイントも設定されず、ゴール前3kmからは緩やかな登りが用意されるが、スプリンターを脱落させる難易度では無い。
昨年は同じコースレイアウトでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)がマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、現ディメンションデータ)を破っており、この日の予想はほぼ100%集団スプリント。しかしゴール25km手前のアクシデントが全ての歯車を狂わせた。
山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)も加わったアタック合戦からエスケープしたのは、ニコラス・ティヴァニ(アルゼンチン、アルゼンチンナショナルチーム)や、2回総合優勝経験を持ちながら前日に大きく遅れたダニエル・ディアス(アルゼンチン、マルセイユ・プロヴァンスKTM、エミリアーノ・イバッラ(アルゼンチン、パブリコ・サンホアン)、そして過去モビスターに所属したラミロ・カブレラ(ウルグアイ、チクリズモ・ボッテキア)という4名。
UCIワールドツアー勢がコントロールするメイン集団は逃げに大きなリードを与えず、スプリントに向けて着々と準備を進めていく。そんな最中、ハイペースでトレインを組んでいたアドリアーノ・マローリの前輪が道路の割れ目に落ちた。
前転して頭から着地したマローリには後続が次々と突っ込み、多人数が巻き込まれる大落車に。マローリは病院に運ばれリタイア、ガビリアは橈骨骨折、新人賞首位のロドリゴ・コントレラス(コロンビア、エティックス・クイックステップ)は膝を15針縫う怪我を負い、翌日の出走が不可能となってしまった。
このアクシデントに好機を得たのは逃げグループだった。一気にペースダウンした集団を尻目に再びタイム差を拡大すると、遅れたカブレラを除く3名がフィニッシュラインに到達。3名のスプリントをティヴァニが制し、金星を飾ることとなった。
1分半遅れでフィニッシュラインにやってきたメイン集団からは、間隙を縫って山本元喜らがアタック。ゴール手前で吸収されたものの、積極的な走りが光った。メイン集団の先頭を獲ったのはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イタリアナショナルチーム)。
「逃げに乗るのはやはり難しいと改めて実感した1日だった。それだけに1回1回の逃げを大切にする必要があるとも感じた」とは、序盤と終盤にアタックを繰り出した山本。「去年と比べて自分が強くなっていると感じることも出来たので良かったとも思う」と自身のブログに綴っている。
翌第6ステージは、いよいよツール・ド・サンルイスの佳境。大会最後にして最高難度の1級山岳「フィロ・シエラ・コメチンゴネス」頂上(標高2140m)へと駆け上がるクイーンステージで、今大会の総合優勝者が決まる。絶好調の南米勢と、ヨーロッパ勢の攻防が繰り広げられるはずだ。
ツール・ド・サンルイス2016第5ステージ結果
1位 ニコラス・ティヴァニ(アルゼンチン、アルゼンチンナショナルチーム) 3h37’39”
2位 ダニエル・ディアス(アルゼンチン、マルセイユ・プロヴァンスKTM)
3位 エミリアーノ・イバッラ(アルゼンチン、パブリコ・サンホアン)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イタリアナショナルチーム) +1’34”
5位 セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ジェイミス)
6位 エデュアルド・グロース(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
7位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 ヤニック・マルティネス(フランス、マルセイユ・プロヴァンスKTM)
9位 マルコ・カノーラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
10位 グレガ・ボーレ(スロベニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
20位 山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)15h39’29”
2位 ダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター) +03”
3位 ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +38”
4位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +42”
5位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +51”
6位 ロマン・ヴィラロボス(コスタリカ、コスタリカナショナルチーム) +1’06”
7位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェイミス) +1’09”
8位 イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ) +1’22”
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’36”
10位 アンドレ・カルドソ(ポルトガル、キャノンデールプロサイクリング) +1’37”
山岳賞
エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
ヤングライダー賞
ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
モビスター
text:So.Isobe
photo:Tim de Waele,Bettini
南米アルゼンチンで開催中のツール・ド・サンルイス(UCI2.1)。第5ステージの舞台はレンカからサンルイスの隣町、ファナ・コスライへと至る168.7km。コース中には一つの山岳ポイントも設定されず、ゴール前3kmからは緩やかな登りが用意されるが、スプリンターを脱落させる難易度では無い。
昨年は同じコースレイアウトでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、エティックス・クイックステップ)がマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、現ディメンションデータ)を破っており、この日の予想はほぼ100%集団スプリント。しかしゴール25km手前のアクシデントが全ての歯車を狂わせた。
山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)も加わったアタック合戦からエスケープしたのは、ニコラス・ティヴァニ(アルゼンチン、アルゼンチンナショナルチーム)や、2回総合優勝経験を持ちながら前日に大きく遅れたダニエル・ディアス(アルゼンチン、マルセイユ・プロヴァンスKTM、エミリアーノ・イバッラ(アルゼンチン、パブリコ・サンホアン)、そして過去モビスターに所属したラミロ・カブレラ(ウルグアイ、チクリズモ・ボッテキア)という4名。
UCIワールドツアー勢がコントロールするメイン集団は逃げに大きなリードを与えず、スプリントに向けて着々と準備を進めていく。そんな最中、ハイペースでトレインを組んでいたアドリアーノ・マローリの前輪が道路の割れ目に落ちた。
前転して頭から着地したマローリには後続が次々と突っ込み、多人数が巻き込まれる大落車に。マローリは病院に運ばれリタイア、ガビリアは橈骨骨折、新人賞首位のロドリゴ・コントレラス(コロンビア、エティックス・クイックステップ)は膝を15針縫う怪我を負い、翌日の出走が不可能となってしまった。
このアクシデントに好機を得たのは逃げグループだった。一気にペースダウンした集団を尻目に再びタイム差を拡大すると、遅れたカブレラを除く3名がフィニッシュラインに到達。3名のスプリントをティヴァニが制し、金星を飾ることとなった。
1分半遅れでフィニッシュラインにやってきたメイン集団からは、間隙を縫って山本元喜らがアタック。ゴール手前で吸収されたものの、積極的な走りが光った。メイン集団の先頭を獲ったのはエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イタリアナショナルチーム)。
「逃げに乗るのはやはり難しいと改めて実感した1日だった。それだけに1回1回の逃げを大切にする必要があるとも感じた」とは、序盤と終盤にアタックを繰り出した山本。「去年と比べて自分が強くなっていると感じることも出来たので良かったとも思う」と自身のブログに綴っている。
翌第6ステージは、いよいよツール・ド・サンルイスの佳境。大会最後にして最高難度の1級山岳「フィロ・シエラ・コメチンゴネス」頂上(標高2140m)へと駆け上がるクイーンステージで、今大会の総合優勝者が決まる。絶好調の南米勢と、ヨーロッパ勢の攻防が繰り広げられるはずだ。
ツール・ド・サンルイス2016第5ステージ結果
1位 ニコラス・ティヴァニ(アルゼンチン、アルゼンチンナショナルチーム) 3h37’39”
2位 ダニエル・ディアス(アルゼンチン、マルセイユ・プロヴァンスKTM)
3位 エミリアーノ・イバッラ(アルゼンチン、パブリコ・サンホアン)
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、イタリアナショナルチーム) +1’34”
5位 セバスティアン・アエド(アルゼンチン、ジェイミス)
6位 エデュアルド・グロース(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
7位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 ヤニック・マルティネス(フランス、マルセイユ・プロヴァンスKTM)
9位 マルコ・カノーラ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)
10位 グレガ・ボーレ(スロベニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
20位 山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)15h39’29”
2位 ダイェル・キンタナ(コロンビア、モビスター) +03”
3位 ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +38”
4位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +42”
5位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +51”
6位 ロマン・ヴィラロボス(コスタリカ、コスタリカナショナルチーム) +1’06”
7位 アレクシス・アセヴェド(コロンビア、ジェイミス) +1’09”
8位 イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ) +1’22”
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) +1’36”
10位 アンドレ・カルドソ(ポルトガル、キャノンデールプロサイクリング) +1’37”
山岳賞
エデュアルド・セプルヴェダ(アルゼンチン、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
ヤングライダー賞
ロドリゴ・コントレラス(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
チーム総合成績
モビスター
text:So.Isobe
photo:Tim de Waele,Bettini
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