2015/12/15(火) - 09:34
斜度45度近い泥の壁で後続を突き放したワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス)が、F1グランプリでも使用されるスパ=フランコルシャンサーキットを快走。シーズン序盤から維持している好調ぶりを遺憾なく発揮した。
ベルギー東部、ドイツ国境に近い所謂アルデンヌ地方の森の中にF1ベルギーグランプリ開催地として知られるスパ=フランコルシャンサーキットはある。スーパープレスティージュのコースは、起伏に富んだレイアウトが特徴のサーキットと隣接する森を行き来するレイアウトだ。
スパ名物のオールージュ(勾配10%の舗装路)や、バイクを担いで辛うじてよじ登ることが出来る壁のような斜面、多くの選手が腰を引きながら慎重に下る深い泥の坂が組み合わされる。雨によって路面は完全なウェットコンディション。トップライダーであっても乗車率の低い泥レースとなった。
スタート後すぐのオールージュで飛び出したのは世界チャンピオンジャージを着るマテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPコレンドン)だった。怪我から復活し、徐々にコンディションを戻しつつあるファンデルポールだったが泥の下りでミスしてポジションを落とす。代わって先頭に立ったのは好調のワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス)。
泥のついたバイクを頻繁にピットで交換しながら先頭を走るシリーズリーダーのファンアールトと、追走する世界王者ファンデルポール。「今日のようなコースが最も自分に向いている」というファンアールトが、長い脚を生かした幅広のストロークで泥の登りをパワフルに駆け上がる。
やがて2番手ファンデルポールは失速し、スヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク)とクラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)、ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)、ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)が追走パックを形成。再び泥の下りで転倒したファンデルポールは最終的に12位に沈んでいる。
ファンアールトは後続を寄せ付けないペースを保ち、1分近いリードを得て最終周回へ。「タフなコースの中で最大限の走りをした。泥の壁で一気に仕掛け、そこで生まれたリードを最後まで保っただけ。今日はレース中盤から走りを楽しむことが出来た」と振り返る王者が、観客を沸かしながらフィニッシュラインを切った。
スーパープレスティージュのシリーズランキングでトップを快走するファンアールト。今シーズン勝ちまくっているファンアールトは2016年1月31日に開催される世界選手権に目を向ける。「昨年も今の時期が絶好調だったけど、それが1月(世界選手権)の好調を約束するものではない。今はまだしっかりと地に足をつけて種を蒔き、1月にそれを収穫したい」とコメントしている。
単独2番手でフィニッシュしたのは最終周回にプッシュしたネイス。3位にはフィニッシュライン直前でファントルノートをかわしたパウエルスが入った。なお、今シーズン限りで引退するネイスは、2016年3月1日からライバルチームであるテレネット・フィデアの監督に就任することを発表している。
選手コメントはレース公式サイトより。
スーパープレスティージュ2015-2016第5戦結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス) 1h03’00”
2位 スヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク) +1’04”
3位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +1’13”
4位 クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +1’16”
5位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア) +1’29”
6位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア) +1’30”
7位 タイス・ファンアメロンゲン(オランダ、テレネット・フィデア) +1’33”
8位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +1’42”
9位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +2’09"
10位 ティム・メルリエ(ベルギー、ファストフートサービス) +2’46”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
ベルギー東部、ドイツ国境に近い所謂アルデンヌ地方の森の中にF1ベルギーグランプリ開催地として知られるスパ=フランコルシャンサーキットはある。スーパープレスティージュのコースは、起伏に富んだレイアウトが特徴のサーキットと隣接する森を行き来するレイアウトだ。
スパ名物のオールージュ(勾配10%の舗装路)や、バイクを担いで辛うじてよじ登ることが出来る壁のような斜面、多くの選手が腰を引きながら慎重に下る深い泥の坂が組み合わされる。雨によって路面は完全なウェットコンディション。トップライダーであっても乗車率の低い泥レースとなった。
スタート後すぐのオールージュで飛び出したのは世界チャンピオンジャージを着るマテュー・ファンデルポール(オランダ、BKCPコレンドン)だった。怪我から復活し、徐々にコンディションを戻しつつあるファンデルポールだったが泥の下りでミスしてポジションを落とす。代わって先頭に立ったのは好調のワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス)。
泥のついたバイクを頻繁にピットで交換しながら先頭を走るシリーズリーダーのファンアールトと、追走する世界王者ファンデルポール。「今日のようなコースが最も自分に向いている」というファンアールトが、長い脚を生かした幅広のストロークで泥の登りをパワフルに駆け上がる。
やがて2番手ファンデルポールは失速し、スヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク)とクラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)、ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)、ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)が追走パックを形成。再び泥の下りで転倒したファンデルポールは最終的に12位に沈んでいる。
ファンアールトは後続を寄せ付けないペースを保ち、1分近いリードを得て最終周回へ。「タフなコースの中で最大限の走りをした。泥の壁で一気に仕掛け、そこで生まれたリードを最後まで保っただけ。今日はレース中盤から走りを楽しむことが出来た」と振り返る王者が、観客を沸かしながらフィニッシュラインを切った。
スーパープレスティージュのシリーズランキングでトップを快走するファンアールト。今シーズン勝ちまくっているファンアールトは2016年1月31日に開催される世界選手権に目を向ける。「昨年も今の時期が絶好調だったけど、それが1月(世界選手権)の好調を約束するものではない。今はまだしっかりと地に足をつけて種を蒔き、1月にそれを収穫したい」とコメントしている。
単独2番手でフィニッシュしたのは最終周回にプッシュしたネイス。3位にはフィニッシュライン直前でファントルノートをかわしたパウエルスが入った。なお、今シーズン限りで引退するネイスは、2016年3月1日からライバルチームであるテレネット・フィデアの監督に就任することを発表している。
選手コメントはレース公式サイトより。
スーパープレスティージュ2015-2016第5戦結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ファストフートサービス) 1h03’00”
2位 スヴェン・ネイス(ベルギー、クレランAAドリンク) +1’04”
3位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +1’13”
4位 クラース・ファントルノート(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) +1’16”
5位 コルヌ・ファンケッセル(オランダ、テレネット・フィデア) +1’29”
6位 トーン・アールツ(ベルギー、テレネット・フィデア) +1’30”
7位 タイス・ファンアメロンゲン(オランダ、テレネット・フィデア) +1’33”
8位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +1’42”
9位 トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア) +2’09"
10位 ティム・メルリエ(ベルギー、ファストフートサービス) +2’46”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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