2015/12/23(水) - 09:22
「Aero is everything」をキーワードに、空力性能に優れる製品群を展開するスペシャライズドより新型ヘルメット「AIRNET」が登場。レースからタウンユースまでシーンを問わないバーサタイルなフォルムながら、S-WORKS EVADEに次ぐ空力性能を実現した新たなエアロヘルメットをインプレッションした。
「AIRNET(エアネット)」は、街中でも馴染みやすい丸みを帯びたフォルムながら、ロードレースや悪路を長時間走るアドヴェンチャーライドなど、本格的なシチュエーションにも対応する新型ヘルメット。アジアンフィットによる自然な被り心地、快適性、安全性に加え、優れた空力性能を兼ね備えることが特徴だ。
カジュアル系からピッタリとしたレースモデルまで、幅広いウェアにマッチする滑らかなシェルデザインは、エアロヘルメットの先駆者ともいうべきレースモデル「S-WORKS EVADE」を踏襲。自社所有の風洞施設「WIN-TUNNEL」での実験とあわせて、S-WORKS EVADEに次ぐ空力性能を実現している。
可能な限り空気抵抗を抑えた一方で、効率的に配置された23個のベンチレーションホールにより、クーリング性能を向上。気流の乱れを最小限に留めつつも、前方からより多くの空気を取り込み、シェル内部の溝と後方のホールを経て素早くシェル内を通過させることで、頭部から発せられる熱を効率的に排出。またターゲットとなるユーザーや用途を考え、低速での通気性も高めた。
肝心のプロテクション性能については、全体的に厚みを持たせ、インナーシェルの内部に複合素材マトリックスを組み込み強化。アメリカのCPSCやヨーロッパのCE ENといった厳格な基準をパスしており、JCF公認も取得していることから、本格的なレースユースにも対応している。
上位モデルと同じくクロージャーには、軽量で、走行中にもかんたんに細かく調整できる「Mindset マイクロダイアルフィットシステム」を搭載。日本人に多い丸型頭にフィットしやすいアジアンフィットのシェルとあわせて、上位モデルと遜色ない装着感とした。
インナーパッドは、ノーマルタイプと、バイザー付きタイプの2種類が付属し、好みによって使い分けることができる。素材にはレース用モデルより柔らかな肌触りで、速乾吸収性にも優れる「DriReleaseメリノーウール」を採用。汗が額に垂れてこないようクッション量を高め、肌との接触面積を拡大している。「4X DryLiteウェビングストラップ」も速乾吸収性に優れると同時に、汗が染みこんでも不快な匂いが発生しづらく、軽量でしなやかな仕上がりとなっている。
そして、数あるスペシャライズドのヘルメットラインアップの中でもAIRNETだけの特徴となるのが、ヘルメットの前後に備えられたOptiGrip(オプティグリップ)というアイウェア用のグリッパーだ。S-Works Turboタイヤなどに使われるグリプトンラバーを素材としており、ダートなど振動の大きな場所でもヘルメットにかけたサングラスをしかっりとホールドし、脱落のリスクを最小限に抑える。
サイズはS/M、L/XLという2種類。カラーラインアップはオークグリーン/ブラック、ライトブルー/レッド、ホワイト、ブラック、イオン/ブラックという全5種類で価格は19,800円(税込)だ。
ーインプレッション
まずは外見の印象から。突起の少ないデザインは見た目に攻撃性が少なくシティユースにも馴染んでくれそう。上位グレードにあたるS-WORKS EVADEと同じサイズで比較すると、側頭部のシェルの厚みが増した分だけ、横幅が広がっている。ただ、その分だけ、いざと言う時の安心感が高くなっている。実際に横から力を掛けると、多少なりの変形を感じる軽量モデルも少なくないが、AIRNETの場合にはビクともしない。
シェル内部は、厚手としたパッドの影響も少なからずあるだろうが、S-WORKS EVADEと比較すると、横幅が若干狭くなっているように感じられた。とはいっても、その差は小さく、AIRNETが店頭になくとも、S-WORKS EVADEがあればサイズを選ぶことができる。
アジアンフィットと謳うだけあり、ハチの張った典型的な日本人頭の筆者にも隙間なくフィットしてくれる。被りもS-WORKS EVADEと同じで深く、眉毛のすぐ上に縁がきてくれるため、アイウェアを装着した際にもシェルとのクリアランスが少なく、おでこの出た不格好な見た目にはなりにくい。
今回私がテストに使用したS/Mサイズは303gと、各社ともヘルメットの軽量化が進んでいる中にあっては、装着した瞬間は重さを感じざるをえない。しかし、一度走りだせば空気抵抗が小さいためか、あまり重さを感じなくなる。これは高速時だけではなく、時速30km/h以下でも同じだ。
それでいて通気性は高く、寒い日のライドではキャップ等で調節してあげる必要も出てくるほどだ。逆に、夏場の暑い日のライドでは高い快適性をもたらしてくれるはず。空気の流れとしては、フロントから流入量が多く、同時に後方への流出速度が高いのだ。
時速30km/hほどで走行中に後方のベンチレーション付近に指を当ててみれば、速い気流が指によって切り裂かれている音が聞こえてくる。恐らくは、シェルの外側と内部で気流に速度差が生まれており、内部の気流のほうが速いことから、ほんの僅かに揚力が発生しているのかもしれない。
S-WORKS EVADEと共通のクロージャーやストラップ、メリノウール混紡素材のパッドなど細部の造りは卒がない。アイウェアとの相性も良く、装着時はシェルやクロージャーと干渉しないのはもちろんのこと、OptiGripは荒れた路面でもしっかりと仕事をしてくれる。ただし、特にフロント側ではアイウェアのヒンジが長いとグリッパーとアイウェアが接触しないこともあるため、気になる方は店頭で試してほしい。
まとめると、レースからタウンユースまでシーンを問わないバーサタイルなフォルムながら、低速域でも感じることのできる優れた空力性能はスペシャライズドならではであり、AIRNETの最たる特徴である。それでいてヘルメットとしての基本性能にも卒がなく、そのバリューは充分に高い。
S-WORKS EVADEを含む各社のレース系エアロヘルメットと比較すれば、重量などで劣るものの、その分だけ値段も高ければ、見た目的にも街中で浮いてしまうもの少なくない。AIRNETはこれまでのエアロヘルメットにはない独特の立ち位置を築いているといえよう。
スペシャライズド AIRNET
安全規格:CPSC、CE EN、SNELL、AS/NZS、JIS
テクノロジー:4th Dimension Cooling System、ドライリリース・メリノーウールパッド、4X DryLiteストラップ、Tri-Fixストラップスプリッター、Instrapストラップシステム
カラー:オークグリーン/ブラック、ライトブルー/レッド、ホワイト、ブラック、イオン/ブラック
サイズ:S/M、L/XL(アジアンフィット)
実測重量:303g(S/M)、336g(L/XL)
価 格:19,800円(税込)
「AIRNET(エアネット)」は、街中でも馴染みやすい丸みを帯びたフォルムながら、ロードレースや悪路を長時間走るアドヴェンチャーライドなど、本格的なシチュエーションにも対応する新型ヘルメット。アジアンフィットによる自然な被り心地、快適性、安全性に加え、優れた空力性能を兼ね備えることが特徴だ。
カジュアル系からピッタリとしたレースモデルまで、幅広いウェアにマッチする滑らかなシェルデザインは、エアロヘルメットの先駆者ともいうべきレースモデル「S-WORKS EVADE」を踏襲。自社所有の風洞施設「WIN-TUNNEL」での実験とあわせて、S-WORKS EVADEに次ぐ空力性能を実現している。
可能な限り空気抵抗を抑えた一方で、効率的に配置された23個のベンチレーションホールにより、クーリング性能を向上。気流の乱れを最小限に留めつつも、前方からより多くの空気を取り込み、シェル内部の溝と後方のホールを経て素早くシェル内を通過させることで、頭部から発せられる熱を効率的に排出。またターゲットとなるユーザーや用途を考え、低速での通気性も高めた。
肝心のプロテクション性能については、全体的に厚みを持たせ、インナーシェルの内部に複合素材マトリックスを組み込み強化。アメリカのCPSCやヨーロッパのCE ENといった厳格な基準をパスしており、JCF公認も取得していることから、本格的なレースユースにも対応している。
上位モデルと同じくクロージャーには、軽量で、走行中にもかんたんに細かく調整できる「Mindset マイクロダイアルフィットシステム」を搭載。日本人に多い丸型頭にフィットしやすいアジアンフィットのシェルとあわせて、上位モデルと遜色ない装着感とした。
インナーパッドは、ノーマルタイプと、バイザー付きタイプの2種類が付属し、好みによって使い分けることができる。素材にはレース用モデルより柔らかな肌触りで、速乾吸収性にも優れる「DriReleaseメリノーウール」を採用。汗が額に垂れてこないようクッション量を高め、肌との接触面積を拡大している。「4X DryLiteウェビングストラップ」も速乾吸収性に優れると同時に、汗が染みこんでも不快な匂いが発生しづらく、軽量でしなやかな仕上がりとなっている。
そして、数あるスペシャライズドのヘルメットラインアップの中でもAIRNETだけの特徴となるのが、ヘルメットの前後に備えられたOptiGrip(オプティグリップ)というアイウェア用のグリッパーだ。S-Works Turboタイヤなどに使われるグリプトンラバーを素材としており、ダートなど振動の大きな場所でもヘルメットにかけたサングラスをしかっりとホールドし、脱落のリスクを最小限に抑える。
サイズはS/M、L/XLという2種類。カラーラインアップはオークグリーン/ブラック、ライトブルー/レッド、ホワイト、ブラック、イオン/ブラックという全5種類で価格は19,800円(税込)だ。
ーインプレッション
まずは外見の印象から。突起の少ないデザインは見た目に攻撃性が少なくシティユースにも馴染んでくれそう。上位グレードにあたるS-WORKS EVADEと同じサイズで比較すると、側頭部のシェルの厚みが増した分だけ、横幅が広がっている。ただ、その分だけ、いざと言う時の安心感が高くなっている。実際に横から力を掛けると、多少なりの変形を感じる軽量モデルも少なくないが、AIRNETの場合にはビクともしない。
シェル内部は、厚手としたパッドの影響も少なからずあるだろうが、S-WORKS EVADEと比較すると、横幅が若干狭くなっているように感じられた。とはいっても、その差は小さく、AIRNETが店頭になくとも、S-WORKS EVADEがあればサイズを選ぶことができる。
アジアンフィットと謳うだけあり、ハチの張った典型的な日本人頭の筆者にも隙間なくフィットしてくれる。被りもS-WORKS EVADEと同じで深く、眉毛のすぐ上に縁がきてくれるため、アイウェアを装着した際にもシェルとのクリアランスが少なく、おでこの出た不格好な見た目にはなりにくい。
今回私がテストに使用したS/Mサイズは303gと、各社ともヘルメットの軽量化が進んでいる中にあっては、装着した瞬間は重さを感じざるをえない。しかし、一度走りだせば空気抵抗が小さいためか、あまり重さを感じなくなる。これは高速時だけではなく、時速30km/h以下でも同じだ。
それでいて通気性は高く、寒い日のライドではキャップ等で調節してあげる必要も出てくるほどだ。逆に、夏場の暑い日のライドでは高い快適性をもたらしてくれるはず。空気の流れとしては、フロントから流入量が多く、同時に後方への流出速度が高いのだ。
時速30km/hほどで走行中に後方のベンチレーション付近に指を当ててみれば、速い気流が指によって切り裂かれている音が聞こえてくる。恐らくは、シェルの外側と内部で気流に速度差が生まれており、内部の気流のほうが速いことから、ほんの僅かに揚力が発生しているのかもしれない。
S-WORKS EVADEと共通のクロージャーやストラップ、メリノウール混紡素材のパッドなど細部の造りは卒がない。アイウェアとの相性も良く、装着時はシェルやクロージャーと干渉しないのはもちろんのこと、OptiGripは荒れた路面でもしっかりと仕事をしてくれる。ただし、特にフロント側ではアイウェアのヒンジが長いとグリッパーとアイウェアが接触しないこともあるため、気になる方は店頭で試してほしい。
まとめると、レースからタウンユースまでシーンを問わないバーサタイルなフォルムながら、低速域でも感じることのできる優れた空力性能はスペシャライズドならではであり、AIRNETの最たる特徴である。それでいてヘルメットとしての基本性能にも卒がなく、そのバリューは充分に高い。
S-WORKS EVADEを含む各社のレース系エアロヘルメットと比較すれば、重量などで劣るものの、その分だけ値段も高ければ、見た目的にも街中で浮いてしまうもの少なくない。AIRNETはこれまでのエアロヘルメットにはない独特の立ち位置を築いているといえよう。
スペシャライズド AIRNET
安全規格:CPSC、CE EN、SNELL、AS/NZS、JIS
テクノロジー:4th Dimension Cooling System、ドライリリース・メリノーウールパッド、4X DryLiteストラップ、Tri-Fixストラップスプリッター、Instrapストラップシステム
カラー:オークグリーン/ブラック、ライトブルー/レッド、ホワイト、ブラック、イオン/ブラック
サイズ:S/M、L/XL(アジアンフィット)
実測重量:303g(S/M)、336g(L/XL)
価 格:19,800円(税込)
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