2015/09/06(日) - 07:45
ブエルタ最大の山場である難関山岳3連戦。その初日、アルト・カンポを目指す第14ステージで序盤の逃げに加わったアレッサンドロ・デマルキが独走勝利。総合上位陣にも激しい登り勝負が勃発した。
バスク州のビトリアから西に向かい、カンタブリア山脈の奥深くにブエルタは分け入る。それが意味するのはもちろん険しい山岳レース。ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は大会中盤の難関頂上ゴール3連戦、文字通り山場を迎えた。
その初日となる14ステージは、獲得標高1000mオーバーの超級山岳アルト・カンポを目指す215km。しかもその手前159km地点には激坂を抱える1級山岳プエルト・デル・エスクードが控えており、難易度は非常に高い。
この日序盤の逃げに加わったのはホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)とミカエル・シェレル(フランス、AG2Rラモンディアール)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ)、カルロス・キンテロ(コロンビア、コロンビア)という、経験と実績豊富な5名。マイヨロホのファビオ・アル(イタリア)擁するアスタナらが集団のペースを落とし、5名は一気にタイム差を拡大。難関山岳が控えていことでタイム差は最大9分以上まで広がった。
「僕らは脚が揃っていたし、ローテーションも上手く回っていた。誰も総合順位が高い選手がいなかったので今日はチャンスがあると思っていた。最終盤まではずっと良いペースを刻むことができていたんだ」とは逃げたプッチオ。後半にかけて10%オーバーの勾配(最大勾配15%)を連発する1級山岳プエルト・デル・エスクードは何事も無くクリアーし、40kmほどの平坦路を経た時点でのタイム差は未だ9分。5名の逃げ切りが濃厚となった状態で超級山岳アルト・カンポへのアタックが始まった。
平均勾配5.5%を刻むアルト・カンポを淡々と進む先頭5名。すると残り4kmアーチの手前でミカエル・シェレル(フランス、AG2Rラモンディアール)がアタック。するとTT巧者のプッチオが遅れ、デマルキが追走に入る。この動きでステージ優勝争いの口火が一気に切られた。
シェレルのアタックは封じ込められ、互いに見合ったことでマイペースを刻んだプッチオも合流を果たす。ゴールまで距離が減ると再びシェレルが攻撃するも吸収。次いでプッチオと、スプリンターであるロハスが先行したことで、ついに5名はバラバラに。しかし最も余裕があったデマルキがプッチオを抜き去り、濃霧にむせぶ頂上付近で独走を開始した。
ダンシングを織り交ぜながらペースを維持したデマルキは、沿道に詰めかけた観客の応援を受けてゴールへ。全てのアタックに冷静に対処し、5時間40分を超える難関山岳初日にガッツポーズを繰り出した。
「バッチリのタイミングで脚に力が宿っていた。逃げグループの中で一番強かったのは僕じゃなかったから。少しツイていたんだと思う」とデマルキ。「ブエルタでステージ優勝できるとは思っていなかった。今日は難易度が高かったし、全てが上手く運んだよ」と加える。
29歳のデマルキにとってはこれがブエルタ2勝目。キャノンデール・プロサイクリングに所属していた昨年大会第7ステージでも独走勝利を飾っており、キャリアとしては3勝目。今年はティレーノ〜アドリアティコやミラノ〜サンレモ、ツール・ド・ポローニュを経て、唯一のグランツアー参戦となったブエルタで金星を挙げることとなった。
そしてアルト・カンポ終盤ではメイン集団にも登りバトルが勃発し、総合上位陣が火花を散らすことに。ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)のペースアップから総合首位のファビオ・アル(イタリア)が発進し、ここに同調できたのはナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)のみ。
この動きは一旦吸収され、今度はキンタナとホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が先行。残り500mを切ってからの激しい展開にアルが若干遅れ、キンタナがロドリゲスを6秒、アルを7秒引き離してフィニッシュ。ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)らも遅れを最小限に留めてゴールに飛び込み、山岳3連戦初日が終了した。
翌15ステージは、ブエルタ初登場の1級山岳ソトレス・カブラレスへとゴールする175km。登坂距離12.7km/高低差1010m/平均勾配8%という峠道で、再び総合成績がふるいに掛けられることとなる。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第14ステージ結果
1位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング) 5h43'12"
2位 サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ) +21"
3位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) +32"
4位 ミカエル・シェレル(フランス、AG2Rラモンディアール) +38"
5位 カルロス・キンテロ(コロンビア、コロンビア) +1'00"
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +3'32"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +3'38"
8位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +3'39"
9位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +3'44"
98位 新城幸也(ユーロップカー) +18'07"
個人総合(マイヨロホ)
1位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 57h20'10"
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +26"
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +49"
4位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +1'29"
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1'33"
6位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) +2'10"
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +2'11"
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +2'13"
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +3'00"
10位 ロメン・シカール(フランス、ヨーロッパカー) +3'39"
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 87 pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 77 pts
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 75 pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル) 55pts
2位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) 27pts
3位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) 25pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 15pts
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 18pts
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 25pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 172h10'21"
2位 モビスター +10'56"
3位 アスタナ +14'53"
ステージ敢闘賞
カルロス・キンテロ(コロンビア、コロンビア)
text:So.Isobe
photo:CorVos
バスク州のビトリアから西に向かい、カンタブリア山脈の奥深くにブエルタは分け入る。それが意味するのはもちろん険しい山岳レース。ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)は大会中盤の難関頂上ゴール3連戦、文字通り山場を迎えた。
その初日となる14ステージは、獲得標高1000mオーバーの超級山岳アルト・カンポを目指す215km。しかもその手前159km地点には激坂を抱える1級山岳プエルト・デル・エスクードが控えており、難易度は非常に高い。
この日序盤の逃げに加わったのはホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)とミカエル・シェレル(フランス、AG2Rラモンディアール)、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ)、カルロス・キンテロ(コロンビア、コロンビア)という、経験と実績豊富な5名。マイヨロホのファビオ・アル(イタリア)擁するアスタナらが集団のペースを落とし、5名は一気にタイム差を拡大。難関山岳が控えていことでタイム差は最大9分以上まで広がった。
「僕らは脚が揃っていたし、ローテーションも上手く回っていた。誰も総合順位が高い選手がいなかったので今日はチャンスがあると思っていた。最終盤まではずっと良いペースを刻むことができていたんだ」とは逃げたプッチオ。後半にかけて10%オーバーの勾配(最大勾配15%)を連発する1級山岳プエルト・デル・エスクードは何事も無くクリアーし、40kmほどの平坦路を経た時点でのタイム差は未だ9分。5名の逃げ切りが濃厚となった状態で超級山岳アルト・カンポへのアタックが始まった。
平均勾配5.5%を刻むアルト・カンポを淡々と進む先頭5名。すると残り4kmアーチの手前でミカエル・シェレル(フランス、AG2Rラモンディアール)がアタック。するとTT巧者のプッチオが遅れ、デマルキが追走に入る。この動きでステージ優勝争いの口火が一気に切られた。
シェレルのアタックは封じ込められ、互いに見合ったことでマイペースを刻んだプッチオも合流を果たす。ゴールまで距離が減ると再びシェレルが攻撃するも吸収。次いでプッチオと、スプリンターであるロハスが先行したことで、ついに5名はバラバラに。しかし最も余裕があったデマルキがプッチオを抜き去り、濃霧にむせぶ頂上付近で独走を開始した。
ダンシングを織り交ぜながらペースを維持したデマルキは、沿道に詰めかけた観客の応援を受けてゴールへ。全てのアタックに冷静に対処し、5時間40分を超える難関山岳初日にガッツポーズを繰り出した。
「バッチリのタイミングで脚に力が宿っていた。逃げグループの中で一番強かったのは僕じゃなかったから。少しツイていたんだと思う」とデマルキ。「ブエルタでステージ優勝できるとは思っていなかった。今日は難易度が高かったし、全てが上手く運んだよ」と加える。
29歳のデマルキにとってはこれがブエルタ2勝目。キャノンデール・プロサイクリングに所属していた昨年大会第7ステージでも独走勝利を飾っており、キャリアとしては3勝目。今年はティレーノ〜アドリアティコやミラノ〜サンレモ、ツール・ド・ポローニュを経て、唯一のグランツアー参戦となったブエルタで金星を挙げることとなった。
そしてアルト・カンポ終盤ではメイン集団にも登りバトルが勃発し、総合上位陣が火花を散らすことに。ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)のペースアップから総合首位のファビオ・アル(イタリア)が発進し、ここに同調できたのはナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)のみ。
この動きは一旦吸収され、今度はキンタナとホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が先行。残り500mを切ってからの激しい展開にアルが若干遅れ、キンタナがロドリゲスを6秒、アルを7秒引き離してフィニッシュ。ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)らも遅れを最小限に留めてゴールに飛び込み、山岳3連戦初日が終了した。
翌15ステージは、ブエルタ初登場の1級山岳ソトレス・カブラレスへとゴールする175km。登坂距離12.7km/高低差1010m/平均勾配8%という峠道で、再び総合成績がふるいに掛けられることとなる。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第14ステージ結果
1位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング) 5h43'12"
2位 サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ) +21"
3位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター) +32"
4位 ミカエル・シェレル(フランス、AG2Rラモンディアール) +38"
5位 カルロス・キンテロ(コロンビア、コロンビア) +1'00"
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +3'32"
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +3'38"
8位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +3'39"
9位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +3'44"
98位 新城幸也(ユーロップカー) +18'07"
個人総合(マイヨロホ)
1位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 57h20'10"
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +26"
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +49"
4位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +1'29"
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1'33"
6位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) +2'10"
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +2'11"
8位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +2'13"
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +3'00"
10位 ロメン・シカール(フランス、ヨーロッパカー) +3'39"
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 87 pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 77 pts
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 75 pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル) 55pts
2位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) 27pts
3位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) 25pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 15pts
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 18pts
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 25pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 172h10'21"
2位 モビスター +10'56"
3位 アスタナ +14'53"
ステージ敢闘賞
カルロス・キンテロ(コロンビア、コロンビア)
text:So.Isobe
photo:CorVos
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