2015/08/28(金) - 07:13
10%オーバーの勾配をものともせずに、総合2位エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)が強力なアタック。ライバルたちを振り切ったコロンビアンクライマーがマイヨロホ奪還に成功した。
歴史地区が世界遺産に登録されているコルドバから東に向かってアンダルシア州の内陸部を行く1日。登場するカテゴリー山岳は2つの3級山岳だけだが、主催者は「平坦区間がなく、一日中アップダウンの繰り返し」と説明している。暑い丘陵地帯を走るコースは見た目以上にハードだ。
ステージ後半にかけてアップダウンが増し、最後は3級山岳シエラ・デ・カソルラの山頂フィニッシュ。残り3kmを切ってから高低差200m強を駆け上がり、10%前後の勾配を刻みながらフィニッシュラインに向かう。
スタート後すぐ、4km地点で最初にアタックを仕掛けたのは13連続グランツール出場中のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)だった。1年前に逃げ切りを果たしている鉄人による独走が3kmにわたって続いたものの、結局は引き戻される。
そこから新城幸也(ユーロップカー)も加わったアタック合戦が2時間近くにわたって継続。あまりのハイペースに2012年ロードジュニア世界チャンピオン&2013ロードU23世界チャンピオンでグランツール初出場の20歳マテイ・モホリッチ(スロベニア、キャノンデール・ガーミン)はメイン集団から単独で脱落し、そのままリタイアを喫している。
ようやく逃げグループが形成されたのはレース中盤に差し掛かってから。82km地点でミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、コロンビア)にシリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)、ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)、クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)、スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)、そして初日にマイヨロホを着たペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシング)という強力なメンバーが追いつき、6名でローテーションを回して先行を開始した。
広大なオリーブ畑と白壁の町並みを抜け、シエラ・デ・カソルラを目指すプロトンはジャイアント・アルペシンのコントロール下に置かれる。タイム差は4分を超えることなく推移し、モビスターの援助も加わって縮小を開始した。
フィニッシュまで19kmを残してタイム差は1分を割り込むと、逃げグループ内の協調体制は徐々に崩れる。残り12km地点でのルビアーノのアタックによって逃げグループは崩壊し、強力なカウンターアタックでクミングスが単独で飛び出した。
ツール・ド・フランスで逃げ切りを果たし、MTNキュベカに記念すべきステージ優勝をもたらしたクミングスが独走。トラックレースで磨いた独走力を発揮し、メイン集団とのタイム差を逆に広げながら逃げ続ける。
メイン集団の先頭では総合系チームが激しいポジション争いを繰り広げ、それに伴うスピードアップが先頭クミングスのリードを削り取る。クミングスは独走のまま3級山岳シエラ・デ・カソルラに突入。しかし、残り3kmから登坂を開始したクミングスの20秒後方には大集団が迫っていた。
フィニッシュまで2.5kmを残した急勾配区間でアタックしたのは、白いマイヨコンビナーダを着る総合2位のチャベス。牽制する総合上位陣を尻目にリードを広げたコロンビアンクライマーがリードが先頭で逃げていたクミングスをパスする。
広がり続けるタイム差に危機感を覚えたマイヨロホのトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が残り2km地点で自らカウンターアタックでを仕掛けて単独追走。12秒前方を走るチャベスを追ったがタイム差は縮まらない。
総合上位のビッグネームたちが互いの様子を伺う中、後方からはさらなるカウンターアタックがかかってダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)も追走。マーティンはドゥムランに合流したものの、最後までチャベスの背中は見えてこなかった。
勇敢なアタックを成功させたチャベスが独走で3級山岳シエラ・デ・カソルラの頂上にたどり着き、片手を上げてフィニッシュ。5秒差のステージ2位&3位にはマーティンとドゥムランが入り、メイン集団はルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)を先頭に11秒遅れでフィニッシュした。
ステージ2勝目を飾ったチャベスは「また勝ったなんて信じられない!」と驚く。タイム差とボーナスタイムによって総合首位の座をドゥムランから奪い返すことに成功した。
表彰台でマイヨロホを受け取ったチャベスは「長く、暑く、ハードなステージだった。レース中盤にマシュー・ヘイマンと話をして、彼に『調子が良いならアタックするべきだ。明日はまたどうなるか分からないから』と言われ、アタックすることを心に決めた。ダリル・インピーにサポートされて集団前方で登りをスタートさせ、集団のペースを作っていた(モビスターの)アンドレイ・アマドールが苦しんでいるのを見てアタック。そのままフィニッシュまで突き進んだんだ」とコメント。オリカ・グリーンエッジとしてステージ連勝、そして今大会3勝目を掴んだ。
「急勾配区間でのチャベスのアタックに驚かされた。すぐには反応出来なかったものの、ローソン(クラドック)の強力な牽引でタイム差を詰め、そこからカウンターアタック。でも追いつかなかった」と、総合2位に順位を下げたドゥムランは振り返る。「今日はチャベスが強かった。その事実を受け入れなければならない」。
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)を始めとするビッグネームたちは11秒差の集団内でフィニッシュ。第6ステージを終えて首位チャベスと総合2位ドゥムランは10秒差、そして総合3位に順位を上げたマーティンと33秒差。ボーナスタイム合計20秒(ステージ2勝)によってチャベスの総合リードは着々と広がっている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
Summary - Stage 6 (Córdoba / Sierra de Cazorla... 投稿者 la_vuelta
Onboard camera / Cámara a bordo - Stage 6... 投稿者 la_vuelta
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第6ステージ結果
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 4h46’16”
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +05”
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
4位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) +11”
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
7位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
8位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)
70位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +2’42”
DNF マテイ・モホリッチ(スロベニア、キャノンデール・ガーミン)
DNS ダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 21h55’13”
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +10”
3位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +33”
4位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ) +36”
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +49”
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +51”
7位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +55”
8位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +56”
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +57”
10位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +1’08”
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 61pts
2位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 56pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 47pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル) 13pts
2位 ワルテル・ペドラサ(コロンビア、コロンビア) 7pts
3位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ) 7pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 7pts
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 13pts
3位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) 18pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 65h57’47”
2位 アスタナ +36”
3位 カチューシャ +3’55”
ステージ敢闘賞
ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、コロンビア)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
歴史地区が世界遺産に登録されているコルドバから東に向かってアンダルシア州の内陸部を行く1日。登場するカテゴリー山岳は2つの3級山岳だけだが、主催者は「平坦区間がなく、一日中アップダウンの繰り返し」と説明している。暑い丘陵地帯を走るコースは見た目以上にハードだ。
ステージ後半にかけてアップダウンが増し、最後は3級山岳シエラ・デ・カソルラの山頂フィニッシュ。残り3kmを切ってから高低差200m強を駆け上がり、10%前後の勾配を刻みながらフィニッシュラインに向かう。
スタート後すぐ、4km地点で最初にアタックを仕掛けたのは13連続グランツール出場中のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)だった。1年前に逃げ切りを果たしている鉄人による独走が3kmにわたって続いたものの、結局は引き戻される。
そこから新城幸也(ユーロップカー)も加わったアタック合戦が2時間近くにわたって継続。あまりのハイペースに2012年ロードジュニア世界チャンピオン&2013ロードU23世界チャンピオンでグランツール初出場の20歳マテイ・モホリッチ(スロベニア、キャノンデール・ガーミン)はメイン集団から単独で脱落し、そのままリタイアを喫している。
ようやく逃げグループが形成されたのはレース中盤に差し掛かってから。82km地点でミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、コロンビア)にシリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)、ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)、クリスチャン・デュラセック(クロアチア、ランプレ・メリダ)、スティーブ・クミングス(イギリス、MTNキュベカ)、そして初日にマイヨロホを着たペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシング)という強力なメンバーが追いつき、6名でローテーションを回して先行を開始した。
広大なオリーブ畑と白壁の町並みを抜け、シエラ・デ・カソルラを目指すプロトンはジャイアント・アルペシンのコントロール下に置かれる。タイム差は4分を超えることなく推移し、モビスターの援助も加わって縮小を開始した。
フィニッシュまで19kmを残してタイム差は1分を割り込むと、逃げグループ内の協調体制は徐々に崩れる。残り12km地点でのルビアーノのアタックによって逃げグループは崩壊し、強力なカウンターアタックでクミングスが単独で飛び出した。
ツール・ド・フランスで逃げ切りを果たし、MTNキュベカに記念すべきステージ優勝をもたらしたクミングスが独走。トラックレースで磨いた独走力を発揮し、メイン集団とのタイム差を逆に広げながら逃げ続ける。
メイン集団の先頭では総合系チームが激しいポジション争いを繰り広げ、それに伴うスピードアップが先頭クミングスのリードを削り取る。クミングスは独走のまま3級山岳シエラ・デ・カソルラに突入。しかし、残り3kmから登坂を開始したクミングスの20秒後方には大集団が迫っていた。
フィニッシュまで2.5kmを残した急勾配区間でアタックしたのは、白いマイヨコンビナーダを着る総合2位のチャベス。牽制する総合上位陣を尻目にリードを広げたコロンビアンクライマーがリードが先頭で逃げていたクミングスをパスする。
広がり続けるタイム差に危機感を覚えたマイヨロホのトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が残り2km地点で自らカウンターアタックでを仕掛けて単独追走。12秒前方を走るチャベスを追ったがタイム差は縮まらない。
総合上位のビッグネームたちが互いの様子を伺う中、後方からはさらなるカウンターアタックがかかってダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)も追走。マーティンはドゥムランに合流したものの、最後までチャベスの背中は見えてこなかった。
勇敢なアタックを成功させたチャベスが独走で3級山岳シエラ・デ・カソルラの頂上にたどり着き、片手を上げてフィニッシュ。5秒差のステージ2位&3位にはマーティンとドゥムランが入り、メイン集団はルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)を先頭に11秒遅れでフィニッシュした。
ステージ2勝目を飾ったチャベスは「また勝ったなんて信じられない!」と驚く。タイム差とボーナスタイムによって総合首位の座をドゥムランから奪い返すことに成功した。
表彰台でマイヨロホを受け取ったチャベスは「長く、暑く、ハードなステージだった。レース中盤にマシュー・ヘイマンと話をして、彼に『調子が良いならアタックするべきだ。明日はまたどうなるか分からないから』と言われ、アタックすることを心に決めた。ダリル・インピーにサポートされて集団前方で登りをスタートさせ、集団のペースを作っていた(モビスターの)アンドレイ・アマドールが苦しんでいるのを見てアタック。そのままフィニッシュまで突き進んだんだ」とコメント。オリカ・グリーンエッジとしてステージ連勝、そして今大会3勝目を掴んだ。
「急勾配区間でのチャベスのアタックに驚かされた。すぐには反応出来なかったものの、ローソン(クラドック)の強力な牽引でタイム差を詰め、そこからカウンターアタック。でも追いつかなかった」と、総合2位に順位を下げたドゥムランは振り返る。「今日はチャベスが強かった。その事実を受け入れなければならない」。
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)を始めとするビッグネームたちは11秒差の集団内でフィニッシュ。第6ステージを終えて首位チャベスと総合2位ドゥムランは10秒差、そして総合3位に順位を上げたマーティンと33秒差。ボーナスタイム合計20秒(ステージ2勝)によってチャベスの総合リードは着々と広がっている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
Summary - Stage 6 (Córdoba / Sierra de Cazorla... 投稿者 la_vuelta
Onboard camera / Cámara a bordo - Stage 6... 投稿者 la_vuelta
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第6ステージ結果
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 4h46’16”
2位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +05”
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
4位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) +11”
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
7位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
8位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)
70位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +2’42”
DNF マテイ・モホリッチ(スロベニア、キャノンデール・ガーミン)
DNS ダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 エステバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 21h55’13”
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +10”
3位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +33”
4位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ) +36”
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +49”
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +51”
7位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +55”
8位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +56”
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +57”
10位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +1’08”
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) 61pts
2位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 56pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 47pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル) 13pts
2位 ワルテル・ペドラサ(コロンビア、コロンビア) 7pts
3位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ) 7pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 7pts
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 13pts
3位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) 18pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 65h57’47”
2位 アスタナ +36”
3位 カチューシャ +3’55”
ステージ敢闘賞
ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、コロンビア)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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