2015/06/22(月) - 17:47
ツール・ド・スイス最終日の個人タイムトライアルで再びトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)のスピードが炸裂。ステージ2位に入ったサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)が総合優勝に輝いた。
第79回ツール・ド・スイスを締めくくるのはスイス中部ベルンを舞台にした個人タイムトライアル。同国第5の都市を発着する38.4kmコースには中盤にかけてアップダウンが組み込まれており、獲得標高差は650mに達する。
第8ステージを終えた時点で総合首位ティボー・ピノ(フランス、FDJ)と総合2位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)は34秒差、総合3位サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)は47秒差。そして挽回が予想されたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)は1分24秒差。
出身地ベルンのファンを沸かせたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)の暫定トップタイムを最初に更新したのは、第1ステージでカンチェラーラを2秒差で下したドゥムランだった。総合逆転を懸けたドゥムランのタイムは48分37秒。オランダTTチャンピオンはアップダウンのあるコースを47.4km/hで駆け抜けた。
リーダージャージを着るピノが序盤からタイムを失う中、総合3位スピラックと総合2位トーマスが好走。スピラックは21km地点の中間計測ポイントでドゥムランのタイムを更新する走りを見せ、トーマスと暫定首位を争いながらフィニッシュへ。最終的にスピラックはドゥムランから18秒遅れにタイムをまとめ、36秒遅れたトーマスを5秒差で下して総合優勝を射止めた。
最終個人タイムトライアルを終えたスピラックは「ツール・ド・スイスはシーズン最大の目標だったのでモチベーション高く挑んでいた。間違いなくキャリア最大の勝利だ。2日後に誕生日を迎える自分に良いバースデープレゼントになったよ」とコメント。
スピラックはスロベニア生まれの28歳で、アドリアモビルとランプレを経て2012年からカチューシャに所属。グランツールでは大きな成績を残していないが、1週間程度の中級ステージレースで強さを発揮する。2010年ツール・ド・ロマンディ総合優勝(バルベルデ降格による繰り上げ)。2015年はツール・ド・ロマンディ総合2位、パリ〜ニース総合3位という成績を残している。ツール・ド・フランスには出場せず、しばらく休養期間に入るスピラックは「シーズン前半を終えた今、ようやく家に帰ることが出来る。しかもトロフィーを手に帰宅するなんて最高だ」と語った。
ステージ優勝を飾ったドゥムランは総合3位で9日間の戦いを終えた。「中間計測ポイントのタイムを聞いた時は複雑な心境だったけど、最終的に勝ててかったよ。総合では敗れたものの、目標としていた2つの個人タイムトライアルで結果を残すことが出来た」とドゥムラン。母国オランダで開幕するツール・ド・フランスのプロローグに向けて「1年前よりも確実に成長しているし、コンディションは最高だ」と自信を得た様子だ。
「北のクラシック」で活躍しながらステージレースでクライマーと対等に渡り合ったトーマスは5秒差の総合2位。「勝利まであと少しという結果は嬉しくも苦しくもある。小さなマージンで負けた時は『違った走りをしていれば』と後悔しがちだけど、実際はチームとともに全力で走ったので、この結果を誇りに思うよ」とコメントしている。
選手コメントはレキップ紙ならびにチーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2015第9ステージ結果
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 48’37”
2位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +18”
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) +19”
4位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) +34”
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +36”
6位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング) +41”
7位 ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング) +44”
8位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +1’07”
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1’26”
10位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +1’32”
14位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +1’50”
32位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +2’36”
46位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +2’57”
個人総合成績
1位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) 30h15’09”
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +05”
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +19”
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +45”
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +2’21”
6位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング) +2’58”
7位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +3’06”
8位 スティーブ・モラビート(スイス、FDJ) +3’17”
9位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +3’19”
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +3’20”
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
山岳賞
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
ベストスイスライダー賞
スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
第79回ツール・ド・スイスを締めくくるのはスイス中部ベルンを舞台にした個人タイムトライアル。同国第5の都市を発着する38.4kmコースには中盤にかけてアップダウンが組み込まれており、獲得標高差は650mに達する。
第8ステージを終えた時点で総合首位ティボー・ピノ(フランス、FDJ)と総合2位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)は34秒差、総合3位サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)は47秒差。そして挽回が予想されたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)は1分24秒差。
出身地ベルンのファンを沸かせたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)の暫定トップタイムを最初に更新したのは、第1ステージでカンチェラーラを2秒差で下したドゥムランだった。総合逆転を懸けたドゥムランのタイムは48分37秒。オランダTTチャンピオンはアップダウンのあるコースを47.4km/hで駆け抜けた。
リーダージャージを着るピノが序盤からタイムを失う中、総合3位スピラックと総合2位トーマスが好走。スピラックは21km地点の中間計測ポイントでドゥムランのタイムを更新する走りを見せ、トーマスと暫定首位を争いながらフィニッシュへ。最終的にスピラックはドゥムランから18秒遅れにタイムをまとめ、36秒遅れたトーマスを5秒差で下して総合優勝を射止めた。
最終個人タイムトライアルを終えたスピラックは「ツール・ド・スイスはシーズン最大の目標だったのでモチベーション高く挑んでいた。間違いなくキャリア最大の勝利だ。2日後に誕生日を迎える自分に良いバースデープレゼントになったよ」とコメント。
スピラックはスロベニア生まれの28歳で、アドリアモビルとランプレを経て2012年からカチューシャに所属。グランツールでは大きな成績を残していないが、1週間程度の中級ステージレースで強さを発揮する。2010年ツール・ド・ロマンディ総合優勝(バルベルデ降格による繰り上げ)。2015年はツール・ド・ロマンディ総合2位、パリ〜ニース総合3位という成績を残している。ツール・ド・フランスには出場せず、しばらく休養期間に入るスピラックは「シーズン前半を終えた今、ようやく家に帰ることが出来る。しかもトロフィーを手に帰宅するなんて最高だ」と語った。
ステージ優勝を飾ったドゥムランは総合3位で9日間の戦いを終えた。「中間計測ポイントのタイムを聞いた時は複雑な心境だったけど、最終的に勝ててかったよ。総合では敗れたものの、目標としていた2つの個人タイムトライアルで結果を残すことが出来た」とドゥムラン。母国オランダで開幕するツール・ド・フランスのプロローグに向けて「1年前よりも確実に成長しているし、コンディションは最高だ」と自信を得た様子だ。
「北のクラシック」で活躍しながらステージレースでクライマーと対等に渡り合ったトーマスは5秒差の総合2位。「勝利まであと少しという結果は嬉しくも苦しくもある。小さなマージンで負けた時は『違った走りをしていれば』と後悔しがちだけど、実際はチームとともに全力で走ったので、この結果を誇りに思うよ」とコメントしている。
選手コメントはレキップ紙ならびにチーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2015第9ステージ結果
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 48’37”
2位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) +18”
3位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) +19”
4位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、モビスター) +34”
5位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +36”
6位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング) +41”
7位 ジェローム・コッペル(フランス、IAMサイクリング) +44”
8位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) +1’07”
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1’26”
10位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +1’32”
14位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +1’50”
32位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +2’36”
46位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +2’57”
個人総合成績
1位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ) 30h15’09”
2位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +05”
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +19”
4位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +45”
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +2’21”
6位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング) +2’58”
7位 ミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア、アスタナ) +3’06”
8位 スティーブ・モラビート(スイス、FDJ) +3’17”
9位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +3’19”
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +3’20”
ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
山岳賞
ステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)
ベストスイスライダー賞
スティーブ・モラビート(スイス、FDJ)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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