2015/06/14(日) - 11:59
1級山岳モンテ・ドゥ・ベテクスでアタックしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が追いすがるティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)を振り切って勝利。ヴァンガーデレンが総合リーダーの座に返り咲いた。
アルプスの峠道を行くプロトン photo:Tim de Waele
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2015第7ステージ image:A.S.O.モンメリアンからサンジェルヴェ=モンブランまでの155kmに登場するカテゴリー山岳は6つ。そのうち5つが1級山岳であり、獲得標高差が3900mに達する今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)だ。
ロランを逃げに送り込むためユーロップカーがペースアップ photo:Tim de Waele序盤から1級山岳タミエ峠(8.5km/6.4%)、1級山岳フォルクラ峠(8.1km/7.8%)、1級山岳クロワフリー峠(11.3km/7%)、1級山岳アメランズ峠(2.7km/11.2%)が立て続けに登場し、最後はサンジェルヴェ=モンブランの1級山岳モンテ・ドゥ・ベテクス(7km/7.7%)を駆け上がる。
集団前方で登りをこなすクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waeleこの日は序盤から合計26名の大きな逃げグループが先行。ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)やバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)、ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)を含む逃げは最大4分のリードを得た。
逃げグループから飛び出したヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)とバルトス・フザルスキー(ポーランド、ボーラ・アルゴン18) photo:Tim de Waele逃げに乗ったダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)は山岳賞のリード拡大に成功し、1級山岳クロワフリー峠通過時点でドーフィネの山岳賞獲得を確実なものにしている。
精彩を欠いたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waeleチームスカイの集団牽引によってタイム差が1分まで縮まると逃げグループの中で不協和音が流れ始め、ロランのアタックを切っ掛けに逃げ体制は崩壊する。13%前後の急勾配続く1級山岳アメランズ峠でナバーロとリカルド・ゾイドル(オーストリア、トレックファクトリーレーシング)の2名が逃げグループの中から先行した。
先行するティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)とクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele1級山岳アメランズ峠に入ってもチームスカイの集団牽引は続き、フィニッシュまで11kmを残してリーダージャージを着るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が脱落する。一方、先頭2名にはヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)とバルトス・フザルスキー(ポーランド、ボーラ・アルゴン18)が追いつき、1分30秒リードで最後の1級山岳モンテ・ドゥ・ベテクスに差し掛かった。
残り1.5kmでヴァンガーデレンを突き放すクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waeleチームスカイのピーター・ケノー(イギリス)やワウテル・ポエルス(オランダ)の集団ペースアップによって総合2位ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)や総合3位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、さらにマイヨブランを着る総合4位サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)がメイン集団から脱落。
見る見るうちに人数を減らした集団からはフルームとヴァンガーデレンの二強が飛び出し、それまで逃げ続けていたカストロビエホとナバーロをパスして先頭に立った。
フィニッシュまで3.5kmを残してフルームとヴァンガーデレンの一騎打ちが始まり、肩を並べながらのハイスピードクライミングに。すると残り1.5km地点でフルームがダンシングで加速。ヴァンガーデレンはこのアタックに反応出来なかったが、10秒差をキープしたまま辛抱の走りで耐えた。
フルームはペースを落とすことなくフィニッシュ手前の急勾配区間をこなし、勢い良く両手を挙げてフィニッシュ。ヴァンガーデレンを17秒引き離すとともに10秒のボーナスタイムを獲得。ニーバリが4分近く遅れたため、ヴァンガーデレが総合1位に返り咲くとともに、フルームが18秒差の総合2位に浮上した。
「長時間にわたって雨に打たれながら逃げを追いかけ続けた昨日とは打って変わって、今日は我々がレース展開をハードにする番だった。チームメイトたちが力を尽くしてくれたんだ」と、2013年のドーフィネとツールの覇者フルームは振り返る。
「まだ絶好調とは言えない状況だけど、自分のコンディションを再確認するためにもこの勝利は重要。トレーニングの成果が出た。レースの進行とともに展開が変わるのがステージレースの魅力。明日もきっと厳しいステージになる」と翌日も攻撃を継続する意思を見せる。
リーダージャージをニーバリの手から奪い返したヴァンガーデレンは「最終ステージを前にイエロージャージを取り返すことが出来て本当に嬉しい。フルームと2人で飛び出した時は完璧なシチュエーションだった。彼の鋭いアタックには反応出来なかったものの、2日前の前例があるし、諦めずに自分のペースで追走したんだ」とコメント。
「最終ステージのボーナスタイムを考えると、18秒の総合リードは十分とは言えない。でも伝統的にアメリカ人選手が活躍しているこのレースに自分の名前を残したい」とヴァンガーデレンは意気込んだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
独走でフィニッシュするクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2015第7ステージ
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 4h24’17”
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +17”
3位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ) +41”
4位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +54”
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +1’08”
7位 アレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) +1’15”
8位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +1’25”
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +1’34”
10位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) +1’45”
11位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +1’47”
17位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +2’03”
24位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +3’58”
88位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +25’54”
個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) 26h59’27”
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +18”
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +45”
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +1’10”
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +1’29”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’40”
7位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +1’45”
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +2’29”
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +2’39”
10位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +2’46”
ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
山岳賞
ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)
ヤングライダー賞
サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
チーム総合成績
モビスター
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele








見る見るうちに人数を減らした集団からはフルームとヴァンガーデレンの二強が飛び出し、それまで逃げ続けていたカストロビエホとナバーロをパスして先頭に立った。
フィニッシュまで3.5kmを残してフルームとヴァンガーデレンの一騎打ちが始まり、肩を並べながらのハイスピードクライミングに。すると残り1.5km地点でフルームがダンシングで加速。ヴァンガーデレンはこのアタックに反応出来なかったが、10秒差をキープしたまま辛抱の走りで耐えた。
フルームはペースを落とすことなくフィニッシュ手前の急勾配区間をこなし、勢い良く両手を挙げてフィニッシュ。ヴァンガーデレンを17秒引き離すとともに10秒のボーナスタイムを獲得。ニーバリが4分近く遅れたため、ヴァンガーデレが総合1位に返り咲くとともに、フルームが18秒差の総合2位に浮上した。
「長時間にわたって雨に打たれながら逃げを追いかけ続けた昨日とは打って変わって、今日は我々がレース展開をハードにする番だった。チームメイトたちが力を尽くしてくれたんだ」と、2013年のドーフィネとツールの覇者フルームは振り返る。
「まだ絶好調とは言えない状況だけど、自分のコンディションを再確認するためにもこの勝利は重要。トレーニングの成果が出た。レースの進行とともに展開が変わるのがステージレースの魅力。明日もきっと厳しいステージになる」と翌日も攻撃を継続する意思を見せる。
リーダージャージをニーバリの手から奪い返したヴァンガーデレンは「最終ステージを前にイエロージャージを取り返すことが出来て本当に嬉しい。フルームと2人で飛び出した時は完璧なシチュエーションだった。彼の鋭いアタックには反応出来なかったものの、2日前の前例があるし、諦めずに自分のペースで追走したんだ」とコメント。
「最終ステージのボーナスタイムを考えると、18秒の総合リードは十分とは言えない。でも伝統的にアメリカ人選手が活躍しているこのレースに自分の名前を残したい」とヴァンガーデレンは意気込んだ。
選手コメントはレース公式サイトより。

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2015第7ステージ
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 4h24’17”
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +17”
3位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ) +41”
4位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +54”
6位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +1’08”
7位 アレクシ・ヴィエルモ(フランス、AG2Rラモンディアール) +1’15”
8位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +1’25”
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +1’34”
10位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) +1’45”
11位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +1’47”
17位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +2’03”
24位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +3’58”
88位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +25’54”
個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) 26h59’27”
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +18”
3位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +45”
4位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +1’10”
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +1’29”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’40”
7位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +1’45”
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +2’29”
9位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +2’39”
10位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +2’46”
ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
山岳賞
ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)
ヤングライダー賞
サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)
チーム総合成績
モビスター
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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