2015/06/12(金) - 10:49
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネの山岳バトル第一ラウンドとなった第5ステージでロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)がアタック。24歳バルデが逃げ切り勝利を飾る中、後方ではマイヨジョーヌをかけた戦いが勃発しました。
ツール・ド・フランス第17ステージと全く同じコースで行われたドーフィネ第5ステージ。161kmコースには5つのカテゴリー山岳が設定されており、残り40kmを切ってから1級山岳アロス峠(14km/5.5%)を越えて最後は2級山岳プラルー(6.2km/6.5%)にアタック。今大会最初の山頂フィニッシュがマイヨジョーヌ候補たちの脚を試した。
山岳ポイントが多く獲得出来るステージとあって、4km地点で形成された7名逃げの中には山岳賞ジャージを着るダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)の姿も。ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)やクリストフ・リブロン(フランス、AG2Rラモンディアール)らとともに逃げたテクレハイマノは前半の3つの山岳でポイントを量産している。
レース中盤に5分まで広がったタイム差を、マイヨジョーヌ擁するBMCレーシングが追いかける。この日最大の難所である1級山岳アロス峠に差し掛かると先頭はウェレンス、ロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)、ピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、アルバート・ティマー(オランダ、ジャイアント・アルペシン)の4名に絞られた。
BMCレーシングに代わって登りでペースを上げたのはクリス・フルーム(イギリス)をエースに立てるチームスカイ。登りをハイペースで進むうちにメイン集団の人数は見る見るうちに絞られ、マイヨジョーヌを着るローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)やバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)、ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)らが最後の2級山岳プラルーを待たずして相次ぎ脱落した。
イアン・ボスウェル(アメリカ、チームスカイ)率いるメイン集団は最後まで逃げていたシカールとウェレンスを吸収。すると、30名ほどに絞られた集団から、1級山岳アロス峠の頂上通過前にロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)がアタックした。
集団を引き離して頂上をクリアしたバルデはテクニカルなダウンヒルを目一杯攻め、独走のまま1分20秒リードで最後の2級山岳プラルー登坂を開始する。メイン集団は引き続きチームスカイのコントロール下に置かれ、ボスウェル、ワウテル・ポエルス(オランダ)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド)が順に全開でペースを上げた。
フィニッシュまで4kmを残してアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が、続いて3kmを残してヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が脱落。すると、残り2kmでロッシュに発射される形でフルームが強力なアタック。高回転でパワフルにペダルを回し続けたフルームがライバルたちを突き放した。
先頭では最後までペースを落とすことなく走りきったバルデが独走勝利。フルームは粘り強く追走していたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)とベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)にフィニッシュ前で追いつかれ、ヴァンガーデレンが36秒差のステージ2位に。フルームが40秒差、インチャウスティが42秒差でフィニッシュラインを切った。
タイミングの良いアタックで飛び出し、下りでリードを広げて逃げ切ったバルデは「今日自分に起こったことが信じられない。初めて走る下りだったし、リスクを犯すことなく攻めたんだ。下りきった時点で1分以上のリードがあったので、フィニッシュまでの6kmを持ちこたえることが出来ると思った」と驚きの表情で振り返る。
「マイヨジョーヌのことは考えていなかった。フィニッシュが永遠にやってこないんじゃないかと思うほど苦しかった。この勝利は自分のキャリアに華を添えてくれるし、精神的な落ち着きを与えてくれる。総合3位に浮上したので、残りの3ステージでも攻撃を続けて、昨年の総合5位を上回る成績を残したい」。2013年ツール総合15位、2014年ツール総合6位と着実に力を伸ばしているバルデは表彰台でマイヨブランに袖を通した。
デニスのマイヨジョーヌはチームメイトのヴァンガーデレンの手に。「キンタナとコンタドールを除くすべてのマイヨジョーヌ候補が集まっていると言われるこのドーフィネで総合首位に立ったことにとても満足している。ツールにトップコンディションを合わすために無理せず走っている選手もいるとは言え、このマイヨジョーヌから大きな満足感と自信を得たよ」とヴァンガーデレン。
「フルームがアタックした時、レッドゾーンまで追い込んだらフィニッシュまで続かないと判断した。そのおかげで最終的に追い抜くことが出来た。自分でも驚いたよ。ステージ優勝者に与えられる10秒のボーナスタイムがこれからの総合争いを左右すると思う」。総合争いにおいてヴァンガーデレンは2位インチャウスティから17秒、バルデから20秒、フルームから41秒のリードを得ている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2015第5ステージ
1位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) 4h31’22”
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +36”
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +40”
4位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +42”
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +50”
6位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +55”
8位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +57”
9位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
10位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
156位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +21’06”
個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) 18h03’22”
2位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +17”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +20”
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +31”
5位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +41”
6位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +43”
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +1’08”
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +1’16”
9位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) +1’17”
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ) +1’25”
ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
山岳賞
ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)
ヤングライダー賞
ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
ツール・ド・フランス第17ステージと全く同じコースで行われたドーフィネ第5ステージ。161kmコースには5つのカテゴリー山岳が設定されており、残り40kmを切ってから1級山岳アロス峠(14km/5.5%)を越えて最後は2級山岳プラルー(6.2km/6.5%)にアタック。今大会最初の山頂フィニッシュがマイヨジョーヌ候補たちの脚を試した。
山岳ポイントが多く獲得出来るステージとあって、4km地点で形成された7名逃げの中には山岳賞ジャージを着るダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)の姿も。ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)やクリストフ・リブロン(フランス、AG2Rラモンディアール)らとともに逃げたテクレハイマノは前半の3つの山岳でポイントを量産している。
レース中盤に5分まで広がったタイム差を、マイヨジョーヌ擁するBMCレーシングが追いかける。この日最大の難所である1級山岳アロス峠に差し掛かると先頭はウェレンス、ロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)、ピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)、アルバート・ティマー(オランダ、ジャイアント・アルペシン)の4名に絞られた。
BMCレーシングに代わって登りでペースを上げたのはクリス・フルーム(イギリス)をエースに立てるチームスカイ。登りをハイペースで進むうちにメイン集団の人数は見る見るうちに絞られ、マイヨジョーヌを着るローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)やバウク・モレマ(オランダ、トレックファクトリーレーシング)、ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)らが最後の2級山岳プラルーを待たずして相次ぎ脱落した。
イアン・ボスウェル(アメリカ、チームスカイ)率いるメイン集団は最後まで逃げていたシカールとウェレンスを吸収。すると、30名ほどに絞られた集団から、1級山岳アロス峠の頂上通過前にロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)がアタックした。
集団を引き離して頂上をクリアしたバルデはテクニカルなダウンヒルを目一杯攻め、独走のまま1分20秒リードで最後の2級山岳プラルー登坂を開始する。メイン集団は引き続きチームスカイのコントロール下に置かれ、ボスウェル、ワウテル・ポエルス(オランダ)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド)が順に全開でペースを上げた。
フィニッシュまで4kmを残してアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が、続いて3kmを残してヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が脱落。すると、残り2kmでロッシュに発射される形でフルームが強力なアタック。高回転でパワフルにペダルを回し続けたフルームがライバルたちを突き放した。
先頭では最後までペースを落とすことなく走りきったバルデが独走勝利。フルームは粘り強く追走していたティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)とベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)にフィニッシュ前で追いつかれ、ヴァンガーデレンが36秒差のステージ2位に。フルームが40秒差、インチャウスティが42秒差でフィニッシュラインを切った。
タイミングの良いアタックで飛び出し、下りでリードを広げて逃げ切ったバルデは「今日自分に起こったことが信じられない。初めて走る下りだったし、リスクを犯すことなく攻めたんだ。下りきった時点で1分以上のリードがあったので、フィニッシュまでの6kmを持ちこたえることが出来ると思った」と驚きの表情で振り返る。
「マイヨジョーヌのことは考えていなかった。フィニッシュが永遠にやってこないんじゃないかと思うほど苦しかった。この勝利は自分のキャリアに華を添えてくれるし、精神的な落ち着きを与えてくれる。総合3位に浮上したので、残りの3ステージでも攻撃を続けて、昨年の総合5位を上回る成績を残したい」。2013年ツール総合15位、2014年ツール総合6位と着実に力を伸ばしているバルデは表彰台でマイヨブランに袖を通した。
デニスのマイヨジョーヌはチームメイトのヴァンガーデレンの手に。「キンタナとコンタドールを除くすべてのマイヨジョーヌ候補が集まっていると言われるこのドーフィネで総合首位に立ったことにとても満足している。ツールにトップコンディションを合わすために無理せず走っている選手もいるとは言え、このマイヨジョーヌから大きな満足感と自信を得たよ」とヴァンガーデレン。
「フルームがアタックした時、レッドゾーンまで追い込んだらフィニッシュまで続かないと判断した。そのおかげで最終的に追い抜くことが出来た。自分でも驚いたよ。ステージ優勝者に与えられる10秒のボーナスタイムがこれからの総合争いを左右すると思う」。総合争いにおいてヴァンガーデレンは2位インチャウスティから17秒、バルデから20秒、フルームから41秒のリードを得ている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2015第5ステージ
1位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) 4h31’22”
2位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +36”
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +40”
4位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +42”
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +50”
6位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、MTNキュベカ)
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +55”
8位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +57”
9位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
10位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
156位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +21’06”
個人総合成績
1位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) 18h03’22”
2位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター) +17”
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +20”
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ) +31”
5位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +41”
6位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ) +43”
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン) +1’08”
8位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン) +1’16”
9位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング) +1’17”
10位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ) +1’25”
ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
山岳賞
ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)
ヤングライダー賞
ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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