2015/05/29(金) - 11:36
大逃げが決まったアルプス初戦。登りで遅れながらも、下りで先頭に追い付きそのまま独走に持ち込んだフィリップ・ジルベールや、ライバルたちに更なるタイム差をつけたアルベルト・コンタドールらのコメントを紹介します。
2勝目を挙げたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
今大会2本目のシャンパンを開けるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
独走でフィニッシュするフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele
下りで先頭グループに合流したと同時にアタックしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele恐らく今日は逃げ集団が最後まで行くだろうと予想していたから、チームとして(ダミアーノ・)カルーゾ以外の誰かを逃げ集団に送り込みたいと考えていた。そして、皆でアタックを仕掛け、チームからは最終的に僕とアマエル・モワナール(フランス)が逃げ集団に入ることができた。パーフェクトな展開だったね。
モンテ・オローニョについては特に下調べもしていなかった。ただ、昨日泊まったホテルの従業員が「あれが明日登る山だ」と教えてくれた。モンテ・オローニョからホテルまでは恐らく20kmぐらい離れていて、余りハードには見えなかった。
しかし、いざ登ってみると非常にハード。身体の様々な箇所に痛みを覚えたけど、自分のリズムを刻みながら登った。そこで何名かに先行を許してしまったが、今日はその後の長い下りで先頭に追いつけるという自信があったんだ。そして下りきる前に追いつくことができた。
これまで多くのレースで勝利を挙げてきたけど、今日のステージ優勝に対する喜びはひとしお。バレリオ・ピーバ監督から無線でタイム差が充分にあることを知らされていたから、ラスト3~4kmぐらいから勝利を噛み締めながらゴールへ向かうことができた。そして後続に1分の差をつけて先頭でゴールラインを切ることができたんだ。
ステージ2位に入ったフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF)
登りで逃げグループのペースを作るフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF) photo:Tim de Waele今日はもう少しで勝てる、というところまでいった。全力を尽くして(フィリップ)ジルベールのようなチャンピオンと渡り合えたことに満足している。モンテ・オローニョはハードだったけど、そこまで距離は長くなかった。2度アタックを仕掛けたけど、今日のステージが下りで決まるということは分かっていた。
ジルベールはものすごい速さで後ろから追いついてきて、そのまま一人でアタックして勝ってしまった。僕らの集団は協調がとれなかったから、残り2.5kmで僕はアタックしたんだ。そうしたら、200mほどのリードを保って、フィニッシュラインを越えることができた。調子はいいから、明日も積極的に動いていくよ。
3位のシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
決定的な逃げに乗ったシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング) photo:Tim de Waele第5ステージの様に今日も逃げに乗りたかったから、序盤から積極的に動いた。最初の1時間の平均速度が時速48km/hを超えていたというから、道理でキツかったわけ。逃げが決まってからは特に後ろも追ってはこなかったけど、予想外に登りがハードだった。登りはジルベールとリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、AG2Rラモンディアール)と共にこなし、その後は先頭集団の4名に追いつこうとフルスロットルで下った。
2人と共に先頭に追い付くとBMCレーシングが先頭に2人という状況になるから、とにかくハードな展開に持ち込まなくてはならないと考えていた。でも実際には、先頭4人に追いつく前にジルベールが自分の得意な展開に持ち込んで、先行してしまったんだ。3位というリザルトには満足している。今日の様な終盤の展開では運も味方につけなければならないね。
特別な準備をしてきたわけではないけど、何かしらの良い結果が残せればと思いジロに来たんだ。徐々にコンディションが上がってきてはいるけど、やはりジロというレースは難しいと実感させられている。どのステージだって平均速度がとても高く、コースプロフィールに関係なく、どのステージだって逃げに入るために相当な労力を費やさなくてはならない。今のフィーリングには満足しているし、ミラノにゴールしたら数日間の休養が待っている。その後は、ツールへ向けてフォン・ロウで高地トレーニングを行う予定だ。
NIPPOヴィーニファンティーニのフランセスコ・ペロージGM
逃げグループに入ったダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Tim de Waeleこれからが期待される若手と、経験豊かなダミアーノ・クネゴというメンバー構成で望んだ今回のジロだったが、共に大きな不運に見舞われてしまった。第6ステージでダニエーレ・コッリ(イタリア)が上腕骨骨折と共にリタイアに追い込まれ、勝ちを狙える今日のステージでクネゴが落車で鎖骨を骨折。
非常に残念だが、一刻も早く復帰できるよう彼らはしっかりと身体を休めてほしい。ダミアーノとダニエーレは今以上に勝利への執念を燃やしながら復帰してくれるはずだ。また、チームとしては適切かつ迅速に処置してくれたトレディーチ医師を始めとした大会の医療関係者に感謝したい。
4名の先頭グループに残ったダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)
登りで逃げグループを率いるダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleレースが始まってすぐ、いくつかのアタックがあった。逃げが形成されるには、そこに入る選手たちがみんな強くないといけない。そして、僕たちの逃げは集団から容認された。集団はタイムギャップを詰めようとはしていなかったから、今日の勝者はこのグループの中の誰かになるとすぐに分かった。
だから、うまく協調して逃げ続けたんだ。でも、逃げの中にはシャバネルやノチェンティーニ、ジルベールといった、強力な選手たちも入っていた。みんな彼らがどれだけ勝負強いかを知っているだろ。だからモンテ・オローニョの登りでふるいにかけようとペースを上げたんだ。そうしたら、4人に絞ることが出来たんだけど、ジルベールたちは諦めてなかった。
僕らは彼らに対して1分ほどの差をつけて下り始めた。下っていると途中に短いけど急な登りが2つ現れた。そこでボンジョルノが独走に持ち込もうとアタックをしかけて、僕らのグループは協調が乱れてしまったんだ。きっと、ジルベールとのタイム差を維持するために協力し続けていたほうがよかったんだろうけど、それは難しかったね。
結局、下りを踏みまくってきたジルベールに追いつかれてしまった。だから、表彰台狙いに切り替えて最後まで走り続けた。正直、良いレースが出来たと思っているし、かなり良い脚の状態であるということが確認できて良かったよ。もちろん、勝利することが最大の目標だけれど、ジロの様なビッグレースで逃げに乗り、偉大なチャンピオン達と競り合えたというのはそれだけでも価値がある。今日のステージは僕の大きな自信になったよ。
ライバルに対し、更にタイム差を広げたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)の表彰式に拳銃ポーズは欠かせない photo:Tim de Waele
メイン集団から飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele今日の展開はモルティローロで起こったことのちょうど逆みたいだった。登りに入る前に、チームが全力で集団を牽いてくれた。それは、僕が先頭で登りはじめることでトラブルを防ぎたかったからだ。結局、ランダは後ろの集団で走ることになったね。とにかく、総合成績でよりタイム差を付けられたことは本当にハッピーだ。最後の登りはまるでタイムトライアルだから本当に疲れたよ。とはいっても毎日ハードなステージなんだけどね。
ヘシェダルに8秒差にまで詰められたステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
山岳賞を守り切ったステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ) (c)Corvosティンコフサクソはモンテ・オローニョに全開で入っていった。(アルベルト)コンタドールのアタックは強烈だったね。彼に付いていこうとしたんだけども、速過ぎて何もできなかったよ。逃げ集団が山岳ポイントを全部持って行ってくれたのはラッキーだったね。(山岳賞争いで1ポイント差の2位につける)インチャウスティとの差をキープすることができた。でも山岳トップをキープするのは、総合順位を落とさないのと同じくらい難しい。一滴の力も無駄にできないね。
不運なメカトラブルで逃げに乗れなかった別府史之(トレックファクトリーレーシング)
マリアロッサのニッツォロをサポートしてフィニッシュする別府史之(トレックファクトリーレーシング) photo:Kei Tsujiスタート後のアタックやりあってる最中に前の選手と絡んでホイールが壊れて、その後もマシントラブルでバイク交換を余儀なくされた。今日はなんとしても逃げグループには加わりたかったのに。最後はポイント賞ジャージを着たジャコモをサポートしながら、のんびり走った。
※各コメントは現地取材、レース/チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイト/Twitter/Facebookより。
text:Naoki.Yasuoka,Yuya.Yamamoto
photo:CorVos,Kei.Tsuji
2勝目を挙げたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
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モンテ・オローニョについては特に下調べもしていなかった。ただ、昨日泊まったホテルの従業員が「あれが明日登る山だ」と教えてくれた。モンテ・オローニョからホテルまでは恐らく20kmぐらい離れていて、余りハードには見えなかった。
しかし、いざ登ってみると非常にハード。身体の様々な箇所に痛みを覚えたけど、自分のリズムを刻みながら登った。そこで何名かに先行を許してしまったが、今日はその後の長い下りで先頭に追いつけるという自信があったんだ。そして下りきる前に追いつくことができた。
これまで多くのレースで勝利を挙げてきたけど、今日のステージ優勝に対する喜びはひとしお。バレリオ・ピーバ監督から無線でタイム差が充分にあることを知らされていたから、ラスト3~4kmぐらいから勝利を噛み締めながらゴールへ向かうことができた。そして後続に1分の差をつけて先頭でゴールラインを切ることができたんだ。
ステージ2位に入ったフランチェスコ・ボンジョルノ(イタリア、バルディアーニCSF)
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ジルベールはものすごい速さで後ろから追いついてきて、そのまま一人でアタックして勝ってしまった。僕らの集団は協調がとれなかったから、残り2.5kmで僕はアタックしたんだ。そうしたら、200mほどのリードを保って、フィニッシュラインを越えることができた。調子はいいから、明日も積極的に動いていくよ。
3位のシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
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特別な準備をしてきたわけではないけど、何かしらの良い結果が残せればと思いジロに来たんだ。徐々にコンディションが上がってきてはいるけど、やはりジロというレースは難しいと実感させられている。どのステージだって平均速度がとても高く、コースプロフィールに関係なく、どのステージだって逃げに入るために相当な労力を費やさなくてはならない。今のフィーリングには満足しているし、ミラノにゴールしたら数日間の休養が待っている。その後は、ツールへ向けてフォン・ロウで高地トレーニングを行う予定だ。
NIPPOヴィーニファンティーニのフランセスコ・ペロージGM
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非常に残念だが、一刻も早く復帰できるよう彼らはしっかりと身体を休めてほしい。ダミアーノとダニエーレは今以上に勝利への執念を燃やしながら復帰してくれるはずだ。また、チームとしては適切かつ迅速に処置してくれたトレディーチ医師を始めとした大会の医療関係者に感謝したい。
4名の先頭グループに残ったダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)
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だから、うまく協調して逃げ続けたんだ。でも、逃げの中にはシャバネルやノチェンティーニ、ジルベールといった、強力な選手たちも入っていた。みんな彼らがどれだけ勝負強いかを知っているだろ。だからモンテ・オローニョの登りでふるいにかけようとペースを上げたんだ。そうしたら、4人に絞ることが出来たんだけど、ジルベールたちは諦めてなかった。
僕らは彼らに対して1分ほどの差をつけて下り始めた。下っていると途中に短いけど急な登りが2つ現れた。そこでボンジョルノが独走に持ち込もうとアタックをしかけて、僕らのグループは協調が乱れてしまったんだ。きっと、ジルベールとのタイム差を維持するために協力し続けていたほうがよかったんだろうけど、それは難しかったね。
結局、下りを踏みまくってきたジルベールに追いつかれてしまった。だから、表彰台狙いに切り替えて最後まで走り続けた。正直、良いレースが出来たと思っているし、かなり良い脚の状態であるということが確認できて良かったよ。もちろん、勝利することが最大の目標だけれど、ジロの様なビッグレースで逃げに乗り、偉大なチャンピオン達と競り合えたというのはそれだけでも価値がある。今日のステージは僕の大きな自信になったよ。
ライバルに対し、更にタイム差を広げたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
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ヘシェダルに8秒差にまで詰められたステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
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不運なメカトラブルで逃げに乗れなかった別府史之(トレックファクトリーレーシング)
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※各コメントは現地取材、レース/チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイト/Twitter/Facebookより。
text:Naoki.Yasuoka,Yuya.Yamamoto
photo:CorVos,Kei.Tsuji
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