2015/05/22(金) - 05:03
雨降る4級山岳モンテベリコで抜群のパンチ力を見せたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)が今シーズン初勝利。ステージ2位に入ったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が総合リードを広げることに成功しています。
ヴィチェンツァを見下ろす標高123mの4級山岳モンテベリコ教会前にフィニッシュするジロ・デ・イタリア第12ステージ。
単調なポー平原をひたすら北上し、4級山岳カステルヌオーヴォと3級山岳クロサーラを越えてヴィチェンツァを通過。そこから1kmにわたって続く登りをこなしてフィニッシュを迎える。
この日はレース前半が平坦&晴れ、そして後半が起伏&雨というコンディション。地平線まで続く平野でスタート直後からアタックが続き、向かい風にもかかわらず最初の1時間の平均スピードは52.2km/hをマークする。結局アタック合戦は1時間半にわたって続き、70km地点で5名が飛び出したところでようやく落ち着きを見せた。
パトリック・グレッチュ(ドイツ、AG2Rラモンディアール)、ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)、ニック・ファンデルライク(オランダ、ロットNLユンボ)、エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)、ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)が逃げグループを形成したものの、連日逃げ切りを許している集団はペースを弱めない。
タイム差はオリカ・グリーンエッジの集団牽引によって2分を上限に縮小を開始。決定的なリードを奪えないまま先頭5名は追い込まれ、フィニッシュまで57kmを残して早くも吸収される。
続いてジャンフランコ・ジリオーリ(イタリア、アンドローニジョカトリ)やルイス・フェルファーク(ベルギー、ロット・ソウダル)が飛び出してそれぞれ独走したが、3級山岳クロサーラを前にティンコフ・サクソ率いる集団に引き戻された。
降りしきる雨によって路面は完全にウェットな状態となり、3級山岳クロサーラの下りでは優勝候補のサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが落車。相次ぐ落車によって集団は割れ、40名ほどに絞られた状態で残り20kmに差し掛かった。
続いて動きを見せたのはフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)で、追走したステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)やジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)を振り切って独走を開始する。
唯一ペッリツォッティに追いつくことが出来たのはテクニカルな下りで集団先頭から抜け出す形となったタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)。アップダウン区間が終了した残り5km地点でカンゲルトは先頭ペッリツォッティに追いついた。
メイン集団からはフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)とヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)がカウンターアタックを仕掛けたものの決まらない。
先頭カンゲルトとペッリツォッティはBMCレーシング率いるメイン集団に対して20秒のリードで残り1kmアーチを通過。最後の4級山岳モンテベリコ登坂が始まった。
頂上が近づくにつれて勾配が増し、後半にかけて11%ほどの急勾配が続く登りでカンゲルトがペッリツォッティを振り切って先頭単独に。後方からはBMCレーシングがハイペースを刻む集団が迫る。
ダンシングでペースを持続したカンゲルトだったが、最終ストレートでついに集団に捕まる。残り400mで集団先頭に立ったジルベールが、残り300mでカンゲルトをパスすると同時に踏み込んでいく。毎年カウベルグで見せるような力強いダンシングでジルベールが飛び出した。
「昨日もステージ優勝狙いでBMCレーシングが前半からレースをコントロールしたものの、最終的に自分に力が残ってなくてチャンスを逃してしまった。心底失望した。昨日の夜は自分に失望してよく眠れなかったぐらいだ」と語るジルベールが、狙い澄ました走りでチームの働きに報いた。
「今日は前半からかなりのハイスピードだったのでとても厳しいステージだった。でも前半に力を使わずに、後半に全てを賭けることに決めていた。その判断が正しかった」。ジルベールはジロ開幕前にこの第12ステージの後半部分を試走済み。アルデンヌ・クラシックさながらのアップダウンコースで7ヶ月ぶりとなる勝利を掴んだ。
3秒後方のスプリントでディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)を下してステージ2位に入ったコンタドールがボーナスタイム6秒を獲得。コンタドールは「ジルベールの登りスプリントはずば抜けていた。でも総合成績を優先していたので結果にはとても満足しているよ」とコメントする。
総合2位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が11秒遅れたため、両者の総合タイム差は3秒から17秒に拡大している。
現地の様子や日本人選手のコメントなどは現地レポートでお伝えします。
ジロ・デ・イタリア2015第12ステージ結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) 4h22’50”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +03”
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
5位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSF)
6位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)
7位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター) +06”
8位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)
10位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
11位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
12位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
80位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +10’33”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 51h17’06”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +17”
3位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) +55”
4位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) +1’30”
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ) +1’55”
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +2’18”
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) +2’21”
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +2’28”
9位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +2’38”
10位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) +2’44”
マリアロッサ ポイント賞
ニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)
マリアアッズーラ 山岳賞
ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Vicenza, Italy
ヴィチェンツァを見下ろす標高123mの4級山岳モンテベリコ教会前にフィニッシュするジロ・デ・イタリア第12ステージ。
単調なポー平原をひたすら北上し、4級山岳カステルヌオーヴォと3級山岳クロサーラを越えてヴィチェンツァを通過。そこから1kmにわたって続く登りをこなしてフィニッシュを迎える。
この日はレース前半が平坦&晴れ、そして後半が起伏&雨というコンディション。地平線まで続く平野でスタート直後からアタックが続き、向かい風にもかかわらず最初の1時間の平均スピードは52.2km/hをマークする。結局アタック合戦は1時間半にわたって続き、70km地点で5名が飛び出したところでようやく落ち着きを見せた。
パトリック・グレッチュ(ドイツ、AG2Rラモンディアール)、ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)、ニック・ファンデルライク(オランダ、ロットNLユンボ)、エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)、ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アンドローニジョカトリ)が逃げグループを形成したものの、連日逃げ切りを許している集団はペースを弱めない。
タイム差はオリカ・グリーンエッジの集団牽引によって2分を上限に縮小を開始。決定的なリードを奪えないまま先頭5名は追い込まれ、フィニッシュまで57kmを残して早くも吸収される。
続いてジャンフランコ・ジリオーリ(イタリア、アンドローニジョカトリ)やルイス・フェルファーク(ベルギー、ロット・ソウダル)が飛び出してそれぞれ独走したが、3級山岳クロサーラを前にティンコフ・サクソ率いる集団に引き戻された。
降りしきる雨によって路面は完全にウェットな状態となり、3級山岳クロサーラの下りでは優勝候補のサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)らが落車。相次ぐ落車によって集団は割れ、40名ほどに絞られた状態で残り20kmに差し掛かった。
続いて動きを見せたのはフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)で、追走したステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)やジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)を振り切って独走を開始する。
唯一ペッリツォッティに追いつくことが出来たのはテクニカルな下りで集団先頭から抜け出す形となったタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)。アップダウン区間が終了した残り5km地点でカンゲルトは先頭ペッリツォッティに追いついた。
メイン集団からはフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)とヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)がカウンターアタックを仕掛けたものの決まらない。
先頭カンゲルトとペッリツォッティはBMCレーシング率いるメイン集団に対して20秒のリードで残り1kmアーチを通過。最後の4級山岳モンテベリコ登坂が始まった。
頂上が近づくにつれて勾配が増し、後半にかけて11%ほどの急勾配が続く登りでカンゲルトがペッリツォッティを振り切って先頭単独に。後方からはBMCレーシングがハイペースを刻む集団が迫る。
ダンシングでペースを持続したカンゲルトだったが、最終ストレートでついに集団に捕まる。残り400mで集団先頭に立ったジルベールが、残り300mでカンゲルトをパスすると同時に踏み込んでいく。毎年カウベルグで見せるような力強いダンシングでジルベールが飛び出した。
「昨日もステージ優勝狙いでBMCレーシングが前半からレースをコントロールしたものの、最終的に自分に力が残ってなくてチャンスを逃してしまった。心底失望した。昨日の夜は自分に失望してよく眠れなかったぐらいだ」と語るジルベールが、狙い澄ました走りでチームの働きに報いた。
「今日は前半からかなりのハイスピードだったのでとても厳しいステージだった。でも前半に力を使わずに、後半に全てを賭けることに決めていた。その判断が正しかった」。ジルベールはジロ開幕前にこの第12ステージの後半部分を試走済み。アルデンヌ・クラシックさながらのアップダウンコースで7ヶ月ぶりとなる勝利を掴んだ。
3秒後方のスプリントでディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)を下してステージ2位に入ったコンタドールがボーナスタイム6秒を獲得。コンタドールは「ジルベールの登りスプリントはずば抜けていた。でも総合成績を優先していたので結果にはとても満足しているよ」とコメントする。
総合2位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が11秒遅れたため、両者の総合タイム差は3秒から17秒に拡大している。
現地の様子や日本人選手のコメントなどは現地レポートでお伝えします。
ジロ・デ・イタリア2015第12ステージ結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) 4h22’50”
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) +03”
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
5位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSF)
6位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)
7位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター) +06”
8位 カルロスアルベルト・ベタンクール(コロンビア、AG2Rラモンディアール)
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)
10位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
11位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)
12位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
80位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング) +10’33”
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) 51h17’06”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +17”
3位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ) +55”
4位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) +1’30”
5位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ) +1’55”
6位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ) +2’18”
7位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター) +2’21”
8位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) +2’28”
9位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +2’38”
10位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) +2’44”
マリアロッサ ポイント賞
ニコラ・ボエム(イタリア、バルディアーニCSF)
マリアアッズーラ 山岳賞
ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
チーム総合成績
アスタナ
text&photo:Kei Tsuji in Vicenza, Italy
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