2015/05/07(木) - 14:10
アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)とリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)に注目が集まりがちな第98回ジロ・デ・イタリアのマリアローザ争い。地元イタリアの希望は?そしてコロンビア勢の覇権は続く?開幕前に総合優勝候補をピックアップしておきましょう。
総合リーダーの証であるマリアローザの色は、主催紙ガゼッタ・デッロ・スポルト紙に使用されている紙の色に由来する。直訳すると「ピンク色のジャージ」ではなく「バラ色のジャージ」だ。
2014年大会の優勝者ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)はツール・ド・フランスに集中するために欠場。順当にいけば総合2位リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)と総合3位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)にチャンスが回ってくる。
特に個人タイムトライアルを得意とするウランが再び総合表彰台に上る可能性は高い。4月にアルは体調を崩して前哨戦ジロ・デル・トレンティーノをパス。万全の状況と言えない中でもイタリア最大の期待を背負う存在として再び表彰台を狙う。しかし、表彰台の真ん中に立つには、キンタナに代わる2人のビッグネームを倒さなければならない。
優勝候補の筆頭に挙げられているのは、ダブルツール(ジロとツール同年制覇)を虎視眈々と狙っているアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)だ。コンタドールは2008年大会の優勝者。2011年にも総合優勝を果たしたもののドーピング違反によってタイトルは剥奪されている。
2015年シーズンは2月のブエルタ・ア・アンダルシアのステージ1勝にとどまっており、ティレーノ〜アドリアティコでは総合5位。どこか勢いを失っている感は否めないが、ジロとツールで最高の力を発揮するためのコンディショニングの結果との見方もある。2度の優勝経験者バッソやクロイツィゲル、ロジャースといったアシストたちが勢ぞろい。ダブルツールの準備は整っている。
一方で2015年シーズン序盤から快調に飛ばしているのがリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)だ。ポートはオーストラリア選手権タイムトライアル優勝に始まり、ツアー・ダウンアンダーの山頂フィニッシュ制覇、さらにパリ〜ニース総合優勝、ボルタ・ア・カタルーニャ総合優勝、そしてジロ・デル・トレンティーノ総合優勝。山岳でもTTでもライバルたちを圧倒した。
2010年大会で大逃げを成功させてマリアローザを着用し、最終的にマリアビアンカ(ヤングライダー賞)を獲得したポートも30歳。ついにエースとしてグランツール総合優勝を狙う時がやってきた。新加入ケーニッヒやエナオゴメス、ニエベ、キリエンカ、シウトソウが山岳アシストとしてポートをサポート。なお、イギリスチームながらチームスカイからイギリス人選手の出場は無し。他チームからもイギリス人選手は出場せず、1999年以来16年ぶりにイギリス人選手のいないジロとなる。
地元イタリアはアルの他にもドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(AG2Rラモンディアール)やダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシング)、ダミアーノ・クネゴ(NIPPOヴィーニファンティーニ)らに望みを託す。いずれの選手たちにとっても59.4kmの長距離個人TTがウィークポイントになるだろう。
2012年大会の覇者ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン)や、ツール・ド・ロマンディを制したばかりのイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)、キンタナに代わってモビスターを率いるベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)、2013年大会総合6位プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)、2011年大会総合8位ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)、2008年総合7位ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ソウダル)らがアウトサイダーとして総合上位に名前を連ねると見られる。
歴代マリアローザ獲得選手
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2012年 ライダー・ヘシェダル(カナダ)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2009年 デニス・メンショフ(ロシア)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2005年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2004年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2001年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2000年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
1999年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1996年 パヴェル・トンコフ(ロシア)
1995年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1994年 エフゲニー・ベルツィン(ロシア)
1993年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1991年 フランコ・キオッチォーリ(イタリア)
1990年 ジャンニ・ブーニョ(イタリア)
text:Kei Tsuji in Sanremo, Italy
総合リーダーの証であるマリアローザの色は、主催紙ガゼッタ・デッロ・スポルト紙に使用されている紙の色に由来する。直訳すると「ピンク色のジャージ」ではなく「バラ色のジャージ」だ。
2014年大会の優勝者ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)はツール・ド・フランスに集中するために欠場。順当にいけば総合2位リゴベルト・ウラン(コロンビア、エティックス・クイックステップ)と総合3位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)にチャンスが回ってくる。
特に個人タイムトライアルを得意とするウランが再び総合表彰台に上る可能性は高い。4月にアルは体調を崩して前哨戦ジロ・デル・トレンティーノをパス。万全の状況と言えない中でもイタリア最大の期待を背負う存在として再び表彰台を狙う。しかし、表彰台の真ん中に立つには、キンタナに代わる2人のビッグネームを倒さなければならない。
優勝候補の筆頭に挙げられているのは、ダブルツール(ジロとツール同年制覇)を虎視眈々と狙っているアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)だ。コンタドールは2008年大会の優勝者。2011年にも総合優勝を果たしたもののドーピング違反によってタイトルは剥奪されている。
2015年シーズンは2月のブエルタ・ア・アンダルシアのステージ1勝にとどまっており、ティレーノ〜アドリアティコでは総合5位。どこか勢いを失っている感は否めないが、ジロとツールで最高の力を発揮するためのコンディショニングの結果との見方もある。2度の優勝経験者バッソやクロイツィゲル、ロジャースといったアシストたちが勢ぞろい。ダブルツールの準備は整っている。
一方で2015年シーズン序盤から快調に飛ばしているのがリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)だ。ポートはオーストラリア選手権タイムトライアル優勝に始まり、ツアー・ダウンアンダーの山頂フィニッシュ制覇、さらにパリ〜ニース総合優勝、ボルタ・ア・カタルーニャ総合優勝、そしてジロ・デル・トレンティーノ総合優勝。山岳でもTTでもライバルたちを圧倒した。
2010年大会で大逃げを成功させてマリアローザを着用し、最終的にマリアビアンカ(ヤングライダー賞)を獲得したポートも30歳。ついにエースとしてグランツール総合優勝を狙う時がやってきた。新加入ケーニッヒやエナオゴメス、ニエベ、キリエンカ、シウトソウが山岳アシストとしてポートをサポート。なお、イギリスチームながらチームスカイからイギリス人選手の出場は無し。他チームからもイギリス人選手は出場せず、1999年以来16年ぶりにイギリス人選手のいないジロとなる。
地元イタリアはアルの他にもドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(AG2Rラモンディアール)やダミアーノ・カルーゾ(BMCレーシング)、ダミアーノ・クネゴ(NIPPOヴィーニファンティーニ)らに望みを託す。いずれの選手たちにとっても59.4kmの長距離個人TTがウィークポイントになるだろう。
2012年大会の覇者ライダー・ヘシェダル(カナダ、キャノンデール・ガーミン)や、ツール・ド・ロマンディを制したばかりのイルヌール・ザッカリン(ロシア、カチューシャ)、キンタナに代わってモビスターを率いるベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)、2013年大会総合6位プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・メリダ)、2011年大会総合8位ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)、2008年総合7位ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ソウダル)らがアウトサイダーとして総合上位に名前を連ねると見られる。
歴代マリアローザ獲得選手
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2012年 ライダー・ヘシェダル(カナダ)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2009年 デニス・メンショフ(ロシア)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2005年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2004年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2003年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2002年 パオロ・サヴォルデッリ(イタリア)
2001年 ジルベルト・シモーニ(イタリア)
2000年 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)
1999年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1998年 マルコ・パンターニ(イタリア)
1997年 イヴァン・ゴッティ(イタリア)
1996年 パヴェル・トンコフ(ロシア)
1995年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1994年 エフゲニー・ベルツィン(ロシア)
1993年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1992年 ミゲール・インドゥライン(スペイン)
1991年 フランコ・キオッチォーリ(イタリア)
1990年 ジャンニ・ブーニョ(イタリア)
text:Kei Tsuji in Sanremo, Italy
Amazon.co.jp