2015/04/26(日) - 13:52
4月26日から5月3日までの8日間にわたってツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)が開催される。トップスプリンターが揃う大会にはNIPPOヴィーニファンティーニの山本元喜と黒枝士揮が出場。トルコ最大のステージレースの注目ポイントをチェックしておきましょう。
イスタンブールに向かう8日間 2つの山頂フィニッシュが鍵
正式名称「プレジデンシャル・サイクリング・ツアー・オブ・ターキー」は2008年からHC(超級)レースとして開催されているトルコ最大のステージレース。そのレースオーガナイズの良さには定評があり、将来的にはUCIワールドツアーカレンダー入りを目指しているという。
日本においてトルコは中東アジアに分類されがちだが、自国がヨーロッパの一部であると自負しているトルコ政府はEU(欧州連合)への加盟を目指しており、ツアー・オブ・ターキーはUCIアジアツアーではなくUCIヨーロッパツアーに組み込まれている。なお、トルコの国土の約96%はアジア側のアナトリア半島で、ヨーロッパ側は約4%。最大都市イスタンブールはアジアとヨーロッパを分かつボスボラス海峡を跨いでいる。
開催51年目を迎える今年もトルコ南部のリゾート都市アランヤで8日間の闘いはスタートする。中盤にかけてコースに変更が加えられているものの、8日間かけて海沿いに首都イスタンブールまで北上するレイアウトに変わりはない。
総合争いにおいて重要となるのが山頂フィニッシュが設定された第3ステージと第6ステージだ。3つのカテゴリー山岳が設定された第3ステージが今大会のクイーンステージ。標高1850mのゴグベリ峠に向かう登りで総合争いの流れが出来上がるだろう。
もう一つの難所である第6ステージは、セルチュクにある「聖母マリアの家」にフィニッシュする。聖母マリアが晩年を過ごしたというキリスト教の聖地至る登りは短いながらも急勾配。ここで実質的な総合優勝者が決まる。
イズミルから空路で移動後、最終日は首都イスタンブールを駆け抜ける平坦コースが設定されている。「ヨーロッパとアジアを結ぶレース」という大会のテーマを象徴するボアズィチ大橋(ボスポラス海峡)を渡り、Uターンして再び旧市街の周回コースへ。新登場の9km周回コースを10周し、最後はブルー・モスク(スルタンアフメト・モスク)の前でフィニッシュを迎える。
ツアー・オブ・ターキー2015ステージリスト
4月26日(日)第1ステージ アランヤ〜アランヤ 145km 平坦
4月27日(月)第2ステージ アランヤ〜アンタルヤ 182km 平坦
4月28日(火)第3ステージ ケメール〜エルマル(ゴグベリ) 163km 山頂フィニッシュ
4月29日(水)第4ステージ フェティエ〜マルマリス 132km クラシカル
4月30日(木)第5ステージ ムグラ〜パムッカレ 160km 平坦
5月1日(金)第6ステージ デニズリ〜セルチュク 184km 山頂フィニッシュ
5月2日(土)第7ステージ セルチュク〜イズミル 166km クラシカル
5月3日(日)第8ステージ イスタンブール〜イスタンブール 124km 平坦
ジロ出場予定のボーネンが復帰 注目はカヴvsグライペル
ツアー・オブ・ターキーに用意される特別賞ジャージは4つ。総合リーダーには大会のイメージカラーであるターコイズブルーのリーダージャージが与えられる。山岳賞がレッドジャージで、ポイント賞がグリーンジャージ。ツアー・オブ・ターキー独自の賞として、中間スプリントにあたる「プレミアムゲート(トルコの歴史や自然を象徴する場所に置かれる)」の通過成績トップの選手にはホワイトジャージが与えられる。
出場するのは6つのUCIワールドチーム(エティックス・クイックステップ、ティンコフ・サクソ、ランプレ・メリダ、ロット・ソウダル、オリカ・グリーンエッジ、アスタナ)と11のUCIプロコンチネンタルチーム(カハルーラル、CCCスプランディポルコウィチェ、コロンビア、ドラパックプロサイクリング、MTNキュベカ、サウスイースト、NIPPOヴィーニファンティーニ、ノボノルディスク、トップスポートフラーンデレン、ユナイテッドヘルスケア、ワンティ・グループグベルト)、そしてトルコのトルク・セケルスポールを加えた合計21チーム。
注目スプリンターとしてまず名前が挙がるのはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)だ。
カヴェンディッシュは2014年大会でステージ4勝&ポイント賞獲得。今シーズンすでに6勝を飾っており、2年連続でトルコ最速スプリンターのタイトルを狙う。カヴを支えるのはマーク・レンショー(オーストラリア)やイーリョ・ケイセ(ベルギー)、そして鎖骨骨折でクラシックシーズンを棒に振ったトム・ボーネン(ベルギー)らだ。ボーネンはターキー出場後、ジロ・デ・イタリアへの初出場が予定されている。
ステージ通算9勝という最多記録をもつグライペルは2010年と2013年大会のポイント賞受賞者。今シーズンは2勝にとどまっているが、クラシックレースではアシストとして連日アタックを繰り返した。ジロを見据えるグライペルがカヴに立ち向かう。
ツール・ド・ランカウイで総合優勝を果たしたヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)とテオ・ボス(オランダ)のタッグは見もの。同じくランカウイで強さを見せたカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がどこまでカヴ=グライペルに割って入るかにも注目だ。
サーシャ・モードロ(イタリア)、ロベルト・フェラーリ(イタリア)、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)を揃えるランプレ・メリダの他、イタリアからはダニエーレ・ベンナーティ(ティンコフ・サクソ)、ソニー・コルブレッリ(バルディアーニCSF)、フランチェスコ・キッキ(アンドローニジョカトリ)、そしてアレッサンドロ・ペタッキのリードアウトを受けるヤクブ・マレツコ(サウスイースト)らが出場する。
2013年の総合優勝者ナトナエル・ベルハネ(エリトリア)はセルジュ・パウエルス(ベルギー)とともにMTNキュベカを率いての出場。ポーランドのCCCスプランディポルコウィチェからはダヴィデ・レベッリン(イタリア)とステファン・シューマッハー(ドイツ)が揃って出場する。
NIPPOヴィーニファンティーニからは山本元喜と黒枝士揮が出場。両者ともに開幕前々日にイタリアから現地入りしている。チームはスプリントに長けたダニエーレ・コッリ(イタリア)やニコラス・マリーニ(イタリア)らを中心にステージ優勝を狙う。
text:Kei Tsuji in Alanya, Turkey
イスタンブールに向かう8日間 2つの山頂フィニッシュが鍵
正式名称「プレジデンシャル・サイクリング・ツアー・オブ・ターキー」は2008年からHC(超級)レースとして開催されているトルコ最大のステージレース。そのレースオーガナイズの良さには定評があり、将来的にはUCIワールドツアーカレンダー入りを目指しているという。
日本においてトルコは中東アジアに分類されがちだが、自国がヨーロッパの一部であると自負しているトルコ政府はEU(欧州連合)への加盟を目指しており、ツアー・オブ・ターキーはUCIアジアツアーではなくUCIヨーロッパツアーに組み込まれている。なお、トルコの国土の約96%はアジア側のアナトリア半島で、ヨーロッパ側は約4%。最大都市イスタンブールはアジアとヨーロッパを分かつボスボラス海峡を跨いでいる。
開催51年目を迎える今年もトルコ南部のリゾート都市アランヤで8日間の闘いはスタートする。中盤にかけてコースに変更が加えられているものの、8日間かけて海沿いに首都イスタンブールまで北上するレイアウトに変わりはない。
総合争いにおいて重要となるのが山頂フィニッシュが設定された第3ステージと第6ステージだ。3つのカテゴリー山岳が設定された第3ステージが今大会のクイーンステージ。標高1850mのゴグベリ峠に向かう登りで総合争いの流れが出来上がるだろう。
もう一つの難所である第6ステージは、セルチュクにある「聖母マリアの家」にフィニッシュする。聖母マリアが晩年を過ごしたというキリスト教の聖地至る登りは短いながらも急勾配。ここで実質的な総合優勝者が決まる。
イズミルから空路で移動後、最終日は首都イスタンブールを駆け抜ける平坦コースが設定されている。「ヨーロッパとアジアを結ぶレース」という大会のテーマを象徴するボアズィチ大橋(ボスポラス海峡)を渡り、Uターンして再び旧市街の周回コースへ。新登場の9km周回コースを10周し、最後はブルー・モスク(スルタンアフメト・モスク)の前でフィニッシュを迎える。
ツアー・オブ・ターキー2015ステージリスト
4月26日(日)第1ステージ アランヤ〜アランヤ 145km 平坦
4月27日(月)第2ステージ アランヤ〜アンタルヤ 182km 平坦
4月28日(火)第3ステージ ケメール〜エルマル(ゴグベリ) 163km 山頂フィニッシュ
4月29日(水)第4ステージ フェティエ〜マルマリス 132km クラシカル
4月30日(木)第5ステージ ムグラ〜パムッカレ 160km 平坦
5月1日(金)第6ステージ デニズリ〜セルチュク 184km 山頂フィニッシュ
5月2日(土)第7ステージ セルチュク〜イズミル 166km クラシカル
5月3日(日)第8ステージ イスタンブール〜イスタンブール 124km 平坦
ジロ出場予定のボーネンが復帰 注目はカヴvsグライペル
ツアー・オブ・ターキーに用意される特別賞ジャージは4つ。総合リーダーには大会のイメージカラーであるターコイズブルーのリーダージャージが与えられる。山岳賞がレッドジャージで、ポイント賞がグリーンジャージ。ツアー・オブ・ターキー独自の賞として、中間スプリントにあたる「プレミアムゲート(トルコの歴史や自然を象徴する場所に置かれる)」の通過成績トップの選手にはホワイトジャージが与えられる。
出場するのは6つのUCIワールドチーム(エティックス・クイックステップ、ティンコフ・サクソ、ランプレ・メリダ、ロット・ソウダル、オリカ・グリーンエッジ、アスタナ)と11のUCIプロコンチネンタルチーム(カハルーラル、CCCスプランディポルコウィチェ、コロンビア、ドラパックプロサイクリング、MTNキュベカ、サウスイースト、NIPPOヴィーニファンティーニ、ノボノルディスク、トップスポートフラーンデレン、ユナイテッドヘルスケア、ワンティ・グループグベルト)、そしてトルコのトルク・セケルスポールを加えた合計21チーム。
注目スプリンターとしてまず名前が挙がるのはマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)とアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)だ。
カヴェンディッシュは2014年大会でステージ4勝&ポイント賞獲得。今シーズンすでに6勝を飾っており、2年連続でトルコ最速スプリンターのタイトルを狙う。カヴを支えるのはマーク・レンショー(オーストラリア)やイーリョ・ケイセ(ベルギー)、そして鎖骨骨折でクラシックシーズンを棒に振ったトム・ボーネン(ベルギー)らだ。ボーネンはターキー出場後、ジロ・デ・イタリアへの初出場が予定されている。
ステージ通算9勝という最多記録をもつグライペルは2010年と2013年大会のポイント賞受賞者。今シーズンは2勝にとどまっているが、クラシックレースではアシストとして連日アタックを繰り返した。ジロを見据えるグライペルがカヴに立ち向かう。
ツール・ド・ランカウイで総合優勝を果たしたヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)とテオ・ボス(オランダ)のタッグは見もの。同じくランカウイで強さを見せたカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がどこまでカヴ=グライペルに割って入るかにも注目だ。
サーシャ・モードロ(イタリア)、ロベルト・フェラーリ(イタリア)、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)を揃えるランプレ・メリダの他、イタリアからはダニエーレ・ベンナーティ(ティンコフ・サクソ)、ソニー・コルブレッリ(バルディアーニCSF)、フランチェスコ・キッキ(アンドローニジョカトリ)、そしてアレッサンドロ・ペタッキのリードアウトを受けるヤクブ・マレツコ(サウスイースト)らが出場する。
2013年の総合優勝者ナトナエル・ベルハネ(エリトリア)はセルジュ・パウエルス(ベルギー)とともにMTNキュベカを率いての出場。ポーランドのCCCスプランディポルコウィチェからはダヴィデ・レベッリン(イタリア)とステファン・シューマッハー(ドイツ)が揃って出場する。
NIPPOヴィーニファンティーニからは山本元喜と黒枝士揮が出場。両者ともに開幕前々日にイタリアから現地入りしている。チームはスプリントに長けたダニエーレ・コッリ(イタリア)やニコラス・マリーニ(イタリア)らを中心にステージ優勝を狙う。
text:Kei Tsuji in Alanya, Turkey
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