2015/03/29(日) - 14:31
「北のクラシック」初戦、第77回ヘント〜ウェヴェルヘム(UCIワールドツアー)がベルギーを舞台に開催される。石畳の急坂が登場するものの、スプリンター向きと言われる重要なクラシックレースの注目ポイントと注目選手をチェックしておこう。
スプリンターにチャンスがある平坦系クラシック
ロンド・ファン・フラーンデレンを1週間後、パリ〜ルーベを2週間後に控えた3月29日に開催されるヘント〜ウェヴェルヘム。上記2戦と比べると歴史は浅いが、浅いと言っても1934年にスタートしたのだから伝統の一戦であることに変わりはない。
レース名の通りコースは概ねヘントからウェヴェルヘムまで。ヘントの南西15kmに位置するデインセをスタートし、一路北海沿いのデパンヌに向かって西進。そこから内陸部へと進路を変え、ウェヴェルヘムでフィニッシュを迎える。
239kmコースの大半はフラットだが、かと言ってすんなりと大集団スプリントに持ち込まれるわけではない。2015年大会には短い急坂が9カ所登場する。いずれも後半に詰め込まれており、中でも合計2回登場する「バネベルグ」「ケンメルベルグ」「モンテベルグ」のセットがスプリンターたちの脚を苦しめる。
最後の「モンテベルグ」からフィニッシュまでは35km。果たしてこれらの登りやテクニカルな下りで飛び出した選手が逃げ切るか、それとも戦線に復帰したスプリンターたちによるスプリント勝負に持ち込まれるのか。北海から吹き付ける強風が集団を破壊し、思わぬ展開をもたらす可能性もある。移り気なフランドルの天候もレース展開に影響を及ぼすだろう。
出場するのは17あるUCIワールドチームに、トップスポートフラーンデレン、ワンティ・グループグベルト、ボーラ・アルゴン18、コフィディス、MTNキュベカ、サウスイースト、ルームポット、ユーロップカーを加えた合計25チームだ。
好調デゲンコルブが連覇に挑む クリストフやカヴのリベンジなるか
優勝候補の筆頭はなんと言ってもこの人、ミラノ〜サンレモを制したばかりのジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)だ。昨年デゲンコルブは集団スプリントを制してヘント〜ウェヴェルヘム初優勝を果たし、ロンド15位、パリ〜ルーベ2位という成績を残している。
金曜日のE3ハレルベークでは25位に終わったものの、ミラノ〜サンレモに続く「北のクラシック」制覇に向けて高いモチベーションで挑むはず。「登れるスプリンター」の代名詞となりつつあるデゲンコルブは、タフな展開に持ち込まれれば持ち込まれるほど優位に立つ。
ミラノ〜サンレモでデゲンコルブに敗れたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)はE3ハレルベークで4位。再びルーカ・パオリーニ(イタリア)らの手厚いアシストを受けることになりそうだ。
メカトラによってミラノ〜サンレモの戦線から離脱したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)は、2度の優勝経験者トム・ボーネン(ベルギー)のいないエティックス・クイックステップを率い、未だ手にしたことがないヘント〜ウェヴェルヘムのタイトルを目指す。E3ハレルベークでクリストフをスプリントで下して3位に入ったマッテオ・トレンティン(イタリア)も好調だ。
「北のクラシック」に向けて最も勢いに乗っているのがチームスカイだ。E3ハレルベークで優勝したゲラント・トーマス(イギリス)だけでなく、オンループ・ヘットニュースブラッドでエティックス3名との真っ向勝負を制して連覇を果たしたイアン・スタナード(イギリス)、パリ〜ルーベを最後にチームを離れるブラドレー・ウィギンズ(イギリス)、そして集団スプリントに持ち込まれた場合にエースを担うエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)が揃う。
ここまでのクラシックシーズンで果敢な走りを見せているBMCレーシングはグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー)やダニエル・オス(イタリア)を揃える。スプリンターとしてはアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)やハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)、そして昨年2位のアルノー・デマール(フランス、FDJ)らが勝負に絡んでくるだろう。
2013年の優勝者ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)は、E3ハレルベークで決定的な動きに乗りながらも勝負どころで失速。ミラノ〜サンレモに続いて不発に終わったサガンは「何が起こったのか分からなかったけど、間違いなく日曜日(ヘント〜ウェヴェルヘムに)は今より良い状態で挑めると思う」とコメントしている。サガン不調の場合はマッティ・ブレシェル(デンマーク)で勝負することも考えられる。
ヘント〜ウェヴェルヘム歴代優勝者
2005年 1位 マッタン(ベルギー)、2位 フレチャ(スペイン)、3位 ベンナーティ(イタリア)
2006年 1位 フースホフト(ノルウェー)、2位 コップ(ドイツ)、3位 ペタッキ(イタリア)
2007年 1位 ブルグハート(ドイツ)、2位 ハモンド(イギリス)、3位 フレイレ(スペイン)
2008年 1位 フレイレ(スペイン)、2位 クレルク(スイス)、3位 ウェイラント(ベルギー)
2009年 1位 ボアッソン(ノルウェー)、2位 クチンスキー(ベラルーシ)、3位 ゴス(オーストラリア)
2010年 1位 アイゼル(オーストリア)、2位 ファンマルク(ベルギー)、3位 ジルベール(ベルギー)
2011年 1位 ボーネン(ベルギー)、2位 ベンナーティ(イタリア)、3位 ファラー(アメリカ)
2012年 1位 ボーネン(ベルギー)、2位 サガン(スロバキア)、3位 ブレシェル(デンマーク)
2013年 1位 サガン(スロバキア)、2位 ボジッチ(スロベニア)、3位 ファンアファルマート(ベルギー)
2014年 1位 デゲンコルブ(ドイツ)、2位 デマール(フランス)、3位 サガン(スロバキア)
ヘント〜ウェヴェルヘムのレース中継はJSPORTS 4にて3月29日(日)21:15から行なわれる予定だ。
text:Kei Tsuji
スプリンターにチャンスがある平坦系クラシック
ロンド・ファン・フラーンデレンを1週間後、パリ〜ルーベを2週間後に控えた3月29日に開催されるヘント〜ウェヴェルヘム。上記2戦と比べると歴史は浅いが、浅いと言っても1934年にスタートしたのだから伝統の一戦であることに変わりはない。
レース名の通りコースは概ねヘントからウェヴェルヘムまで。ヘントの南西15kmに位置するデインセをスタートし、一路北海沿いのデパンヌに向かって西進。そこから内陸部へと進路を変え、ウェヴェルヘムでフィニッシュを迎える。
239kmコースの大半はフラットだが、かと言ってすんなりと大集団スプリントに持ち込まれるわけではない。2015年大会には短い急坂が9カ所登場する。いずれも後半に詰め込まれており、中でも合計2回登場する「バネベルグ」「ケンメルベルグ」「モンテベルグ」のセットがスプリンターたちの脚を苦しめる。
最後の「モンテベルグ」からフィニッシュまでは35km。果たしてこれらの登りやテクニカルな下りで飛び出した選手が逃げ切るか、それとも戦線に復帰したスプリンターたちによるスプリント勝負に持ち込まれるのか。北海から吹き付ける強風が集団を破壊し、思わぬ展開をもたらす可能性もある。移り気なフランドルの天候もレース展開に影響を及ぼすだろう。
出場するのは17あるUCIワールドチームに、トップスポートフラーンデレン、ワンティ・グループグベルト、ボーラ・アルゴン18、コフィディス、MTNキュベカ、サウスイースト、ルームポット、ユーロップカーを加えた合計25チームだ。
好調デゲンコルブが連覇に挑む クリストフやカヴのリベンジなるか
優勝候補の筆頭はなんと言ってもこの人、ミラノ〜サンレモを制したばかりのジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)だ。昨年デゲンコルブは集団スプリントを制してヘント〜ウェヴェルヘム初優勝を果たし、ロンド15位、パリ〜ルーベ2位という成績を残している。
金曜日のE3ハレルベークでは25位に終わったものの、ミラノ〜サンレモに続く「北のクラシック」制覇に向けて高いモチベーションで挑むはず。「登れるスプリンター」の代名詞となりつつあるデゲンコルブは、タフな展開に持ち込まれれば持ち込まれるほど優位に立つ。
ミラノ〜サンレモでデゲンコルブに敗れたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)はE3ハレルベークで4位。再びルーカ・パオリーニ(イタリア)らの手厚いアシストを受けることになりそうだ。
メカトラによってミラノ〜サンレモの戦線から離脱したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)は、2度の優勝経験者トム・ボーネン(ベルギー)のいないエティックス・クイックステップを率い、未だ手にしたことがないヘント〜ウェヴェルヘムのタイトルを目指す。E3ハレルベークでクリストフをスプリントで下して3位に入ったマッテオ・トレンティン(イタリア)も好調だ。
「北のクラシック」に向けて最も勢いに乗っているのがチームスカイだ。E3ハレルベークで優勝したゲラント・トーマス(イギリス)だけでなく、オンループ・ヘットニュースブラッドでエティックス3名との真っ向勝負を制して連覇を果たしたイアン・スタナード(イギリス)、パリ〜ルーベを最後にチームを離れるブラドレー・ウィギンズ(イギリス)、そして集団スプリントに持ち込まれた場合にエースを担うエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)が揃う。
ここまでのクラシックシーズンで果敢な走りを見せているBMCレーシングはグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー)やダニエル・オス(イタリア)を揃える。スプリンターとしてはアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)やハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)、そして昨年2位のアルノー・デマール(フランス、FDJ)らが勝負に絡んでくるだろう。
2013年の優勝者ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)は、E3ハレルベークで決定的な動きに乗りながらも勝負どころで失速。ミラノ〜サンレモに続いて不発に終わったサガンは「何が起こったのか分からなかったけど、間違いなく日曜日(ヘント〜ウェヴェルヘムに)は今より良い状態で挑めると思う」とコメントしている。サガン不調の場合はマッティ・ブレシェル(デンマーク)で勝負することも考えられる。
ヘント〜ウェヴェルヘム歴代優勝者
2005年 1位 マッタン(ベルギー)、2位 フレチャ(スペイン)、3位 ベンナーティ(イタリア)
2006年 1位 フースホフト(ノルウェー)、2位 コップ(ドイツ)、3位 ペタッキ(イタリア)
2007年 1位 ブルグハート(ドイツ)、2位 ハモンド(イギリス)、3位 フレイレ(スペイン)
2008年 1位 フレイレ(スペイン)、2位 クレルク(スイス)、3位 ウェイラント(ベルギー)
2009年 1位 ボアッソン(ノルウェー)、2位 クチンスキー(ベラルーシ)、3位 ゴス(オーストラリア)
2010年 1位 アイゼル(オーストリア)、2位 ファンマルク(ベルギー)、3位 ジルベール(ベルギー)
2011年 1位 ボーネン(ベルギー)、2位 ベンナーティ(イタリア)、3位 ファラー(アメリカ)
2012年 1位 ボーネン(ベルギー)、2位 サガン(スロバキア)、3位 ブレシェル(デンマーク)
2013年 1位 サガン(スロバキア)、2位 ボジッチ(スロベニア)、3位 ファンアファルマート(ベルギー)
2014年 1位 デゲンコルブ(ドイツ)、2位 デマール(フランス)、3位 サガン(スロバキア)
ヘント〜ウェヴェルヘムのレース中継はJSPORTS 4にて3月29日(日)21:15から行なわれる予定だ。
text:Kei Tsuji
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