逃げグループを飲み込んだ集団は、ゴール前にコーナーが連続するトリッキーな集団スプリントへ。ジャコモ・ニッツォロの勢いを塞き止めたマイケル・マシューズが今季初勝利を飾り、リーダージャージも手中に収めた。



フランス内陸部の丘陵地を駆け抜けるプロトンフランス内陸部の丘陵地を駆け抜けるプロトン photo:CorVos


前日の優勝者であるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がスタートを待つ前日の優勝者であるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)がスタートを待つ photo:CorVos序盤から逃げたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)とフロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・セシェ)序盤から逃げたフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)とフロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・セシェ) photo:CorVosミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)はマイヨジョーヌを手放すことにミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)はマイヨジョーヌを手放すことに photo:CorVosブラドレー・ウィギンズ(イギリス)がチームスカイの先頭を走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス)がチームスカイの先頭を走る photo:CorVosパリ〜ニース(UCIワールドツアー)第3ステージの舞台となったのは、昨日のゴール地点からほど近いサンタマン・モントロンをスタートし、サンプルセン・シュル・シウルへと至る179km。途中には3つの3級山岳が用意されているものの、3つ目のコート・ド・ヴィック(標高434m)からゴールまでは60km以上平坦路が続くため、何度は高くない。翌日からは総合争いに向けた山岳ステージが続くことから実質的に最後のスプリントステージであり、この日はスプリンターを抱えるチームが意識高くスタートに臨んだ。

2名の逃げにトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)が加わり、再びタイム差は拡大していった2名の逃げにトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)が加わり、再びタイム差は拡大していった photo:CorVosこの日10km地点から逃げを決めたのは2012年のロード世界王者であるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)とフロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・セシェ)の2名。「ここ2日間と同じくスタートはとてもイージーペースだったし、チャンスがあれば何か動きたかった。」とはジルベール。「誰か追いかけてくれればと、そこまで速くないペースで集団を追い越していったが、フォローしてくれたのは1人だけだった」。

最初の3級山岳をジルベールが先頭通過すると、ゴールまで100kmを残した段階でブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)が抜け出しを試みるなどスピードの緩まない集団が差を縮めてくる。するとタイム差が1分を切った集団からトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)が飛び出し、先頭2人に合流。フレッシュなメンバーが加わったことでタイム差は再び5分台まで拡大していった。

「集団が差を詰めてきたときは、もう無理だと思って諦めていた。でも、ヴォクレールが加わってもう一度トライしようという気になった」と語るジルベールは続く2つの3級山岳でも先頭通過し、一躍山岳賞リーダーに踊り出る。

ジルベールとヴォクレールという逃げのスペシャリストを擁した先頭グループだったが、向かい風の中スプリントに備える集団を振り切るには至らず、ゴールまで10kmで分裂。最後まで粘ったヴォクレールを吸収する寸前、今度は集団からパオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)が飛び出した。

ヴォクレールと合流したティラロンゴには、更にヤン・バケランツ(ベルギー)とロメン・バルデ(フランス)のAG2Rラモンディアールコンビが合流。ハイペースにヴォクレールが遅れると、3名がフィニッシュを目指し逃げ続けた。

しかし「バケランツと僕だけだったらゴールまで逃げ切れた。総合を狙うバルデが入ったことで集団に追いかけられてしまった」とティラロンゴが語る通り、リーダーを抱えるエティックス・クイックステップやスプリントを狙うオリカ・グリーンエッジ、カチューシャらがアクセル全開で追走すると、3名を残り2kmでキャッチ。人数を揃えたオリカを先頭にスプリントへとなだれ込んだ。

他チームの割り込みを許さない強力なトレインを組んだオリカから、一昨日10位、昨日4位と惜しいレースが続いたマイケル・マシューズ(オーストラリア)が発進。並びかけるジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)を抑えて先頭でゴールに飛び込んだ。



スプリントを制したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)スプリントを制したマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:CorVos


マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がマイヨジョーヌに袖を通すマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)がマイヨジョーヌに袖を通す photo:CorVos一躍山岳ランキング首位に立ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)一躍山岳ランキング首位に立ったフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング) photo:CorVos「今朝のミーティング時点でチーム全員が好調だったし、レースの進め方や最後のリードアウトなど全てが教科書通りに進んだ。これ以上のことは望むべくも無い」と語るマイケル「ブリンク」マシューズ。ボーナスタイムを得たことでクヴィアトコウスキーを1秒上回り、マイヨジョーヌも手に入れた。

「ここ数日は中間スプリントでボーナスタイムを稼いでいたから、それがリーダージャージ獲得という結果に結びついた。ステージ優勝とリーダージャージ獲得を同時に達成するなんて、すごくスペシャルな一日になった」とマシューズは喜んだ。

一方「マシューズのブロックで1〜2回ペダリングが止まってしまい、再加速ができなかった。」と言うのはニッツォロ。「(メカトラで後退した)ステーグマンスを欠き、僕は他チーム、特にオリカ・グリーンエッジのトレインを使うしか無かった。彼らは昨日の段階からプロトンを牛耳っていたし、実際にこれが良い判断だったと思う。スプリントを開始するとランプレ・メリダの選手が僕をブロックしてきた。それは特に問題無かったけれど。」

また総合有力勢は危なげなく集団内でゴールしたため、大きな順位変動は無し。合計8つのカテゴリー山岳が設定され、1級山岳クロワ・ド・ショブレの山頂フィニッシュに向かう最難関ステージがいよいよ明日に控える。



パリ〜ニース2015第3ステージ結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ダヴィデ・チモライ(イタリア、ランプレ・メリダ)
3位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
4位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、ティンコフ・サクソ)
7位 モレノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
8位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
9位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
10位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
4h32'12"











個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)
3位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
4位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
5位 トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
6位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)
7位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
8位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
10位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
14h25'27"
+01"

+03"
+08"
+11"

+14"

+15"


ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

山岳賞
フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)

新人賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:So.Isobe
photo:CorVos

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