2015/03/09(月) - 07:10
凍える寒さの中行われた第9回明治神宮外苑大学クリテリウムは今年で創部20年の節目を迎える鹿屋体育大学が他校を圧倒。男子グループ1は橋本英也が制し、鹿屋として男子個人6連覇&大学対抗優勝を達成。加えて女子はトラック世界戦銀メダルの上野みなみが逃げ切りで圧勝したほか、6カテゴリー中5勝をマークした。
解体工事の始まった国立競技場、神宮球場、秩父宮ラグビー場が立ち並ぶ学生スポーツの聖地「明治神宮」を横目に走る1周1.5kmのコースを舞台とする神宮クリテ。大会名称には第9回とあるものの、昨年は雪の影響により中止となったため、実際には8回目の開催となる。
日本ロードレース・カップ・シリーズ(RCS)の最終戦として争われるメインイベントの男子カテゴリー1に加え、大学生+JCF登録者混合の女子やマスターズ、小中学生タイムトライアルなどレースは全部で8つ。1日に渡って厚い雲が空を覆い、凍える寒さとなったものの、明治記念館をスタート/ゴール地点とする1周1.5kmの特設コースには多くの観客が詰めかけた。
この日最初のレースとなったのは、小中学生とマスターズのタイムトライアル。TTバイクを持ち込む参加者もいたマスターズでは、ポール・ソールズベリー(イナーメ信濃山形)が2位に5秒もの差をつけ圧勝。一方で、強豪アマチュアレーサーが参加することから毎年注目を集めるマスターズクリテリウムでは、TTで3位に入った小畑郁(なるしま)がポールと高橋誠のイナーメ信濃山形勢を下し、大会3勝目を飾った。
女子は大学生とJCF登録者による混合レース。坂口聖香(日本体育大学)や合田祐美子(早稲田大学)に加え、2月に行われたトラック世界戦のポイントレースで銀メダル獲得の快挙を成し遂げた上野みなみ(鹿屋体育大学院)や怪我から復調しつつある豊岡英子(パナソニックレディース)がスタートラインに並んだ。
このレースで決定的な動きとなったの、2周目の坂口聖香のアタック。そこに上野が合流し、2人旅が始まる。先頭2名は協調しあいながら順調に後続とのタイム差を拡大し、残り2周で50秒ものマージン稼ぐことに成功。ラスト1周のジャンを前に上野がさらに加速し、丸1周を単独で逃げ切って優勝を手にした。2位には22秒差で坂口、3位には途中で集団を飛び出し先頭との合流を狙った斎藤望(日本体育大学)が入っている。
注目の男子グループ1は各大学3名までの出場となるため、少数でチーム戦を展開できるか、そして他校と協力できるが勝負の鍵となる。また、3名全員の成績によって争われる大学対抗や、ポイント配分が通常の2倍となることから今大会で十分に逆転が起こりうる可能性があるRCSの年間優勝争いにも注目が集まった。
序盤は複数のアタックがかかり、4周目に橋本英也(鹿屋体育大学)ら3名が飛び出すも集団に引き戻される。そして、吸収の度に集団のスピードは増し、対照的にその人数を減らしてゆく。7周目には全体の約1/3のほどがタイムアウトとなった。
次に大きく動いたのは12周目。黒瀬耕平(中央大学)と荒井佑太(法政大学)の2名が集団を飛び出し、14周目にまでに11秒のタイム差を稼ぎ出す。一方の後方集団では逃げを送り込めなかった日本大学などが牽引するも、ペースは上がり切らず。18周目には橋本が、19周目には小林泰正(日本体育大学)が先頭集団へのブリッジを成功させ、勝負は4名に絞られた。
解体中の国立競技場前を通過し、ホームストレートに先頭で現れたのは橋本。レースを積極的に動かしながらも疲れを見せることなく、個人追い抜き全日本記録保持者のスピードを遺憾なく発揮し、先頭でフィニッシュ。2位には荒井、3位には黒瀬が入っている。黄色地にブルーのストライプが入ったリーダージャージを着用してスタートを切ったRCSランキング首位の相本祥成(法政大学)は8位でフィニッシュし、シリーズ年間王者と門田杯を獲得した。
優勝の橋本は「自分が逃げて、黒枝咲哉でスプリントという作戦でスタートし、4周目で自ら逃げを仕掛けたのですが、直ぐにチェックに入られたためにうまく行かず。そこで、マークされにくい様に他チームが作った逃げに乗りました。怪我から復帰してのレースを勝つことができて良かったです。」とレースを振り返る。5位争いのメイン集団のスプリントも同大の黒枝咲哉が制しており、どちらでも勝てる磐石の体制を築いていた。また、鹿屋体育大学は3名の順位の総合して争われる大学対抗も制している。
この日はグループ1の橋本と女子の上野以外にも、鹿屋体育大学はグループ2Bで原田裕成が、グループ3Aで柴崎俊祐が、グループ3Bで安本昇平が優勝と6カテゴリー中5勝を達成。全レース終了後、黒川剛監督は「幸先良くシーズンインすることができましたね。創部20周年の記念の節目だから『今日は桜島の如く爆発しよう』と今朝選手たちに言いましたが、予想以上の結果を残してくれました。ここまで多くの方から応援を頂けたおかげで今日まで続けることができましたが、これからも多くの応援を頂くためには魅せるレースをして、より多くの観客の皆さんに楽しん頂かなくてはならない。今日はそれができたと思います。」と締めくくった。
祝勝会となった鹿屋体育大学自転車競技部創部20周年記念パーティー
明治神宮外苑大学クリテリウムを席巻した鹿屋体育大学。大会終了後には創部20周年を記念したパーティーが台東区蔵前のリバーサイドカフェ・シエロイリオで開かれた。この日行なわれた6クラスのクリテリウムのなんと5クラスを圧倒的な力で優勝した同大の、さながら祝勝パーティーの雰囲気に。いまではインカレ男子総合2連覇など大学界では圧倒した力を持つ同大だが、歴史はまだ20年と浅い。現役の学生たちが創ったパーティーには創部当時の関係者や大学関係者、そしてファンらが集まり20周年を祝した。
明治神宮外苑大学クリテリウム2015結果
グループ1(20周回30km)
1位 橋本英也(鹿屋体育大学) 43'28"
2位 荒井佑太(法政大学) +11"
3位 小林泰正(日本体育大学) +12"
女子(8周回12km)
1位 上野みなみ(鹿屋体育大学院) 19'22"
2位 坂口聖香(日本体育大学) +16"
3位 斎藤望(日本体育大学) +47"
グループ2A(8周回12km)
1位 鈴木天(朝日大学) 18'07"
2位 花立優希(日本大学)+1"
3位 白垣良祐(法政大学)
グループ2B(8周回12km)
1位 原田裕成(鹿屋体育大学)17'34"
2位 沼口竜馬(日本大学)
3位 大浦恭史(日本大学)
グループ3A(6周回9km)
1位 柴崎俊祐(鹿屋体育大学)
2位 板倉玄京(明治大学)
3位 小西瑛久(関西大学)
グループ3B(6周回9km)
1位 安本昇平(鹿屋体育大学)
2位 新城雄一郎(朝日大学)
3位 橋本直(鹿屋体育大学)
マスターズ(8周回12km)
1位 小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム) 18'17"
2位 ポール・ソールズベリー(イナーメ信濃山形) +1"
3位 高橋誠(イナーメ信濃山形)
マスターズタイムトライアル(1km)
1位 ポール・ソールズベリー 1'29"
2位 山口史明 +5"
3位 小畑郁 +6"
text:Yuya.Yamamoto
photo:Hideaki.Takagi, Yuya.Yamamoto
解体工事の始まった国立競技場、神宮球場、秩父宮ラグビー場が立ち並ぶ学生スポーツの聖地「明治神宮」を横目に走る1周1.5kmのコースを舞台とする神宮クリテ。大会名称には第9回とあるものの、昨年は雪の影響により中止となったため、実際には8回目の開催となる。
日本ロードレース・カップ・シリーズ(RCS)の最終戦として争われるメインイベントの男子カテゴリー1に加え、大学生+JCF登録者混合の女子やマスターズ、小中学生タイムトライアルなどレースは全部で8つ。1日に渡って厚い雲が空を覆い、凍える寒さとなったものの、明治記念館をスタート/ゴール地点とする1周1.5kmの特設コースには多くの観客が詰めかけた。
この日最初のレースとなったのは、小中学生とマスターズのタイムトライアル。TTバイクを持ち込む参加者もいたマスターズでは、ポール・ソールズベリー(イナーメ信濃山形)が2位に5秒もの差をつけ圧勝。一方で、強豪アマチュアレーサーが参加することから毎年注目を集めるマスターズクリテリウムでは、TTで3位に入った小畑郁(なるしま)がポールと高橋誠のイナーメ信濃山形勢を下し、大会3勝目を飾った。
女子は大学生とJCF登録者による混合レース。坂口聖香(日本体育大学)や合田祐美子(早稲田大学)に加え、2月に行われたトラック世界戦のポイントレースで銀メダル獲得の快挙を成し遂げた上野みなみ(鹿屋体育大学院)や怪我から復調しつつある豊岡英子(パナソニックレディース)がスタートラインに並んだ。
このレースで決定的な動きとなったの、2周目の坂口聖香のアタック。そこに上野が合流し、2人旅が始まる。先頭2名は協調しあいながら順調に後続とのタイム差を拡大し、残り2周で50秒ものマージン稼ぐことに成功。ラスト1周のジャンを前に上野がさらに加速し、丸1周を単独で逃げ切って優勝を手にした。2位には22秒差で坂口、3位には途中で集団を飛び出し先頭との合流を狙った斎藤望(日本体育大学)が入っている。
注目の男子グループ1は各大学3名までの出場となるため、少数でチーム戦を展開できるか、そして他校と協力できるが勝負の鍵となる。また、3名全員の成績によって争われる大学対抗や、ポイント配分が通常の2倍となることから今大会で十分に逆転が起こりうる可能性があるRCSの年間優勝争いにも注目が集まった。
序盤は複数のアタックがかかり、4周目に橋本英也(鹿屋体育大学)ら3名が飛び出すも集団に引き戻される。そして、吸収の度に集団のスピードは増し、対照的にその人数を減らしてゆく。7周目には全体の約1/3のほどがタイムアウトとなった。
次に大きく動いたのは12周目。黒瀬耕平(中央大学)と荒井佑太(法政大学)の2名が集団を飛び出し、14周目にまでに11秒のタイム差を稼ぎ出す。一方の後方集団では逃げを送り込めなかった日本大学などが牽引するも、ペースは上がり切らず。18周目には橋本が、19周目には小林泰正(日本体育大学)が先頭集団へのブリッジを成功させ、勝負は4名に絞られた。
解体中の国立競技場前を通過し、ホームストレートに先頭で現れたのは橋本。レースを積極的に動かしながらも疲れを見せることなく、個人追い抜き全日本記録保持者のスピードを遺憾なく発揮し、先頭でフィニッシュ。2位には荒井、3位には黒瀬が入っている。黄色地にブルーのストライプが入ったリーダージャージを着用してスタートを切ったRCSランキング首位の相本祥成(法政大学)は8位でフィニッシュし、シリーズ年間王者と門田杯を獲得した。
優勝の橋本は「自分が逃げて、黒枝咲哉でスプリントという作戦でスタートし、4周目で自ら逃げを仕掛けたのですが、直ぐにチェックに入られたためにうまく行かず。そこで、マークされにくい様に他チームが作った逃げに乗りました。怪我から復帰してのレースを勝つことができて良かったです。」とレースを振り返る。5位争いのメイン集団のスプリントも同大の黒枝咲哉が制しており、どちらでも勝てる磐石の体制を築いていた。また、鹿屋体育大学は3名の順位の総合して争われる大学対抗も制している。
この日はグループ1の橋本と女子の上野以外にも、鹿屋体育大学はグループ2Bで原田裕成が、グループ3Aで柴崎俊祐が、グループ3Bで安本昇平が優勝と6カテゴリー中5勝を達成。全レース終了後、黒川剛監督は「幸先良くシーズンインすることができましたね。創部20周年の記念の節目だから『今日は桜島の如く爆発しよう』と今朝選手たちに言いましたが、予想以上の結果を残してくれました。ここまで多くの方から応援を頂けたおかげで今日まで続けることができましたが、これからも多くの応援を頂くためには魅せるレースをして、より多くの観客の皆さんに楽しん頂かなくてはならない。今日はそれができたと思います。」と締めくくった。
祝勝会となった鹿屋体育大学自転車競技部創部20周年記念パーティー
明治神宮外苑大学クリテリウムを席巻した鹿屋体育大学。大会終了後には創部20周年を記念したパーティーが台東区蔵前のリバーサイドカフェ・シエロイリオで開かれた。この日行なわれた6クラスのクリテリウムのなんと5クラスを圧倒的な力で優勝した同大の、さながら祝勝パーティーの雰囲気に。いまではインカレ男子総合2連覇など大学界では圧倒した力を持つ同大だが、歴史はまだ20年と浅い。現役の学生たちが創ったパーティーには創部当時の関係者や大学関係者、そしてファンらが集まり20周年を祝した。
明治神宮外苑大学クリテリウム2015結果
グループ1(20周回30km)
1位 橋本英也(鹿屋体育大学) 43'28"
2位 荒井佑太(法政大学) +11"
3位 小林泰正(日本体育大学) +12"
女子(8周回12km)
1位 上野みなみ(鹿屋体育大学院) 19'22"
2位 坂口聖香(日本体育大学) +16"
3位 斎藤望(日本体育大学) +47"
グループ2A(8周回12km)
1位 鈴木天(朝日大学) 18'07"
2位 花立優希(日本大学)+1"
3位 白垣良祐(法政大学)
グループ2B(8周回12km)
1位 原田裕成(鹿屋体育大学)17'34"
2位 沼口竜馬(日本大学)
3位 大浦恭史(日本大学)
グループ3A(6周回9km)
1位 柴崎俊祐(鹿屋体育大学)
2位 板倉玄京(明治大学)
3位 小西瑛久(関西大学)
グループ3B(6周回9km)
1位 安本昇平(鹿屋体育大学)
2位 新城雄一郎(朝日大学)
3位 橋本直(鹿屋体育大学)
マスターズ(8周回12km)
1位 小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム) 18'17"
2位 ポール・ソールズベリー(イナーメ信濃山形) +1"
3位 高橋誠(イナーメ信濃山形)
マスターズタイムトライアル(1km)
1位 ポール・ソールズベリー 1'29"
2位 山口史明 +5"
3位 小畑郁 +6"
text:Yuya.Yamamoto
photo:Hideaki.Takagi, Yuya.Yamamoto
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