電動のその先、ついにコンポーネントはワイヤレスの時代に。SRAMの電動ワイヤレスコンポがツアー・ダウンアンダーでデビューした。詳細は明らかにされていないものの、限りなく製品版に近い完成度のプロトタイプを速報でお伝えします。



電動ワイヤレスコンポーネントを使用するブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)電動ワイヤレスコンポーネントを使用するブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Kei Tsuji


AG2RラモンディアールがテストするSRAM電動ワイヤレスコンポーネントAG2RラモンディアールがテストするSRAM電動ワイヤレスコンポーネント photo:Kei Tsujiツアー・ダウンアンダーでSRAM電動ワイヤレスコンポーネントのプロト製品をテストするのはAG2Rラモンディアールの4名の選手たち。アシストではなく、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)をはじめとするエース選手に供給しているところにSRAMの自信を感じる。なお、2015年度のUCIワールドチームの中でSRAMを使用するのはAG2Rラモンディアールだけだ。

パンタグラフのプーリー側にモーターが入るパンタグラフのプーリー側にモーターが入る photo:Kei Tsuji2014年からビッセルチームやオプティム・ケリーベネフィットがすでにテストを開始していた電動ワイヤレスコンポは、さらに完成度を上げた状態でツアー・ダウンアンダーに投入された。製品化されれば、SRAMはケーブル付き電動コンポをスキップして機械式から電動ワイヤレスに移行することになる。

バッテリー内蔵のフロントディレイラーバッテリー内蔵のフロントディレイラー photo:Kei Tsujiバイクの組み付けや洗浄はAG2Rラモンディアールのメカニックが行い、最終調整はSRAMのスタッフが行っていた。プロト製品の撮影は可能だが、チームテント外への持ち出しは禁止。接触も禁止されるなどその扱いは厳しく制限された。

ファンクションスイッチがシフティングレバーの内側に位置ファンクションスイッチがシフティングレバーの内側に位置 photo:Kei Tsuji当然、ブラケット、フロントディレイラー、リアディレイラーの3点が駆動するためには各所にバッテリーを配する必要がある。フロントディレイラーとリアディレイラーにはそれぞれ箱型のバッテリーが装着されている。フロントとリアのバッテリーは共通と思われるが、SRAMのスタッフは明言を避けた。通信方法やバッテリーの持続時間についても聞いたが、「開発途中のため、残念ながら今は何も教えることが出来ない」の一点張りだった。

シマノとカンパニョーロの電動コンポとは異なり、リアディレイラーのモーターはパンタグラフのガイドプーリー側に位置する。

バッテリー内蔵(と思われる)ブラケットはシンプルでコンパクト。大きさや形状はREDをはじめとする現行モデルと変わらない。現行モデル同様に左右それぞれシフティング用レバーが一つ。その内側には左右それぞれ小さなファンクションスイッチとLEDライトが付いていた。ジャンクションボックスはなく、この2つのファンクションスイッチで全ての調整を行うのだろう。想像の話だが、Bluetoothで同期したスマートフォンなどで調整やトラブルシューティングを行う可能性も。

従来のダブルタップではなく、片側を押せばリアのシフトアップ、反対側を押せばリアのシフトダウン、そして左右同時操作でフロントのシフティングを行うと見られる。SRAMはシクロクロス用にフロントシングルのCX1をリリースしており、左右のシフターでリアのシフティングを行うことは理にかなっている。

製品について続報が入り次第お伝えします。



コンパクトでシンプルなブラケットとレバーコンパクトでシンプルなブラケットとレバー photo:Kei Tsuji
シフトレバー内側のバネと、ファンクションスイッチシフトレバー内側のバネと、ファンクションスイッチ photo:Kei Tsujiファンクションスイッチがシフティングレバーの内側に位置ファンクションスイッチがシフティングレバーの内側に位置 photo:Kei Tsuji



text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia

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