フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)はブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージをDNS、スタートしなかった。原因はシーズン序盤から抱えていた左膝の故障。ロード世界選手権やジロ・ディ・ロンバルディアを欠場する。注目が集まっていたジャパンカップの欠場も濃厚となった。

カリフォルニアでの勝利でシーズンをスタートさせたフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)カリフォルニアでの勝利でシーズンをスタートさせたフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) photo:Cor Vosブエルタ第10ステージを終えた時点で、総合61位(23分47秒遅れ)につけていたフランク。しかし第11ステージ、ムルシアのスタート地点にその姿は無かった。

チームのプレスリリースによると、リタイアの原因は、シーズン序盤から抱えていた左膝の故障。弟のアンディは体調不良によりすでにレースを降りているため、レース中盤にしてブエルタからシュレク兄弟が姿を消した。

弟アンディと闘ったツール・ド・フランスではステージ優勝&総合5位弟アンディと闘ったツール・ド・フランスではステージ優勝&総合5位 photo:Makoto Ayanoリリースの中でフランクは語る。「膝の不調は4月のブエルタ・アル・パイスバスコから始まったんだ。心配していたクラシックシーズンは何とか乗り切れたけど、本来の感覚からはほど遠かった」。

「クラシックシーズン後は休養期間を経てレースに復帰。膝にトラブルを抱えながらも、コンディションは上がっていった。ツール・ド・ルクセンブルクツール・ド・スイスの後、痛みが再発。ここで打ち明けると、ツール期間中の数日は膝の痛みのおかげで非常に闘いを強いられた。全てこの膝の不調が原因だった。そんな状況下で完走して、いくらかの成績(ステージ優勝)を残せたことは、本当に誇りに思っているよ」

「でも、今は手術をしないとどうにもならない状態まで悪化してしまった。シーズンをこんな形で終えるのは残念でならない。でも今シーズンは2月から順調に成績を残してきたので、早めに切り上げるに値するようなシーズンだったと思う。とにかく最優先課題は、来シーズンまでに膝の痛みを取り除くこと」。

フランクは今シーズン計4勝。2月のツアー・オブ・カリフォルニア難関山岳ステージでシーズン1勝目を飾ると、パリ〜ニースで総合2位。地元開催のツール・ド・ルクセンブルクではステージ優勝&総合優勝。そして兄弟で挑んだツールで自身2度目の難関山岳ステージ制覇を果たし、2年連続総合5位でフィニッシュした。

来シーズンに向けて前向きなブエルタリタイアを決めたフランクは、金曜日(9月12日)にベルギーで手術を受ける予定。担当医によると、手術後は後遺症の心配はなく、4週間後にはバイクに乗ってトレーニングを再開できるという。

ブエルタに帯同しているサクソバンクのキム・アンデルセン監督は「フランクの膝のことを考えると、ブエルタのリタイアはやむを得ない決断だった。彼は4月からずっと膝に不安を考えながらレースに出場していたんだ。来年のことや、残りのキャリアのことを考えると、何を優先すべきか明らかだった。当然ブエルタの途中リタイアや、ロード世界選手権とジロ・ディ・ロンバルディアの欠場は、彼にとって納得のいくものではないだろう。しかし今シーズンの活躍や来年の挑戦のことを考えると、痛みを取り除くことが最優先だ」とコメントしてる。

ロード世界選手権で9名の出場枠を獲得したルクセンブルクにとって、フランクの欠場は大きな痛手だ。ルクセンブルクは弟アンディと、キム・キルシェン(チームコロンビア・HTC)を中心にタイトルを狙うことになる。しかし両者とも体調不良によりすでにブエルタをリタイア。世界選までにアンディとキルシェンは調整の遅れを取り戻せるだろうか。

「今シーズン終了」「世界選とロンバルディア欠場」「手術後は4週間バイクに乗れない」。残念ながら、フランクのジャパンカップ欠場が濃厚となった。

text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, Cor Vos

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