2014/11/10(月) - 13:01
ホビーレーサー最強の座を決めるツール・ド・おきなわ市民210km。今年は2名によるマッチスプリントが繰り広げられ、優勝候補筆頭の高岡亮寛(イナーメ・信濃山形)を下したヤン・インホン(香港)が戴冠した。
「市民レースの最高峰」、あるいは「ホビーレースの甲子園」とも呼ばれるツール・ド・おきなわ市民210km。
名護市21世紀の森体育館前を発着するコースは、UCI認定のチャンピオンレースと全く同じルートをなぞる。本部半島をほぼ一周してから北上し、厳しい普久川ダムの登りを計2回こなし、アップダウンが連続する東海岸を南下。最終版には追い討ちを掛けるように羽地ダムの登りが待ち構える、ホビーレースとしては国内最長かつ最難関のコースであり、ゆえにそのステイタスは非常に高い。
今年は2回の優勝歴を誇る高岡亮寛らイナーメ・信濃山形勢が市民210kmにエントリーし、昨年優勝した清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)、原純一(KMCycle Ibex)、白石真悟(シマノドリンキング)など昨年の上位入賞者や強豪ホビーレーサーのほとんどが今年も顔を揃え、まさに群雄割拠といった様相を呈した。
7時45分、号砲とともにレースはスタート。この日は序盤から海岸線に強風が吹き付け、そのため各選手が口を揃えるほどに遅いペースですべりだす。大幅なリードを得るアタックが生まれないままレースは進行し、1回目の普久川ダムへと至る海岸線にて優勝したヤン・インホンを含む少人数の逃げが決まる。
先を急ぐ逃げグループの一方、ペースを刻むメイン集団の人数は普久川ダムの頂上で20名ほど。しかしペースが比較的落ち着いていたことから後続が合流し、再び100名ほどの大集団ができあがる。「人数が多すぎたこともあり、あまりペースが上がりませんでした。3分にまで開いたところでようやくローテーションが回り始めたんです」とは、4位入賞をする高橋義博(チームCB)だ。
タイム差が開いた状態で突入した2回目の普久川ダムの登りでは、昨年王者の清宮洋幸がアタック。単独で抜け出しに成功したが集団を引き離すには至らず吸収され、次いで森本誠(イナーメ・信濃山形)が高速で牽引を開始する。すると急速にタイム差が縮まり、集団の人数は5名にまで激減する。メンバーは高岡亮寛と森本誠(共にイナーメ・信濃山形)、高橋義博、中鶴友樹(TEAM KIDS)、そして昨年140kmクラスで独走勝利した井上亮と強豪が揃った。
ローテーションを回す5名は高江関門を過ぎ、最後まで逃げていたヤン・インホンを吸収。慶佐次のアップダウンでヤンがアタックすると、それに追従できたのは高岡と森本のみだった。
「2回目の普久川ダムの登りで人数を減らし、最終局面で勝負に出るという理想的な展開でした。なんとかコンディションも上向きになったので、勝ちを狙っていました。」とは高岡。そして羽地ダムでヤンが再びペースを上げ、ここで森本が脱落。20〜30秒ほどついたタイム差を必死に詰める森本だったが、ゴールまで前の2人に追いつくことは叶わなかった。
先頭を行くヤンと高岡は協調してゴールへと向かい、最後は冷静に勝負したヤンが高岡を上回って勝利。左手を力強く振り上げた。
2位となった高岡は「優勝した選手は本当に強かった。レベルが一つ違うことは明白で、森本さんが追いつけば2対1で不利になるにも関わらず積極的に牽こうとしなかった。2人相手にスプリントに持ちこんで勝てるという自信がそうさせたんでしょう。正直これは勝てないなと思っていましたし、だから僕も森本さんを待たなかった。」とレースを振り返る。
また「3年ぶりの市民レースでした。これで市民210kmの2位が3回目だから正直悔しいですね。過去には3回の優勝経験を持つ方がいますから、今回それに並んで、前人未到の4勝に繋げたかったんです。唯一の誤算は強すぎる選手がいた、ということです。」と加えた。
優勝したヤンは2012年まで香港ナショナルチームとして、今年はシンガポールのコンチネンタルチーム「OCBC」に所属していた26歳で、今年のナショナル選手権ロードでは2位というトップレベルの実力を持つ選手。しかしながら6月にプロレースの舞台から降り、それ以降はアマチュアレースに参加していたという。序盤の逃げに加わり、そして合流した精鋭グループから新たな展開を作るなど、その強さは図抜けていた。
ヤンは「羽地ダムの登りではイナーメの二人がペースを上げていたけれど、ペースアップして2人になることができた。最後はスプリントを待っていたんだ。厳しいレースだったから今はほっとしているよ。」と語り、「まだどのチームとは言えないけれど、来年は再びUCIレースにカムバックするつもり。おきなわは良い経験となった」と加えた。
そして3位の森本の後ろは、単独でゴールに到達した高橋義博、井上亮、中鶴友樹がそれぞれ単独でゴール。7位グループの頭は清宮洋幸が獲り、次いで小畑郁(なるしまフレンド)、白石真悟と続き、10位には奈良浩(なるしまフレンド)が入った。
ツール・ド・おきなわ市民210km結果
text:So.Isobe
photo:Hideaki.Takagi
「市民レースの最高峰」、あるいは「ホビーレースの甲子園」とも呼ばれるツール・ド・おきなわ市民210km。
名護市21世紀の森体育館前を発着するコースは、UCI認定のチャンピオンレースと全く同じルートをなぞる。本部半島をほぼ一周してから北上し、厳しい普久川ダムの登りを計2回こなし、アップダウンが連続する東海岸を南下。最終版には追い討ちを掛けるように羽地ダムの登りが待ち構える、ホビーレースとしては国内最長かつ最難関のコースであり、ゆえにそのステイタスは非常に高い。
今年は2回の優勝歴を誇る高岡亮寛らイナーメ・信濃山形勢が市民210kmにエントリーし、昨年優勝した清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)、原純一(KMCycle Ibex)、白石真悟(シマノドリンキング)など昨年の上位入賞者や強豪ホビーレーサーのほとんどが今年も顔を揃え、まさに群雄割拠といった様相を呈した。
7時45分、号砲とともにレースはスタート。この日は序盤から海岸線に強風が吹き付け、そのため各選手が口を揃えるほどに遅いペースですべりだす。大幅なリードを得るアタックが生まれないままレースは進行し、1回目の普久川ダムへと至る海岸線にて優勝したヤン・インホンを含む少人数の逃げが決まる。
先を急ぐ逃げグループの一方、ペースを刻むメイン集団の人数は普久川ダムの頂上で20名ほど。しかしペースが比較的落ち着いていたことから後続が合流し、再び100名ほどの大集団ができあがる。「人数が多すぎたこともあり、あまりペースが上がりませんでした。3分にまで開いたところでようやくローテーションが回り始めたんです」とは、4位入賞をする高橋義博(チームCB)だ。
タイム差が開いた状態で突入した2回目の普久川ダムの登りでは、昨年王者の清宮洋幸がアタック。単独で抜け出しに成功したが集団を引き離すには至らず吸収され、次いで森本誠(イナーメ・信濃山形)が高速で牽引を開始する。すると急速にタイム差が縮まり、集団の人数は5名にまで激減する。メンバーは高岡亮寛と森本誠(共にイナーメ・信濃山形)、高橋義博、中鶴友樹(TEAM KIDS)、そして昨年140kmクラスで独走勝利した井上亮と強豪が揃った。
ローテーションを回す5名は高江関門を過ぎ、最後まで逃げていたヤン・インホンを吸収。慶佐次のアップダウンでヤンがアタックすると、それに追従できたのは高岡と森本のみだった。
「2回目の普久川ダムの登りで人数を減らし、最終局面で勝負に出るという理想的な展開でした。なんとかコンディションも上向きになったので、勝ちを狙っていました。」とは高岡。そして羽地ダムでヤンが再びペースを上げ、ここで森本が脱落。20〜30秒ほどついたタイム差を必死に詰める森本だったが、ゴールまで前の2人に追いつくことは叶わなかった。
先頭を行くヤンと高岡は協調してゴールへと向かい、最後は冷静に勝負したヤンが高岡を上回って勝利。左手を力強く振り上げた。
2位となった高岡は「優勝した選手は本当に強かった。レベルが一つ違うことは明白で、森本さんが追いつけば2対1で不利になるにも関わらず積極的に牽こうとしなかった。2人相手にスプリントに持ちこんで勝てるという自信がそうさせたんでしょう。正直これは勝てないなと思っていましたし、だから僕も森本さんを待たなかった。」とレースを振り返る。
また「3年ぶりの市民レースでした。これで市民210kmの2位が3回目だから正直悔しいですね。過去には3回の優勝経験を持つ方がいますから、今回それに並んで、前人未到の4勝に繋げたかったんです。唯一の誤算は強すぎる選手がいた、ということです。」と加えた。
優勝したヤンは2012年まで香港ナショナルチームとして、今年はシンガポールのコンチネンタルチーム「OCBC」に所属していた26歳で、今年のナショナル選手権ロードでは2位というトップレベルの実力を持つ選手。しかしながら6月にプロレースの舞台から降り、それ以降はアマチュアレースに参加していたという。序盤の逃げに加わり、そして合流した精鋭グループから新たな展開を作るなど、その強さは図抜けていた。
ヤンは「羽地ダムの登りではイナーメの二人がペースを上げていたけれど、ペースアップして2人になることができた。最後はスプリントを待っていたんだ。厳しいレースだったから今はほっとしているよ。」と語り、「まだどのチームとは言えないけれど、来年は再びUCIレースにカムバックするつもり。おきなわは良い経験となった」と加えた。
そして3位の森本の後ろは、単独でゴールに到達した高橋義博、井上亮、中鶴友樹がそれぞれ単独でゴール。7位グループの頭は清宮洋幸が獲り、次いで小畑郁(なるしまフレンド)、白石真悟と続き、10位には奈良浩(なるしまフレンド)が入った。
ツール・ド・おきなわ市民210km結果
1位 ヤン・インホン(香港、Total Sports)
2位 高岡亮寛(イナーメ・信濃山形)
3位 森本誠
4位 高橋義博(チームCB)
5位 井上亮
6位 中鶴友樹(TEAM KIDS☆らくり)
7位 清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)
8位 小畑郁(なるしまフレンド)
9位 白石真悟(シマノドリンキング)
10位 奈良浩(なるしまフレンド)
11位 菅原勇人(dokyu北海道)
12位 高橋伸成(Fiets groen)
13位 風間博之(サイクルフリーダムレーシング)
14位 高橋誠(イナーメ・信濃山形)
15位 マン・チョウワイ(香港、Total Sports)
16位 雑賀大輔(td55♪ feat.Blanche)
17位 科野大蔵(ネクストリーム)
18位 倉林貴彦
19位 ポール・ソールズベリー(イナーメ・信濃山形)
20位 遠藤健太(チームフィンズ)
2位 高岡亮寛(イナーメ・信濃山形)
3位 森本誠
4位 高橋義博(チームCB)
5位 井上亮
6位 中鶴友樹(TEAM KIDS☆らくり)
7位 清宮洋幸(竹芝サイクルレーシング)
8位 小畑郁(なるしまフレンド)
9位 白石真悟(シマノドリンキング)
10位 奈良浩(なるしまフレンド)
11位 菅原勇人(dokyu北海道)
12位 高橋伸成(Fiets groen)
13位 風間博之(サイクルフリーダムレーシング)
14位 高橋誠(イナーメ・信濃山形)
15位 マン・チョウワイ(香港、Total Sports)
16位 雑賀大輔(td55♪ feat.Blanche)
17位 科野大蔵(ネクストリーム)
18位 倉林貴彦
19位 ポール・ソールズベリー(イナーメ・信濃山形)
20位 遠藤健太(チームフィンズ)
5h40'08"
+04"
+2'52"
+4'05"
+5'04"
+7'09"
+7'14"
+7'25"
+04"
+2'52"
+4'05"
+5'04"
+7'09"
+7'14"
+7'25"
text:So.Isobe
photo:Hideaki.Takagi
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