2009/08/28(金) - 22:04
先に行われた実業団大町美麻ロードは、主催者設定のワイルドカードにより、いくつかの大学、クラブチームなどが参加した。ここに西日本の5大学から6人の選手が結集した「O-Trick西日本学生選抜チーム」の秋田謙監督からレポートが届いたので紹介しよう。
私たちは8月22、23日に長野県は大町市で行われた美麻ロードに参加する機会にめぐまれた。
本来、実業団連盟主催であるこの大会に学生が参加するには、学校単位での実業団登録が必要で、ワイルドカードというイレギュラーな形での学連登録の出場であった。
国際審判員であり長野県自転車競技連盟の藤森氏の協力のおかげで今回の参加権を頂いた。
当初は、私自身が面倒を見させていただいている『京都産業大学』単体での参加を考えていたが、それよりも多くの選手に実業団レースを体験して欲しい思いがあり、西日本で学連登録している大学から選抜チームという形で参加することに決めた。
今回の実業団レースで体験したことを、各々が持ち帰り、それぞれのチームの発展につながっていけばこれ以上の成果は無い。
今回、参加に対して前向きに考えてくれたのは、以下の4チーム。
環太平洋大学
大阪経済大学
大阪大学
中京大学
これに京都産業大学を加えた5校。
インカレ前(中3日しかない)の大事な時期に少々のリスクを承知の上で、参加することの意義に賛同してくれた各大学の監督・選手に感謝する。
チーム名:O-Trick西日本学生選抜
参加選手は以下の通り
中根 英登 中京大学
角谷 健吾 大阪大学
福田 高志 大阪経済大学
小村 知之 環太平洋大学
湊 淳二 京都産業大学
濱野 大介 京都産業大学
今回の参加にあたって、オンライン自転車ショップの O-trick (オートリック)様から援助をいただきました。有限会社オートリックは、兵庫県芦屋市で『0-TRICKリンリン芦屋店』と楽天市場でインターネットで『O-TRICK』を運営されている会社で、多くのレーサーをサポートされています。
このことは学生スポーツに準じている彼らには、普段とは違うプレッシャーを感じるよい機会になった。
この遠征の主旨に賛同していただいた有限会社O-trick 生駒様には深く感謝申し上げます。
レースは初日に3kmの登りのタイムトライアル。
今回、同じ宿に宿泊していた愛三工業レーシングチームのタイムトライアルの全日本チャンピオン盛 一大の運転する車でコースを試走。
選手達はこの種目のスペシャリストである彼から、タイムトライアルに対する準備、心構えを学ぶことができた。
19歳の中根選手が19位に食い込む走りを見せたが、東京大学の西園選手が2位の力走を見せ、少々色あせたものになってしまった。
中根、福田、角谷の3選手はタイムトライアルで走れることをアピールできたが、濱野、湊、小村の3選手は仕上がりの悪さを露呈する結果となった。
小村は直前までトラック合宿を行っており、登りに順応できていない様子であった。
初日が終わった夜、ミーティングを行った。
『今回援助頂いたからには是が非でも結果を持って帰らなければならない』
中根、福田、角谷は完走に全ての集中力を注ぎ、濱野、湊、小村は集団からの飛出しをはかることでチームをアピールすること。
『援助を頂いたからには、各自が何かを返すことのできる走りをすること』を意識づけた。
『ただより高いものは無い』
まさにそのとおりで、走りに制約が出ることは当たり前で、その状況下から選手達が何かを学んでくれることを期待した。
最近の若いと言われる選手達は、こういったことに対して理解不足なことが多く、課せられている義務を何一つ果たそうとせず、権利ばかりを主張したがる者が存在する。
一つの企業が予算を捻出してくれたからには、何としてでも『費用対効果』においてプラスになるよう心がけなければならない。
また、それとは別にインカレを控えた選手個人として、
『1秒でも長く集団に留まり、レースの空気を勉強すること』
『脱落後も直前に迫っているインカレの為に集中を切らさず走り続けること』を指示した。
二日目のロードレース
アップダウンの厳しい200kmのレース。
宿の前で愛三工業の選手達にレースの走りについて指導を受けることができた。
レースがスタートし、実況のアナウンスが始まる。
中根が先頭集団に入り、積極的にレースをリードしている様子。
『ミーティングの内容を完全に無視してるな(笑)』
1周目が終わりスタート/ゴール地点に戻ってきたとき、中根は先頭の8名から5秒遅れで、その後大集団に戻っていった。
その後も、中根と福田はレースの前方でチャンスを伺い、集団中程で角谷が落ち着いた走りをみせ、
後方では小村が切れそうで切れない粘りの走りを展開した。
一方、湊と濱野は序盤のペースアップについてゆくことが出来ずリタイア。厳しい言い方だが、記録にも記憶にも残らない走りになってしまった。
福田、中根、小村は第2集団ながら、スタート/ゴール地点を先頭で通過するなど、チームをアピールする行動に出てくれたのは嬉しかった。
そういった行動は総合争いをしているトップチームから見れば、無意味で邪魔な行為だが、我々のようなチームにはとても大切なことだ。
全日本チャンピオンの西谷選手はレース中、『このあと予想される展開、今すべき行動』を走りながら選手達に教えてくれた。
7周目先頭との差が開いたり縮まったりする揺さぶりに小村が脱落した。
しかし、序盤で遅れてもおかしくなかった状態だけに、今出せる力の全てを出し切ってくれたことに満足だった。
8周目、補給が上手くいかなかった福田にボトルを手渡そうとした角谷が前の選手に接触転倒。
ここまで、手堅いレースを展開してくれて、完走も考えられただけに残念で、何よりインカレへの影響を心配した。
再び集団で揺さぶりが始まったときに、中根がレースに加わった。その反動は大きく程なく集団から遅れリタイア。
完走という数字を持って帰りたい自分と、自分の走りをしたい中根との意識の違いに戸惑ったが、アナウンスから中根の名前がコールされる度に心が踊った。
数字も大事だが、心の底ではやはりこういった走りを選手に期待していた自分がいることを再認識した。
残るは福田一人。補給しか出来ない我々は最善の補給を心がけ、レースの行方を見守った。
ニッポの佐野選手が圧倒的な力でレースを支配し優勝した。驚きは連日2位に入った東大の西薗選手。
日本のトップ選手を置き去りにする最終アタックは見事としか言いようが無く、インカレロードで彼に太刀打ちできる学生がいるだろうかと思える程であった。
福田の20位は評価されてよいものだが、西薗選手の走りが再び全てを色あせたものに変えてしまった。
たったの2泊3日の遠征だったが、他大学の選手との交流は、選手達に想像以上の刺激となっていた様子であった。
今回の遠征で、選手個人が何かを感じ、翌日からの練習の意識が変われば大成功である。
最後になりましたが、今回のレース参加にあたってお世話なった全ての方々に、この場をかりて感謝申し上げます。
京都産業大学 体育会 自転車競技部
監督 秋田 謙
個人総合順位
21位 福田 高志 +7分34秒
第1ステージ
19位 中根 英登 10分07秒 +53秒
23位 角谷 健吾 10分10秒 +56秒
55位 福田 高志 10分49秒 +1分35秒
89位 湊 淳二 11分29秒 +2分15秒
98位 小村 知之 11分41秒 +2分27秒
106位 濱野 大介 12分11秒 +2分57秒
第2ステージ
20位 福田 高志 5時間32分56秒 +5分49秒
DNF 中根 英登
DNF 角谷 健吾
DNF 湊 淳二
DNF 小村 知之
DNF 濱野 大介
私たちは8月22、23日に長野県は大町市で行われた美麻ロードに参加する機会にめぐまれた。
本来、実業団連盟主催であるこの大会に学生が参加するには、学校単位での実業団登録が必要で、ワイルドカードというイレギュラーな形での学連登録の出場であった。
国際審判員であり長野県自転車競技連盟の藤森氏の協力のおかげで今回の参加権を頂いた。
当初は、私自身が面倒を見させていただいている『京都産業大学』単体での参加を考えていたが、それよりも多くの選手に実業団レースを体験して欲しい思いがあり、西日本で学連登録している大学から選抜チームという形で参加することに決めた。
今回の実業団レースで体験したことを、各々が持ち帰り、それぞれのチームの発展につながっていけばこれ以上の成果は無い。
今回、参加に対して前向きに考えてくれたのは、以下の4チーム。
環太平洋大学
大阪経済大学
大阪大学
中京大学
これに京都産業大学を加えた5校。
インカレ前(中3日しかない)の大事な時期に少々のリスクを承知の上で、参加することの意義に賛同してくれた各大学の監督・選手に感謝する。
チーム名:O-Trick西日本学生選抜
参加選手は以下の通り
中根 英登 中京大学
角谷 健吾 大阪大学
福田 高志 大阪経済大学
小村 知之 環太平洋大学
湊 淳二 京都産業大学
濱野 大介 京都産業大学
今回の参加にあたって、オンライン自転車ショップの O-trick (オートリック)様から援助をいただきました。有限会社オートリックは、兵庫県芦屋市で『0-TRICKリンリン芦屋店』と楽天市場でインターネットで『O-TRICK』を運営されている会社で、多くのレーサーをサポートされています。
このことは学生スポーツに準じている彼らには、普段とは違うプレッシャーを感じるよい機会になった。
この遠征の主旨に賛同していただいた有限会社O-trick 生駒様には深く感謝申し上げます。
レースは初日に3kmの登りのタイムトライアル。
今回、同じ宿に宿泊していた愛三工業レーシングチームのタイムトライアルの全日本チャンピオン盛 一大の運転する車でコースを試走。
選手達はこの種目のスペシャリストである彼から、タイムトライアルに対する準備、心構えを学ぶことができた。
19歳の中根選手が19位に食い込む走りを見せたが、東京大学の西園選手が2位の力走を見せ、少々色あせたものになってしまった。
中根、福田、角谷の3選手はタイムトライアルで走れることをアピールできたが、濱野、湊、小村の3選手は仕上がりの悪さを露呈する結果となった。
小村は直前までトラック合宿を行っており、登りに順応できていない様子であった。
初日が終わった夜、ミーティングを行った。
『今回援助頂いたからには是が非でも結果を持って帰らなければならない』
中根、福田、角谷は完走に全ての集中力を注ぎ、濱野、湊、小村は集団からの飛出しをはかることでチームをアピールすること。
『援助を頂いたからには、各自が何かを返すことのできる走りをすること』を意識づけた。
『ただより高いものは無い』
まさにそのとおりで、走りに制約が出ることは当たり前で、その状況下から選手達が何かを学んでくれることを期待した。
最近の若いと言われる選手達は、こういったことに対して理解不足なことが多く、課せられている義務を何一つ果たそうとせず、権利ばかりを主張したがる者が存在する。
一つの企業が予算を捻出してくれたからには、何としてでも『費用対効果』においてプラスになるよう心がけなければならない。
また、それとは別にインカレを控えた選手個人として、
『1秒でも長く集団に留まり、レースの空気を勉強すること』
『脱落後も直前に迫っているインカレの為に集中を切らさず走り続けること』を指示した。
二日目のロードレース
アップダウンの厳しい200kmのレース。
宿の前で愛三工業の選手達にレースの走りについて指導を受けることができた。
レースがスタートし、実況のアナウンスが始まる。
中根が先頭集団に入り、積極的にレースをリードしている様子。
『ミーティングの内容を完全に無視してるな(笑)』
1周目が終わりスタート/ゴール地点に戻ってきたとき、中根は先頭の8名から5秒遅れで、その後大集団に戻っていった。
その後も、中根と福田はレースの前方でチャンスを伺い、集団中程で角谷が落ち着いた走りをみせ、
後方では小村が切れそうで切れない粘りの走りを展開した。
一方、湊と濱野は序盤のペースアップについてゆくことが出来ずリタイア。厳しい言い方だが、記録にも記憶にも残らない走りになってしまった。
福田、中根、小村は第2集団ながら、スタート/ゴール地点を先頭で通過するなど、チームをアピールする行動に出てくれたのは嬉しかった。
そういった行動は総合争いをしているトップチームから見れば、無意味で邪魔な行為だが、我々のようなチームにはとても大切なことだ。
全日本チャンピオンの西谷選手はレース中、『このあと予想される展開、今すべき行動』を走りながら選手達に教えてくれた。
7周目先頭との差が開いたり縮まったりする揺さぶりに小村が脱落した。
しかし、序盤で遅れてもおかしくなかった状態だけに、今出せる力の全てを出し切ってくれたことに満足だった。
8周目、補給が上手くいかなかった福田にボトルを手渡そうとした角谷が前の選手に接触転倒。
ここまで、手堅いレースを展開してくれて、完走も考えられただけに残念で、何よりインカレへの影響を心配した。
再び集団で揺さぶりが始まったときに、中根がレースに加わった。その反動は大きく程なく集団から遅れリタイア。
完走という数字を持って帰りたい自分と、自分の走りをしたい中根との意識の違いに戸惑ったが、アナウンスから中根の名前がコールされる度に心が踊った。
数字も大事だが、心の底ではやはりこういった走りを選手に期待していた自分がいることを再認識した。
残るは福田一人。補給しか出来ない我々は最善の補給を心がけ、レースの行方を見守った。
ニッポの佐野選手が圧倒的な力でレースを支配し優勝した。驚きは連日2位に入った東大の西薗選手。
日本のトップ選手を置き去りにする最終アタックは見事としか言いようが無く、インカレロードで彼に太刀打ちできる学生がいるだろうかと思える程であった。
福田の20位は評価されてよいものだが、西薗選手の走りが再び全てを色あせたものに変えてしまった。
たったの2泊3日の遠征だったが、他大学の選手との交流は、選手達に想像以上の刺激となっていた様子であった。
今回の遠征で、選手個人が何かを感じ、翌日からの練習の意識が変われば大成功である。
最後になりましたが、今回のレース参加にあたってお世話なった全ての方々に、この場をかりて感謝申し上げます。
京都産業大学 体育会 自転車競技部
監督 秋田 謙
個人総合順位
21位 福田 高志 +7分34秒
第1ステージ
19位 中根 英登 10分07秒 +53秒
23位 角谷 健吾 10分10秒 +56秒
55位 福田 高志 10分49秒 +1分35秒
89位 湊 淳二 11分29秒 +2分15秒
98位 小村 知之 11分41秒 +2分27秒
106位 濱野 大介 12分11秒 +2分57秒
第2ステージ
20位 福田 高志 5時間32分56秒 +5分49秒
DNF 中根 英登
DNF 角谷 健吾
DNF 湊 淳二
DNF 小村 知之
DNF 濱野 大介
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