2014/08/28(木) - 09:43
アメリカを拠点とし、モータースポーツから自転車まで、幅広いラインナップを持つ総合ヘルメットメーカーのBELL(ベル)より、新型ヘルメット「STAR PRO(スタープロ)」が登場した。ベルがサポートするUCIプロチーム、ベルキンのライダーからのフィードバックから生まれたハイエンドモデルだ。
STAR PROはスポンサーチームであるベルキンからの「空力性能に優れ、高速で走行している間も涼しさが持続するようなヘルメットが欲しい」という要望に応えて開発されたエアロロードヘルメット。空力性能を追求するために、開発はカリフォルニアの専用風洞実験設備「The Dome」で、ベルキンのエンジニアと協力しながら進められた。さらに独立した第三者機関での風洞実験を繰り返し行い、その性能を煮詰めた。
形状はエアロヘルメット然とした流線形で、ベンチレーションホールは15個。「アクティブエアロ」テクノロジーというベンチレーションホールの開閉が可能なスライダー機構を取り入れ、状況に合わせて空力性能の調整を可能とした。ベンチレーションホール締め切り時の穴は2つのみ開放される。
エアロダイナミクスはパワーとスプリント距離で性能の比較がされた。パワーの比較は30°のヨーアングルで25mphで風をヘルメットに当てた状態で行われた。ベンチ穴を締めた時の空気抵抗はベルの「GAGE」よりも5.6ポイント優れ、ベンチ穴を開放した状態でも4.34ポイント優れる数値をマーク。
スプリント距離の比較は300mの距離を1150wで走行することを想定。STAR PROのベント穴を開閉した両パターンと一般的なロードヘルメットを比較すると、先着するのがSTAR PRO(ベント・クローズ)だ。1着がゴールした時にSTAR PRO(ベント・オープン)は0.6m後方に、一般的なロードヘルメットは1.5m後方にいるという数値を示した。
エアロダイナミクスに加えて、ヘルメット内のエアフローも考慮された。前方のベンチレーションホールから空気を取り込み、滞留した空気を逃がす「オーバーブローベンチレーション」テクノロジーを取り入れ、ヘルメット内を快適な状態に維持する。アクティブエアロで簡単に温度調節できることも特徴だ。ベント・オープン時の最初の5分間はヘルメット無しの状態よりもクーリング効果に優れ、それ以降は「GAGE」とほぼ同等の冷却性能を備えている。
もちろんヘルメットの安全性や重量も配慮されている。シェルは外側と内側で密度が異なるEPSフォームを使う「プログレッシブレイヤー」を採用し、プロテクション性能を確保しながら軽量化を実現。安全性に関してはアメリカのCPSCという安全規格取得し、日本国内では2015年にはJCFの公認を取得する予定という。重量はMサイズで280g。
また、特徴の1つである「マグネティックツァイスシールド」は磁石でアイシールドをヘルメットに装着できるテクノロジー。アイシールド装着時はTT用エアロヘルメットのようなフォルムとなり、空力性能を高める。付属するシールドはレンズで有名なカールツァイス製で、最適なプロテクション性能と歪みのない視界を確保した。アイシールド未使用時はヘルメットの前頭部、BELLロゴ付近にマグネットで取り付けておくことが可能。
サイズはM(55~59cm)、L(58~62cm)の2種類がラインナップ。カラーはレティーナシアーマーカー、インフレッドマーカー、ブラック/レッドマーカー、シルバーマーカー、ホワイトマーカー、マットブラックという6カラーが揃う。価格はシールド有りで、33,500円(税抜)、シールド無しで30,000円(税抜)。シールド無しの仕様はホワイトマーカー、マットブラックのみ。入荷は2014年11月頃だ。取り扱いはインターテック。
―インプレッション
今現在の自転車界において最もホットなジャンルの一つ、ロード用エアロヘルメット。今回インプレッションしたスタープロはUCIプロチームであるベルキンプロサイクリングも使う、選手お墨付きのハイエンドモデルだ。
まずはフィット感から。ヘルメットは典型的なヨーロピアンフィットと言っていい、幅が狭く前後に長い形状だ。欧米人型の頭を持つ私にはジャストフィットで、パッド量が少ないもののフィット感は良好。頭を囲うベルトの柔軟性が高いため、典型的日本人頭の編集部員でも問題無く使うことができた。VOLTやCAGEが合わず、BELL製品を断念していた方にも朗報だ。重量こそ280gと決して超軽量ではないが、重量配分に長けているため頭を下げてもずり落ちてくる感覚が無い。200kmを走るようなロングライドでも首が疲れにくいと思う。
スタープロ最大の特徴であるエアロ性能だが、その効果はあると感じている。広報資料に数値で示されているように実際にスピード増を感じたというわけでは無いが、とにかく頭部周辺の空気の流れがスムーズだ。高速走行時でも風切り音が小さく、後方に手をかざしてみても風が暴れている感じは無い。
ベンチレーションの開閉機能も面白い。シャッターがオープン状態では頭の上部、側頭部、後頭部に風が良くあたるため、意外にも通気性が良い。ベンチレーションの無い前頭部は空気の抜けが若干悪いものの、完全に滞留している様子も無かった。これはバイザーから前頭部のベンチレーションに流れる空気によるもので、どうやら顔の形によって(特にバイザー下側と頬の距離に左右される)流入量に違いがあるようだ。
ベンチレーション効果は高速域になればなるほど顕著に現れる。一方で夏場のヒルクライムなど低速域では暑さを感じてしまうが、そもそもターゲットがプロライダーやエアロを求めるユーザーであるため、そこを求めるのは酷な話だ。逆に冬場など、冷気を取り込みたくない場合にはシャッターをクローズにすれば良く、雨の侵入を防ぎたい場合や、TTレースなど少しでもアドバンテージを得たい場合にも有効だろう。そのギミックはメカマニア、エアロマニアの琴線をくすぐること間違い無しである。
それに加え、カールツァイス製のシールドの造りが非常に優秀であることにも触れておきたい。大きく曲面を描く形状だが歪みは一切なく、裸眼と同じような視界を得ることができる上、エアロ効果も決して少なくないはずだ。縦長であるためシールド本来の役割、つまり眼のプロテクションにも優れ、風の巻き込みも少なく「守ってくれている安心感」が強い。
シールド上部に仕込まれたマグネット部分をヘルメットに差し込み装着するシステムだが、磁力も強く、MTBでよほどガレた場所を走っても脱落の心配は無い。シールドが不要な場合には裏返し、ヘルメット前部に取り付けておけるため便利だ。ヘルメットそのものに目が行きがちだが、バイザーも単なる飾りでは一切ない。有効であるが故、昼夜付けっぱなしでいられる調光レンズのデビューを待ち望みたいと感じるほどだ。ちなみにバイザーと顔までに距離があるため、バイザーと眼鏡、もしくは光量調整用にサングラスも併用できる。
新型のアジャスターに関しては、タッチの操作感が高級になっている印象を受けた。ラチェット機構のノッチが細かくなり、バネも改善され動きがスムーズになっている。また、アルミパーツの採用やFloatアジャストのロゴも洗練され、ハイエンドヘルメットとして所有欲を高めてくれる。
プロ機材としてのエアロダイナミクス、クーリング性能はもちろん、緻密な作りこみを感じさせてくれるスタープロ。真夏のヒルクライムや低速度のサイクリングを除けばほとんどのシチュエーションで使うことができるため、エアロフリークを中心とした幅広いライダーにお勧めできる。店頭販売は11月開始の予定で、現在取り扱いショップで予約が受け付けられている状態だ。
STAR PRO カラーバリエーション
ベル STAR PRO
ベンチレーションホール:15個(アクティブエアロ開放時)、2個(アクティブエアロ締切時)
安全規格:CPSC取得
重量:280g(Mサイズ)
サイズ:M(55~59cm)、L(58~62cm)
カラー:レティーナシアーマーカー、インフレッドマーカー、ブラック/レッドマーカー、シルバーマーカー、ホワイトマーカー、マットブラック
価格:33,500円(税抜)、30,000円(税抜、シールド無し)
入荷予定:2014年11月
STAR PROはスポンサーチームであるベルキンからの「空力性能に優れ、高速で走行している間も涼しさが持続するようなヘルメットが欲しい」という要望に応えて開発されたエアロロードヘルメット。空力性能を追求するために、開発はカリフォルニアの専用風洞実験設備「The Dome」で、ベルキンのエンジニアと協力しながら進められた。さらに独立した第三者機関での風洞実験を繰り返し行い、その性能を煮詰めた。
形状はエアロヘルメット然とした流線形で、ベンチレーションホールは15個。「アクティブエアロ」テクノロジーというベンチレーションホールの開閉が可能なスライダー機構を取り入れ、状況に合わせて空力性能の調整を可能とした。ベンチレーションホール締め切り時の穴は2つのみ開放される。
エアロダイナミクスはパワーとスプリント距離で性能の比較がされた。パワーの比較は30°のヨーアングルで25mphで風をヘルメットに当てた状態で行われた。ベンチ穴を締めた時の空気抵抗はベルの「GAGE」よりも5.6ポイント優れ、ベンチ穴を開放した状態でも4.34ポイント優れる数値をマーク。
スプリント距離の比較は300mの距離を1150wで走行することを想定。STAR PROのベント穴を開閉した両パターンと一般的なロードヘルメットを比較すると、先着するのがSTAR PRO(ベント・クローズ)だ。1着がゴールした時にSTAR PRO(ベント・オープン)は0.6m後方に、一般的なロードヘルメットは1.5m後方にいるという数値を示した。
エアロダイナミクスに加えて、ヘルメット内のエアフローも考慮された。前方のベンチレーションホールから空気を取り込み、滞留した空気を逃がす「オーバーブローベンチレーション」テクノロジーを取り入れ、ヘルメット内を快適な状態に維持する。アクティブエアロで簡単に温度調節できることも特徴だ。ベント・オープン時の最初の5分間はヘルメット無しの状態よりもクーリング効果に優れ、それ以降は「GAGE」とほぼ同等の冷却性能を備えている。
もちろんヘルメットの安全性や重量も配慮されている。シェルは外側と内側で密度が異なるEPSフォームを使う「プログレッシブレイヤー」を採用し、プロテクション性能を確保しながら軽量化を実現。安全性に関してはアメリカのCPSCという安全規格取得し、日本国内では2015年にはJCFの公認を取得する予定という。重量はMサイズで280g。
また、特徴の1つである「マグネティックツァイスシールド」は磁石でアイシールドをヘルメットに装着できるテクノロジー。アイシールド装着時はTT用エアロヘルメットのようなフォルムとなり、空力性能を高める。付属するシールドはレンズで有名なカールツァイス製で、最適なプロテクション性能と歪みのない視界を確保した。アイシールド未使用時はヘルメットの前頭部、BELLロゴ付近にマグネットで取り付けておくことが可能。
サイズはM(55~59cm)、L(58~62cm)の2種類がラインナップ。カラーはレティーナシアーマーカー、インフレッドマーカー、ブラック/レッドマーカー、シルバーマーカー、ホワイトマーカー、マットブラックという6カラーが揃う。価格はシールド有りで、33,500円(税抜)、シールド無しで30,000円(税抜)。シールド無しの仕様はホワイトマーカー、マットブラックのみ。入荷は2014年11月頃だ。取り扱いはインターテック。
―インプレッション
今現在の自転車界において最もホットなジャンルの一つ、ロード用エアロヘルメット。今回インプレッションしたスタープロはUCIプロチームであるベルキンプロサイクリングも使う、選手お墨付きのハイエンドモデルだ。
まずはフィット感から。ヘルメットは典型的なヨーロピアンフィットと言っていい、幅が狭く前後に長い形状だ。欧米人型の頭を持つ私にはジャストフィットで、パッド量が少ないもののフィット感は良好。頭を囲うベルトの柔軟性が高いため、典型的日本人頭の編集部員でも問題無く使うことができた。VOLTやCAGEが合わず、BELL製品を断念していた方にも朗報だ。重量こそ280gと決して超軽量ではないが、重量配分に長けているため頭を下げてもずり落ちてくる感覚が無い。200kmを走るようなロングライドでも首が疲れにくいと思う。
スタープロ最大の特徴であるエアロ性能だが、その効果はあると感じている。広報資料に数値で示されているように実際にスピード増を感じたというわけでは無いが、とにかく頭部周辺の空気の流れがスムーズだ。高速走行時でも風切り音が小さく、後方に手をかざしてみても風が暴れている感じは無い。
ベンチレーションの開閉機能も面白い。シャッターがオープン状態では頭の上部、側頭部、後頭部に風が良くあたるため、意外にも通気性が良い。ベンチレーションの無い前頭部は空気の抜けが若干悪いものの、完全に滞留している様子も無かった。これはバイザーから前頭部のベンチレーションに流れる空気によるもので、どうやら顔の形によって(特にバイザー下側と頬の距離に左右される)流入量に違いがあるようだ。
ベンチレーション効果は高速域になればなるほど顕著に現れる。一方で夏場のヒルクライムなど低速域では暑さを感じてしまうが、そもそもターゲットがプロライダーやエアロを求めるユーザーであるため、そこを求めるのは酷な話だ。逆に冬場など、冷気を取り込みたくない場合にはシャッターをクローズにすれば良く、雨の侵入を防ぎたい場合や、TTレースなど少しでもアドバンテージを得たい場合にも有効だろう。そのギミックはメカマニア、エアロマニアの琴線をくすぐること間違い無しである。
それに加え、カールツァイス製のシールドの造りが非常に優秀であることにも触れておきたい。大きく曲面を描く形状だが歪みは一切なく、裸眼と同じような視界を得ることができる上、エアロ効果も決して少なくないはずだ。縦長であるためシールド本来の役割、つまり眼のプロテクションにも優れ、風の巻き込みも少なく「守ってくれている安心感」が強い。
シールド上部に仕込まれたマグネット部分をヘルメットに差し込み装着するシステムだが、磁力も強く、MTBでよほどガレた場所を走っても脱落の心配は無い。シールドが不要な場合には裏返し、ヘルメット前部に取り付けておけるため便利だ。ヘルメットそのものに目が行きがちだが、バイザーも単なる飾りでは一切ない。有効であるが故、昼夜付けっぱなしでいられる調光レンズのデビューを待ち望みたいと感じるほどだ。ちなみにバイザーと顔までに距離があるため、バイザーと眼鏡、もしくは光量調整用にサングラスも併用できる。
新型のアジャスターに関しては、タッチの操作感が高級になっている印象を受けた。ラチェット機構のノッチが細かくなり、バネも改善され動きがスムーズになっている。また、アルミパーツの採用やFloatアジャストのロゴも洗練され、ハイエンドヘルメットとして所有欲を高めてくれる。
プロ機材としてのエアロダイナミクス、クーリング性能はもちろん、緻密な作りこみを感じさせてくれるスタープロ。真夏のヒルクライムや低速度のサイクリングを除けばほとんどのシチュエーションで使うことができるため、エアロフリークを中心とした幅広いライダーにお勧めできる。店頭販売は11月開始の予定で、現在取り扱いショップで予約が受け付けられている状態だ。
STAR PRO カラーバリエーション
ベル STAR PRO
ベンチレーションホール:15個(アクティブエアロ開放時)、2個(アクティブエアロ締切時)
安全規格:CPSC取得
重量:280g(Mサイズ)
サイズ:M(55~59cm)、L(58~62cm)
カラー:レティーナシアーマーカー、インフレッドマーカー、ブラック/レッドマーカー、シルバーマーカー、ホワイトマーカー、マットブラック
価格:33,500円(税抜)、30,000円(税抜、シールド無し)
入荷予定:2014年11月
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