2014/07/18(金) - 10:13
ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)はまたしても2位。ピュアスプリンターを苦しめる登りが設定されたコースで、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)がサガンを打ち破った。
マイヨヴェールを争うスプリンターたちにとって何としても獲っておきたい第12ステージの集団スプリント。翌日からアルプス山岳2連戦が始まり、その後もピレネーの山岳ステージが連続する。この日を逃すと、スプリンターに残されたチャンスは実質的に第15ステージ、第19ステージ、そして最終日シャンゼリゼの第21ステージの3回だけだ。
かと言って第12ステージは単純な平坦コースとは言えない。185.5kmのコースに登場するカテゴリー山岳は4つで、前日に引き続きコースは曲がりくねっている。緩く登るサンテティエンヌの最終ストレートにやってきたのは60名の集団だった。
ワインの産地として有名なボジョレーの丘を行くプロトンの中に、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)の姿は無かった。タランスキーは前日のステージを何とか制限時間内にフィニッシュしたが、落車で痛めた背中の状態が思わしくなく、リタイアという苦汁の判断を下した。
レース序盤、10km地点でセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ガーミン・シャープ)、グレゴリー・ラスト(スイス、トレックファクトリーレーシング)、サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ダビ・デラクルス(スペイン、ネットアップ・エンデューラ)、フロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・セシェ)の5名がアタック。厳しい暑さをものともせずにメイン集団から5分のリードを稼ぎ出した。
山岳決戦を控えたメイン集団は比較的リラックスした状態で進み、ジャイアント・シマノ主導で逃げを追撃。現在ランタンルージュ(総合最下位)で、「ブレーカウェーキラー(逃げ潰し)」の異様をもつジ・チェン(中国、ジャイアント・シマノ)が長時間にわたってメイン集団を牽引した。
逃げグループの中では、マイヨアポワを着るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)と同郷のデラクルスが積極的に山岳ポイントを獲得する。しかしデラクルスは90km地点のタイトコーナーで前輪を滑らせて落車し、鎖骨骨折によってレースをリタイア。落車の煽りを食らったラングヴェルトは自力で逃げグループに復帰した。
レース後半にかけてユーロップカーが集団牽引に合流するとタイム差の縮小が加速する。フィニッシュまでおよそ50kmを残してタイム差は2分15秒。3級山岳ブロッス峠で先頭はクラークとラングヴェルトの2人に絞られ、昨年までのオリカ・グリーンエッジのチームメイト2人がユーロップカー率いるメイン集団に抵抗する。
タイム差が1分半を推移する中、最後の4級山岳グラモン峠の麓、残り30km地点でペリグ・ケムヌール(フランス)とシリル・ゴティエ(フランス)のユーロップカーコンビがアタック。勢い良く飛び出した2人は先頭で独走を開始したクラークに残り20km地点でジョインする。ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)のために"ペースを上げすぎない"メイン集団とのタイム差は1分。ここから逃げと集団のマッチレースが始まった。
先頭で粘るゴティエとクラークを、ジャイアント・シマノとロット・ベリソルが追撃。あまりのスピードに、前日のステージ優勝者で総合5位につけていたトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)は脱落する。
最後まで抵抗を続けたゴティエとクラークだったが、サンテティエンヌの街を前に残り5km地点でついに吸収。キャノンデール、オメガファーマ・クイックステップ、カチューシャが猛烈なスピードでトレインを組んだ。スプリントに向けて登りをこなしてきたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)は残り3.5km地点で落車して脱落。
約60名の集団によるゴールスプリント。ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)先頭でフラムルージュを駆け抜け、そこからオメガファーマ・クイックステップがマルティン→クヴィアトコウスキー→トレンティンのトレインを組んで先頭へ。
マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)が好位置からのスプリントに持ち込んだが、その後ろからクリストフが大きく口を開けながら加速する。デゲンコルブはトレンティンに進路を塞がれて失速。斜行したトレンティンには降格処分が与えられている。
マイヨヴェールを着るサガンやフランスチャンピオンのアルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)の追撃は届かず、先頭クリストフがリードを守ってフィニッシュ。今年ミラノ〜サンレモを制したノルウェージャンがグランツールでステージ初優勝を飾った。
「今日はチャンスがあると思っていたし、追い込むことなく登りをクリア出来た。最後は色んなチームが折り重なるようにポジションを争いながらスプリント。先頭でリードアウトを受けていたトレンティンの番手をとってスプリントに持ち込んだのが良かったと思う。タイミングもポジションも正しかった」。顔を紅潮させながらそう語る27歳は今シーズン10勝目。これはグライペルに次ぐ世界2位の勝利数だ。
アルプス2連戦を前に、総合5位から総合20位まで順位を落としたギャロパンを除いて、総合上位陣に動きは見られず。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がマイヨジョーヌを着て超級山岳シャムルースの山頂フィニッシュに挑むこととなった。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2014第12ステージ結果
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
マイヨヴェール(ポイント賞)
マイヨアポワ(山岳賞)
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
チーム総合成績
ステージ敢闘賞
サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
マイヨヴェールを争うスプリンターたちにとって何としても獲っておきたい第12ステージの集団スプリント。翌日からアルプス山岳2連戦が始まり、その後もピレネーの山岳ステージが連続する。この日を逃すと、スプリンターに残されたチャンスは実質的に第15ステージ、第19ステージ、そして最終日シャンゼリゼの第21ステージの3回だけだ。
かと言って第12ステージは単純な平坦コースとは言えない。185.5kmのコースに登場するカテゴリー山岳は4つで、前日に引き続きコースは曲がりくねっている。緩く登るサンテティエンヌの最終ストレートにやってきたのは60名の集団だった。
ワインの産地として有名なボジョレーの丘を行くプロトンの中に、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)の姿は無かった。タランスキーは前日のステージを何とか制限時間内にフィニッシュしたが、落車で痛めた背中の状態が思わしくなく、リタイアという苦汁の判断を下した。
レース序盤、10km地点でセバスティアン・ラングヴェルト(オランダ、ガーミン・シャープ)、グレゴリー・ラスト(スイス、トレックファクトリーレーシング)、サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ダビ・デラクルス(スペイン、ネットアップ・エンデューラ)、フロリアン・ヴァション(フランス、ブルターニュ・セシェ)の5名がアタック。厳しい暑さをものともせずにメイン集団から5分のリードを稼ぎ出した。
山岳決戦を控えたメイン集団は比較的リラックスした状態で進み、ジャイアント・シマノ主導で逃げを追撃。現在ランタンルージュ(総合最下位)で、「ブレーカウェーキラー(逃げ潰し)」の異様をもつジ・チェン(中国、ジャイアント・シマノ)が長時間にわたってメイン集団を牽引した。
逃げグループの中では、マイヨアポワを着るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)と同郷のデラクルスが積極的に山岳ポイントを獲得する。しかしデラクルスは90km地点のタイトコーナーで前輪を滑らせて落車し、鎖骨骨折によってレースをリタイア。落車の煽りを食らったラングヴェルトは自力で逃げグループに復帰した。
レース後半にかけてユーロップカーが集団牽引に合流するとタイム差の縮小が加速する。フィニッシュまでおよそ50kmを残してタイム差は2分15秒。3級山岳ブロッス峠で先頭はクラークとラングヴェルトの2人に絞られ、昨年までのオリカ・グリーンエッジのチームメイト2人がユーロップカー率いるメイン集団に抵抗する。
タイム差が1分半を推移する中、最後の4級山岳グラモン峠の麓、残り30km地点でペリグ・ケムヌール(フランス)とシリル・ゴティエ(フランス)のユーロップカーコンビがアタック。勢い良く飛び出した2人は先頭で独走を開始したクラークに残り20km地点でジョインする。ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)のために"ペースを上げすぎない"メイン集団とのタイム差は1分。ここから逃げと集団のマッチレースが始まった。
先頭で粘るゴティエとクラークを、ジャイアント・シマノとロット・ベリソルが追撃。あまりのスピードに、前日のステージ優勝者で総合5位につけていたトニー・ギャロパン(フランス、ロット・ベリソル)は脱落する。
最後まで抵抗を続けたゴティエとクラークだったが、サンテティエンヌの街を前に残り5km地点でついに吸収。キャノンデール、オメガファーマ・クイックステップ、カチューシャが猛烈なスピードでトレインを組んだ。スプリントに向けて登りをこなしてきたアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)は残り3.5km地点で落車して脱落。
約60名の集団によるゴールスプリント。ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)先頭でフラムルージュを駆け抜け、そこからオメガファーマ・クイックステップがマルティン→クヴィアトコウスキー→トレンティンのトレインを組んで先頭へ。
マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)が好位置からのスプリントに持ち込んだが、その後ろからクリストフが大きく口を開けながら加速する。デゲンコルブはトレンティンに進路を塞がれて失速。斜行したトレンティンには降格処分が与えられている。
マイヨヴェールを着るサガンやフランスチャンピオンのアルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)の追撃は届かず、先頭クリストフがリードを守ってフィニッシュ。今年ミラノ〜サンレモを制したノルウェージャンがグランツールでステージ初優勝を飾った。
「今日はチャンスがあると思っていたし、追い込むことなく登りをクリア出来た。最後は色んなチームが折り重なるようにポジションを争いながらスプリント。先頭でリードアウトを受けていたトレンティンの番手をとってスプリントに持ち込んだのが良かったと思う。タイミングもポジションも正しかった」。顔を紅潮させながらそう語る27歳は今シーズン10勝目。これはグライペルに次ぐ世界2位の勝利数だ。
アルプス2連戦を前に、総合5位から総合20位まで順位を落としたギャロパンを除いて、総合上位陣に動きは見られず。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がマイヨジョーヌを着て超級山岳シャムルースの山頂フィニッシュに挑むこととなった。
選手コメントはレース公式サイトより。
ツール・ド・フランス2014第12ステージ結果
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
3位 アルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)
6位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)
7位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
8位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
9位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
3位 アルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
5位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)
6位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)
7位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
8位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
9位 サミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
4h32'11"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
2位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
10位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
51h31'34"
+2'23"
+2'47"
+3'01"
+3'47"
+3'56"
+3'57"
+4'08"
+4'18"
+4'31"
+2'23"
+2'47"
+3'01"
+3'47"
+3'56"
+3'57"
+4'08"
+4'18"
+4'31"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
341pts
191pts
172pts
191pts
172pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
2位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
3位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
3位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
51pts
34pts
26pts
34pts
26pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
51h34'35"
+46"
+1'38"
+46"
+1'38"
チーム総合成績
1位 AG2Rラモンディアール
2位 アスタナ
3位 ベルキン
2位 アスタナ
3位 ベルキン
154h42'16"
+3'19"
+4'25"
+3'19"
+4'25"
ステージ敢闘賞
サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
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