2014/07/13(日) - 09:49
2014年ツール・ド・フランス最初の山頂フィニッシュで、ようやくフランス勢がステージ優勝を達成。序盤から逃げたブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)が3級山岳ラ・モズレーヌを独走で登り切った。
ヨークシャーでの開幕から1週間が経過し、ツール最初の山頂フィニッシュがついに姿を現した。161kmコースの大部分は平坦だが、残り30kmを切ってからヴォージュ山塊に突入。アルプス山脈やピレネー山脈に次ぐ山場であるヴォージュ山塊で、ツールは山がちな3日間を過ごす。
レース終盤にかけてまずは2級山岳クロワ・デ・モワナ(7.6km/6%)と2級山岳グロス・ピエール(3km/7.5%)をクリア。そこから平均勾配10%オーバーの3級山岳ラ・モズレーヌ(1.8km/10.3%)を駆け上がってフィニッシュを迎える。登りの距離は短めだが、ツールにしては珍しく勾配がキツいのが特徴だ。
集団が分裂するほどハイスピードな展開を見せたレース序盤。シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)とニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)という強力な2名が飛び出し、遅れてサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)、アドリアン・プティ(フランス、コフィディス)、ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)がジョイン。脚の揃った5名だが、すでに総合で30分近く遅れているシャヴァネルらをメイン集団は見送った。
前日に落車して大腿骨を骨折したマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)はスタートせず、他にも落車で足首を痛めていたバルト・ デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)が序盤にリタイア。184名に縮小したプロトンが山岳地帯へとバイクを進めた。
タイム差は11分まで広がったものの、大雨も手伝って積極的な追撃体制が取られないままレースは進行。山岳が近づくと、カチューシャとベルキンがペースアップを開始した。
最初の2級山岳クロワ・デ・モワナ突入時でタイム差は6分半に。先頭グループはシャヴァネルのアタックで崩壊し、早くもカドリが独走を開始する。シャヴァネルやイェーツが追走を試みたが、上半身を揺らしながら力強く走るカドリの背中は遠ざかった。
一方のメイン集団ではティンコフ・サクソのフルメンバーによるペースアップが始まり、スプリンターに加えてマイヨブランを着るミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)らが脱落する。
続く最大勾配16%の2級山岳グロス・ピエールでもカドリのペースは落ちず、総合2位ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)やピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)を引き離しながら進むメイン集団を寄せ付けない。
降り続く雨によって濡れた下りでフランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)らが千切れ、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が落車するシーンも。再スタートに手間取ったタランスキーはライバルたちから2分以上のタイムロスを被ってしまった。
そして迎えた最後の3級山岳ラ・モズレーヌ。ティンコフ・サクソの最後の駒ニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)によるペースアップで集団は破壊され、残り1kmでコンタドールがアタック。これに反応出来たのはマイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)だけだった。
先頭ではカドリが喜びを爆発させながらフィニッシュ。その2分17秒遅れでニーバリをわずかに振り切ったコンタドールが入り、そのすぐ後方でリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)がフィニッシュに飛び込む。フランス人選手による今大会ステージ初優勝が決まるとともに、ニーバリ、コンタドール、ポートという三強が力を示す結果となった。
「シャヴァネルのアタックには備えていた。でも実際に彼がそこまで調子がよくなさそうだったので、早めに独走に持ち込んだんだ。ツール・ド・フランスでステージ優勝するなんてクレイジー。昨年チームメイトのクリストフ・リブロンがラルプ・デュエズを制してから、いつかは叶えたいと夢を見続けていた」と、大会最初の山頂フィニッシュを制したカドリ。ステージ初優勝とマイヨアポワも同時に手にした。
安定感抜群の走りを見せたニーバリがマイヨジョーヌをキープし、チームメイトのフグルサングが総合2位を辛うじて守る。山岳初日から総合順位は大きく入れ替わり、ポートが総合3位に浮上し、コンタドールが総合6位までジャンプアップした。
ツール・ド・フランス2014第8ステージ結果
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
マイヨヴェール(ポイント賞)
マイヨアポワ(山岳賞)
マイヨブラン(新人賞)
チーム総合成績
ステージ敢闘賞
ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
ヨークシャーでの開幕から1週間が経過し、ツール最初の山頂フィニッシュがついに姿を現した。161kmコースの大部分は平坦だが、残り30kmを切ってからヴォージュ山塊に突入。アルプス山脈やピレネー山脈に次ぐ山場であるヴォージュ山塊で、ツールは山がちな3日間を過ごす。
レース終盤にかけてまずは2級山岳クロワ・デ・モワナ(7.6km/6%)と2級山岳グロス・ピエール(3km/7.5%)をクリア。そこから平均勾配10%オーバーの3級山岳ラ・モズレーヌ(1.8km/10.3%)を駆け上がってフィニッシュを迎える。登りの距離は短めだが、ツールにしては珍しく勾配がキツいのが特徴だ。
集団が分裂するほどハイスピードな展開を見せたレース序盤。シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)とニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)という強力な2名が飛び出し、遅れてサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)、アドリアン・プティ(フランス、コフィディス)、ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)がジョイン。脚の揃った5名だが、すでに総合で30分近く遅れているシャヴァネルらをメイン集団は見送った。
前日に落車して大腿骨を骨折したマティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)はスタートせず、他にも落車で足首を痛めていたバルト・ デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)が序盤にリタイア。184名に縮小したプロトンが山岳地帯へとバイクを進めた。
タイム差は11分まで広がったものの、大雨も手伝って積極的な追撃体制が取られないままレースは進行。山岳が近づくと、カチューシャとベルキンがペースアップを開始した。
最初の2級山岳クロワ・デ・モワナ突入時でタイム差は6分半に。先頭グループはシャヴァネルのアタックで崩壊し、早くもカドリが独走を開始する。シャヴァネルやイェーツが追走を試みたが、上半身を揺らしながら力強く走るカドリの背中は遠ざかった。
一方のメイン集団ではティンコフ・サクソのフルメンバーによるペースアップが始まり、スプリンターに加えてマイヨブランを着るミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)らが脱落する。
続く最大勾配16%の2級山岳グロス・ピエールでもカドリのペースは落ちず、総合2位ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)やピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)を引き離しながら進むメイン集団を寄せ付けない。
降り続く雨によって濡れた下りでフランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)らが千切れ、アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が落車するシーンも。再スタートに手間取ったタランスキーはライバルたちから2分以上のタイムロスを被ってしまった。
そして迎えた最後の3級山岳ラ・モズレーヌ。ティンコフ・サクソの最後の駒ニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)によるペースアップで集団は破壊され、残り1kmでコンタドールがアタック。これに反応出来たのはマイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)だけだった。
先頭ではカドリが喜びを爆発させながらフィニッシュ。その2分17秒遅れでニーバリをわずかに振り切ったコンタドールが入り、そのすぐ後方でリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)がフィニッシュに飛び込む。フランス人選手による今大会ステージ初優勝が決まるとともに、ニーバリ、コンタドール、ポートという三強が力を示す結果となった。
「シャヴァネルのアタックには備えていた。でも実際に彼がそこまで調子がよくなさそうだったので、早めに独走に持ち込んだんだ。ツール・ド・フランスでステージ優勝するなんてクレイジー。昨年チームメイトのクリストフ・リブロンがラルプ・デュエズを制してから、いつかは叶えたいと夢を見続けていた」と、大会最初の山頂フィニッシュを制したカドリ。ステージ初優勝とマイヨアポワも同時に手にした。
安定感抜群の走りを見せたニーバリがマイヨジョーヌをキープし、チームメイトのフグルサングが総合2位を辛うじて守る。山岳初日から総合順位は大きく入れ替わり、ポートが総合3位に浮上し、コンタドールが総合6位までジャンプアップした。
ツール・ド・フランス2014第8ステージ結果
1位 ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
4位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
5位 ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)
6位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
8位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
9位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
4位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
5位 ティボー・ピノ(フランス、フランセーズデジュー)
6位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
8位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
9位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
3h49'28"
+2'17"
+2'20"
+2'24"
+2'28"
+2'36"
+2'40"
+2'48"
+2'54"
+2'17"
+2'20"
+2'24"
+2'28"
+2'36"
+2'40"
+2'48"
+2'54"
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
2位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
7位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
9位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
10位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
2位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
3位 リッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)
4位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
7位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
9位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
10位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
33h48'52"
+1'44"
+1'58"
+2'26"
+2'27"
+2'34"
+2'39"
+2'52"
+3'02"
+1'44"
+1'58"
+2'26"
+2'27"
+2'34"
+2'39"
+2'52"
+3'02"
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
267pts
156pts
146pts
156pts
146pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)
2位 シリル・ルモワンヌ(フランス、コフィディス)
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
2位 シリル・ルモワンヌ(フランス、コフィディス)
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
17pts
6pts
6pts
6pts
6pts
マイヨブラン(新人賞)
1位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
33h51'18"
+13"
+1'06"
+13"
+1'06"
チーム総合成績
1位 アスタナ
2位 ベルキン
3位 チームスカイ
2位 ベルキン
3位 チームスカイ
101h30'53"
+5'23"
+5'31"
+5'23"
+5'31"
ステージ敢闘賞
ブレル・カドリ(フランス、AG2Rラモンディアール)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
フォトギャラリー