2014/06/13(金) - 20:27
トロイ・ブロズナンがワールドカップ初優勝!スコットランド、フォートウォリアムで開催されたマウンテンバイクワールドカップ第3戦の模様を、日本人ライダーの動向を中心にレポートする。
日本のダウンヒルライダー達がワールドカップに継続的に挑戦しはじめて、3年が経とうとしている。スポット参戦ではあるものの、ベテランの井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)を中心として、海外志向を持つ若いライダーが積極的にこれに続く動きが活性化し、今期は清水一輝がイギリスのチームであるマディソン・サラセンに加入。ワールドカップの舞台に日本人ライダーが出走している光景は、ようやく各国のメディアやファンにも浸透してきたと言って良いだろう。
今期の第3戦はその舞台をヨーロッパに移し、スコットランドの名門コース、フォートウィリアムで開催された。古くからの常設コースにも関わらず、その難易度は世界最高クラス。メンタル、フィジカル、テクニックと全ての要素が問われる上に、エントリーリストには170名のライダーが名を連ねる激戦となった。
レースは最終走者のオーストラリアの若手、トロイ・ブロズナン(スペシャライズドレーシング)が初優勝。2位にサム・ヒル(チェーンリアクションサイクル)、3位にダニー・ハート(ジャイアント)と人気の高いライダーが活躍。表彰台ではトロイの先輩であるサム・ヒル、アーロン・グゥインからも手荒い祝福を受け、偉大な先輩を従えて表彰台の真ん中に立った。
女子は地元イギリスのレイチェル・アサートン(GTファクトリー)、マノン・カーペンター(マディソン・サラセン)の活躍に大いなる期待が寄せられたが、二人ともパンクでレースを落とし、エミリー・ラゴー(ラピエール)が優勝した。
さて、現在のワールドカップダウンヒルにおける日本人ライダーの競技レベルは残念ながら高いとは言えず、上位80名が進出する決勝ラウンドに進めるかどうか。結果6名の日本人ライダー達は全員が予選落ちとなってしまい、決勝に駒を進める事ができなかった。
環境の良い宿舎の選択や、永田はメカニックと帯同するなど、少しでも良い条件で走れるように工夫している日本勢だが、足りないものは何か。一つ一つのセクションだけを考えると、国内では体験できないような高速コーナーや、急斜面に設けられた落差のあるドロップだとしても、日本のライダー達は果敢にクリアしているように見える。
過去には、難セクションをクリアするだけで時間とメンタルを消耗していた事を考えると、課題は次の段階に入っている。延々と続くギャップに対するリズム、それを加速に使えるか、それとも減速要素としてしまうのか。決勝進出までのタイム差は今回の日本人トップの成績だった清水で6秒弱、当然の事ながら予選通過が最終目標ではないが、ここから先、急激に走りが変化する要素は少なくなっていく。じっくりと取り組んでいくしかない。
予選109位 清水一輝(マディソンサラセン)
地元という事もあって、チームの取り組みは素晴らしかったです。風が強かったのが僕には辛かったです。でも、それはみんな一緒だと思うので、ミスに対するリカバリーをもっとしっかりできるようになれば、結果は変わったかもしれません。コース自体は楽しいと思うし、観客も素晴らしいし、良い走りができれば良かったんですけどね。チームの他のメンバーに比べると足りない事もしっかり見えてきたので、レーストラック以外でも自転車に乗って、少しでも差を埋めれるように考えています。
予選118位 九島勇気(玄武)
前半はうまく走れましたが、後半になって体力的にキツくなって、ミスとリカバリーの悪循環にはまってしまいました。次のレオガンは初めてのコースになりますが、悔いのないように、攻めきりたいと思います。
予選125位 井本はじめ(ラブバイクス)
最初のロックセクション、かなり好きな部分だったんですが、リズムが乱れて、無難な走りになってしまいました。体力的にも厳しいものを感じました。もっと長いコース、日本で練習するにしても、途中で止まらずに、長い距離を走るようにしたいと思います。
予選147位 井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)
12年ぶりに走りました。キツいコースだった印象は変わりませんね。リズムをつかんで走らないと体力もタイムもどんどん削られてしまいますね。予選では後半になるにつれてリズムが悪くなっちゃいました。(来週のレオガンに向けて)セッティングをちょっと変えてみようと思います。もう少し加速する方向の調整を試してみます。
予選149位 黒沢大介(ラブバイクス/FUST)
守りの走りをしても仕方がないので、とにかく上から下まで攻めて走ろうと思ってスタートしました。後半のシングル入口で木に当たってバイクがコース外に飛んでいってしまいました。そこで大きくタイムロスはありましたが、それでもやはり予選通過は高い壁です。攻めて走れたという意味では悔しさよりも、次につな1げていこうと思います。
予選156位 永田隼也(アキファクトリーチーム)
去年走っていたぶん、コースへの順応は問題ありませんでした。ペースを上げていこうという意識で予選に挑みましたが、スタート直後にパンクしてしまいました。先週のエンデューロから身体は動いてるので、気持ちを切り替えて来週また頑張ります。
永田隼也選手に帯同している藤田メカニック
セッティング自体は日本と大きく変えていません。隼也の場合、ちょっとハンドルを高くしたぐらいでしょうか。参加者が乗っているバイクの動向としては650Bが圧倒的に増えましたよね。多少の時間はかかるでしょうけど、この流れは一気に世界の標準になっていくように感じました。
エリート男子 結果
109位 清水一輝 (マディソン・サラセン)
118位 九島勇気(玄武)
125位 井本はじめ(ラブバイクス)
147位 井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)
149位 黒沢大介(ラブバイクス/FUST)
156位 永田隼也(アキファクトリーチーム)
エリート女子 結果
photo&text:Hiroyuki.NAKAGAWA/SLm
日本のダウンヒルライダー達がワールドカップに継続的に挑戦しはじめて、3年が経とうとしている。スポット参戦ではあるものの、ベテランの井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)を中心として、海外志向を持つ若いライダーが積極的にこれに続く動きが活性化し、今期は清水一輝がイギリスのチームであるマディソン・サラセンに加入。ワールドカップの舞台に日本人ライダーが出走している光景は、ようやく各国のメディアやファンにも浸透してきたと言って良いだろう。
今期の第3戦はその舞台をヨーロッパに移し、スコットランドの名門コース、フォートウィリアムで開催された。古くからの常設コースにも関わらず、その難易度は世界最高クラス。メンタル、フィジカル、テクニックと全ての要素が問われる上に、エントリーリストには170名のライダーが名を連ねる激戦となった。
レースは最終走者のオーストラリアの若手、トロイ・ブロズナン(スペシャライズドレーシング)が初優勝。2位にサム・ヒル(チェーンリアクションサイクル)、3位にダニー・ハート(ジャイアント)と人気の高いライダーが活躍。表彰台ではトロイの先輩であるサム・ヒル、アーロン・グゥインからも手荒い祝福を受け、偉大な先輩を従えて表彰台の真ん中に立った。
女子は地元イギリスのレイチェル・アサートン(GTファクトリー)、マノン・カーペンター(マディソン・サラセン)の活躍に大いなる期待が寄せられたが、二人ともパンクでレースを落とし、エミリー・ラゴー(ラピエール)が優勝した。
さて、現在のワールドカップダウンヒルにおける日本人ライダーの競技レベルは残念ながら高いとは言えず、上位80名が進出する決勝ラウンドに進めるかどうか。結果6名の日本人ライダー達は全員が予選落ちとなってしまい、決勝に駒を進める事ができなかった。
環境の良い宿舎の選択や、永田はメカニックと帯同するなど、少しでも良い条件で走れるように工夫している日本勢だが、足りないものは何か。一つ一つのセクションだけを考えると、国内では体験できないような高速コーナーや、急斜面に設けられた落差のあるドロップだとしても、日本のライダー達は果敢にクリアしているように見える。
過去には、難セクションをクリアするだけで時間とメンタルを消耗していた事を考えると、課題は次の段階に入っている。延々と続くギャップに対するリズム、それを加速に使えるか、それとも減速要素としてしまうのか。決勝進出までのタイム差は今回の日本人トップの成績だった清水で6秒弱、当然の事ながら予選通過が最終目標ではないが、ここから先、急激に走りが変化する要素は少なくなっていく。じっくりと取り組んでいくしかない。
予選109位 清水一輝(マディソンサラセン)
地元という事もあって、チームの取り組みは素晴らしかったです。風が強かったのが僕には辛かったです。でも、それはみんな一緒だと思うので、ミスに対するリカバリーをもっとしっかりできるようになれば、結果は変わったかもしれません。コース自体は楽しいと思うし、観客も素晴らしいし、良い走りができれば良かったんですけどね。チームの他のメンバーに比べると足りない事もしっかり見えてきたので、レーストラック以外でも自転車に乗って、少しでも差を埋めれるように考えています。
予選118位 九島勇気(玄武)
前半はうまく走れましたが、後半になって体力的にキツくなって、ミスとリカバリーの悪循環にはまってしまいました。次のレオガンは初めてのコースになりますが、悔いのないように、攻めきりたいと思います。
予選125位 井本はじめ(ラブバイクス)
最初のロックセクション、かなり好きな部分だったんですが、リズムが乱れて、無難な走りになってしまいました。体力的にも厳しいものを感じました。もっと長いコース、日本で練習するにしても、途中で止まらずに、長い距離を走るようにしたいと思います。
予選147位 井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)
12年ぶりに走りました。キツいコースだった印象は変わりませんね。リズムをつかんで走らないと体力もタイムもどんどん削られてしまいますね。予選では後半になるにつれてリズムが悪くなっちゃいました。(来週のレオガンに向けて)セッティングをちょっと変えてみようと思います。もう少し加速する方向の調整を試してみます。
予選149位 黒沢大介(ラブバイクス/FUST)
守りの走りをしても仕方がないので、とにかく上から下まで攻めて走ろうと思ってスタートしました。後半のシングル入口で木に当たってバイクがコース外に飛んでいってしまいました。そこで大きくタイムロスはありましたが、それでもやはり予選通過は高い壁です。攻めて走れたという意味では悔しさよりも、次につな1げていこうと思います。
予選156位 永田隼也(アキファクトリーチーム)
去年走っていたぶん、コースへの順応は問題ありませんでした。ペースを上げていこうという意識で予選に挑みましたが、スタート直後にパンクしてしまいました。先週のエンデューロから身体は動いてるので、気持ちを切り替えて来週また頑張ります。
永田隼也選手に帯同している藤田メカニック
セッティング自体は日本と大きく変えていません。隼也の場合、ちょっとハンドルを高くしたぐらいでしょうか。参加者が乗っているバイクの動向としては650Bが圧倒的に増えましたよね。多少の時間はかかるでしょうけど、この流れは一気に世界の標準になっていくように感じました。
エリート男子 結果
1位 トロイ・ブロズナン (スペシャライズド)
2位 サム・ヒル (チェーンリアクション)
3位 ダニー・ハート (ジャイアント)
4位 アーロン・グゥイン (スペシャライズド)
5位 ジー・アサートン (GTファクトリー)
2位 サム・ヒル (チェーンリアクション)
3位 ダニー・ハート (ジャイアント)
4位 アーロン・グゥイン (スペシャライズド)
5位 ジー・アサートン (GTファクトリー)
4:36.580
+1.659
+2.076
+2.516
+3.142
+1.659
+2.076
+2.516
+3.142
109位 清水一輝 (マディソン・サラセン)
118位 九島勇気(玄武)
125位 井本はじめ(ラブバイクス)
147位 井手川直樹(ダビンチ/ストライダー)
149位 黒沢大介(ラブバイクス/FUST)
156位 永田隼也(アキファクトリーチーム)
エリート女子 結果
1位 エミリー・ラゴー (ラピエール)
2位 ミリアム・ニコル (コメンサル)
3位 トレーシー・ハナー (ユッチンソンUR)
4位 エミリー・シーガンタラ (GSTAADスコット)
5位 ジル・キントナー
2位 ミリアム・ニコル (コメンサル)
3位 トレーシー・ハナー (ユッチンソンUR)
4位 エミリー・シーガンタラ (GSTAADスコット)
5位 ジル・キントナー
5:12.624
+8.710
+13.976
+18.567
+22.994
+8.710
+13.976
+18.567
+22.994
photo&text:Hiroyuki.NAKAGAWA/SLm
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