2014/05/28(水) - 07:26
2014年のジロ・デ・イタリアの中で際立って高い難易度を誇る第16ステージが、雪の降るアルプスの山岳地帯で行なわれ、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がずば抜けた登坂力でライバルたちを一蹴。ステージ優勝を飾るとともにマリアローザを手にした。
昨年積雪によってキャンセルされた第19ステージのコースを、主催者RCSスポルトはそのまま第16ステージに持ってきた。
大会最短クラスの139kmコースには3つの難関山岳が詰め込まれており、標高2618mの1級山岳ガヴィア峠と、今大会のチーマコッピ(最標高地点)である標高2758mのステルヴィオ峠を連続してクリア。さらにその先に標高2059mの山頂フィニッシュが待つスペシャルなレイアウトだ。
フィニッシュラインが引かれた1級山岳ヴァルマルテッロは登坂距離が22.4kmに及ぶ長い登り。7%ほどの勾配を刻みながら高度を上げ、ラスト1kmからは14%ほどの急勾配が続く。雨と雪に見舞われる極めて厳しいコンディションの中、この文句無しの5つ星ステージがスタートした。
最初の1級山岳ガヴィア峠(平均勾配8%/登坂距離16.5km)で、まずはマリアアッズーラを着るジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)らがアタック。雪の壁に挟まれた登りでロビンソン・シャラプ(コロンビア、コロンビア)が独走に持ち込み、そのまま1分リードで頂上をクリアした。
この最初のガヴィア峠でメイン集団は30名ほどに絞られ、後方ではグルペットが形成される。長い下り区間でメイン集団から飛び出す選手が続出し、フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)やダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)、ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)が先頭のシャラプに合流する。
こうして新たに形成された8名の先頭グループが、モビスター率いるメイン集団に対して2分のリードを獲得。そのまま次なるステルヴィオ峠(平均勾配6.9%/登坂距離21.7km)へと入って行く。
雪に包まれた標高2758mの峠に向かってカタルドが独走に持ち込み、モビスターとティンコフ・サクソがタイム差を詰めながら追い上げる展開に。カタルドはシャラプらを振り切ってチーマコッピのステルヴィオ峠を先頭通過。凍える下り区間に突入した。
下り区間がニュートラル扱いになるとの誤報が流れる中、スイッチバックが続く下りでメイン集団から総合4位(2分40秒差)のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が先行する。
チームメイトのゴルカ・イサギーレ(スペイン)とライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)、ピエール・ロランとロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)を引き連れて飛び出したキンタナは、前から落ちてきた選手たちを追い抜きながら先を急いだ。
ステルヴィオ峠を下りきり、平坦区間でメイン集団を引き離したキンタナグループは、1級山岳ヴァルマルテッロの登りで先頭カタルドを吸収。
全長22.4kmの登りで先頭はキンタナとヘシェダル、ロランの3名に絞られ、マリアローザを含むメイン集団に対して2分リードで登りを進んだ。
執拗なキンタナのアタックによってロランが脱落し、ヘシェダルだけが食らいついて残り7km。ティンコフ・サクソやAG2Rラモンディアール率いるメイン集団とのタイム差は3分まで広がる。
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)のアタックによってメイン集団は崩壊し、マリアローザのリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)やカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)は後退してしまった。
先頭ではヘシェダルを振り切ったキンタナが独走勝利。ヘシェダルが8秒差のステージ2位、ロランが1分13秒差のステージ3位に入った。メイン集団から一人飛び出したケルデルマンが3分32秒差、ライバルたちに先行を許したウランが4分11秒差で入り、ステージのトップスリーが総合順位を上げる結果となった。
ボーナスタイム10秒も加算し、同じコロンビア出身のウランからマリアローザを受け継いだキンタナは「前半からレースをコントロールしてくれたチームにこの勝利を捧げたい。この勝利は現在と未来に向けた大きな自信に繋がるよ」と記者会見で笑みをこぼす。
ステルヴィオ峠の下りに関しては「ニュートラルになるなんて情報は入ってこなかったし、ポジションを落とさないように走っているうちに集団から飛び出していたんだ。でも今日のリードは最後の登りで得たもの。そこに議論の余地はないと思う」と語っている。
総合2位ウランに対して1分41秒、総合3位エヴァンスに対して3分21秒のリードでキンタナが首位を走る。表彰台争いは4名(エヴァンス、ロラン、マイカ、アル)が13秒以内にひしめく接戦だ。
レースキャンセルが囁かれるほどの悪天候の中、160名が1級山岳ヴァルマルテッロに制限時間内にたどり着いた。
およそ18分遅れでステルヴィオ峠をクリアした別府史之(トレックファクトリーレーシング)と新城幸也(ユーロップカー)は、それぞれステージ86位・39分33秒遅れ、ステージ158位・44分07秒遅れでこの近年稀に見る厳しいステージを乗り切っている。
ジロ・デ・イタリア2014第16ステージ結果
マリアローザ 個人総合成績
マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
チーム総合成績
AG2Rラモンディアール
text&photo:Kei Tsuji in Val Martello, Italy
昨年積雪によってキャンセルされた第19ステージのコースを、主催者RCSスポルトはそのまま第16ステージに持ってきた。
大会最短クラスの139kmコースには3つの難関山岳が詰め込まれており、標高2618mの1級山岳ガヴィア峠と、今大会のチーマコッピ(最標高地点)である標高2758mのステルヴィオ峠を連続してクリア。さらにその先に標高2059mの山頂フィニッシュが待つスペシャルなレイアウトだ。
フィニッシュラインが引かれた1級山岳ヴァルマルテッロは登坂距離が22.4kmに及ぶ長い登り。7%ほどの勾配を刻みながら高度を上げ、ラスト1kmからは14%ほどの急勾配が続く。雨と雪に見舞われる極めて厳しいコンディションの中、この文句無しの5つ星ステージがスタートした。
最初の1級山岳ガヴィア峠(平均勾配8%/登坂距離16.5km)で、まずはマリアアッズーラを着るジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)らがアタック。雪の壁に挟まれた登りでロビンソン・シャラプ(コロンビア、コロンビア)が独走に持ち込み、そのまま1分リードで頂上をクリアした。
この最初のガヴィア峠でメイン集団は30名ほどに絞られ、後方ではグルペットが形成される。長い下り区間でメイン集団から飛び出す選手が続出し、フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)やダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)、ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)が先頭のシャラプに合流する。
こうして新たに形成された8名の先頭グループが、モビスター率いるメイン集団に対して2分のリードを獲得。そのまま次なるステルヴィオ峠(平均勾配6.9%/登坂距離21.7km)へと入って行く。
雪に包まれた標高2758mの峠に向かってカタルドが独走に持ち込み、モビスターとティンコフ・サクソがタイム差を詰めながら追い上げる展開に。カタルドはシャラプらを振り切ってチーマコッピのステルヴィオ峠を先頭通過。凍える下り区間に突入した。
下り区間がニュートラル扱いになるとの誤報が流れる中、スイッチバックが続く下りでメイン集団から総合4位(2分40秒差)のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が先行する。
チームメイトのゴルカ・イサギーレ(スペイン)とライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)、ピエール・ロランとロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)を引き連れて飛び出したキンタナは、前から落ちてきた選手たちを追い抜きながら先を急いだ。
ステルヴィオ峠を下りきり、平坦区間でメイン集団を引き離したキンタナグループは、1級山岳ヴァルマルテッロの登りで先頭カタルドを吸収。
全長22.4kmの登りで先頭はキンタナとヘシェダル、ロランの3名に絞られ、マリアローザを含むメイン集団に対して2分リードで登りを進んだ。
執拗なキンタナのアタックによってロランが脱落し、ヘシェダルだけが食らいついて残り7km。ティンコフ・サクソやAG2Rラモンディアール率いるメイン集団とのタイム差は3分まで広がる。
ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)のアタックによってメイン集団は崩壊し、マリアローザのリゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)やカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)は後退してしまった。
先頭ではヘシェダルを振り切ったキンタナが独走勝利。ヘシェダルが8秒差のステージ2位、ロランが1分13秒差のステージ3位に入った。メイン集団から一人飛び出したケルデルマンが3分32秒差、ライバルたちに先行を許したウランが4分11秒差で入り、ステージのトップスリーが総合順位を上げる結果となった。
ボーナスタイム10秒も加算し、同じコロンビア出身のウランからマリアローザを受け継いだキンタナは「前半からレースをコントロールしてくれたチームにこの勝利を捧げたい。この勝利は現在と未来に向けた大きな自信に繋がるよ」と記者会見で笑みをこぼす。
ステルヴィオ峠の下りに関しては「ニュートラルになるなんて情報は入ってこなかったし、ポジションを落とさないように走っているうちに集団から飛び出していたんだ。でも今日のリードは最後の登りで得たもの。そこに議論の余地はないと思う」と語っている。
総合2位ウランに対して1分41秒、総合3位エヴァンスに対して3分21秒のリードでキンタナが首位を走る。表彰台争いは4名(エヴァンス、ロラン、マイカ、アル)が13秒以内にひしめく接戦だ。
レースキャンセルが囁かれるほどの悪天候の中、160名が1級山岳ヴァルマルテッロに制限時間内にたどり着いた。
およそ18分遅れでステルヴィオ峠をクリアした別府史之(トレックファクトリーレーシング)と新城幸也(ユーロップカー)は、それぞれステージ86位・39分33秒遅れ、ステージ158位・44分07秒遅れでこの近年稀に見る厳しいステージを乗り切っている。
ジロ・デ・イタリア2014第16ステージ結果
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
2位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
3位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
7位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
8位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
86位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
158位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
2位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
3位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
5位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
7位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
8位 セバスティアン・エナオゴメス(コロンビア、チームスカイ)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
86位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
158位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
4h42'35"
+08"
+1'13"
+3'32"
+3'37"
+3'40"
+4'08"
+4'11"
+4'48"
+39'33"
+44'07"
+08"
+1'13"
+3'32"
+3'37"
+3'40"
+4'08"
+4'11"
+4'48"
+39'33"
+44'07"
マリアローザ 個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
4位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
4位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
5位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
68h11'44"
+1'41"
+3'21"
+3'26"
+3'28"
+3'34"
+3'49"
+4'06"
+4'16"
+8'92"
+1'41"
+3'21"
+3'26"
+3'28"
+3'34"
+3'49"
+4'06"
+4'16"
+8'92"
マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
チーム総合成績
AG2Rラモンディアール
text&photo:Kei Tsuji in Val Martello, Italy
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