2014/05/22(木) - 05:23
逃げ切りが決まりやすいとされ、レース序盤から激しいアタック合戦が続いたジロ・デ・イタリア第11ステージ。大人数の逃げグループが形成されたものの、最後の2級山岳で全て吸収される。下りでアタックを成功させたマイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)がフィニッシュラインまで独走した。
パルマ近郊のコレッキオをスタート後、2級山岳チェントクローチ峠をこえてリグーリア海岸へ。ジェノヴァ経由で海岸線を西進し、サヴォーナの街を通過後に2級山岳ナーゾ・ディ・ガットに向かう。249kmのロングステージの最大のトピックは、この残り28km地点に位置する2級山岳ナーゾ・ディ・ガット(直訳すると猫の鼻)だ。
平均勾配8.0%/登坂距離7.2kmの登りがビッグスプリンターたちの進入を許さない。逃げ切りが決まりやすいコースレイアウトであり、この好機をつかむためにスタート直後から激しいアタック合戦が繰り広げられた。
アタック合戦には別府史之(トレックファクトリーレーシング)と新城幸也(ユーロップカー)も加わり、15km地点で別府を含む5名が先行。しかし集団に引き戻され、ここから更にアタックが続発する。スタートからずっと登り基調にも関わらず、最初の1時間の平均スピードは49.8km/hに至った。
あまりのスピードに集団が割れ、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)らが遅れるシーンも。やがて23名の先頭グループが形成され、そこからマリアアッズーラのジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)が飛び出して2級山岳チェントクローチ峠をクリアした。
マリアローザを含むメイン集団は30秒遅れで頂上をクリア。長い下りでディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)らを含む落車が発生し、ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)がここでリタイアした。
85km地点で先頭グループにセレクションがかかり、14名(ボンジョルノ、バルディン、モゼール、ムレー、モンサルベ、ケムヌール、シカール、トゥラウ、プレイドラー、ダイグナン、ヴォルガノフ、モレーノ、ロッシュ、ロフニー)が先行。これをメイン集団が5分差で追う展開でリグーリア海岸を駆け抜けた。
大人数の逃げグループは、ときおり内紛を起こしながらもまとまって先行。メイン集団はBMCレーシングに代わってアンドローニジョカトリが牽引を開始し、逃げグループとのタイム差を3分前後に抑え込む。オメガファーマ・クイックステップもここに加わり、1分差で最後の2級山岳ナーゾ・ディ・ガットに差し掛かった。
8%の勾配がコンスタントに続く登りで、別府や新城を含めた多くの選手が脱落。総合7位につけていたウリッシも落車の影響でペースを落とし、この日だけで4分31秒を失う結果に。
登りで逃げグループがダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)やニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)、ゲオルグ・プレイドラー(オーストリア、ジャイアント・シマノ)らに絞られる中、ハイペースで進むメイン集団からマリアアッズーラのアレドンドがアタック。アレドンドはそれまで逃げていた選手たちを抜き去り、先頭で2級山岳ナーゾ・ディ・ガットをクリアした。
BMCレーシングとオメガファーマ・クイックステップ率いるメイン集団は、下りでアレドンドらを全員吸収。フィニッシュまで24kmを残してレースがフリダシに戻されると、そこからロジャースが単独でアタックを成功させた。
残り20kmから独走を開始したロジャースは、メイン集団とのタイム差を20秒、30秒、40秒と広げていく。
ロジャースは総合32位・13分05秒のため、BMCレーシングは追撃の意思を見せることなく落ち着いて集団をコントロール。すると慌てて数チームが追走をかけたものの時すでに遅し。メイン集団を10秒振り切ったロジャースが、サヴォーナのフィニッシュラインに独走で飛び込んだ。
「2級山岳を越えた時に、総合上位の選手たちがお互いを牽制していたんだ。だからチャンスがあると思って飛び出した。ステージ優勝の絶好のチャンスだった」と、レース後の記者会見でロジャースは語る。
2003年から3年連続でタイムトライアル世界チャンピオンに輝いた34歳のロジャースは、昨年ジャパンカップで優勝を果たしながらも、期間中のドーピング検査で禁止薬物のクレンブテロール陽性が発覚。暫定的に出場停止となったが、直前に中国で食べた汚染肉が陽性反応の原因である可能性が高いとして4月23日に出場停止処分が解かれている。
長らくレースから離れていたロジャースは、処分解除直後のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを走り、このジロ・デ・イタリアのメンバーに滑り込んだ。
ロジャースは個人の成績としてはグランツール初勝利(2009年ジロのチームTTで勝利している)。チームメイトのラファル・マイカ(ポーランド)は集団内でフィニッシュし、総合3位とマリアビアンカを守っている。
落車が多発したこの日、総合7位から総合21位にダウンしたウリッシを除いて、総合トップ10の選手たちはタイムを失うことなくフィニッシュしている。マリアローザを守ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)は、最終走者として翌日の個人タイムトライアルに挑む。
ジロ・デ・イタリア2014第11ステージ結果
マリアローザ 個人総合成績
マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text&photo:Kei Tsuji in Savona, Italy
パルマ近郊のコレッキオをスタート後、2級山岳チェントクローチ峠をこえてリグーリア海岸へ。ジェノヴァ経由で海岸線を西進し、サヴォーナの街を通過後に2級山岳ナーゾ・ディ・ガットに向かう。249kmのロングステージの最大のトピックは、この残り28km地点に位置する2級山岳ナーゾ・ディ・ガット(直訳すると猫の鼻)だ。
平均勾配8.0%/登坂距離7.2kmの登りがビッグスプリンターたちの進入を許さない。逃げ切りが決まりやすいコースレイアウトであり、この好機をつかむためにスタート直後から激しいアタック合戦が繰り広げられた。
アタック合戦には別府史之(トレックファクトリーレーシング)と新城幸也(ユーロップカー)も加わり、15km地点で別府を含む5名が先行。しかし集団に引き戻され、ここから更にアタックが続発する。スタートからずっと登り基調にも関わらず、最初の1時間の平均スピードは49.8km/hに至った。
あまりのスピードに集団が割れ、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)らが遅れるシーンも。やがて23名の先頭グループが形成され、そこからマリアアッズーラのジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)が飛び出して2級山岳チェントクローチ峠をクリアした。
マリアローザを含むメイン集団は30秒遅れで頂上をクリア。長い下りでディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)らを含む落車が発生し、ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、グリーンエッジ)がここでリタイアした。
85km地点で先頭グループにセレクションがかかり、14名(ボンジョルノ、バルディン、モゼール、ムレー、モンサルベ、ケムヌール、シカール、トゥラウ、プレイドラー、ダイグナン、ヴォルガノフ、モレーノ、ロッシュ、ロフニー)が先行。これをメイン集団が5分差で追う展開でリグーリア海岸を駆け抜けた。
大人数の逃げグループは、ときおり内紛を起こしながらもまとまって先行。メイン集団はBMCレーシングに代わってアンドローニジョカトリが牽引を開始し、逃げグループとのタイム差を3分前後に抑え込む。オメガファーマ・クイックステップもここに加わり、1分差で最後の2級山岳ナーゾ・ディ・ガットに差し掛かった。
8%の勾配がコンスタントに続く登りで、別府や新城を含めた多くの選手が脱落。総合7位につけていたウリッシも落車の影響でペースを落とし、この日だけで4分31秒を失う結果に。
登りで逃げグループがダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)やニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)、ゲオルグ・プレイドラー(オーストリア、ジャイアント・シマノ)らに絞られる中、ハイペースで進むメイン集団からマリアアッズーラのアレドンドがアタック。アレドンドはそれまで逃げていた選手たちを抜き去り、先頭で2級山岳ナーゾ・ディ・ガットをクリアした。
BMCレーシングとオメガファーマ・クイックステップ率いるメイン集団は、下りでアレドンドらを全員吸収。フィニッシュまで24kmを残してレースがフリダシに戻されると、そこからロジャースが単独でアタックを成功させた。
残り20kmから独走を開始したロジャースは、メイン集団とのタイム差を20秒、30秒、40秒と広げていく。
ロジャースは総合32位・13分05秒のため、BMCレーシングは追撃の意思を見せることなく落ち着いて集団をコントロール。すると慌てて数チームが追走をかけたものの時すでに遅し。メイン集団を10秒振り切ったロジャースが、サヴォーナのフィニッシュラインに独走で飛び込んだ。
「2級山岳を越えた時に、総合上位の選手たちがお互いを牽制していたんだ。だからチャンスがあると思って飛び出した。ステージ優勝の絶好のチャンスだった」と、レース後の記者会見でロジャースは語る。
2003年から3年連続でタイムトライアル世界チャンピオンに輝いた34歳のロジャースは、昨年ジャパンカップで優勝を果たしながらも、期間中のドーピング検査で禁止薬物のクレンブテロール陽性が発覚。暫定的に出場停止となったが、直前に中国で食べた汚染肉が陽性反応の原因である可能性が高いとして4月23日に出場停止処分が解かれている。
長らくレースから離れていたロジャースは、処分解除直後のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを走り、このジロ・デ・イタリアのメンバーに滑り込んだ。
ロジャースは個人の成績としてはグランツール初勝利(2009年ジロのチームTTで勝利している)。チームメイトのラファル・マイカ(ポーランド)は集団内でフィニッシュし、総合3位とマリアビアンカを守っている。
落車が多発したこの日、総合7位から総合21位にダウンしたウリッシを除いて、総合トップ10の選手たちはタイムを失うことなくフィニッシュしている。マリアローザを守ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)は、最終走者として翌日の個人タイムトライアルに挑む。
ジロ・デ・イタリア2014第11ステージ結果
1位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、ティンコフ・サクソ)
2位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSF)
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
5位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)
7位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
8位 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ネーリソットリ)
9位 ファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)
10位 アレクシ・ヴュイエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアール)
93位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
161位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
2位 サイモン・ゲシュケ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSF)
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
5位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)
7位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)
8位 マッテーオ・ラボッティーニ(イタリア、ネーリソットリ)
9位 ファビオ・ドゥアルテ(コロンビア、コロンビア)
10位 アレクシ・ヴュイエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアール)
93位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
161位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
5h48'07"
+10"
+14'44"
+18'14"
+10"
+14'44"
+18'14"
マリアローザ 個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
5位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
10位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
5位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
7位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
8位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
9位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
10位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール)
42h50'47"
+57"
+1'10"
+1'20"
+1'31"
+1'39"
+1'44"
+1'45"
+1'49"
+2'01"
+57"
+1'10"
+1'20"
+1'31"
+1'39"
+1'44"
+1'45"
+1'49"
+2'01"
マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text&photo:Kei Tsuji in Savona, Italy
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