ブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIワールドツアー)第5ステージで、22名の精鋭集団に残ったベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)がスプリント勝利。「優勝争いに絡めるコンディションではないと感じた」という新城幸也(ユーロップカー)はチームメイトに勝負を託し、57位でフィニッシュした。



ブエルタ・アル・パイスバスコ2014第5ステージブエルタ・アル・パイスバスコ2014第5ステージ image:vueltapaisvasco.diariovasco.comエイバルからマルキナ・シェメインまでの160kmで行なわれた第5ステージは、バスクレースの例に漏れずアップダウンの連続。後半にかけて2つの3級山岳と1級山岳、2級山岳を通過する。

バスクの山岳コースを走るプロトンバスクの山岳コースを走るプロトン photo:Tim de Waele逃げ切りにも充分チャンスのある獲得標高差3000mの中級山岳ステージで、ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)やバウク・モレマ(オランダ、ベルキン)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)、ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・シマノ)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)ら15名がエスケープ。

第5ステージを走るライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)ら第5ステージを走るライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)ら photo:Tim de Waeleティンコフ・サクソやモビスター率いるメイン集団は、強力なメンバーが揃った大人数の逃げグループを警戒しながら連続する山岳を通過する。タイム差は広がらず、逃げグループの中からボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)ら3名が飛び出して最後の2級山岳アイアスティア峠に向かった。

ゴールスプリントを制したベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)ゴールスプリントを制したベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele平均勾配5.5%のアイアスティア峠で逃げが全て吸収されると、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)が集団を牽引して更なるアタックを封じ込める。続くトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)によるペースメイクによって、メイン集団は徐々に人数を減らして行く。

リーダージャージを着てシャンパンを開けるアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)リーダージャージを着てシャンパンを開けるアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleすると、頂上まで1kmを残して総合2位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がアタック。総合12秒差をひっくり返すべく、緩斜面でアウターチェーンリングを踏むバルベルデが飛び出した。

バルベルデには当然アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が即座に反応し、前日のステージ優勝者ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)が合流して3名で頂上を通過。10秒ほどのリードで、フィニッシュまでの8kmダウンヒルへ。

コンタドール、バルベルデ、ポエルスという今大会の主役三名によるエスケープ。しかしダウンヒルスペシャリストのサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)率いるメイン集団が、残り2kmを切って先頭3名を吸収する。22名に絞られた集団によるゴールスプリントに持ち込まれた。

マルティンにリードアウトされたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)が好位置をキープしてマルキナ・シェメインの街へ。曲がりくねったゴール前を抜け、スウィフトが残り200mで後方からスプリントを仕掛けた。

ミラノ〜サンレモで3位に入り、"登れるスプリンター"としての地位を確立しつつあるスウィフトのスプリントが伸びる。クヴィアトコウスキーやバルベルデを寄せ付けない走りでスウィフトが勝利した。

「モビスターの牽引でリミットぎりぎりだった。最後の登りでバルベルデがアウターでアタックした時にはもう終わったと思ったよ。でも飛び出したのは3人で、人数を残していたBMCレーシングが牽引して吸収。周りのメンバーを見ながら、(スプリンターの)自分がそこにいるのが不思議に思えた」と打ち明けるスウィフト。ツール・ド・フランス出場を予定しているヨークシャー生まれの26歳がシーズン3勝目を飾った。

ライバルたちの動きを封じ込めたコンタドールがリーダージャージをキープし、バルベルデに対し12秒のリードで最終個人タイムトライアルに挑むことに。約6%の登りを2つ越える25.9kmコースで総合争いは決着する。

新城幸也(ユーロップカー)は「走り出して今日は優勝争いに絡める足(コンディション)ではないと感じたので、自分のできることをした。しかし、こういう時もきちんと前の集団に残れる登坂力が必要だと感じた」と語り、チームメイトをアシストしながら57位でフィニッシュ。総合順位は30位まで下げている。

選手コメントはレース公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。



ブエルタ・アル・パイスバスコ2014第5ステージ結果
1位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
5位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)
6位 シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)
7位 ジョナタン・イヴェール(フランス、ベルキン)
8位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
10位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
57位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
3h56'56"









+12'48"


個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
5位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)
7位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
9位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
30位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
20h30'31"
+12"
+36"



+41"
+54"
+55"
+56"
+14'48"


ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

山岳賞
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール)

スプリント賞
オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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