2014/04/11(金) - 11:57
残り2km地点で1級山岳ウサルツァ峠を越えるブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIワールドツアー)第4ステージ。総合上位勢の隙を突いてアタックを成功させたワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)が「キャリア最高の勝利」を手にした。
州都ビトリア・ガステイスをスタートし、エイバルのアラーテに向かう151kmで行なわれた第4ステージ。前半から難易度の高いカテゴリー山岳が連続し、平均勾配6.7%の1級山岳ウサルツァ峠の頂上通過後に短いダウンヒルを経てフィニッシュする。実質的な今大会唯一の山頂フィニッシュだ。
獲得標高差2800mのクイーンステージ(最難関ステージ)は、激しいアタック合戦で幕開ける。アタックと吸収を繰り返すハイスピードな集団から、トム・ドゥムラン(フランス、ジャイアント・シマノ)やロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)ら5名が先行。しかし逃げは最後の1級山岳ウサルツァ峠までに全て吸収されてしまう。
オメガファーマ・クイックステップがゴールスプリントに向けたリードアウトさながらの高速牽引を見せ、1級山岳ウサルツァ峠に突入。登りの序盤にルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)やサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)らが飛び出したものの、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)率いるメイン集団を引き離すことは出来ない。
ハイペースで進む集団は見る見るうちに人数を減らして行き、フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)やライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)が脱落。すると、残り5kmを切ったところでリーダージャージを着るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が先手を打った。
"踊るようなダンシング"と表現される加速には、すぐにアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が反応する。総合首位を守る立場であるコンタドールは4〜5回にわたって強力なアタックを仕掛けたが、バルベルデがぴったりとマークする。牽制を伴う総合争いを尻目に、頂上まで1kmを残してワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)が強力なアタックを仕掛けた。
単独で飛び出したポエルスはそのまま10秒リードでウサルツァ峠をクリア。約2kmの下りを難なくこなし、そのまま独走でフィニッシュした。1秒遅れでバルベルデとサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)が入り、コンタドールを含む集団は3秒遅れでフィニッシュしている。
ステージ優勝を飾ったポエルスはオランダ生まれの26歳。ヴァカンソレイユ・DCMの解散とともに今季オメガファーマ・クイックステップに移籍した。山岳アシストとしての走りが光るポエルスは「間違いなくキャリアで一番大きな勝利だ。数年前のツールでの大落車からようやく第一線に戻ってこれた」と喜ぶ。
「0km地点からフィニッシュまでずっとハイスピードで、長くて厳しいステージだった。コンタドールのアタックは強烈だったものの、バルベルデらと牽制していたので、その隙を突いてアタックしたんだ。昨年走っているのでこの上りのことは知っていた。単独で頂上をクリア出来れば逃げ切れると思っていたんだ」。
そう語るポエルスが総合9位に浮上し、精彩を欠いたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)は総合7位に順位を下げる結果に。コンタドールはバルベルデから2秒失ったものの、危なげなくリーダージャージを守っている。
このクイーンステージに懸けていた新城幸也(ユーロップカー)は、ウサルツァ峠でトップ選手のアタック合戦により遅れ、ポエルスから1分07秒遅れのステージ26位。総合順位を11位から21位まで下げてしまった。「今日は上り勝負。自分はなるべくタイム差をつけられずに、もっと上位でゴールしなければならなかった。残念だ・・・」と落胆のコメントを残すが、同時に「ゴールまで精一杯出し切ったし、調子は良いので、明日はステージ優勝を狙って頑張ります」とも語っている。
選手コメントはレース公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2014第4ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
山岳賞
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール)
スプリント賞
オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
州都ビトリア・ガステイスをスタートし、エイバルのアラーテに向かう151kmで行なわれた第4ステージ。前半から難易度の高いカテゴリー山岳が連続し、平均勾配6.7%の1級山岳ウサルツァ峠の頂上通過後に短いダウンヒルを経てフィニッシュする。実質的な今大会唯一の山頂フィニッシュだ。
獲得標高差2800mのクイーンステージ(最難関ステージ)は、激しいアタック合戦で幕開ける。アタックと吸収を繰り返すハイスピードな集団から、トム・ドゥムラン(フランス、ジャイアント・シマノ)やロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)ら5名が先行。しかし逃げは最後の1級山岳ウサルツァ峠までに全て吸収されてしまう。
オメガファーマ・クイックステップがゴールスプリントに向けたリードアウトさながらの高速牽引を見せ、1級山岳ウサルツァ峠に突入。登りの序盤にルイスレオン・サンチェス(スペイン、カハルーラル)やサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)らが飛び出したものの、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ・サクソ)率いるメイン集団を引き離すことは出来ない。
ハイペースで進む集団は見る見るうちに人数を減らして行き、フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)やライダー・ヘシェダル(カナダ、ガーミン・シャープ)が脱落。すると、残り5kmを切ったところでリーダージャージを着るアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)が先手を打った。
"踊るようなダンシング"と表現される加速には、すぐにアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が反応する。総合首位を守る立場であるコンタドールは4〜5回にわたって強力なアタックを仕掛けたが、バルベルデがぴったりとマークする。牽制を伴う総合争いを尻目に、頂上まで1kmを残してワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)が強力なアタックを仕掛けた。
単独で飛び出したポエルスはそのまま10秒リードでウサルツァ峠をクリア。約2kmの下りを難なくこなし、そのまま独走でフィニッシュした。1秒遅れでバルベルデとサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)が入り、コンタドールを含む集団は3秒遅れでフィニッシュしている。
ステージ優勝を飾ったポエルスはオランダ生まれの26歳。ヴァカンソレイユ・DCMの解散とともに今季オメガファーマ・クイックステップに移籍した。山岳アシストとしての走りが光るポエルスは「間違いなくキャリアで一番大きな勝利だ。数年前のツールでの大落車からようやく第一線に戻ってこれた」と喜ぶ。
「0km地点からフィニッシュまでずっとハイスピードで、長くて厳しいステージだった。コンタドールのアタックは強烈だったものの、バルベルデらと牽制していたので、その隙を突いてアタックしたんだ。昨年走っているのでこの上りのことは知っていた。単独で頂上をクリア出来れば逃げ切れると思っていたんだ」。
そう語るポエルスが総合9位に浮上し、精彩を欠いたミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)は総合7位に順位を下げる結果に。コンタドールはバルベルデから2秒失ったものの、危なげなくリーダージャージを守っている。
このクイーンステージに懸けていた新城幸也(ユーロップカー)は、ウサルツァ峠でトップ選手のアタック合戦により遅れ、ポエルスから1分07秒遅れのステージ26位。総合順位を11位から21位まで下げてしまった。「今日は上り勝負。自分はなるべくタイム差をつけられずに、もっと上位でゴールしなければならなかった。残念だ・・・」と落胆のコメントを残すが、同時に「ゴールまで精一杯出し切ったし、調子は良いので、明日はステージ優勝を狙って頑張ります」とも語っている。
選手コメントはレース公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2014第4ステージ結果
1位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
4位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
5位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
6位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
8位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
9位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
26位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
4位 トムイェルテ・スラグテル(オランダ、ガーミン・シャープ)
5位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
6位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
8位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
9位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
26位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
3h39'29"
+01"
+03"
+1'07"
+01"
+03"
+1'07"
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
5位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)
7位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
9位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
21位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
5位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)
7位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)
9位 ワウテル・ポエルス(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
21位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
16h33'35"
+12"
+36"
+41"
+54"
+55"
+56"
+2'00"
+12"
+36"
+41"
+54"
+55"
+56"
+2'00"
ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
山岳賞
ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール)
スプリント賞
オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)
チーム総合成績
BMCレーシング
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
Amazon.co.jp